オーダースーツ 銀座英國屋コラムテーラードジャケットとは?選び方と着こなしのポイントを解説
テーラードジャケットとは?選び方と着こなしのポイントを解説
ビジネスシーンからカジュアルまで、幅広い場面で活躍するテーラードジャケット。今では手軽に装いをワンランク引き上げられるアイテムとして定番となりました。雑誌やウェブメディアで取り上げられる機会も多く、気になっているという方も多いのではないでしょうか。
この万能アウターを最大限に活かすためには、知っておきたいポイントがいくつかあります。この記事ではテーラードジャケットの基本として、ブレザーやスーツとの微妙な違いから、アイテムの選び方、着こなしのコツまで、徹底的に解説します。
本記事が、皆様がテーラードジャケットを着こなすためのサポートとなりましたら幸いです。
テーラードジャケットとは
テーラードジャケットとは、「仕立てられたジャケット」という意味です。
しかしその定義は曖昧で、雑誌やウェブなどのメディアで用いられる場合には様々な使い方がされています。
多くの場合は、パンツとセットになっていないジャケットのことを指します。「テーラード(仕立てられた)」という言葉がついていますが、必ずしもオーダーメイドで注文したものである必要はありません。また、上下バラバラで販売されているジャケットでも、スーツとして用いられるものはテーラードジャケットではなく、単にジャケットまたはスーツジャケットと呼ばれます。
一般的には「ジャケパンスタイルで用いられるようなややカジュアルなジャケット」と覚えておくと良いでしょう。
関連ページ:ジャケパンスタイルとは?スーツとの違いからオススメのコーディネートまで徹底解説!
ブレザーとの違い
よく混同される用語に「ブレザー」がありますが、厳密には違う意味の言葉となります。
結論から申し上げると、ブレザーはテーラードジャケットの種類の一つです。
ブレザーは基本的にはスーツのジャケットと同じ形ですが、いくつかの特徴的なデザインがあります。腰ポケットは同生地を貼り付けたパッチポケットで、ボタンは水牛や貝ではなく金属製のメタルボタンです。多くの場合、襟にはステッチが入り、ベント(背面裾の切れ込み)は、フックベントと呼ばれる独特のデザインが採用されます。
ブレザーは学生服や制服として用いられることも多く、胸にエンブレムや刺繍が施されていることもあります。
以上のような特徴を持つものを、テーラードジャケットの中でも特にブレザーと呼びます。
スーツとの違い
スーツのジャケットとも違いがあります。
まずは素材についてです。
スーツには、ウーステッドと呼ばれるウール素材が主に用いられます。ウーステッドとは長い毛を櫛でとかし、きれいに整えた毛のことです。別名を梳毛(そもう)と言います。さらりとした手触りと、自然な光沢が特徴です。
それに対してテーラードジャケットでは、ウーステッドの他にフランネル、コットン、リネン、ジャージ素材など多種多様な原料が用いられます。スラックスの素材と統一する必要がないため、自由に素材選びができるのです。
シルエットにも違いがあります。
スーツにはやや厚めの肩パッドが入っているため、構築的なシルエットが特徴的です。一方テーラードジャケットでは、肩パッドは薄いか、使用されないことが多いため、やわらかなシルエットになる傾向にあります。加えて、スーツでは内ポケットに物を入れることを考慮して胸周りにややゆとりを持たせますが、テーラードジャケットではフィット感を優先するタイトなシルエットが好まれます。
テーラードジャケットの選び方
ここからは、テーラードジャケットの選び方について解説いたします。
ポイントは、「色・素材・着用シーン・サイズ」の4点。複数の観点から選ぶことで、自分にあったジャケットを見つけやすくなります。
使いやすい色はネイビーやグレー
ビジネススーツと同じく、テーラードジャケットで使いやすい色はネイビーやグレーです。
この2色は、基本的にどんな色ともうまく合います。場所や時間、シチュエーションをそれほど気にせずに着用できるのも魅力です。そのため、日常的にスーツを着る方であれば、組み合わせやすい色となります。お出かけの際に羽織るだけで、コーディネートをグレードアップさせることができるため、まず1着目として購入するならネイビーかグレーを選ぶのがおすすめです。
テーラードジャケットに慣れてきたら、他の色にもチャレンジしてみましょう。
夏場であれば、明るいブルーで清涼感を演出できますし、紅葉のシーズンはブラウン系がよく合います。ピンクやグリーンといった色も、穏やかな色合いのものであれば自然なコーディネートが可能です。
気分によって好みの色を選べることも、テーラードジャケットの魅力です。
素材は季節を意識
テーラードジャケットの素材を選ぶ時は、季節を意識しましょう。ウールをはじめ、リネン、コットン、シルクなどさまざまな素材のものが販売されていますが、着る時期を考慮することで素材選びをスムーズにすすめられます。
春先は、やや薄手のウールがおすすめです。暖かくなってくるとはいえ、まだまだ肌寒い季節。さらりとした印象でありながら、防寒着としての役割も担ってくれます。
夏は、リネンやシルクが混紡されたものが良いでしょう。肌触りも良く、高温多湿な日本の夏でも快適に過ごすことができます。見た目にも清涼感があり、上品な印象です。
本格的に寒くなってくる秋冬シーズンは、フランネルやカシミヤ素材が活躍します。これらの素材は熱を逃がしにくく、機能面でも優秀です。
素材が同じでも、織り方や生地の厚さによって着心地が変わりますので、購入の際にはよく確認するようにしましょう。
デザインは着用シーンで決める
デザインは、着用シーンに合わせて決めることをおすすめします。
ビジネス用途であれば、定番のスーツジャケットと近い仕様のデザインが良いでしょう。シングルブレステッドの2ボタン、腰ポケットは蓋付きを選ぶことでオフィスなどでも違和感なく着用することができます。
カジュアルなパーティーでの着用を考える場合は、ピークトラペルを選ぶのも選択肢のひとつです。ピークトラペルとは、襟の先端が上向きに尖ったラペルデザインのことを指します。華やかで装飾性が高いため、ひと味違うおしゃれを楽しみたい場には最適です。
購入の際は、「いつ、どういった目的で着るのか」を想定してみてください。
自分に合ったサイズを選ぶ
ビジネススーツと同様に、テーラードジャケットでは、自分にあったサイズを選ぶことも大切です。
せっかく素敵なデザインでも、自分の身体に合っていなければ、着こなすのは難しいでしょう。ジャケットを選ぶうえで、サイズは最も重要なポイントとなります。
試着の際は、以下の点に気をつけてみてください。
・肩は、袖の切り替えと自分の肩先が合うようにする
・ボタンを留めた状態で、胸周りにこぶし1個分の余裕がある
・長袖シャツを着た時、ジャケット袖からシャツの袖が指1本分見える
具体的なポイントを意識することで、適切なサイズを選びやすくなります。
関連ページ:採寸・フィッティングはオーダースーツの真髄|フィット感を高めるためのポイント解説
テーラードジャケットを着こなすポイント
テーラードジャケットを着こなすためのポイントをご紹介します。
着用時の原則をきっちり押さえることで、ワンランク上の装いに繋がります。手持ちジャケットの魅力を最大限活かすためにも、ぜひ参考にしてみてください。
一番下のボタンは外す
ジャケットでは、一番下のボタンは留めずに、いつも外しておくのがマナーです。
このマナーはアンボタンマナーという名前で呼ばれることもあります。ボタンの数にかかわらず一番下のボタンを外しておくことでシルエットを美しく保つことができます。
シングル2つボタンの場合は、着席時に上のボタンも外します。ボタンを留めたままだと座った際にシルエットが乱れます。座った際の締め付けにより窮屈感を感じることもボタンを外す理由のひとつです。
ボタンに関するマナーを知っておくことで、より美しい状態でテーラードジャケットを着ることができます。
しつけ糸やブランドネームは外す
しつけ糸やブランドネームは外してから着用します。
店頭で購入したジャケットでは、ポケットやベントが細い糸で留められていることがあります。この糸をしつけ糸といいます。しつけ糸は、商品がお客様の手元に届くまで形をきれいにするためのものです。見た目上はもちろんのこと、機能的にも問題があるので必ず切るようにします。
袖口にしつけ糸でブランドネームが縫い付けられていることもあります。デザインではなく、多くの場合どのブランドの生地で織られているかを明示するためのものです。こちらも着用前に外すようにしましょう。
ポケットにものを入れない
ポケットにはむやみにものを入れないようにしましょう。特に、腰ポケットにものを入れるのは厳禁です。
テーラードジャケットを着こなす上でシルエットは非常に重要です。ポケットにものをいれると着用時のシルエットが乱れてしまい、型崩れの原因にもなります。どうしても物を入れなければならない場合は、ジャケットのゆとりを確保し、内ポケットを使用しましょう。
シーン別おすすめコーディネート
最後に、テーラードジャケットのシーン別おすすめコーディネートをご紹介します。
テーラードジャケットは、さまざまなシーンで活躍してくれる使い勝手の良いアイテムです。ご紹介する組み合わせを参考にしながら、ご自身でもお気に入りのコーディネートを探してみてください。
オフィスカジュアル
ネイビージャケットに襟付きシャツ、グレースラックスとかっちり目のアイテムが多めのコーディネートです。色のバランスがよく、革靴を合わせることで足元の印象も引き締まります。
オフィスカジュアルにオススメです。
カジュアル
ライトグレーのジャケットに白Tシャツを合わせ、さわやかさを演出します。ボトムスはチノパンとスウェードシューズを選び、よりリラックスした雰囲気に。
休日のお出かけにぴったりのコーディネートです。
ビジネスやフォーマルでは
かしこまったビジネスやフォーマルシーンでは、上下揃いのスーツが適切です。テーラードジャケットではややフォーマルさにかけるため、着用は控えましょう。
まとめ
テーラードジャケットは、オフィスカジュアルからカジュアルな場まで、幅広いシーンに対応できる便利なアイテムです。
まずはグレーとネイビーなどの使いやすい色から挑戦してみましょう。季節や着用シーンに応じて素材やデザインを使い分けたり、合わせるアイテムを選んだりすることで、より洗練された着こなしへとつながります。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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