オーダースーツ 銀座英國屋コラム
就活のリクルートスーツのコーディネート|男性編

就活生から「リクルートスーツで悩みます…」と、よく伺います。
このお悩みは、仕方のないことだと感じています。
というのも、不適切な情報も混在し、また、売り手としてのPR情報も含まれているためです。
この記事では、就活生向けに「何を基準に、リクルートスーツを選ぶか?」を分かりやすく解説したいと思います。
実はこの基準は、就活時だけではなく、社会人として一生使える基準ですので、参考にしてください。
目次
リクルートスーツの基準も「どなたからの信頼が必要か?」
まず結論から申し上げると、ビジネスウェアの基準は「どなたからの信頼が必要か?」です。
これは就活でのリクルートスーツを含む、スーツスタイルに限りません。
理由は第一印象が「良さそう(信頼できそう)」であってこそ、人は内面(考え、能力、個性、アイデア)にも、目を向けてくれますし、また第一印象が良くなければ、どれだけ良いアイデアがあったとしても、人は耳を傾けてはくれないからです。
だからこそ、ビジネスウェアの一つであるスーツの基準も「どなたからの信頼が必要か?」が大事です。
しかし、一般的なスーツショップに就活スーツを探しに行くと、「流行」「新製品」「新機能」「オシャレ」「モテる」といった要素ですすめられるケースもあるかと思います。
その時には、一度立ち止まって「その要素は、面接に必要だろうか?」と、考えてみることをおすすめします。
例えば「オシャレ」という要素は、面接に必要でしょうか?
私は、優先度が高いとは言えないと考えています。
就活生が、「どなたからの信頼が必要か?」といえば、「志望する企業の採用面接官」だと思います。
ですので、「志望する企業の採用面接官から、信頼を得られるスーツ・コーディネート」を考えれば、少なくとも失敗することはないでしょう。
気を付けなければならないのは、「学生から見て、素敵なコーディネートではない」という点です。
採用面接官は、ご自身よりもっと年上の方でしょうから、「30~50代の社会人から見て、信頼を得られる装い」と考えることをおすすめします。
場合によっては、ご自身の好みではなく、ご両親の好みの方が、適切な場合も多いと思います。
具体的な「信頼を得られるスーツのコーディネート」例

以下では、「信頼を得られるスーツのコーディネート」例を、挙げてまいります。
スーツ
リクルートスーツは、既製スーツやパターンオーダースーツを選ぶ
既製スーツをおすすめする理由は「試着して、比較ができるから」です。
就活生にとっては、スーツに見慣れても・着慣れてもいないと思います。
このため、試着ができないと「このスーツで、はたして採用面接官からの信頼を得られるか?」の判断は、
難しいのではないでしょうか?
ですので、「試着して比較可能な既製スーツ」を、まず検討されるのがおすすめです。
お店・ブランドも変え、試着し、写真も撮り、比較してみましょう。
ただし、手が長いなどで「どうしても既製スーツでは合わない…」という場合には、オーダースーツの中でも調整できる箇所が少ないパターンオーダースーツがおすすめです。
就活中は、かなりハードに着用するはずです。
高いスーツを選ぶ必要はありません。
値段というよりも、とにかく試着・撮影・比較して回り、「このスーツならば、良さそう」と思えるスーツを
購入されることをおすすめします。
「30~50代の社会人から見て、信頼を得られる装い」という視点で選ぶのがポイントです。
リクルートスーツはダークネイビースーツがおすすめ
現在の就活スーツの7割が、黒(ブラックスーツ)と言われています。
しかし、社会に出た場合、ブラックスーツを着る機会は冠婚葬祭に限られています。
日本のビジネスシーンにおいては、圧倒的に着用されているのが、ダークネイビーとダークグレー。
その中でも、清々しさ・清潔感・フレッシュさを惹き立ててくれる色である「ダークネイビースーツ(濃紺スーツ)」は、就活にもピッタリ。
また、ダークネイビースーツの購入時に、ワイシャツやネクタイなどの服飾品のコーディネートを揃えておくと、社会人になった後の買い直しも妨げます。
※本来、「ネイビー」は「濃紺」を指しますが、日本では「明るい紺」がイメージされやすいため、ここでは「ダークネイビー」と記載します。なお、「ダークネイビー」は造語です。
リクルートスーツの柄は、目立たない柄を選ぶ
リクルートスーツの柄は、目立たない柄が、おすすめです。
具体的には、無地or目立たない織柄を選びましょう。
なお、織柄は、シャドー柄とも呼ばれ、織り方で柄の変化を見せる生地を指します。
例えば、織柄ストライプは、シャドーストライプと言います。
リクルートスーツは、「ふつうの仕様」がベスト
基本的に「ふつうの仕様」がベスト。
もし、パターンオーダーなどで、ベント(ジャケットの裾にある切れ込み)の仕様が選べるのであれば、ウェストとヒップの差寸が大きい人は、後ろのセンターベントが開きやすくなるので、サイドベンツがおすすめです。
それは、センターベントは座ったときにベント自体が折れやすく、シワになりやすいためです。
ただし、あくまでも「選べるのであれば…」程度のことですので、センターベントでも、問題ありません。
座る時・立つときのジャケットのボタンの
留め・外しができるとスマート
これはスーツ・コーディネートの話題ではありませんが、「座っている時は前ボタンを外し、立ち上がる時にサッと留める」を、自然にできるととてもスマートに見えます。
ぜひ、練習してみてください。
ワイシャツ

ワイシャツの色は白
ワイシャツの色は、白がおすすめです。理由はなるべく顔色が明るく見えた方が良いためです。白無地・白織柄のワイシャツがおすすめします。
ワイシャツの襟の形は、 セミワイド or ワイド
ワイシャツの襟の形は、レギュラーよりもセミワイド or ワイドがおすすめです。
よくワイシャツの襟が、上着の衿を飛び越えている人を見受けますが、ワイシャツの襟の長さが比較的長いセミワイド・ワイドを選択することで妨げます。
ワイシャツの襟だけは、アイロンを掛ける
なお、ノンアイロンシャツ(形状記憶・形態記憶など)だとしても、襟だけは、アイロンを掛けましょう。
首元は面接官の視線に入るため、ヨレやシワがあっては「信頼を得られる装い」にはなりません。
ネクタイ

ネクタイの色は、青系 or 赤系
コーディネートの基本として、全体的に、色数は抑えたほうが、清潔感を感じられ、好印象です。
ダークネイビースーツにした場合、最もオススメは、同系色である青系です。
なお、色の薄い水色系の場合、白ワイシャツとのコントラストがなく、全体にぼやけて映るため、青の方がおすすめです。
次点として挙げるのであれば、赤系ネクタイがおすすめです。
色彩心理学によると、青系・赤系では受けるイメージが違うと言われているので、エントリーシートでPRした内容に合わせて、セレクトするのも一案です。
・青系:色が薄いと、若さ・清潔感をイメージ。濃くなると、冷静さ・知的さを連想させる。
・赤系:情熱や活動的なイメージ。濃くなると、リーダーシップのある印象
幅は、スーツのラペル幅と合わせる
スーツのラペル(襟)幅とネクタイの大剣幅は、流行とともに密に連動されているので、スーツのラペル(襟)幅とネクタイの大剣幅を合わせるのが基本。
感覚値 ±0.5㎝ の範囲で収めるのがおすすめです。

結び目は、セミウィンザー・ノットがおすすめ
結び目は、小さすぎたり・大きすぎたりしなければ、OK です。
最近は、ワイシャツの襟について、セミワイド or ワイドが主流になっていることもあり、セミウィンザー・ノットがおすすめ。
逆三角形と左右対称なので、綺麗です。
ただし、ネクタイの生地の厚みによって、他の締め方を選んだ方が良い場合もあるため、試してみて下さい。
ディンプル(ネクタイのくぼみ・えくぼ)を作りましょう。
大剣を下に引っ張る時に、人差し指を差し込むと、ディンプルを作りやすいです。

ネクタイは、しっかりと締める
大切なのは、しっかりと締めること。
アパレル業界用語に「3首」という、「首・手首・足首が目立つ」ということを指す専門用語があります。
ネクタイの結び目は、その中の「首」にあたり、しっかりとワイシャツの首元まで締め切っていないと、だらしなく目立ちます。
もちろん、ワイシャツは台襟にある第一ボタンまで締めます。
ネクタイは締めた時に、
大剣がベルトの上端・下端の間に来るように
ネクタイは締めた時に、大剣がベルトの上端・下端の間に来るように調節します。
もし、大剣の長さを合わせた結果、小剣が余ってしまったならば、折って、ネクタイバーで留めるのがスマート。
なお、ネクタイタイバーは、装飾品であり、外には見せないほうが、就活上は安全です。
ネクタイの裏の隙間と、ワイシャツの前立て部分を、タイバーで挟むのがおすすめ。

靴下

靴下はロングホーズがおすすめ
靴下は、ヒザ下までの長さのある「ロングホーズ」がおすすめです。
面接時には座るため、ロングホーズよりも短い靴下の場合、スネが見えてしまいます。
スネが見えてしまうのは、とても印象を悪くします。また、足も短く見えます。
色はダークネイビー
色は、スーツに合わせてダークネイビーのロングホーズがおすすめです。スーツの色と、同じ色(or それよりも濃い色)は、スーツの裾と靴下の境をボヤかすため、足長効果があります。
購入時には、同じ商品をまとめて購入する
買う時には、同じ商品を何足もまとめて買うのもお勧めです。
理由は、片方が、破れたり、薄くなったりしても、残りの靴下と一緒にして使えるので、経済的だからです。
おすすめ商品
ここだけ銀座英國屋で扱う商品を紹介します。
実は、ロングホーズは、あまり売られていません。このため、もし、見つからない場合には、税込 1650 円で取り扱っています。
ベルト
革の色は黒・金具は銀
基本的に「ベルトは、目立たないもの」を選びましょう。ベルトが目立つと、腰の位置が目立つことになり、足が短く見えてしまいます。そして、スーツ・コーディネート全体で、色数は少なくして、清潔感を保ちます。
このため、革の色は靴に合わせて黒、金具は銀をおすすめします。
なるべく装飾の無いものを選ぶ
ステッチもないベルトがおすすめです。
就活生向けのベルト一案
スーツに着慣れていない、就活生向けの商品としては、UNIQLO のイタリアンサドルレザーベルトが一案です。

革靴

色は、ベルトに合わせて黒
ベルトと同じく、「靴は目立たないもの」を選びましょう。
靴が目立つと、ズボンの裾と、靴の境界線が目立つことになり、足が短く見えてしまいます。
そして、スーツ・コーディネート全体で、色数は少なくして、清潔感を保ちたいものです。
このため、革靴の色は、ベルトに合わせて黒を選びます。
形は、ストレートチップ・内羽根
最も装飾性の薄いのが、ストレートチップ・内羽根という形です。
就活生向けには、着地の衝撃をやわらげる足に優しいタイプの靴も一案
就活では移動で歩く機会もあるので、革靴を履きなれていない方には、「運動靴の靴底のテクノロジーを使った革靴」お勧め。
最初の一足としては、革底はおすすめできません。
固く感じ、疲れてしまうためです。
ただでさえ慣れない就活で疲れるのに、更に疲れてしまうのは避けた方が良いでしょう。
若干、高価になってしまいますが、例えば madras のマドラスウォークや ASICS Walking のランウォークは、検討しても良いかと思います。
各オンラインショップのリンクを設置しておきますが、フィッティングが必要なため、各店舗に直接ご相談いただくことをおすすめします。

シューキーパーを、購入しましょう
靴を脱いだあとは型崩れ防止のため、シューキーパー(スーツリー)の使用を強くおすすめします。
シューキーパーを使わないと、つま先が反り返ってしまったり、また伸びきった革が元に戻らなくなってしまいます。
安い木製も販売されています。
ただし、簡易型スプリング式(装着時に、逆Vの字で伸ばすタイプ)は、かかと部分を小さな面積で強く押すことになり、かえって革靴を痛めてしまうので、避けましょう。
腕時計
「携帯があるから、腕時計はいらない」と、つい考えがちかと思います。
もちろん、携帯でも時間を確認することはできますが、腕時計をすることでビジネスマンとしてのスマートさを演出する小道具になります。
文字盤やバンドがゴールド系は避け、またダイバーウォッチなど極端に厚みのあるものもスーツには不適合です。
文字盤やバンドはシルバー系で若々しく、シンプルなものを身に着けるのが基本です。
また、腕時計バンドが革の場合は、革やベルトに合わせて、黒バンドで全体的な統一感を持たせるのがコツです。
ベルトと靴を黒にして、ちょっとアクセントに茶系のバンドという考えは、、、おすすめできません。
カバン
装飾がなく、色は黒で、金具は銀
ベルト・靴と同じく、目立たないカバンを選びましょう。
自立するカバンがおすすめです。
理由は、面接時にはカバンを足元に置くケースが多く、その時には自立した方が、若干スマートに見えるためです。
インナー
ワイシャツのインナーは、
肌透け・汗染み防止としておすすめ
ワイシャツのインナーは、肌透け・汗染み防止として着用しましょう。
色は、ベージュ色。
自身の肌色に近いベージュでないと、薄汚く見えるので要注意してください。
例えば、白・黒は、インナーが透けます。
外に見せないことを前提とした導入商品としての一案
UNIQLO エアリズムマイクロメッシュVネックT(シームレス・半袖)

スラックスのインナーは、必須ではありません
スラックスのインナーは、必須ではありません。
しかし、汗でベタつくことが無くなり、スラックス自体も長持ちするようになるので、オススメです。
スラックスに隠れるため、色は何色でも良いでしょう。
外に見せないことを前提とした導入商品としての一案

オンライン就活においても、基本的に同じ
いままでご説明してきた内容は、オンライン就活においても同じです。
ただ、ネクタイについて、太いストライプ・大きな柄は避けた方が無難です。
オンライン就活の場合、上半身を映すため、ネクタイがうるさく見えてしまう場合があるためです。
また、これはスーツ・コーディネートの話ではありませんが、顔の明るさを考えた場合、ライティングがとても重要です。
ベストなのは、「顔の高さにリングライト、目の高さにカメラ、その下に画面」という構成です。
替えを揃えるときには…
今までご説明してきた、ダークネイビースーツ・白ワイシャツ・青系ネクタイ or 赤系ネクタイ・黒靴という基本を外さず、「違うスーツショップ」で、購入し着用してみることも大切です。
製品・店員・ブランドなどを比較してその違いを知るのも、「信頼を得られる装い」を身に着けるための大事な勉強です。
せっかくお金を払うことですので、ぜひ、違うスーツショップでお買い物してみて下さい。
そして、「信頼を得られる装い」の基本となる、このコーディネートを着こなせるようになれば、後は、派生系として対応すれば良いだけになります。
他に迷うことがあったら…
何かしら迷われることがあれば「どなたから、信頼を得たいのか?」を基準に考えてみて下さい。
それで、失敗はしない回答が得られると思います。
さいごに…
銀座英國屋では採用を実施中
銀座英國屋の社長(40歳)と語れる90分インターンシップ(毎回定員5名)を開催中です。
インターンシップのテーマは【社長と語る「成長を実感」できる「働きがい」のある会社への挑戦】
銀座英國屋の社長は、平均勤続年数20年超(上場企業の平均は13.6年)を維持しながら、倒産寸前の老舗企業を優良企業に再生し、
一橋大学 MBA ・明治大学MBA ゲスト講師として招聘されています。
「成長」に興味ある方は、是非、採用サイトをご覧ください。
https://eikokuya-recruit.jp/
監修者

小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・東京赤坂・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・名古屋・京都・奈良に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。