オーダースーツ 銀座英國屋コラム結納返しにオーダースーツ|選び方と失敗しないためのポイントを解説
結納返しにオーダースーツ|選び方と失敗しないためのポイントを解説
結納返しは、結婚の大切な節目を祝う伝統的な行事として日本の文化に根付いています。そして近年のトレンドとして、結納返しに「オーダースーツ」を選ぶ人が増えてきました。
かつては、男性側から女性に贈られる帯地や着物などの結納に対して、袴や、袴を仕立てるための袴料を贈ることが定番となっていました。この袴に相当するのが現代でいうスーツというわけです。またオーダースーツが持つ「特別感」や「一生ものの価値」が、新しい生活をスタートする新郎にとって、心に残るギフトとなることも理由の一つでしょう。
結納返しとしてのオーダースーツは、ただのファッションアイテムではありません。新郎と新婦が夫婦としての新しい人生のスタートを祝う、特別な意味を持ったギフトです。この記事では、結納返しとして最適なオーダースーツの選び方や、その際のポイントを詳しくご紹介します。オーダースーツを贈ることで、新郎への深い愛情や敬愛の気持ちを伝えることができるでしょう。
あらかじめ流れをご紹介しますと以下のようになります。
・生地を選べるタイプにする
・実用的なものを贈る
・長期間使用できる上質なものを選ぶ
・コーディネートでまとめて贈る
・結納返しの取り扱いに慣れている店で選ぶ
それでは早速見ていきましょう。
生地を選べるタイプにする
結納返しにオーダースーツを贈る際の、ひとつめのポイントは、
「生地を選べるタイプにする」
ということです。
スーツと一口に言っても多種多様な生地があり、着る目的や好みによって適切なものは異なってきます。結納返しは一生の贈り物であり、やり直しの効かないものです。生地が選べない、あるいは変更できないものを選び、それが新郎にとって適切でなかった場合は、せっかくの結納返しが残念な思い出に変わってしまいます。
失敗のリスクを避けるためにも、ぜひ生地が選べるタイプのスーツギフトを選択しましょう。
コンパクトなギフトカードタイプがおすすめ
結納返しとしてオーダースーツを贈る際、これまではスーツの生地と共にお仕立て券を添える「お仕立て券付き生地」のスタイルが定番でした。ところが、時代が下るにつれ結納も簡易化し、それに伴ってお仕立て券付き生地はやや仰々しい、といったご意見も多く耳にするようになってまいりました。
「ギフトカードタイプ」のスーツギフトであればコンパクトで持ち運びがしやすく、見た目もスマートです。加えてギフトカードであれば、保管しているうちに生地が傷んでしまうという心配もありません。
結納返しにスーツを贈る際は、コンパクトなギフトカードタイプがおすすめです。
一緒に選ぶ時間も思い出に
結納返しを、生地を選べるタイプのオーダースーツにする魅力は他にもあります。
それは、
「一緒にスーツを選ぶ時間も思い出になる」
という点です。
結納返しはただのプレゼントではなく、一生の記念品です。新郎新婦、肩を並べて来店し、あれこれと迷いながらも生地を決めて一着のスーツを仕立てるというそのプロセスも、思い出として残り続けてくれることでしょう。
また日常的にスーツをオーダーされない方にとっては、ある種のアトラクションのような楽しみがあるかもしれません。展示されているさまざまな種類の服地を眺めたり、複数のデザインの選択肢から自分にあったものを選んでいくステップは、それだけでも楽しいものです。また、フルオーダースーツでは、「仮縫い」とよばれるフィッティングの工程がありますが、これは日頃およそ目にすることのない技術であり、フルオーダーならではの儀式です。
品物だけでなく、思い出としても残り続けてくれるという点でも、オーダースーツは結納返しに最適な選択肢の一つと言えるでしょう。
実用的なものを贈る
すこし現実的な話になりますが、贈ったスーツを実際に着用するタイミングがあるか判断することも非常に大切です。
婚約、結婚といったスペシャルなイベントの最中は、良くも悪くも心がうきうきしているものです。オーダースーツ専門店に行くと、魅力的な生地やデザインサンプルが多く並んでおり、目移りしてしまう可能性も多いにあります。
そんな時は一呼吸おいて、その生地・デザインで仕立てたスーツが長い目で見て実際に着用できるかどうか、あるいは着用する機会があるかどうか冷静に判断するようにしましょう。どれだけ魅力的なスーツであったとしても、タンスの肥やしになってしまっては価値が薄れてしまいます。
スーツの真価は、「着る」ことによって発揮されます。新郎の職業やパーソナリティなどを考慮した上で、実際に活躍してくれそうな生地・デザインを選ぶことが大切です。
礼服という選択肢も
日常的にスーツを着用しないという方に向けては、「礼服」を贈るのも選択肢の一つです。
礼服であれば、今後友人や知り合いの結婚式や、不祝儀などで着用する機会がありますし、礼装が必要なフォーマルな場において、身だしなみを整えきちんとした装いで出席することは非常に大切なことです。また、上質なオーダー礼服であれば、黒の衣装が多く並ぶフォーマルイベントでも上品な存在感を演出できます。
普段からスーツを着用する機会が少なくビジネススーツが不要という方には、結納返しに上質な礼服地を選ぶのもオススメです。
長いシーズン着られる生地がオススメ
実用性という点に関して申し上げますと、「長いシーズン着られる生地を選ぶ」のがおすすめです。
真夏用・真冬用といった限られたシーズンのものではなく、長いシーズン着用できるスーツであれば、その分着用できる機会も増えますし、汎用性も高くなります。また、最近は多くの場所で空調設備が整っているため、インナーを替えるなどの工夫により、真夏・真冬の季節でもオールシーズン対応のスーツを問題なく着用することができます。
特に、いつ着用するタイミングが訪れるかわからない礼服を選ぶ場合には、オールシーズン着られる生地を選んでおくと安心です。
長期間使用できる上質なものを
結納返しは一生の記念品。特別な贈り物となるスーツですから、できるだけ長い間活躍してれる品物を選びたいものです。
品質を厳選する
長期間着用する上でまず重要になってくるのは、生地・縫製の品質です。
一般的に高級な天然素材化学繊維と比べては耐久性が低いと思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。上質な素材と卓越した技術で織られた生地は、繊細ながらもしっかりと目が詰まっており、そう簡単に傷むことはありません。
スーツの基本素材であるウールにはクリンプと呼ばれる縮れが繊維に存在し、この縮れが弾力性や伸縮性を生み出します。一日中着用した後でもブラシをかけハンガーにかけておけば、シワなども自然に回復していくのです。もちろん、連続して何度も着用すればダメージは蓄積していきますし、天然素材には虫食いのリスクなども存在しますが、しっかりとした管理さえしていれば10年単位で着用することができます。
また、縫製の技術も長期間着用する上では大切になってきます。
スーツには糸のほつれや型崩れがつきものですが、熟練の技術で縫われたスーツはこれらの劣化に対して高い耐久性を誇ります。加えて各パーツが自然に連動して動くことで着心地も抜群です。
耐久性、着心地、そしてそれらが良いことによって生まれる愛着が、同じスーツを長く着用するサポートをしてくれることでしょう
お直しができる専門店を選ぶ
同じスーツを愛用しているうちに体型が変わってしまうというのは決して珍しいことではありません。また、先ほど述べたように糸がほつれたり生地が擦れてしまったりということはどうしても起こります。
オーダースーツ専門店を選ぶ際は、「お直しが充実している店」を選びましょう。体型の変化に柔軟に対応でき、スーツが傷んでしまった際に適切に補修してくれる店を選べば、大切なスーツを長く着ることができます。
流行に左右されない普遍的なスタイルを選ぶ
生地やデザインを選ぶ際は、流行に左右されない普遍的なスタイルを選ぶようにしましょう。
服装の流行の変化は早く、5年経てばすっかり変わってしまう可能性もあります。生地を選んだ時代に最先端だったものが、5年後には流行遅れの服になってしまうこともあるということです。
とはいえ、スーツは歴史と共に長い年月をかけて成熟してきた衣服ですので、基本的なスタイルを選んでおけばそれほど問題になることはありません。極端なシルエットや華美なデザインを避け、身体に程よくフィットしたスーツを選べば大丈夫です。
色は「濃紺」や「ダークグレー」、柄は「無地」か「シャドー柄」など落ち着いた基本的なものがオススメです。
フィッティングがしっかりしていると長持ち
身体にフィットしたスーツは、見た目が良く楽な着心地で疲れにくいだけでなく、長持ちするという特徴もあります。生地や縫い目に余計な負担がかからず、型崩れや生地の破れ、糸のほつれなどが起きにくいからです。
スーツ専門店を選ぶ際に迷った場合は、フィッティングのプロセスや、フィッティングで調整できる範囲についても比較してみると参考になるかもしれません。
コーディネートでまとめて贈る
結納返しでスーツを贈る場合、スーツだけでなくシャツやネクタイなどの小物アイテムを一緒に贈られてはいかがでしょうか。
スーツと合わせて小物を選ぶことで、店舗スタイリストからコーディネートのアドバイスを受けられますし、「いざ着用しようというタイミングで必要なアイテムが足りない」というトラブルを避けることができます。
また、ベルトや靴下(ロングホーズ)のようなアイテムは、スーツやシャツに比べて重要度が低く考えられがちです。しかし洗練された装いにはそのようなアイテムでも上質なものを適切に選ぶ必要があります。
普段こだわって選ぶ機会のないアイテム。特別な機会に揃えてみるのもオススメです。
結納返しの取り扱いに慣れている店で選ぶ
結納返しにオーダースーツを贈る際の最後のポイントは、
「結納返しの取り扱いに慣れている店を選ぶ」
ということです。
結納・結納返しは古来より行われてきた婚礼の儀式のひとつで、現在でもさまざまなしきたりが残っています。地域によって異なったり、儀式の簡易化によって細かな決まりに従わなくても良い場合もありますが、あらゆるケースに対して柔軟に対応し、適切な配慮があるスーツ専門店がベストです。
余計なトラブルを避けスムーズに結納をとり交わせるように、結納返しの取り扱いにに慣れている店を選ぶようにしましょう。
まとめ
今回の記事では、
「結納返しにオーダースーツを贈る際のポイント」
についてご紹介しました。
改めてポイントをまとめますと以下のようになります。
・生地を選べるタイプにする
・実用的なものを贈る
・長期間使用できる上質なものを選ぶ
・コーディネートでまとめて贈る
・結納返しの取り扱いに慣れている店で選ぶ
結納返しとしてのオーダースーツは、新郎の新生活の門出を祝う特別なギフトとして、現代では最適な選択肢の一つと言えます。新郎への想いや祝福を形にするためのガイドとして、この記事を参考にしていただけましたら幸いです。結婚を前に、ふたりの新しいスタートを、最高の結納返しで彩ってください。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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