オーダースーツ 銀座英國屋コラムハリスツイードはヴァージンウールを手作業で織るオーダージャケット・コート生地
ハリスツイードはヴァージンウールを手作業で織るオーダージャケット・コート生地
ツイードは温かみと味わいがあって、ジャケットやコートをオーダーするのに向いている生地です。中でもハリスツイードの品質の高さは、群を抜いています。
ハリスツイードは発色が良くて柔らかく体に馴染む、ヴァージンウール使いの伝統の手作業によるツイードです。
今回の記事ではツイードとはなにかを紐解き、中でも高い品質を誇るハリスツイードについて紹介します。ジャケットやコートをオーダーで仕立てる際の参考にしてください。
そもそもツイードとは?
ツイードは、英国のイングランドやスコットランドが発祥の伝統的な生地です。丈夫で暖かく水を弾くので、貴族の狩猟用の服によく使用されました。
昔の登山家もツイードのジャケットを着て、冬山に臨んだものです。現代の英国では、自転車を趣味とする人たちがツイードを愛用しています。
ツイードは主にジャケットやコート向けの紡毛素材で、対照的な素材は一般的なスーツ向け梳毛素材のウーステッドです。
羊毛原料をコーム(櫛)で漉いて残るのが長くて細い長繊維であり、漉き落ちるのは短くて太い短繊維です。ウーステッドは長繊維で紡がれた梳毛糸、ツイードは短繊維で紡がれた紡毛糸からそれぞれ織られます。
紡毛糸は梳毛糸に比べて粗い感じで艶はでませんが、空気を沢山含むので軽くて温かい素材となります。そのため、防寒着用に使われることが多い素材です。
スーツに使用されないわけではないですが、分厚く温かみがある素朴な素材感から、ジャケットやコートによく似合います。
保温性が高い上に耐久性にも優れており、織り目がはっきりと際立つので味わい深い柄が織られます。ツイードの代表的な柄はヘリンボン(杉綾織り)です。
ツイードの中の別格、ハリスツイード
ツイードの中でも、とりわけヴァージンウールを使って手作業で織り上げる「ハリスツイード」は別格といってよいでしょう。品質が非常に高く大変発色が良いので、それを用いてオーダー仕立てをすれば高級感のあるジャケットやコートになります。
その特徴を活かして、綺麗に先染めした色糸を何本も使ったカラフルな柄も楽しめます。ここからはハリスツイードについて、詳しく紹介しましょう。
ハリス島を中心に手作業で作られる伝統のツイード
ハリスツイードとは、スコットランドのアウター・ヘブリディーズ諸島の中のハリス島を中心に作られているツイード生地です。原料にはヴァージンウールのみを使用します。
ヴァージンウールとはピュアニューウール(新毛)とも呼ばれ、1年以内に刈り取られてなおかつ一度も精製されていない羊毛原料を意味します。「ウール100%」の生地でも、ピュアニューウール以外の再生ウールが混ぜられていることが多いです。ヴァージンウールだけで作られた糸、および生地は手触りが柔らかくて保温性も高く、染料の染まり具合も良くて色が冴えます。
そのヴァージンウール原料が島内で先染めされ、糸に紡がれ、職人の家にて人力織機の手作業で織り上げられます。
ハリスツイード協会の厳格な基準をクリアした生地のみが認定される
職人が織り上げたツイードの中で、品質管理に厳しいことで知られる英国ハリスツイード協会の厳格な品質基準をクリアした生地のみが、ハリスツイードと認定されます。
そして有名な地球をモチーフにしたオーブ(宝珠)マークが織り込まれた商標ラベル(織りネーム)が与えられるのです。
ハリスツイードの特徴
ハリスツイードはその柔らかさゆえに、着る人の体に生地が見事に馴染んできます。着込むほどに、その人の体の凹凸やカーブに沿うように、ハリスツイードのジャケットやコートは変化していくでしょう。
それだけ着やすく、動きやすく、また着こなしが自然な感じとなります。一見同じように見える一般的なツイードと着比べてみれば、その着心地の良さは圧倒的です。
さいごに
ツイードの中でも高級感や色の冴え、肌触りで群を抜くハリスツイードは、普段オーダースーツを仕立てている人に、ジャケットやコート向けにおすすめします。発色が良いので、選ぶ際の顔映りも判断しやすいでしょう。
オフタイムにくつろぐジャケット、仕事でも使える渋めのジャケット、寒い日にもおしゃれを忘れないカントリータッチのクラシックコートなど、さまざまな用途でお仕立ていただけます。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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