オーダースーツ 銀座英國屋コラム
オーダースーツのクリーニングの頻度と注意点

せっかくのスーツは、長持ちさせたいものではないでしょうか?
実は、日ごろのメンテナンスができていれば、スーツのクリーニングは、1シーズンに1~2回で十分です。
このコラムでご紹介する、スーツのメンテナンスやシワ対策を駆使して、大切なスーツを長持ちさせる一助といただければ幸いです。
※より詳細な【保存版】オーダースーツの生地を長持ちさせるお手入れ方法と、クリーニングの注意点 というコラム記事もございます。
そもそもクリーニングに出していいの?
銀座英國屋でフルオーダースーツをお仕立て頂いたら、長く使っていただきたいと思っています。
しかし、誤った方法でクリーニングに出すと、スーツの寿命を縮めることにもなりかねません。
頻度
どれだけ丁寧なクリーニングでも、頻度が多すぎると生地の風合いを損ねる原因になってしまいます。
クリーニングに出すのは、1シーズンに1回〜2回程度です。
※ただし着る人や仕事内容、着た回数によっては、汚れ具合が違うため一概には言えません。あくまで目安として捉えて下さい。
ドライクリーニング
スーツのクリーニングと言うと、なんとなく「ドライクリーニング」が正しいと思いこんでいませんか?
しかし正確には、素材によってドライクリーニングとウェットクリーニングを使い分けることが重要です。
ドライクリーニングとは、石油系の溶剤を使って洗う方法で、水は使いません。ですので、水に弱い素材などにおすすめです。
特徴としては、皮脂や油汚れなどがよく落ちます。
ウェットクリーニング
一方ウェットクリーニングとは、水と溶剤を使って洗う方法です。ドライクリーニングよりも技術的に難しいとされ、価格も高くなりがちです。またクリーニングにかかる日数も、10日間ほどかかるケースが多いようです。
どちらかというとウェットクリーニングの方が、生地へのダメージが少ないと言えるのですが、気になる方は、最適なクリーニング方法を店頭で確認してください。
事前にチェック
クリーニングに出す前には、シミなどがないかを確認して、お店の人に伝えておきましょう。そうすることで後々に問題になることを防げる他、状態を詳しく知ってもらうことで、最適な洗い方をしてくれる可能性も高いからです。
スーツのメンテナンス

そもそも、特にジャケットに関しては、日々の手入れを怠らなければ、頻繁にクリーニングに出す必要性はさほどありません。
スーツの生地には動物の毛が使われていることが多く、その油分が生地の風合いを保つためには大切です。それがクリーニングに出すと脂を落としてしまうので、頻繁にクリーニングしてしまうと風合いをも損ねてしまいます。
クリーニングの頻度を少なくできれば長持ちにつながります。クリーニングの頻度を減らすためには、日々のメンテナンスが重要です。
水分を抜く
まず気をつけてほしいのが、連続で着続けないということ。スーツは、1日着ていると汗を吸って湿ってしまいます。
その水分を抜くためには、最低でも2日の間を空けるようにしましょう。
よく「天日干し」をしてしまう方がいますが、直射日光もまた生地を傷める原因になります。一度着たスーツは、陰干しをしてしっかり乾かすことが必要です。
濡れた時
スーツの生地は繊細です。そのため、雨の日でも極力ずぶ濡れにならないように注意しましょう。しかしどうしても濡れてしまう時もあります。そのときには、乾いた布やタオルで軽く押さえて水分を取りましょう。
そして、細いハンガーではなく、肩幅に合った厚みのあるハンガーにかけて、風通しの良い場所に陰干ししましょう。ここでも天日干しはNGです。
洋服ブラシでブラッシング

スーツを脱いだら、洋服ブラシで汚れを落とします。もし洋服ブラシをお持ちでない方は、オーダースーツを購入する時に必ず一つ買っておくようにしましょう。これがあるのとないのとでは、スーツの持ちが全然違ってきます。
毛玉取りなどを使えば、表面を一時的にきれいにすることもできますが、生地の奥に入り込んだホコリなどを取ることはできません。また繊維の乱れも整えてくれるので、風合いも違ってきます。
最近では百均でも洋服ブラシは売っていますが、生地を傷めずメンテナンスできるのは、やはり馬毛のブラシが一番です。馬毛がなければ豚毛でも構いません。一本買っておいて損はないでしょう。
ブラッシング
ブラッシングは、まず十分風を通して水分を飛ばしてから行います。生地が傷つくことを恐れて表面をなぞるようにする人もいますが、パンパンと、ホコリを叩き出す感じでブラッシングしましょう。
一箇所につき数回ずつブラッシングします。こうすることで、汚れをしっかりかきだすことができます。ジャケットの場合、生地の目に沿って、上から下に行うようにします。質の高い洋服ブラシであれば、それほど生地を傷つける恐れはありません。
シワ対策

どうしても長い間着ていると、シワができてしまいます。シワは、ハンガーにかけたまま専用のスチーマーで蒸気を吹きかけることがおすすめです。
もしスチーマーがなければ、霧吹きで軽く水分を吹きかけるという方法もあります。その後陰干しをして、水分が抜けたらブラッシングをすれば、それだけでシワはかなり改善されるはずです。
※洗濯表示などを見て、水に弱い素材などの場合は控えて下さい
専用のハンガーとカバー

ジャケットのきれいなデザインを保つためには、ジャケット専用のハンガーを使って下さい。肩のラインにかけて厚みのあるハンガーです。素材は、吸湿性を考慮して木製がおすすめです。
クリーニングに出したスーツが戻ってきた時も、ビニール袋から出し、クリーニング屋さんのハンガーから外して、厚みのあるハンガーに掛け直しましょう。こうすることでシワや型崩れを防止することができます。
また、ハンガーに掛けなおしたスーツは次のシーズンまで着ないことが多いと思います。そのままクローゼットにしまったままですと、ホコリが付着することに繋がります。不織布で出来た洋服カバーをかけて保管しておくとホコリがつきにくく、また不織布カバーはビニールカバーとは違い、通気性があり、カビ防止に最適です。
さいごに
今回はスーツのクリーニングの出し方や、メンテナンスについて解説しました。
いかがでしたでしょうか?
もしクリーニングやメンテナンスについて質問があれば、お気軽に各店舗のスタイリストに直お問い合わせください。
銀座英國屋では、無料オーダー体験を実施しています。
ご注文時の不安がないよう、カウンセリング・生地選び・細かなディテール決め・サンプル仮縫い品による仮縫いの疑似体験を実施しています。
また、店内には仕上がった製品見本もご用意しています。是非、ご予約フォームより「無料オーダー体験」をご予約下さいませ。
監修者

小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・東京赤坂・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・名古屋・京都・奈良に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。