オーダースーツ 銀座英國屋コラム医師・ドクターにオススメのスーツ、コーディネートをシーンごとに徹底解説!
医師・ドクターにオススメのスーツ、コーディネートをシーンごとに徹底解説!
「医者の装い」と聞いて思い浮かべるのは、「白衣」ではないでしょうか。実際に多くの医師の方が、白衣を着て医療活動をされています。
しかし、医師の活動は医療の現場だけにとどまりません。
私どもテーラーも「学会や勉強会に着ていく洋服が分からない」といったお悩みをよく頂戴しています。
そこでこのコラムでは、白衣の中の服装や、学会などの課外での医師の着こなしについて詳しく解説していきます。
なお、医師の服装についてのポイントを先に紹介すると以下の通りです。
・白衣の中に何を着るべきか?
・学会、勉強会での服装
・スーツスタイルが基本
・講演会に登壇するときの服装
このコラムのが、「信頼を得られる医師の服装」の参考となりましたら幸いです。
白衣の中には何を着るべきか?
医師の服装というと、真っ先に「白衣」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。実際、開業医と勤務医どちらも、職場に到着するとまずユニフォームである白衣に着替えます。このように白衣には規定の物があるため悩まずに済みますが、「白衣の下に着るもの」については明確なルールがなく、悩む方も多いようです。
医療現場によっては、洋服の上下とも着替えるタイプのユニフォームもあります。
その場合でも、やはり通勤時は私服であるため、やはり何を着れば良いかという問題は避けられません。
ここでは、白衣の下の洋服や、通勤時の服装について解説します。
白衣の中はシャツかポロシャツがオススメ
ドクターが白衣を着ると、私服が見える部分はVゾーン(白衣の襟まわり)になります。見える面積こそ小さいですが、逆に「目立つ場所」とも言えるでしょう。
病院を訪れる患者さんはもちろん、現場で働く医療従事者の方も、白衣を着るドクターに対しては威厳、権威性、清潔といったイメージを持っています。医師は、そのイメージを崩さないためにも、きちんとした装いをしたいものです。この点を踏まえると、白衣の下に着る洋服は、「ある程度フォーマル度が高いもの」が望ましいと言えます。
白衣の下に着る洋服として考えられるアイテムには、Tシャツ、ポロシャツ、襟付きのシャツ等がありますが、服装には「襟が付いている洋服の方が、よりがフォーマル」という考え方があります。
例えば、Tシャツを着た男性と白いワイシャツを着た男性が並んでいるのを見て、「どちらがきちんとして見えるか?」と質問をすると、ほぼ全員が「白いワイシャツを着ている方」と回答すると思います。
これは、無意識レベルで「襟がある方がきちんとして見える=フォーマル度合いが高い」と認識しているからです。そのため、白衣の下に着る洋服は襟がないTシャツより、襟があるシャツかポロシャツがオススメです。
次にポロシャツとワイシャツを比較すると、ワイシャツの方がよりフォーマルな印象を与えます。これはシャツの光沢がある生地に比べ、ポロシャツの凹凸がある生地(鹿の子素材)の方がカジュアルに見えるためです。
「信頼を得られる医師の装い」という視点に立ち、基本的には白衣の下にはワイシャツを着るようにしましょう。シャツの色、柄についての決まりはありませんが、清潔な印象を与える無地の白、水色等がオススメです。逆に強いストライプ柄などは、白衣を着てもストライプ柄が透けて見えることもあるので注意が必要です。
また、患者さんに親近感を持ってもらいたい場合や、緊張をほぐしたい場合などは、敢えてシャツよりカジュアル度合いが高いポロシャツを着るというのも一案です。
白衣からポロシャツが覗くことで、敷居の低さや親しみやすい印象を与えることができます。
ズボンのオススメはチノパンかスラックス
ズボンは、白衣の着丈が長ければそれほど目立つものではありませんが、それでも診察時などで座っていると目に入るものです。
きちんとした印象を届けるためには、スラックスがオススメです。これはスーツのズボンと同様に両足の中央にクリースライン(折り目)が付けられているため、きちんとした印象や清潔感を与えてくれます。
また、チノパン(綿素材のズボン)はスラックスよりも幾分カジュアルになるため、親近感を持ってもらいたい場面や、緊張をほぐしたい場面にオススメです。また、ジーンズはカジュアル由来の洋服なので、ビジネスシーンである白衣の下には不適切となります。
ジャケットを持っておくと便利
医師が職場で白衣を着る際、白衣の下の洋服はシャツ+ズボンとなりますが、白衣を着ない通勤時や移動時にオススメなのが、ジャケットです。
ジャケットは誠実さや品格のある印象を与えてくれるため、白衣を着ない時にははジャケットスタイル(ジャケット、シャツ、ズボン)で過ごすことで、いつでも医師の品格を保つことができます。
スーツの上着のジャケットとは異なる。
このように通勤時、移動時にオススメのジャケットは、「スーツの上着ではダメなのか?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃいます。
結論から言うと、スーツのジャケットを単品ジャケットとして着るのはNGです。スーツは、ジャケットとパンツ(スラックス)が同じ生地で作られており、上下を合わせて着ることで全身が綺麗に見えるようになっています。スーツのジャケットは生地自体に光沢感があるものが多く、ジャケット生地の風合いはスーツの上着よりもやや厚手なものが多く、また、前釦を必ず留めるのが前提ですのでシルエットがジャケットと比べて、かっちり感があり堅い印象となります。
そのため、スーツのジャケットを単品ジャケットとして着てしまうと、いかにも「スーツの上着だけを着ている」という印象になるため注意が必要です。単品で扱われているジャケットを選ぶようにしましょう。
オススメのジャケットはネイビーのベーシックなもの
単品のジャケットを選ぶ場合、オススメはネイビーでベーシックなものです。ネイビーのジャケットは下に着るシャツやズボンの色味を選ばず、比較的どのようなアイテムとも合わせやすいためです。
春夏向けの薄い生地のジャケットと、秋冬向けのフランネル(起毛)素材のジャケットをお持ちになるのもオススメです。
学会・勉強会での服装
医師が各種学会や勉強会などに出席する際は、どのような服装が良いでしょうか。目立つ必要はありませんが、同業の医師も多くいるため、品格ある服装で臨みたいものです。ここでは、学会や勉強会での服装について解説します。
オススメはスーツスタイル
学会や勉強会などでは、自分よりも目上の先輩や恩師が同席することも少なくないため、失礼に当たらないよう、スーツスタイルで臨むことがオススメです。
色味はネイビーかグレーのベーシックなものが、使い勝手が良く重宝します。また、柄はシーンを選ばずお使いいただける無地か細いストライプが良いでしょう。
シャツは白無地で襟の形がワイドかセミワイドのものにすると、ネクタイを締めたときに襟元が美しく収まります。また、靴とベルトは同じ色で合わせると、コーディネートに統一感を出すことができます。
スーツには細かなルールがありますので、詳しくは下記のページもあわせてご覧ください。
参考:スーツのオシャレな着こなし方とは?|理想的な着方とコーディネート例を項目別に解説
ジャケットスタイル(ジャケパンスタイル)もアリ
交流会や勉強会といっても、気の知れた仲間内で開催するものや、少しくだけた趣旨の集まりもあるかと思います。また、夏場の暑いシーズンには、スーツを着るのが億劫になるかもしれません。
その場合は、スーツスタイルではなく、ジャケットスタイルで臨むことも一案です。基本的には先ほどの通勤時や移動時の服装と同じとなりますが、着方によってはスーツスタイルに準じてフォーマル度の高い装いにすることもできます。
なお、ジャケットスタイルはジャケパンスタイル(ジャケット+パンツ)と呼ばれることもあります。
ジャケットはネイビーでシンプルなものを
通勤時や移動時の項目でお伝えした、ネイビーで無地のベーシックなジャケットがオススメです。
ズボンはグレーのスラックス
ズボンはグレーのスラックスが最適です。ネイビージャケットとグレーのスラックスは、ジャケパンスタイルの定番で誠実な印象を与えるコーディネートです。
また、スラックスにはクリースライン(ズボンの両脚中央の折り目)がきちんと入っているかのチェックをしましょう。
シャツは白無地またはストライプ
ジャケットの中に着るシャツは、白の無地かストライプ柄がオススメです。
ネクタイを締めるときは、ボタンは一番上まできちんと留めます。
ノーネクタイで望む場合は、一番上のボタンのみ開けると良いでしょう。2番目のボタンまで開けるとカジュアル感が出過ぎとなります。
ネクタイ、ポケットチーフで差をつける
スーツスタイルでは基本的にネクタイを締めますが、ジャケットスタイルではノーネクタイで臨むこともできます。ネクタイを閉めない場合、上半身はジャケットとシャツのみになるので、華やかさを加えるためにポケットチーフをするのもオススメです。
ポケットチーフは、麻素材のものとシルク素材のものがありす。誠実さ実直さを演出したい場合は麻素材のものを、華やかさを演出したい場合はシルク素材のものを選ぶと良いでしょう。
講演会での服装
ご自身が講演会に登壇する際は、どのような服装で臨めば良いでしょうか。
ここでは、講演会やセミナーで登壇する際の服装について解説します。
スーツスタイルが基本。きちんと体のサイズに合ったものを着る
講演会で登壇する場合、聞き手の視線は医師に集中します。そのため、品格ある雰囲気を醸し出せるスーツスタイルが基本になります。ネイビーまたはグレーの無地で、またスポットライトなどの照明が当たりますので、上質なものを着用しましょう。
また、スーツを着る上で何よりも大切なのがサイズ感です。どんなに良いスーツを着ていてもサイズが合っていないと、小さめサイズですと不要なところにシワが寄ったり、逆に大きめなサイズ感ですとダボダボとした着方になってしまい美しく見えません。そのため、講演会に登壇して注目を集める際のスーツは、特にきちんとサイズが合った一着を選びましょう。
ネクタイ、ポケットチーフで華を添える
講演会場によっては、講師である医師と聞き手との間に、ある程度の距離がある場合もあります。その際、講師の服装にメリハリが無いと、ぼんやりとした印象しか聞き手に残らないかもしれません。
そこで、ハッキリとした色味のネクタイを締めるなどの工夫が必要となります。
具体的には、赤やボルドーカラーのネクタイ等がオススメです。
また、ポケットチーフを挿すことも一案です。挿し方は、パフドスタイルという胸ポケットからフワッと丸みを帯びた形状が良いでしょう。華のある雰囲気になり、ドクターの講演時の装いが明るく華やぎます。
スーツの生地にこだわる
講演会でもネイビーのベーシックなスーツがオススメですが、シンプルなスーツほど遠目でも生地の質感や光沢などが分かるものです。
そのため、登壇用のスーツをお持ちになるドクターもいらっしゃいます。その際は通常のビジネススーツとは異なり、スーツ生地にツヤ、光沢あるものを選ぶと登壇時の見栄えが格段に上がります。講演会での登壇はもちろん、学会での発表会などでもそうしたスーツは力を発揮してくれるでしょう。
オーダースーツの生地については、下記でも分かりやすく解説していますので、あわせてご覧ください。
参考:【基礎知識】なぜオーダースーツの生地は価格が違うのか?
まとめ
このコラムでは白衣の中の服装や学会、勉強会などでの服装の着こなし方について詳しく解説いたしました。
なお、医師の服装についてのポイントを改めて紹介すると以下の通りです。
・白衣の中に何を着るべきか?
・学会、勉強会での服装
・スーツスタイルが基本
・講演会に登壇するときの服装
このコラムのが、「信頼を得られる医師の服装」の参考となりましたら幸いです。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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