オーダースーツ 銀座英國屋コラムフルオーダースーツなら全部手縫い?銀座英國屋の縫製のこだわり
フルオーダースーツなら全部手縫い?銀座英國屋の縫製のこだわり
オーダースーツ業界において、フルハンドメイド(略称:フルハンド)は、マシンを使わず、全て手作業で縫製(略称:手縫い)する手法を指します。
お客様の中には「フルオーダースーツなら手縫いでしょ?」とご認識されている方が多いようです。しかし実は銀座英國屋では、フルハンドにはこだわらずあえて部分的にミシンを活用しています。今回は、銀座英國屋がなぜミシンを活用するのか?という点について解説したいと思います。
フルハンドにはこだわらない
以前は銀座英國屋でもフルハンドを大切にしていましたが、現在ではあえて部分的にミシンも活用しています。というのも、フルハンドにこだわることが銀座英國屋の目的ではないからです。あくまでもお客様に「信頼を得られる装い」をご提供することが銀座英國屋のこだわり。フルハンドかミシンかというのは1つの問題通過点なのです。
そして「信頼を得られる装い」を実現するために必要なのが「綺麗さ・耐久性・納期」の3点だと考えています。
綺麗さ
オーダースーツの「綺麗さ」というのは、どのように作られるものなのでしょうか。また手縫いとミシンでは、綺麗さにどのような違いがあるのでしょうか。
味
手縫いは、ミシンには出せない「味」があります。同じ服地・型紙(パターン)を使っても、縫製職人ごとのセンスやクセが現れるためです。その職人による微妙な仕上がりの違いが、言語化できないレベルで感じ取ることができる差、つまり「味」になるのです。
繊細な調整
また手縫いは、ミシンにはできないほどの繊細なミリ単位の調整が可能です。そのため、お客様ごとに細かく型紙や仕様を変更するフルオーダースーツに、手縫いは必要なのです。
品質の安定にはミシンの方が有用なことも
日本での「信頼を得られる装い」を考えた時、
フルハンドが絶対に必要なのかと問われれば、必ずしもそうではないと判断しています。例えば一直線に縫製する場合、直線度合いもピッチの均一性も保てるため、ミシンの方が綺麗に縫製出来ることがあります。
また「職人ごとの味」が出ないということは、裏を返せば「企業としての品質の安定」を実現することでもあります。
オーダースーツの綺麗さと品質の安定を叶えるために、フルハンドにこだわらずあえて部分的にミシンも活用しているのです。
耐久性
スーツにとって耐久性も大切です。せっかくお買い上げいただいたスーツは長く着用していただきたいですし、耐久性が低いために修理となった場合には、お客様にご迷惑をお掛けしてしまうからです。
実際に手縫いよりもミシンの方が、箇所によっては耐久性が高い場合もあります。耐久性を高く保つために、銀座英國屋では手縫いだけでなく、特に消耗しやすい部分にはミシン縫製を採用している箇所もあります。
例えば、、、
スラックスの前の部分「前立てステッチ」も、以前は手縫いで入れていました。しかしファスナーの開閉頻度が高いこともあり、手縫いをした前立てステッチがほつれてしまうといった事例がありました。
極端なケースでは、外出時に前立てステッチが外れてしまい、そのままご来店いただいた例では、手直しをする間、代替のスラックスをお履きいただきお待ちいただいていたのですが、「既製パンツではありえないよ。恥ずかしい思いをした。」とご指摘を受け、申し訳なく感じておりました。
当時の銀座英國屋では、前立てミシン縫いに関してはフルハンドへのこだわりから反対意見もあったのですが、お客様のことを第一に考え、自分たちの技術的なこだわりであるフルハンドからミシン縫製に切り替えました。
変更時にはお客様にご説明させていただきましたが、異論をいただくこともなく、むしろ「安心だ」とのお言葉もいただきました。それからはスラックスの前立てステッチについての修理は、発生しておりません。箇所によってはミシン縫いで耐久性を高めることも間違いなく有効なのです。
このような理由からも、銀座英國屋では部分的にミシンを活用しています。
納期
オーダースーツは、ご注文が特定の時期に集中します。春夏物であれば4・5月、秋冬物であれば9・10月が集中する時期です。 また、フルオーダースーツでは、納期が半年・1年・1年半といったテーラーもあります。
納期が半年を超えるようなケースでは、オーダーいただいたスーツを、そのシーズン中にお召しいただくことはできません。
フルオーダースーツが流行に左右されにくいとは言え、着たいスーツのイメージが変わってしまうこともありえます。体型にぴったりフィットできるのがフルオーダースーツの大きな魅力の一つですが、半年・1年と経過すれば体型に変化が生じてしまう可能性もあります。
短納期を実現
当たり前のことですが、手縫いとミシン縫製には大きなスピードの差があります。できるだけ短い納期でお納めたいという想いから、フルハンドにこだわらずあえてスピードに勝るミシンも活用しているのです。
今では、銀座英國屋は基本的にご注文から約2~3週間でお仮縫いのご用意、お仮縫いいただいてから約4~6週間でご納品というフルオーダースーツとしては2か月という短納期を実現しています。納期がフルオーダースーツのテーラーの中では短いということも、エグゼクティブのお客様にお選びいただける理由だと感じています。お客様のご着用希望日にも沿えるよう、最大限努力しております。
銀座英國屋には、フルハンドの縫製職人も在籍
銀座英國屋にはトップレベルのフルハンドの縫製職人も在籍し、「芸術品」とさえ呼べるオーダースーツを縫製しています。 特に高額スーツ服地については、より繊細な縫製が必要となるため、フルハンド縫製職人が担当します。
グループ縫いへの取り組み
この記事ではミシン縫いについて解説してきましたが、銀座英國屋では「グループ縫製」についても取り組みを進めてまいりました。以下の記事で銀座英國屋のグループ縫製について詳しく解説していますので、ご興味がある方はぜひ合わせてお読みください。
・フルオーダースーツなら絶対、丸縫い?銀座英國屋の縫製のこだわり
結論
いかがでしたでしょうか?フルハンドにこだわらずに
あえてミシン縫いを採用している理由がお解りいただけたかと思います。
グループ縫いよりもプラスの納期と工賃が掛ってしまいますが、フルハンドをご要望の際にはその旨ご指示いただければ幸いです。
無料フルオーダー体験のご案内
銀座英國屋では、無料フルオーダー体験を実施しています。ご注文時の不安がないよう、カウンセリング・生地選び・細かなディテール決め・サンプル仮縫い品による仮縫いの疑似体験を実施しています。また、店内には仕上がった製品見本もご用意しています。是非、ご予約フォームより「無料フルオーダー体験」をご予約下さいませ。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
最近の投稿
-
2024年11月16日
大学入学式のスーツはどう選ぶ?男性向けに選び方と着こなし方を解説
-
2024年11月8日
モーニングコートはいつ着る?燕尾服との違いと着こなしマナーを解説
-
2024年10月28日
ブラックスーツとは?ダークスーツとどう違う?着こなし方を解説
-
2024年10月21日
燕尾服とは?着る場面や着こなし方をわかりやすく解説
-
2024年10月12日
ボタンダウンシャツとは?着こなしの注意点とオススメのコーデを紹介