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グレースーツに合うネクタイとは?オススメの着こなし方を徹底解説!
普段からビジネススーツを着用される方は、グレーのスーツをお持ちの方も多いと思います。しかし、その着こなし方やコーディネートが分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで、こちらのコラムでは、グレースーツに合うネクタイや、全体のコーディネートについて解説いたします。
なお、「グレースーツに合うネクタイ」についてのポイントを先に紹介すると、以下の通りです。
・グレースーツを着ると、成熟・大人っぽい・ダンディーな印象になる
・ネクタイを考える時には「Vゾーン」を意識することが大切
・Vゾーンの基本は「1柄」
・ネクタイの色は、見せたい印象で使い分ける
・ネクタイの結び方は、プレーンノットが基本
・フランネルスーツの場合も、通常のシルク素材のネクタイでOK
・シャツは白シャツがオススメ
・靴は黒のストレートチップがオススメ
・靴下はロングホーズがオススメ
このコラムが、グレースーツに合うネクタイについての参考となりましたら幸いです。
グレースーツとはどんなスーツ?
スーツにはたくさんの色・柄がありますが、ビジネスシーンで着用するスーツは、主にネイビーとグレーです。ネイビーのスーツは精悍、若々しい印象を与えます。これに対してグレーのスーツには、成熟、大人っぽさ、またダンディーな印象があります。
ビジネススーツを着る目的は、お相手の信頼を得て、仕事で成果を収めることです。そのように考えると、成熟した印象を与えるグレースーツは理に適っていると言えるでしょう。
また、グレーと一言に言っても、色の明るさによって種類がいくつかあります。
代表的なものは、黒に近い暗いトーンのチャコールグレー、明るい色のライトグレー、その中間にあたるミディアムグレーの3つです。
このコラムでは、標準的なミディアムグレーを前提に解説します。
なお、スーツの基本的な着こなし方については、スーツのオシャレな着こなし方とは?|理想的な着方とコーディネート例を項目別に解説もあわせてご覧ください。
グレースーツとVゾーン
グレースーツに合うネクタイを考える上で外せないのが「Vゾーン」です。スーツのジャケットを着用したときに、衿の開き部分から見えるシャツ、ネクタイの形状がアルファベットの「V」の字に見えることから、この部分を「Vゾーン」と呼びます。
人は通常、お相手の上半身や顔まわりを見るため、このVゾーンはコーディネートを考える上でとても重要なポイントです。ここではVゾーンを意識しながら、「グレースーツに合うネクタイ」をご紹介します。
Vゾーンの基本は「1柄」
上で挙げた通り、Vゾーンはジャケット、シャツ、ネクタイの3つのアイテムで構成されます。このVゾーンの3アイテムのうち、柄物を1つに抑えると、コーディネートで失敗しにくくなります。例えば「柄物のネクタイを選んだ場合、スーツとシャツは無地のものにする」といった具合です。このように柄物のアイテム数を1つにすると、簡単に洗練されたコーディネートにすることができます。
ちなみに、全てを無地柄にする(柄数がゼロ)のも、もちろん構いません。
シャツは白シャツがオススメ
シャツは、Vゾーンの土台となるアイテム。シャツに色・柄が入ると、
コーディネートの難易度が上がります。そのため、まずは白無地のシャツをオススメします。
柄物を取り入れたい場合は、織りでストライプが表現された織柄のシャツを選ぶと、他のアイテムに干渉しないためオススメです。
また、スーツで使うシャツにはさまざまな襟型があります。スーツを着こなす上で、シャツの襟先がジャケットの下衿(ラペル)に収まっているのがバランス良い着方と言えるでしょう。
定番は、レギュラーカラーという襟先の間隔が狭いシャツがありますが、これですとジャケットの下衿にシャツの襟先が収まりません。そのため、ワイド、またはセミワイドと呼ばれる襟が左右に広がったシャツがオススメです。このシャツだと襟先がジャケットの下襟に綺麗に収まります。
なお、人によっては手が長いためシャツの袖が短くなってしまうなど、サイズ選びに困ることもあると思います。そのような場合は、オーダーシャツを検討されるのも一案です。オーダーシャツは初回のみ採寸の作業が必要ですが、一度自分のサイズでシャツを作ると、体型の変化がない限り以降は同じパターンでシャツを作ることができるため合理的です。
自分の体にピッタリとあったシャツを着ると、スーツのジャケットを着たときに収まりが良く気持ちのいいものです。毎回シャツのサイズ選びを難しく感じられる方には、特にオススメです。
無地のグレースーツの場合
無地のグレースーツで、中には白シャツを着た場合、スーツとシャツがどちらも無地なので、柄物のネクタイを選んでもVゾーンの柄数は1となります。そのため、ネクタイに特に制約はありません。
柄物のグレースーツの場合
次に、スーツにストライプなどの柄が入っている場合、その時点でVゾーンの柄数は1になりますので、ネクタイは無地のもの(ソリッドタイ)がオススメです。
また、柄物のネクタイを使いたいときは、柄のパターンを変えるのも有効です。例えばストライプ柄のスーツを着ているときに、同じくストライプ柄のネクタイを選ぶとVゾーン周りが落ち着かない印象を与える恐れがあります。
そのため、ストライプ柄のスーツの際は、ネクタイはドット柄(点状の柄)にするなど柄のパターンを変えるというのも一案です。
ただし、Vゾーンの柄数は2になるため、コーディネート自体の難易度は上がります。
グレースーツに合うネクタイ
では、グレースーツに合うネクタイとは、どのようなものでしょうか。
色彩学ではグレーは色味を持たない色「無彩色」と呼ばれています。そのため、無彩色であるグレーは赤や青など色味のあるものと合わせても色同士が喧嘩せず、上手く調和するいわば万能選手です。
このようにグレーは他の色と調和を取りやすい色ですが、ここでは特にグレースーツに合うネクタイを紹介します。
赤系統のネクタイ
赤いネクタイは、どちらかというと派手なイメージがありますが、グレーには全体を落ち着かせる効果があります。そのため、赤系統のネクタイを選んでもコーディネート全体はまとまりのあるものになります。
オススメはボルドーカラーなど色のトーンがやや低い落ち着いた赤です。グレースーツと合わせることで、成熟した大人の印象を与えます。
茶系統のネクタイ
茶色自体に大人びた魅力があるため、グレースーツと合わせることで一層成熟した印象を醸し出すことが出来ます。
グリーン・緑のネクタイ
意外ですが、グレースーツはグリーン、緑のネクタイとも好相性です。
グリーンのネクタイには都会的、オシャレなイメージがあります。ただし、原色の緑はかなり強い印象になってしまうので、黄緑など淡いものを選ぶか、ストライプ、柄物の一部にグリーンが入ったものを選ぶと、まとまりのあるVゾーンとなります。
ネクタイの色は見せたい印象で使い分ける。
また、一般的に色にはそれぞれイメージがあります。ご自身がスーツスタイルでどのような印象を持ってもらいたいか、見せたいイメージの色をVゾーンで使うことによってそうした印象を与えることが出来ます。ここでは簡単に紹介します。
知的、クールな印象を与えたいとき
ご自身が知的な印象、クールな雰囲気を持ってもらいたい時には、ネイビーやブルーなどの寒色(色自体から冷たさ、寒さを感じる色)のネクタイがオススメです。
グレースーツにブルーのネクタイが入ることで、凛として引き締まったコーディネートになります。
エネルギッシュ、情熱的な印象を与えたいとき
また、エネルギッシュな印象、情熱的な印象を持ってもらいたいときには赤やボルドーなどの暖色(色自体から暖かみを感じる色)のネクタイがオススメです。
親しみやすさ、優しい印象を与えたいとき
お相手から親しみやすさや優しい印象を持ってもらいたい時は、水色や淡いピンクなどの柔らかな色味のネクタイがオススメです。こうしたネクタイは、若い人が締めるイメージがありますが、年齢を重ねた方がお使いいただいても素敵に見えますので、ぜひお手持ちのアイテムに加えてみましょう。
ネクタイの結び方
ネクタイの結び方一つで、Vゾーンの見え方も変わってきます。
ここでは、ネクタイの結び方をご紹介します。
プレーンノットが基本
代表的なネクタイの締め方には、ウィンザーノット、セミウィンザーノット、プレーンノットなどがあります。オススメは最もシンプルなプレーンノットです。これはノット(襟の間に位置するネクタイのコブ部分)が縦長に見えるためVゾーン周りがスマートに見えるためです。
ただし、ネクタイをプレーンノットで締める場合、ネクタイのノットと襟の間から結び紐が見えてしまうことがあります。特にシャツの襟型が広がっているワイドやセミワイドだと、結び紐は見えやすいです。これはネクタイと襟の間に余分な隙間があるために起こります。そのため、ネクタイはしっかりと上まで締め上げるのがポイントです。
それでもネクタイの結び紐が見えてしまう場合は、セミウィンザーノットで結ぶのも有効です。セミウィンザーノットは、ノットが台形を逆さまにしたような形状なので、ノットと襟の間に隙間ができにくい特徴があります。
ディンプルを作るのがオススメ
ネクタイを締める上でのポイントが「ディンプル」です。ディンプルは英語のdimple(えくぼ)が由来の用語で、ノットの下位置に意図的にくぼみを付けることでネクタイを立体的に見せることができ、Vゾーンを華やかな印象にしてくれます。
ディンプルはネクタイを締める際、人差し指でノットの真下の大剣(ネクタイの正面側)を窪ませてそのまま締め上げると簡単に作ることができます。最初は難しいかもしれませんが、慣れると簡単に作ることができますので、ぜひチャレンジしてみてください。
ファッション雑誌などのトレンドに流されない。
スーツスタイルが楽しくなると、ついファッション雑誌やオシャレなお店のスタッフコーディネートなどを真似してみたくなるものです。中にはネクタイの小剣(ネクタイを結んだ際に後ろ側に位置する部分)をずらして敢えて見せたり、大剣よりも小剣を長く結んで見えるようにしている方も見受けられます。
こうしたテクニックはカジュアルな印象を与えるため、正式なビジネスシーンでは通用しません。人によっては不真面目なイメージを持つこともありますので、ビジネススーツ着用時には真似しないことが賢明です。
フランネルスーツの場合
一般的なスーツは、梳毛(そもう)といって生地に美しい光沢があるもので作られています。梳毛のスーツは一年を通して使われますが、秋冬にだけ着用するスーツとして「フランネルスーツ」があります。フランネル(起毛素材)のスーツには光沢はありませんが、生地が起毛しているため、温かみがあるのが特徴です。フランネルスーツにはどのようなネクタイが合うのでしょうか。簡単に解説します。
基本的にはネクタイは梳毛のスーツと同じでOK。
フランネルスーツであっても、ネクタイの合わせ方は梳毛のスーツと同じに考えて問題ありません。つまりネクタイに関しても通常のシルク素材のものをお使いいただけます。
ウールタイも有効
また、フランネルのスーツは生地が起毛しているため、ネクタイも同じく起毛している「ウールタイ」(wool tie)を合わせるというのも一案です。
ウールタイを合わせることで、フランネルのジャケットと生地感が統一され、落ち着いた印象になります。ただし、ウールタイはシルクのネクタイよりもややカジュアルな印象になります。そのため、ウールタイをお使いいただく際にはシーンを判断されることをオススメします。
その他の小物アイテム
ネクタイではありませんが、最後にスーツスタイルに必要なその他のアイテムについて解説します。
靴はどのようなものが良いか。
グレーのスーツを着る場合、足元はどのような靴が良いでしょうか。
オススメは黒のストレートチップ
オススメは黒のストレートチップと呼ばれるデザインの革靴です。
ストレートチップは、靴のつま先側に横一文字の線が入った革靴。
黒靴はグレー同様に色味を持たないため、グレースーツとも好相性です。
また、ストレートチップの黒靴は、革靴の中ではもっともフォーマルなデザインです。
そのためビジネスシーンで一足は持っておきたい革靴です。
茶色の革靴を合わせるときの注意点
黒以外の革靴では、茶色もオススメです。
ただし、明るい茶色の革靴は靴だけが浮いて見えてしまい、コーディネートが難しくなります。そのため、茶色の革靴は焦茶から標準的な茶色あたりを選ぶとグレースーツとも合わせやすいです。
ベルトの色
ベルトは本革製のものを選びます。色は靴の色に合わせるとコーディネート全体の統一感が出せます。シンプルなものが使いやすくオススメです。
靴下はどのようなものが良いか。
靴下は、コーディネート全体の中で見える面積が小さいアイテムです。しかし、小さいからこそ悪目立ちしやすい部分でもあります。どのような靴下が良いのでしょうか。最後に靴下について簡単に解説します。
基本はスーツの色に合わせる。
靴下の色は、スーツの色に合わせるのが基本です。
ズボンの色と同じにすることで、一本の線のように見えるため、足が長く見える効果があります。
ときおり、スーツスタイルで長さがくるぶし程のスニーカー用の靴下を履いている方をお見かけしますが、これではズボンと靴の間からスネが見えてしまいます。ビジネスシーンではスネを見せることはマナー違反ですので、このようなカジュアルな靴下は避けるようにしましょう。
オススメはロングホーズ
通常のビジネス用の靴下では、座った際にズボンが上がって、スネが見えてしまうこともあります。そのような時にオススメなのが、「ロングホーズソックス」です。ロングホーズは靴下が膝下あたりまであるため、ズボンが上がってもスネが見えることがなく、紳士のたしなみとして必見のアイテムです。
まとめ
このコラムでは、グレースーツにはどのようなネクタイが合うのか、また全体のコーディネートについて解説しました。
グレースーツに合うネクタイについてのポイントを改めて紹介すると、以下の通りです。
・グレースーツを着ると、成熟・大人っぽい・ダンディーな印象になる
・ネクタイを考える時には「Vゾーン」を意識することが大切
・Vゾーンの基本は「1柄」
・ネクタイの色は、見せたい印象で使い分ける
・ネクタイの結び方は、プレーンノットが基本
・フランネルスーツの場合も、通常のシルク素材のネクタイでOK
・シャツは白シャツがオススメ
・靴は黒のストレートチップがオススメ
・靴下はロングホーズがオススメ
このコラムが、グレースーツに合うネクタイについての参考となりましたら幸いです。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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