オーダースーツ 銀座英國屋コラムスーツの価格相場と値段が変わる理由|ポイントは縫製の違いと生地の品質
スーツの価格相場と値段が変わる理由|ポイントは縫製の違いと生地の品質
スーツ専門店や、デパートの紳士服コーナーに陳列されたスーツを見て、
「同じスーツなのに、なぜこんなに値段が違うんだろう」
と疑問に思った経験をお持ちではありませんか?
また、スーツを購入するにあたり、
・価格の相場が分からず、予算はどのくらいの用意すればよいか分からない。
・いつも安価なスーツを選んでしまう。
・価格が適正かどうか判断できない。
といった悩みをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
そこで、今回の記事では「スーツの価格相場とその理由」についてご紹介いたします。
先にポイントをお伝えしますと、
・スーツの種類
・スーツの価格相場
・スーツの値段が違う理由
・表示価格とオプション料金
という流れとなります。
今回の記事が、皆様がよりご自身にあったスーツを、納得した価格で購入するための参考となりましたら幸いです。
それでは早速見ていきましょう。
スーツの種類
今回の記事は「スーツの価格相場とその理由」についてですが、まず初めに「スーツの種類」についてご紹介いたします。それは種類の違いが、価格に大きな影響を与えるからです。
ただしスーツの分類に厳密な定義はなく、テーラーによって様々な呼び方がありますので、ここでは大まかなイメージとしてご理解ください。
スーツは作り方により、大きく分けて
・既製スーツ
・パターンオーダースーツ
・イージーオーダースーツ
・フルオーダースーツ
の4種類に分類されます。
既製スーツ
まず1つ目が、「既製」のスーツです。
「吊るし」とも呼ばれ、文字通り、あらかじめ出来上がったスーツの中から自分に合ったサイズを選んで購入します。オーダーメイドのスーツとは異なり、購入したその日から着用できるのが魅力です。
パターンオーダースーツ
2つ目の種類は「パターンオーダースーツ」です。
パターンとは、スーツを仕立てる時に使う「型紙」のことで、スーツの設計図のようなものです。パターンオーダーでは、あらかじめ用意された型紙を元に、顧客に合わせて袖丈や着丈、ウエストのサイズなどの調整をすることができます。
注文の際には、ゲージ服と呼ばれるサンプルを着用しながら、サイズを確認していくのも特徴の一つです。
イージーオーダースーツ
続いて3つ目は「イージーオーダースーツ」で、先ほどご紹介したパターンオーダーの延長のような存在です。
パターンオーダーで調整できる袖丈、着丈などの長さ調整に加え、猫背や撫で肩といった、より細かな体型補正を加えることができるものを指します。
フルオーダースーツ
最後の種類が「フルオーダースーツ」です。
「ビスポーク」と呼ばれることもあるフルオーダーでは、顧客一人ひとりの型紙が用意され、注文や修理の度にその型紙に微調整が加えられていきます。
これまでご紹介してきた中で最も自由度が高く、縫製の難易度も高いスーツです。
スーツの価格の相場
先ほどの分類に基づいて価格の相場の目安をまとめると以下の表のようになります。
値段が変わる理由
ここからは、なぜスーツの種類によって値段が大きく変わるのか、その理由についてご説明いたします。
縫製の違い
まず一つ目の要素として、「縫製の違い」が挙げられます。
既製のスーツは、同じ製品を大量生産することや、機械縫製を導入することでコストを下げることができます。
“オーダースーツ”に分類される3種類の中では、
パターンオーダー < イージーオーダー < フルオーダー
の順で調整を加える箇所が多くなり、工数や熟練された技術もより多く必要になるため、それに従って価格も高くなっていきます。
また、イージーオーダーやフルオーダーになってくると、生地をはじめ(後述)、芯地などの副素材や、ボタンや裏地なども上質なものが使われる傾向にあります。
特にフルオーダーでは、実際の縫製に入る前に「仮縫い」とよばれるフィッティングの作業が必須となり、こちらも価格が上がる理由の1つです。
生地の違い
スーツの価格に大きな影響を与えるもう一つの要素が「生地の違い」です。
スーツに使われる生地には、大きく分けて化学繊維と自然繊維があります。
化学繊維と自然繊維
化学繊維は、ポリウレタン、ポリエステル、ナイロンなど人工的に製造された繊維のことをいいます。
型崩れしにくくシワになりにくいといったメリットがある化学繊維は、比較的容易に大量生産が可能なため、その価格はリーズナブルなものがほとんどです。
それに対して自然繊維とは、羊毛(ウール)や綿(コットン)、絹(シルク)のように自然に存在している繊維を取り出して利用するもののことを言います。
カシミヤ、リネンなども自然繊維に分類されます。
自然繊維は、ナチュラルな風合いや肌馴染みが良いことが大きな魅力ですが、その性質上、品質の個体差が大きく、上質な自然繊維には高価な値段がつけられます。
つまりスーツ生地の値段に大きく影響を与えるのは、使われている自然繊維の品質であり、高価な生地には高品質な自然繊維が多く使用されている可能性が高いともいえるでしょう。
ウール生地における原毛の細さとSUPER表示
スーツ生地に用いられる自然素材の代表にウール(羊毛)があります。
スーツ生地のPRに「SUPER〇〇’s」という表示をご覧になったことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。この「SUPER〇〇’s」という表記は、使用されているウールの原毛の細さを表すものです。
例えば、SUPER120’sは「17.5ミクロンの原毛」を指しています。
SUPER表示が高いオーダースーツ生地であるほど、光沢感が出て・軽く・発色が良くなり・しなやかで肌触りが滑らかになります(実際には、糸の紡ぎ方、生地の織り方・加工方法などによっても左右されます)。
そして「SUPER表示が高いほどに、繊細な原毛を使用している」ため、基本的には価格が高くなっていきます。
(詳細はなぜオーダースーツの生地は価格が違うのかをご覧ください)
具体的な数値まで覚える必要はありませんが、「SUPER表示が高いほど価格も高い」ということを頭に入れておくと、スーツの価格と品質を理解するための参考となってくれるはずです。
表示価格とオプションについて
ここまではスーツの価格相場と、それがどのような要素により決まっているのかをご紹介してきました。
最後に1点、実際にスーツを購入する際に注意すべきポイントをご紹介いたします。
それは、
「表示価格(本体価格)と実際にかかる金額が異なることがある」
ということです。
テーラーによっては、標準以外の仕様や、裏地、ボタンなどを選んだ際に通常料金にプラスしてオプション料金がかかることがあります。
当然、標準の範囲内のものを選べば追加料金はかからないわけですが、その中からでは自分の好みに合うものが見つからない可能性があります。
また、体の大きな方であれば追加の生地が必要になる可能性も考えられます。
オプション料金についてはお店によって千差万別ですので、トラブルを避けるためにも、スーツ購入時に予算を伝えるともに、オプションの内容をあらかじめ 確認しておくのが良いでしょう。
ちなみに銀座英國屋では無料ボタンで約400種類、無料裏地で約80種類を用意しており、ほとんどのお客様が無料のボタン、裏地をお選びになっています。
また、フルオーダースーツテーラーとして、標準以外の仕様(例えば内ポケットの位置の変更)についても、特殊なものを除けばオプション料金は頂戴しておりません。
(詳細はオーダースーツにかかるお金を徹底解説|結局、銀座英國屋では、いくらで仕立てられるのか?をご覧ください)
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の記事では「スーツの価格相場と値段が変わる理由」についてご紹介いたしました。
スーツの価格相場は以下の通りです。
・既製スーツ:¥10,000-〜
・パターンオーダースーツ:¥20,000-〜
・イージーオーダースーツ:¥50,000-〜
・フルオーダースーツ:¥200,000-〜
また、スーツの値段が変わる主な理由は以下の通りです。
・縫製の違い
・生地の違い
・オプション料金の有無
今回の記事が、皆様がよりご自身にあったスーツを、納得した価格で購入するための参考となりましたら幸いです。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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