オーダースーツ 銀座英國屋コラムスーツにオススメのシャツ|ネクタイ用のシャツとノーネクタイ用のシャツを徹底解説
スーツにオススメのシャツ|ネクタイ用のシャツとノーネクタイ用のシャツを徹底解説
お仕事でスーツを着る方にとって、ワイシャツ(シャツ)選びも重要です。シャツは直接肌に触れるため、スーツと比べると消耗が早く買い替える頻度も高めです。
しかし、いざシャツを新調しようとすると、似たようなシャツが多くてどれを選べば良いか分からない方もいらっしゃいます。
また、最近ではクールビズやオフィスカジュアルの浸透によりノーネクタイでお仕事をする方が増えています。それに伴ってノーネクタイで着用するシャツ選びでお悩みの方も多いです。
そこでこのコラムでは、ネクタイを締める際に着用するシャツとノーネクタイ用のシャツに分けて、その違いやオススメのシャツなどを詳しく解説します。
なお、このコラムのポイントを先に紹介すると以下の通りです。
・シャツの経緯
・ネクタイを締めるシャツの仕様について
・ノーネクタイ用のシャツの仕様について
・シャツのサイズ感にも注意する
このコラムをお読みいただくことで、タイドアップ(ネクタイを締めること)用のシャツとノーネクタイ用のシャツに対する理解が深まれば幸いです。
シャツの経緯
ビジネススーツの下に着るシャツについて、歴史的な経緯を簡単に解説します。
シャツは下着が起源
現代ではジャケットなどの上着を着用せずに単体で着ることもあるシャツですが、元々は下着として使われていました。昔のシャツは現代のシャツと異なっており、着丈が随分と長く、前身頃と後ろ身頃の裾先をボタンで留めることで下着として着られていました。
ちなみに現代でもシャツはジャケットが直接肌に触れないようにする役割があります。
例えば、ジャケットの襟裏が直接肌に触れないためにシャツの台襟はジャケットの襟より1cm程度高く作られています。そうすることで首の後ろ側はシャツの襟が当たることになり、ジャケットの襟が直接肌に触れることを防いでくれます。
また、シャツの袖丈はジャケットの袖丈よりも長く、シャツがジャケットの袖口から1〜1.5cm程度覗くのが理想です。これは視覚的な美しさ、見た目のバランスを取る目的もありますが、ジャケットの袖先が皮脂で汚れないようにするという実用的な役割も果たしています。
ワイシャツは和製英語
ところで、シャツのことを「ワイシャツ」と呼ぶことがあります。このワイシャツは実は和製英語であることはご存知でしょうか。
これは外国から日本にシャツが入ってきたときに白シャツ(white shirt・ホワイトシャツ)と発音したのを日本人が「ワイシャツ」と聞き間違えたためだと言われています。そのため、日本では白シャツに限らずシャツ全般を「ワイシャツ」と呼ぶ流れが定着しました。
このコラムではビジネススーツの下に着るシャツ(ワイシャツ)を単に「シャツ」と表記することにします。
ネクタイを締めるシャツの仕様について
ビジネススーツを着る際のシャツにはどのような特徴があるのでしょうか。ここではネクタイを締める際のシャツの仕様について解説します。
基本は白無地のシャツ
ビジネスシーンでもっともオススメなのはベーシックな白無地のシャツです。白シャツはもっともフォーマルなシャツであり、真っ白なシャツはお相手への敬意を表すことにもなります。そのため、ネクタイを締めるシャツの中で白無地のシャツは常に持っておいていただきたい一枚です。
また、白無地のシャツは色味がなく柄もないため、他のアイテムの色・柄に影響を与えません。そのため、コーディネートが組みやすいというメリットもあります。
襟型はワイドまたはセミワイドを選ぶ
ビジネススーツを着用する際、ネクタイを締めたときにノットと呼ばれるネクタイの結び目(コブ状の部分)と襟の間にスキマができて、結び紐が見えてしまうのはマナー違反です。また、スキマができるとだらしなく不恰好な見た目になってしまいます。
そのため、ビジネススーツを着る際のシャツ選びではネクタイのノットと襟との間にスキマを作らないようにする上で襟の形も重要な要素です。
オススメはワイドカラーまたはセミワイドカラーの襟型です。ワイドカラーはシャツの襟の開き角度が100〜120度ほどでネクタイをきちんと締めるとノットと襟の間にスキマを作らず結ぶことができます。
また、セミワイドカラーは襟の開き角度が100度ほどです。ワイドカラーより幾分襟の開き角度が狭めですが、こちらもネクタイを結ぶとノットと襟の間にスキマを作らずにネクタイを結ぶことができます。
さらに、ワイドカラー、セミワイドカラーのどちらも、襟先が長めに作られています。そのため、スーツのジャケットを着用した際に襟先がジャケットのラペル(下衿)の下に綺麗に収まるので、見た目も綺麗な印象を与えます。
レギュラーカラーは見え方に気を付ける
シャツの襟型の仕様ではワイドカラー、セミワイドカラー以外にレギュラーカラーがあります。レギュラーカラーはシャツの中でフォーマルな仕様であり、襟の開き角度が狭めに作られているためネクタイのノットとシャツの襟との間にスキマがで出来にくいというメリットがあります。しかし、襟の両端の幅が狭くすぼまっているため、襟先がジャケットのラペルに収まらず見えてしまいます。
スーツのVゾーンではシャツの襟先はジャケットのラペルの下に収まっていた方が綺麗に見えるため、レギュラーカラーのシャツを着る場合は注意が必要です。
タブカラーも一案
ネクタイを締めるシャツの中にタブカラーと呼ばれる襟型のシャツがあります。これは襟の両端から紐状のパーツが伸びていて、襟の中央で左右の紐の先端を留める仕様になっているものです。ネクタイを締める際はその紐の上にネクタイのノットを載せて使います。そのためネクタイを締めると紐状のパーツの上にノットが載るため、紐状のパーツは見えなくなります。
タブカラーシャツを着てネクタイを締めるとノットが浮いたように立体的に見えるため、華やかな印象を与えることができます。但し、こうした仕様はオシャレの要素があるので、お堅い職場ではタブカラーシャツの使用は控えた方が無難です。また、クレーム対応、謝罪の場、不祝儀などでもオシャレの要素は出すべきではないため、控えた方がよいでしょう。
「前立て」はない方がベター
前開きのシャツの前身頃で上前(シャツを閉じたときに上側に来る方で、ボタンが付いていない側)にある折り返しの装飾を「前立て」(まえたて)と呼びます。この前立てはボタンを着脱する際のシャツ生地を補強するという役割のほか、装飾的な要素もあります。
また、フォーマルなビジネススーツを着用する場面では実用的なディテールを排した仕様が求められます。これは、スーツは本来屋内で着用するものであり、実用性を求める仕様とは相入れないためです。
そのため、シャツの前立ては「生地の補強」という実用的な役割を持つため、フォーマルな装いであるスーツスタイルでは前立てが無いシャツの方が好ましいです。
もっとも、前立てが付いていないシャツは上前の裏側に生地が折り返されている仕様(裏前立て)になっているため、使用上の問題はありません。
胸ポケットがないシャツを選ぶ
シャツによっては胸位置にポケットが付いているものがあります。このポケットも先ほどの前立てと同じく実用的な仕様です。そのため、スーツを着用する際には胸ポケットが付いていないシャツがオススメです。
また、シャツはもともと下着であるという考え方を踏まえれば、肌着にポケットは付かないため、シャツにポケットが付いていないというのも納得です。
シャツの生地はブロードを選ぶ
シャツの生地はブロードと呼ばれる生地の目が細かくて光沢があるものを選びましょう。光沢があるシャツはフォーマルな印象を与えるため、スーツとも相性が良いです。
逆にオックスフォード生地のような生地の織りが大きくはっきりと分かるものは、ネクタイを締めるシャツとしてはカジュアルな印象を与えるため避けましょう。
シャツの「着方」も重要
ネクタイを締めるシャツの仕様についてお伝えしましたが、着方も重要です。ここではネクタイを締めるシャツの着方について詳しく解説します。
シャツは第一ボタンまで留める
スーツスタイルでネクタイを締める際に、シャツの第一ボタンを開けたままネクタイを締める方がいらっしゃいます。第一ボタンを開けたままネクタイを締めると、シャツの襟近くに不要なシワが寄ってしまいます。そのため、ネクタイを締める際はシャツの第一ボタンまで留めるようにしましょう。
ネクタイはしっかりと締め上げる
スーツスタイルでネクタイを締める際に緩く締めていると、ノットと襟のスキマにネクタイの結び紐が見えてしまいます。これはお相手にだらしない印象を与えてしまうため、ネクタイはしっかりと締め上げて、スキマを作らないようにしましょう。
ディンプルを作る
ネクタイを美しく締める方法の一つに「ディンプル」を作るやり方があります。
ディンプルとは英語のdimple(えくぼ)が由来の用語で、ノットの下位置に意図的にくぼみを付けることでネクタイを立体的に見せることができ、Vゾーンを華やかな印象にしてくれます。
ディンプルの作り方はネクタイを締める際、人差し指でノットの真下の大剣(ネクタイの正面側)を窪ませてそのまま締め上げると簡単に作ることができます。最初は難しいかもしれませんが、慣れると簡単に作ることができます。
ただし、ディンプルはネクタイの結び方の中では華やかな演出方法です。そのため、華やかさを演出することに不向きな場面(仏事、謝罪会見など)ではディンプルは作りませんのでご注意ください。
ノーネクタイ用のシャツの仕様について
最近はクールビズ、オフィスカジュアルの流れでお仕事にノーネクタイで臨む方も増えています。その際のシャツ選びについて解説します。
ワイドカラー、セミワイドカラーはノーネクタイでも有効
ワイドカラーシャツ、セミワイドカラーシャツは襟先が左右に広がっていてジャケットのラペルの下に収まり綺麗な印象を与えます。そのため、ノーネクタイスタイルでも有効です。
もっとも、ノーネクタイといってもあくまでビジネスシーンで着用する前提です。そのためシャツのボタンは全て留めるか状況によっては第一ボタンのみ開けるにとどめるのが良いでしょう。具体的に第一ボタンを開けるか否かはご自身の職場の雰囲気によりますので、周りの状況を確認してから選択すると良いでしょう。
ホリゾンタル(カッタウェイ)シャツも一案
シャツの襟が左右に大きく開いたシャツもオススメです。襟の開き角度が大きいためネクタイを締めると結び目が見えやすくなるため不向きですが、ノーネクタイであれば襟の開きが綺麗に見えます。襟の開きが180度のシャツをホリゾンタルシャツ、190度以上広がっているシャツをカッタウェイと呼び、ノーネクタイの場面でオススメです。
もっとも、ホリゾンタルシャツ、カッタウェイシャツはレギュラーカラーシャツなどと比較するとカジュアルな見た目になるため、周りの雰囲気を見てから決めると良いでしょう。
ボタンダウンシャツ
シャツによっては襟の先端をボタンで留める仕様になっているものがあります。この仕様のシャツをボタンダウンシャツと呼びます。
ボタンダウンシャツはイギリス上流階級が嗜むポロ競技で、馬に乗って疾走する際に襟先が風でヒラヒラと動かないようにボタン留めで固定したのが起源と言われています。つまり、アクティブな場面で着るカジュアルシャツという位置付けになります。
そのため、スーツと合わせるのはNGですが、ノーネクタイスタイルであれば着用しても問題ありません。ただし、通常のシャツと比べるとカジュアルなシャツであることは認識しておきましょう。
タブカラーシャツはNG
ネクタイを締める際のシャツとして解説したタブカラーシャツはノーネクタイの場面では不向きです。タブカラーシャツは襟の両端にネクタイを持ち上げるための紐状のパーツが付いています。このシャツをノーネクタイで着用すると結び紐が見えてしまうためです。
無地以外のシャツ
ネクタイを締める場合はジャケット、シャツ、ネクタイまでが一体となってVゾーンを作ります。そのため、シャツは白無地のものがコーディネートを組みやすいためオススメでした。しかし、ノーネクタイですとジャケットとシャツだけでVゾーンが完結します。そのため白シャツではどこか見た目で物足りなさを感じることもあります。そこでストライプシャツを選ぶのも一案です。
ストライプ柄の中でもピンストライプは控え目で落ち着いた印象を与えます。一方、ロンドンストライプと呼ばれる縞幅が太いストライプ柄は力強い印象です。
ストライプ柄以外ではチェック柄も考えられますが、チェック柄はかなりカジュアルな印象を与えます。そのため、ビジネスシーンでは避けた方が無難でしょう。
シャツのサイズ感にも注意する
ネクタイを締める場合とノーネクタイの場合のどちらともシャツのサイズ感にも注意しましょう。サイズが大きすぎるとシャツ全体に不要なシワが入り、清潔感に欠けた印象を与えます。そのため、シャツはジャストサイズで着るのがもっとも美しく見えてオススメです。また体にサイズがピッタリと合ったシャツは動きやすく機能的です。
市販のシャツでピッタリと合うものがなければ、オーダーシャツを検討するのも良いでしょう。オーダーシャツは一度体の採寸をすれば最適なサイズのシャツが出来上がるため、2枚目以降のシャツ選びに苦労する手間から解放されます。
また、シャツではありませんが、スーツも一度オーダーで作っておくと最適なものが出来上がるためオススメです。
下記コラムもぜひご覧ください。
初めてのオーダースーツ|注文前に知っておきたい7つのポイント
まとめ
今回はネクタイを締めるシャツとノーネクタイ仕様のシャツについて解説しました。
このコラムのポイントを改めてまとめると以下の通りです。
・シャツの経緯
・ネクタイを締めるシャツの仕様について
・ノーネクタイ用のシャツの仕様について
・シャツのサイズ感にも注意する
このコラムの重要なポイントをご覧いただくことでネクタイを締めるシャツとノーネクタイ用のシャツの仕様について理解が深まれば幸いです。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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