オーダースーツ 銀座英國屋コラムオーダースーツの生地・デザイン選びの流れ
オーダースーツの生地・デザイン選びの流れ
量産品の既製スーツと違い、フルオーダースーツにはお仕立てまで数週間〜数ヶ月の時間がかかります。どのくらいの時間を要するかはテーラーによりますが、銀座英國屋のフルオーダースーツのお仕立てには、約2か月いただいています。またご注文日を含め、お店には一回のご注文につき通常3回ほど足を運んでいただいております。
銀座英國屋のお仕立ての流れ
1回目のご来店
・カウンセリング
・生地選び
・デザイン選び
・採寸
・裏地、ボタン選び(納品が急ぎではない場合、仮縫い時の見立て替えは可)
2回目のご来店
・仮縫いによる体型補正
3回目のご来店
・ご試着、ご納品
今回のコラムでは、1回目のご来店時の流れをご案内します。
ご予約
ご来店にご予約は必須ではありません。ご注文はいつでもお気軽に、お客様のご都合の良い日時にお店にいらしてください。ただ可能であれば、ご来店いただく前に、お電話やメールフォームからご予約をいただけると、ご案内がよりスムーズになります。
カウンセリング
ご注文でご来店されたお客様には、まずお話をお伺いすることから始めます。この過程を、銀座英國屋では「カウンセリング」と呼び、お客様とお店の信頼関係を築くために最も重要な時間だと捉えています。
必要性
お忙しい中、わざわざお時間をいただいて、なぜカウンセリングを行う必要があるのでしょうか。それは、テーラーの成り立ちに大きく関係しています。
フルオーダースーツの仕立て屋のことを、別名「テーラー」、あるいは「ビスポーク」とも呼びます。この「ビスポーク」の語源は、「be-spoken」、直訳すると「話をされる・話を聞く」ことを意味する英語です。どういうことかと言うと、テーラーがお客様のご要望を伺いながら、お好みのスーツに仕立てていく、これがテーラーの本来の姿なのです。
もしあなたがこれまで行かれたことのあるテーラーで、お話を聞かれたことがなかったら、おそらくあなたは最高の一着にまだ出会っていないと言わざるを得ません。お客様との会話の中から、スーツづくりに必要な情報を見出し、形にしていくことで、お客様ご自身でも気づいていなかったようなニーズまで形にすることこそ、テーラーの最初の仕事なのです。
質問
まず、ゆったりとしたチェアに腰掛けてお寛ぎいただきます。その上で、スタイリストから、差支えのない範囲で以下のようなことを伺います。
・お好みのスタイルや、シルエット、色柄はございますか?
・お持ちのお洋服は、どのような色柄でしょうか?
・そのお洋服の着心地はいかがですか?気になることはございますか?
・今回ご注文のスーツはいつ、どんな場面でお召しになられるご予定ですか?
・どのようなお仕事をされていますか?
・どのようなお立場ですか?
質問の内容が、思っていたものと違う、と疑問を持たれた方も多いかと思います。スーツの好みに関する質問だけでなく、なぜ仕事のことや、立場などを質問されるのでしょうか?
それは、銀座英國屋が「信頼を得られる装い」のご提供を目指しているからです。
信頼を得られる装い
銀座英國屋は、1940年の設立以来、「世界で活躍するエグゼクティブに相応しい装いを提供する」という理念を掲げてきました。
ビジネスで活躍される方は、どなたも多くの方からの信頼を勝ち得ています。ビジネスシーンで信頼を得られる装いというのは、時代によって大きな変化はありません。流行を追いかける必要もなく、あくまでも世界基準のビジネスプロトコルに従うことが求められます。
しかし、その方のお立場やご職業などによって、「誰の」信頼を得る必要があるのか変わってきます。また着用シーンを伺っていなければ、正しいスーツスタイルをご提案できない恐れもあります。
たとえば、毎日のお仕事の中でご着用されるのか、または何か大きなイベントでのスピーチの際にご着用されるのかで、必要となるスーツは違ってきます。
ビジネスの成功を目指してお求めになるスーツなら、そのスーツはビジネスでの成功を後押しする存在でないといけません。
ですので、お客様の着用シーンや、用途をお聞きすることも、私たちのとても大切な責務なのです。この責務を全うするためにも、カウンセリングを重要視し丁寧に行っているのが、銀座英國屋です。
このように、お客様とスタイリストが「対話を重ねて」最高の1着を作り上げていきます。また、お洋服について普段お困りのことや不安な点などについても、お気軽にご質問ください。
生地選び
カウンセリングでのお話をもとに、豊富な種類の生地の中から、スタイリストがお選びをし、お客様に最適と思われる生地をご提案します。
オーソドックスな紺(ネイビー)やグレーの無地でも、その濃淡や織り方、素材の違いなどでバリエーションは豊富にあります。また、一口にストライプといっても、ストライプの幅や色使いなどによって印象は変わります。
生地を最終的に選ばれるのはお客様ですが、何百種類もの中から選ぶことはとても難しいものです。スタイリストの専門の知識と多くの経験が加わることで、最適な生地を選ぶことができます。
肩掛け
スタイリストは、お客様がお求めの生地を見つけるために、具体的にはこのようなご提案いたします。
・全身鏡の前にお立ちいただき、お客様の肩から生地をお掛けし、衿形をつくって、仕上がりの印象やお顔映りを確認していただきます
(生地のままの印象と肩から生地を掛けた際の印象が違うことがよくあるため)
・生地を直接触っていただき、質感も確認していただきます
いくつかの生地で迷われている時には、以下のようなご提案をさせていただくこともあります。
・両方の肩から生地をお掛けし、どちらの生地がよりお好みや用途に合うか、お顔映りが良いかを確認しながら、ベストな生地をお選びいただきます
また室内と太陽光の下では見え方が変わることがあるので、着用シーンに合わせて、場所を自然光が当たる場所などに移動しながら確認をしていただくこともあります。
生地を肩からお掛けし、ご自身のお顔映りなどを確認することで、展示されている生地をそのまま見たときよりも、仕上がった時のイメージが湧くようになります。
「もっと大きめの柄でも大丈夫だな」
「もう少し色味を抑えようかな」
などとご相談しながら、ベストな生地を選んでいくことができるのです。
最大級の生地点数
銀座英國屋の銀座本店では、スーツ服地で約300種類、ジャケット地で約100種類の現物の生地をご用意しています。加えて30冊以上の各社ブランドのサンプルバンチブックの中から、お好みの生地をお選びいただけます。これだけ豊富な生地の種類を揃えている店は、世界でも少ないと思います。有名生地ブランドのスキャバル社の社長からは「間違いなく、世界で一番の服地展示数」とご評価いただいています。
デザイン決め
生地が決まった後は、デザインのディテール決めです。ビジネスシーンに最適なベーシックなデザインから、少し遊び心のあるカジュアルシーンのデザインまで、お客様のご要望をお聞きしながら選んでいきます。
シングルORダブル
「上着は、シングルがよろしいですか?ダブルにされますか?」
ベント
「センターベントとサイドベンツ、お好みはございますか?
ベントとは、動きやすいように上着の後ろ裾に入っている切れ込みのことです。センターベントは、背骨のところに一本の切れ込みが入りますが、サイドベンツは、両脇のところに二箇所の切れ込みが入ります。
サイドベンツと比較すると、センターベントは印象的におとなしく見えます。サイドベンツですと左右の二か所でゆとり調整ができますので、よりタイトなシルエットも表現できます。特にウエストとヒップの差寸が大きい場合、センターベントでは開き気味になってしまうため、サイドベンツをお勧めしています。
スラックス
「腰回りが楽になりますので、スラックスにプリーツを入れますか?」
プリーツとは、腰回りに施すひだのことです。このひだを入れることで、ゆとりができ、見た目にも優雅な感じになります。
またスラックスの脇ポケットは、斜めですと手が入れやすく機能的ですが、縦ポケットは見た目がすっきりしています。これもどちらかを選びます。
ベスト
「ベストをつけると、フォーマルな印象になります。また背中が温かくなる効果が得られます。」
ベストは、単に体温調節が目的ではありません。Vゾーンが狭くなることで、より締まった感じを演出できます。また、信頼を得ることが目的であれば、ベストをつけた方が効果的な場合もあり、特に若くして高い地位にある方にはおすすめします。
このようにデザインのお好みをお聞きしたり、各デザインのメリット・デメリットなどがある際にはご説明をしていきます。
内ポケット
全体的なデザインが決まれば、次は内ポケットの数や仕様を選びます。左右に蓋つきの大きなポケット、ペン入れ、チケット入れが標準仕様でつきますが、ライフスタイルに合わせて必要なポケットをつけられるのも、フルオーダーの魅力です。
「内ポケットにはいつも何をお入れになりますか?」
「内ポケットの標準サイズは横14cm×深さ21cmですが、お使いの手帳のサイズはどのくらいですか」
などと確認し、お客様にとってより使い心地の良い一着となるよう調整していきます。
採寸
生地、デザインが決まったらいよいよ採寸です。採寸は、フィッターと呼ばれる専門の技術者が担当します。15ヶ所以上のポイントを採寸し、肩の下がり具合、前後のバランス、腰の左右の張りなどを細かく数値化していきます。
シルエットの調整は、2回目のご来店時の仮縫いでいたします。採寸では、ご職業や用途、お好みなども踏まえて「ゆったり目なのか、タイト目なのか」といったシルエットのお好みも伺い、型紙作成に反映させます。
あまり流行に左右されないメンズのスーツも、レディースほど顕著ではないながらも、全体のシルエットやゆとり、特にゴージライン(上衿と下衿の合わせ目)の位置とラペルの幅に流行があります。その流れを取り入れながら、ビジネスシーンで信頼を得られるデザイン・シルエットになるようご提案をしていきます。
フルオーダースーツの要は、スタイリストやフィッターとの対話によって、お好みを取り入れた型紙を作成することにあります。銀座英國屋では選りすぐりのフィッターがお客様の型紙作成や仮縫いまで担当します。初めての方も、ぜひ安心してご来店ください。
無料オーダー体験のご案内
銀座英國屋では、無料オーダー体験を実施しています。
ご注文を前提とせずに、 カウンセリング・生地選び・細かなディテール決め・サンプル仮縫い品によるフィッティング体験を、ご体験いただけます。
また、店内には仕上がった製品見本もご用意しています。是非、ご予約フォームより「無料オーダー体験」をご予約下さいませ。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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