オーダースーツ 銀座英國屋コラムビジネススーツには標準仕様がオススメ!?|銀座英國屋のスーツの標準仕様を完全公開!
ビジネススーツには標準仕様がオススメ!?|銀座英國屋のスーツの標準仕様を完全公開!
襟の形やポケットの数など、スーツには様々な仕様のバリエーションがあり、各テーラーがそれぞれの基準・ポリシーにしたがって標準仕様を決定しています。
今回の記事では、「銀座英國屋の標準仕様」について詳しくご紹介いたします。
あらかじめ流れをご紹介しますと、以下のようになります。
・標準仕様がおすすめの理由
・ジャケットの標準仕様
・ベストの標準仕様
・スラックスの標準仕様
この記事が、皆様がスーツを注文、購入する際の参考となりましたら幸いです。
それでは早速見ていきましょう。
標準仕様がおすすめの理由
銀座英國屋では、ビジネススーツのご用命をいただく際、特別なこだわりをお持ちの場合を除いて標準仕様を推奨しています。では、なぜビジネスシーンで着用するスーツには、最もオーソドックスである標準仕様がオススメなのでしょうか。
スーツはビジネスで信頼を得るための道具
まず初めに挙げられるのが、「スーツはビジネスで成功するための道具であり、お洒落が目的ではない」という考えです。
信頼は、ビジネスにおいて必要不可欠な要素です。信頼があることで商談を上手く進めたり、上司や部下との関係を円滑にすることができます。
他者への敬意を表現でき、自分自身への自信を高められるビジネススーツは、「信頼を築くサポート」をしてくれる最適なアイテムなのです。
「信頼」より「お洒落」が優先されてしまうと、この点が曖昧になり、信頼を築くチャンスを逃してしまう可能性がありますので、本来の目的を見失わないようにしたいものです。
信頼を得るために余計な装飾は不要
お相手との信頼を築く上で、過度な装飾は邪魔になってしまう恐れがあります。
誠実な印象を派手なデザインで損ねてしまったり、華美な装飾に目が行き気になってしまう、ということも考えられるでしょう。
適切なデザイン、仕様のスーツは、スーツそのものが目立つのではなく、それを着ている人の魅力を浮かび上がらせてくれます。ビジネスで着用するスーツは、あくまでTPOをわきまえ、落ち着いた誠実な印象のものを選ぶ必要があるのです。
銀座英國屋の標準仕様
繰り返しとなりますが、銀座英國屋は、スーツを「ビジネスシーンで信頼を築くためのもの」として考えています。そのため、標準仕様も日本のビジネスシーンに合わせ、また時代に合わせて少しずつ変化を加えてきました。
ここからは、銀座英國屋の標準仕様を具体的にご紹介いたします。
全体のシルエットについて
銀座英國屋には「英国」という国の名前が入っているので、「ブリティッシュスタイルのスーツしか扱っていないのですか?」とご質問をよく頂戴することがあります。
もちろんスーツの起源は英国であり、ロンドンを中心に紳士服の歴史が紡がれてきたという歴史もありますので、ブリティッシュスイタイルが銀座英國屋の一つの基準となっていると言えるでしょう。
しかし現在では、イタリアなどで発展した軽量薄手のスーツも定番となっていますし、モードの影響も少なからずあり、紳士服のスタイルの国境は以前よりも分かりにくくなっています。
また、ヨーロッパやアメリカで基本となっているスタイルが、日本人に合うとも限りません。
銀座英國屋は、ブリティッシュスタイルを基盤としながらも時代の潮流を少しずつ取り入れ、日本のビジネスシーンにフィットするスタイルを日々研究しております。
ジャケットの標準仕様
ここからは、ジャケットの標準仕様について細かく見ていきましょう。
ボタン
全体の印象に大きな影響を与えるボタンですが、標準は「シングル2ボタン1つ掛け」です。
現在の主流となっている2ボタン1つ掛けのスタイルは、体型を選ばず、どのような方にもよく馴染みます。
襟型
ジャケットの下襟は「ラペル」とよばれ、大きく分けて「ノッチラペル」と「ピークラペル」の2種類があります。このうち標準仕様となっているのは「ノッチラペル」です。
なおピークラペルは、前のボタンが2列になったダブルのジャケットや、礼服、パーティー用のスーツなどに用いられます。
胸ポケット
胸のポケットは、「バルカポケット」が標準です。
バルカとはイタリア語で「小さな舟」を意味し、その名の通り舟のようにポケットが湾曲しています。通常の四角いポケットに比べ、胸元に立体感を与える効果があります。
腰ポケット
ジャケットの腰のポケットは蓋つきの切りポケットで、外側(脇側)から内側(ボタン側)へ向かって高くなる、「スラントポケット」を標準仕様として採用しています。
この傾斜によって、ウエストのラインを美しく見せることができます。
袖ボタン
袖のボタンは4つ、袖口を閉じた状態で縫いつけられた仕様で、重ねずに並べるのが標準です。
袖口にもボタンホールがあり、ボタンを開閉できる「本切羽」というスタイルもありますが、実際にジャケットを着用する時、ボタンを開けてまで袖口をまくる場面はほとんどありません。
加えて、袖口を閉じた状態でボタンを縫い付けることで、ボタンの並びが乱れる心配もないといった理由から、標準仕様として「縫いつけの袖ボタン」を採用しています。
ベント
ジャケットの背中の下の部分にある切れ込みを「ベント」といいます。
ベントが真ん中に一つあるものを「センターベント」と呼び、これが標準仕様となっています。
センターベントは、椅子に腰掛けた際にシワになりやすいというデメリットもありますが、全体のシルエットを美しく繋いでくれる基本的なデザインです。
一方、左右に二つのベントがある「サイドベンツ」は、機動性が高いため、特にウエストとヒップの差寸が大きい人にオススメです。
裏地
裏地の標準仕様は、ジャケットの内側背中部分全てに裏地がつく「総裏」です。
特に夏場は、暑さ対策の観点から背中の部分の裏地を省く「背抜き」のご注文もいただきますが、表地に八の字に背裏のアタリがでやすくなり、また汗が直接スーツ生地にふれる可能性も高くなりますので、その2点を頭に入れておきましょう。
ネーム
せっかくのオーダースーツですから、ジャケットにネームの刺繍を入れたいという方もいらっしゃるかもしれません。
銀座英國屋では、ネームの位置と表記は、「身返し部分に英字」でいれるのが標準です。身返しとは、ジャケット表地が内側まで折り込まれている部分のことで、ネームはその身返しの内ポケットの上あたりに刺繍されます。
表記は漢字も可能ですが、常用以外のものも多くあり、幅広く対応できないこともあります。
そのため、例えば「田中太郎」というお名前でしたら、「T. Tanaka」という英字表記を標準仕様としています。
ベストの標準仕様
続いて、ベストの標準仕様についてご紹介いたします。
ボタン
ベストのボタンは、「シングル5ボタン5つ掛け」を標準仕様としています。
ポケットの数
ベストのポケットは、「左右に1つずつで、合計2つ」が標準です。
尾錠は付けない
既製に多く採用されている尾錠は、オーダースーツでは採寸し、身体に合ったベストをお納めしますので、尾錠は付けていません。また、尾錠の金具が上着の裏地や生地本体を傷つけてしまうことも採用していない理由です。
スラックスの標準仕様
最後に、スラックスの標準仕様についてご紹介いたします。
プリーツ
プリーツとは、いわゆる「タック」のことで、スラックスの前側にあるひだを指します。これがあることによって腰回りに余裕ができ、動きやすくなり、また腰部分の引かれジワを軽減する役目があります。
標準仕様は「1プリーツ」もしくは「ノープリーツ」です。機能性を求める方は1プリーツを、細身のシルエットがお好みの方はノープリーツを選ぶと良いでしょう。
脇ポケット
スラックスの脇のポケットは、「斜め」に入れるのが標準です。まっすぐのポケットに比べて手を入れやすく、座った時にポケットの口が開くことも少なくなります。
ピスポケット
スラックスの後ろ側につくポケットを「ピスポケット」と呼びます。
ピスポケットは「左右に一つずつ、蓋なし、左側のみボタン付き」が標準となっています。右側にボタンがないのは、薄手のハンカチなどの出し入れをしやすくするためです。
裾口
裾口には基本的に折り返しのない「シングル」と折り返しのある「ダブル」の2種類あり、標準は「シングル」となっています。
一時期、裾口はダブル、が流行していた時期もありましたが、現代のビジネススーツスタイルでは、スッキリとした印象のシングルがおススメです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回の記事では、
・標準仕様がおすすめの理由
・銀座英國屋の標準仕様
についてご紹介いたしました。
もちろん、今回標準としてお伝えした以外の仕様にも、それぞれの良さがあります。
お求めのスーツに合うかどうか、その都度、店舗スタイリストとご相談しながらお決めいただければと思います。
今回の記事が、皆様がスーツを購入される際の参考となりましたら幸いです。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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