オーダースーツ 銀座英國屋コラム冬のスーツの防寒は?快適でおしゃれに着こなすポイントを解説
冬のスーツの防寒は?快適でおしゃれに着こなすポイントを解説
冬は、朝晩や日中との気温差も考慮したりと、服装選びもなかなか難しい季節となります。例年、スーツをどう着こなすか頭を悩ませている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この時期のスーツスタイルでは、防寒対策や体温調整のポイントをしっかりと押さえることで、快適に過ごしやすくなります。素材の違うアイテムや小物類を組み合わせて活用すれば、冬ならではのおしゃれを楽しむことも可能です。
この記事では、冬物スーツの特徴や、防寒対策、暖房の効いた室内で快適に過ごすための方法、着こなしのポイントを解説していきます。 本コラムが、冬のビジネス・フォーマルシーンにおける装いの参考となりましたら幸いです。
冬に着るスーツの特徴
まずは冬に着るスーツの特徴からご紹介いたします。
日本には春夏秋冬という四季があります。そこで、そもそもスーツは「春夏物」「秋冬物」「オールシーズン対応」など、季節ごとの用途で分けられるのが一般的です。寒い季節に着る秋冬物では、見た目でコーディネートの選択肢を増やすだけでなく、機能面から防寒具としての役割も果たす必要があります。
そんな秋冬物スーツの特徴のひとつとして、生地の重さがあります。春夏物の生地1メートルあたりの重さが約200〜250gなのに対し、秋冬物は約270〜350gですが、保温性を高め、風の侵入を防ぐために肉厚で目の詰まった重さのある生地が使用されます。素材はウールが基本で、カシミヤを混紡したものや起毛したフランネルなども冬の定番です。
また、色合いにも季節感が反映されます。一般的には暗色系が好まれ、チャコールグレー、ネイビー、深いブラウンなどが人気です。これらの色は服装に重厚感と温かみをもたらし、冬の季節にぴったりの落ち着いた印象を作り出します。
スーツの裏地も重要です。春夏向けのスーツでは通気性確保のため、裏地の背中部分を省いた「背抜き」が多く用いられます。対して秋冬向けのスーツでは、背中部分にも裏地がある「総裏」仕立てが主流です。ジャケット内側の滑りをよくし、摩擦や湿気から生地を守るための裏地は、防寒としての役割も果たしています。
冬のスーツの防寒対策
冬にスーツを着る上での悩みといえば、やはり「寒い」ことではないでしょうか。ここからは、防寒対策についてご紹介いたします。
スーツはスリーピースがおすすめ
冬用のスーツは、スリーピーススタイルがおすすめです。スリーピースとは、ジャケットとスラックスのセットに加えてベストが付いたスタイルのことをいいます。別名「三つ揃え」とも呼ばれます。
ベストを追加することで保温効果を高め、寒い時期も快適に過ごすことができます。簡単に着脱ができるため、体感温度調整に便利なアイテムです。
また、見た目にもクラシカルで落ち着きのある洗練された印象を与えられるため、寒い季節のビジネススーツに最適なスタイルと言えるでしょう。
参考:ビジネスシーンでの、ベスト付きスーツ(スリーピーススーツ)のカッコいい着こなし|オーダースーツの基礎知識
スカートではなくパンツスタイルを
レディーススーツでは、スカートではなくパンツスタイルがおすすめです。
スカートに比べて足の露出部分が減り、暖かく過ごすことができます。特に屋外では、冷たい風がスカートの中へ侵入するのを防ぐことで、大きな防寒効果を生みます。パンツの下に防寒インナーを着用できるのもメリットのひとつです。
厚手のロングコートを羽織る
冬のスーツの上には、厚手のロングコートを羽織りましょう。
コートには様々な丈のものがあります。その中で防寒にオススメなのは、膝丈まであるロングコートです。体全体を覆うことで、内側の熱を逃さず保ってくれます。風を防いでくれるというメリットもあります。
素材は、ウールやカシミヤを使用した厚手のものがベストです。これらの素材は繊維の中に空気を多く含み、断熱材として働きます。
コート着用時は、ストールやマフラーを使用しましょう。コートの襟元に汗や皮脂が付着するのを防ぐためです。特にカシミヤなどの繊細な素材を用いたコートの場合は、必須となります。
参考:スーツスタイルにオススメのコート&人気コート生地ランキング(50万円以下)|オーダースーツ銀座英國屋
グローブで外出時も暖かく
外出時はグローブ(手袋)をつけることで暖かく過ごすことができます。指先を冷やさないことも防寒において重要です。
コートのポケットに手を突っ込めば暖かいですが、見た目の観点からも好ましくありません。雪や凍結した道で足を滑らせたとき、手を突けずに大怪我をしてしまう危険もあります。
スーツに合わせるグローブの素材としては、レザーがおすすめです。重厚感と上品さを併せ持つレザー素材は、スーツのもつ格調高い雰囲気によく合います。革靴やベルトも、同じくレザー素材であることから、統一感を持たせやすいというのも理由のひとつです。
色は、黒やダークブラウン、ネイビーなどが良いでしょう。これらの色は汎用性が高く、合わせるスーツの色柄を選びません。ただし、靴の色と同色系を選択するのがポイントです。
高価なものでなくても構いませんので、冬場に備えてグローブを用意しておきましょう。
保温機能のあるインナーを選ぶ
保温機能のあるインナーを着ることも、防寒対策として有力です。現在は多くの機能性インナーが販売されており、最も手軽な対策と言えるかもしれません。
ただし、インナーはベストやコートと異なり、着脱が難しいアイテムです。季節ごとの微妙な気温の変化に対応するため、機能別に何種類か用意しておくことをおすすめします。保温性の高いインナーを選ぶ際は、出先の気温・室温を想定し、暑くなり過ぎないよう注意しましょう。
ニットのカーディガンをジャケットの下に
ニットのカーディガンをジャケットの下に羽織るのも解決策の一つです。ベストよりも暖かく、寒がり・冷え性の方におすすめの方法となります。
ジャケットの下に着る際は、着膨れを避けるため薄手の素材を選びましょう。薄くても保温性の高いカシミヤを用いたカーディガンであれば、すっきりと着られます。
ただし、カジュアルな印象となるため、商談やプレゼンなどには不向きです。日常の業務や、オフィスカジュアルでの対策となります。
重ね着にはややゆったりしたサイズを
重ね着が想定される場合、ややゆったりしたサイズを選ぶようにしましょう。厚手のインナーやシャツを着たり、カーディガンを羽織ったりすると、どうしても窮屈な着心地になりがちです。
特にジャケットは、一番外側の衣服となるため、大きな影響を受けます。アームホール(袖ぐり)の窮屈感は疲労感や肩こりの原因となるため注意が特に必要です。無理に重ね着をすると、シワや型崩れにつながることもあります。寒がりの方は、重ね着用にややゆったり目のジャケットを用意しておいても良いでしょう。
暖房で室内が暑い場合の対策
防寒対策をしっかりしたら、思ったより暖房が効いていて暑かったという経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。空調設備の整った場所で、スーツを着る場合は、対策として以下のポイントを試してみてください。
一つ目は、脱ぎ着しやすいアイテムで防寒することです。
ベストやカーディガンは、手軽に着脱可能な衣服です。移動中は着用し、室内に入ったら脱ぐ、といった使い方ができます。使用しないときは畳んでカバンの中に入れておけば、場所をとることもありません。
二つ目のポイントは、インナーは薄手のものを選ぶことです。
ベストなどと違い、インナーは基本的に着っぱなしとなります。暖房で暑いからといって脱ぐのが難しいアイテムです。脱ぎ着しやすい衣服で防寒を行い、暑くなったらある程度の涼しさを確保できるのが理想的といえます。暖房がしっかり効いた場所に出向く際は、厚すぎるインナーは避けるようにしましょう。
寒暖差による汗の対策
寒暖差による汗の対策も、冬場のスーツスタイルで押さえておきたいポイントです。
厚着して歩き回ったあと暖かい室内に入れば、個人差はあれど発汗が予想されます。そのまま再び寒い場所に移動すると、汗が冷えて体の熱を奪ってしまい、せっかくの防寒も逆効果となります。
対策として、吸水性の高いインナーを選ぶことが挙げられます。かいた汗を速やかに吸収し、汗冷えを防ぐことが可能です。吸湿により発熱する素材のインナーも多く販売されています。
また、ハンカチを携帯するのも忘れないようにしましょう。顔や首周りなど、汗が乾く前に拭き取ることで冷えの防止につながります。
冬のスーツを着こなすポイント
ここからは冬のスーツを着こなすポイントをご紹介します。夏場に比べて多くのアイテムを身に纏う冬は、工夫次第で多彩なコーディネートを楽しむことができます。
素材感を生かした生地を選ぶ
冬のスーツでは、素材感を生かした生地を選んでみましょう。
ツイードやフランネルは寒い季節の素材の代表です。肉厚で起毛した生地は、素朴で温かみのある印象を与え、季節感を演出できます。ツイードはその独特の織りや質感で、伝統的な雰囲気を醸し出し、フランネルは柔らかさとしなやかさで冬の装いに深みを加えます。
これらの素材は、スーツの一般的な基本素材であるウーステッドウールと比較して、繊維の中に空気を多く含むことで、優れた保温性を発揮します。寒さから体を守りながらもスタイリッシュな外見を維持できるのです。
明るい色を選んでみる
明るい色のスーツを選んでみるのもおすすめです。
一般的に、春夏には明るく軽やかな色が、秋冬には暗色系が好まれます。しかし、あえて冬の装いに明るい色を取り入れることで、新鮮さを演出できます。
冬物に用いられる起毛素材と、ライトグレーやブルーといった明るい色は相性抜群です。やや派手に感じられる明るい色も、厚手の生地を用いることで、落ち着きのある印象になります。
もしスーツに暗色を着る場合でも、合わせるアイテムとして明色を選択してみるのもよいでしょう。
暗めの色が多くなりがちなシーズンだからこそ、ぜひ明るい色に挑戦してみてください。明るく活気のあるスタイルを実現することができるはずです。
マフラーに差し色を使う
マフラーには明るい色を選ぶと、差し色として使うことができます。
スーツスタイルでは、ネイビーやグレーといった落ち着いた色合いが基本です。クラシックで洗練された印象ですが、時に単調に感じられることもあります。
そんなときは、鮮やかな色のマフラーを合わせてみましょう。ビビッドな色のマフラーは、暗い色のコートやジャケットに対して鮮やかなコントラストを生み出し、コーディネートに色彩と立体感をもたらします。さらに、差し色としてのマフラーは、顔周りを明るく見せる効果もあります。
マフラーは防寒だけでなく、ファッションアイテムとしての重要な役割も担ってくれるのです。
ジャケットをダブルブレステッドにする
ダブルブレステッドのジャケットも、冬に最適な着こなしの一つです。
ダブルブレステッドとは、ジャケットのフロントボタンが2列になっているデザインを指します。前部分の重なりが大きく、Vゾーンが狭くなるのが特徴です。逆に、多くのスーツに見られる、ボタンが1列のスタイルはシングルブレステッドと呼ばれます
ダブルブレステッドの魅力はなんといってもその重厚感です。クラシックな印象で、力強い男性的な雰囲気を演出します。しかし、ジャケット前部分の重なりが多い分、密閉感が高まり、夏場はどうしても着こなしが難しいアイテムです。
冬場であれば、そんなマイナス面がメリットに変わります。フロントが覆われていることで暖かく、威厳に満ちたデザインはロングコートとの相性も抜群です。
ダブルブレステッドのジャケットは見た目と機能性を持ち合わせた、冬の装いにぴったりのスタイルといえます。
スウェードのシューズを合わせる
起毛素材のスーツには、スウェードのシューズを合わせてみるのも良いでしょう。
スウェードは子牛などの革の裏面を加工し、細かく起毛させた素材です。ツイードやホームスパンのスーツとは相性が良く、素材感を合わせることでコーディネートに統一感が生まれます。
ただし、ややカジュアルな雰囲気となるため、取引先への挨拶や商談には不向きです。オフィスワークやちょっとした外出の際に合わせてみましょう。
スウェードシューズは、オールシーズン活躍してくれるアイテムです。靴を新調する際、選択肢に入れてみることをおすすめします。
まとめ
冬物スーツの特徴をはじめ、防寒対策や、暖房の効いた室内で快適に過ごすための方法、着こなしのポイントを解説しました。
冬だからこそ、明るい色の着こなしや素材感を活かしたアイテム、差し色としてのマフラーなどで、装いに深みを加えることができます。冬のスーツスタイルを楽しみながら、快適に過ごすための工夫をぜひ取り入れてみてください。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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