オーダースーツ 銀座英國屋コラム春のスーツのコーディネート。アイテム選びからオススメの合わせ方まで徹底解説!
春のスーツのコーディネート。アイテム選びからオススメの合わせ方まで徹底解説!
暖かくなってくると、服装も春らしく軽やかにしたいものです。
しかし、スーツスタイルを構成するアイテムは、スーツ・シャツ・ネクタイと通年で変わらないため、どのように「春らしさ」を演出すれば良いか分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このコラムでは、春にオススメのスーツコーディネートを解説いたします。
なお、ポイントを先に紹介すると以下の通りです。
・春のスーツでオススメのものとは
・スーツの色、柄
・春のスーツに向いている素材
・見栄え良く見えるためにはサイズ感が重要
・オススメのシャツ
・基本は白無地
・華やかな印象を演出したいとき
・柄物シャツを使う際の注意点
・春のスーツにオススメのネクタイ
・パステルカラーのネクタイがオススメ
・ネクタイの素材はシルク一択
・ネクタイの柄
・春のスーツのコーディネート
・コーディネートは柄の数を意識する。
・ポケットチーフを挿してみる。
・その他の小物アイテム
・オススメの靴は?
・ベルトについて
・靴下について
このコラムが、春のスーツのコーディネートについてのご参考となりましたら幸いです。
春のスーツでオススメのものとは
春に着るスーツのオススメは、どのようなものでしょうか。
ここでは、スーツの色、柄、素材などに触れながら解説していきます。
スーツの色・柄
春は、秋冬の季節と比べると暖かく、ファッション全体でも明るい色のものが増えてきます。それに伴い、スーツの色も明るいものを選びたくなるものです。
しかし、多くの方にとってビジネスシーンにおいてスーツを着る目的は、「信頼を得て、仕事での成果につなげること」ではないでしょうか。
そうであれば、春先に着るスーツといっても、色味が明るすぎるものや派手な柄のものは避けた方が無難です。
「お相手から信頼を得る」という視点で考えると、オススメはやはりネイビーやグレーのベーシックなスーツとなります。中でもダークネイビーやミディアムグレーは、落ち着いた色味でもあり、世代を問わずきちんとした印象を持っていただけます。
スーツの柄に関しては、基本的に無地がオススメです。これは後ほどのコーディネートの項目で詳しく解説しますが、スーツに柄が入っていると、コーディネートが一気に難しくなり、シャツやネクタイの選択肢が限定されてくるためです。
もし、柄物のスーツを着たい場合は、ストライプ柄が良いでしょう。その際、ストライプの線が細く目立たないものを選ぶと悪目立ちをせずオススメです。反対に、ストライプの線が太く、線の間隔が広いものを選ぶと、強面な印象を与える恐れがあるため注意が必要です。
また、シャドーストライプという「スーツ生地の織りでストライプ柄が配されているもの」も、光の当たり加減でさりげなく柄が見えるのでオススメです。
春のスーツに向いている素材
春に着るスーツの生地は、基本的に秋冬と変わらずウールがメインになります。ただし、秋冬もののスーツと全く同じウール素材ではなく、「サマーウール」と呼ばれる、生地が薄く、軽いものを選ぶようにしましょう。このサマーウールは、触るとざらりとした感触で、織り目が粗く通気性に優れているため、徐々に暑くなってくる春以降のスーツ生地に最適です。
また、ウール以外ではモヘアも通気性、吸湿性に優れているため、春夏のスーツ生地としてよく使われる素材です。モヘアはウールと比べると光沢感があり、生地自体も高級になります。
なお、春のスーツ生地としてはリネン(麻)を使った混紡の生地もあります。このリネンは通気性に優れていますが、シワがなりやすいというデメリットもあります。そのため、リネン混のスーツを選ぶ際は、生地の特性を理解した上で着用することをオススメします。
見栄え良く見えるためには、サイズ感が重要
スーツは、サイズがぴったりと合っているものを着たときに、最も美しく精悍に見えるように作られています。春のスーツに限らず、スーツを見栄え良く着るためには「サイズ感」が大切なポイントと言えます。
緩いサイズの方が楽であるという理由で、ゆったりとしたサイズのスーツを選ぶ方もいらっしゃいますが、大きすぎるスーツは野暮ったく見え、ルーズな印象を与えるためオススメできません。
スーツのサイズがご自身に合っているかの目安は、ジャケットとスラックスそれぞれに細かく定められています。例えばジャケットの袖丈は、「中のシャツの袖口が1cm程度見える長さにする」といった具合です。スーツのサイズ感については、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
参考:スーツはサイズ感が命!|正しいスーツ選びのチェックポイント|オーダースーツの基礎知識
オススメのシャツ
基本は白無地
スーツを着る際にオススメのシャツは、白の無地です。白には清潔感があり、着ることで凛とした印象を与えるだけでなく、レフ板(写真撮影で被写体に光を当てる道具)の効果を持つため、顔写りが明るくなります。また、シャツに色味や柄がないことで、他のアイテムとのコーディネートも楽になる点も魅力です。
華やかな印象を演出したいとき
もし白以外のシャツを選ぶ場合には、淡い水色などが、春らしく華やかな印象を与えてくれるでしょう。淡い水色のシャツは、ダークネイビーやミディアムグレーのスーツとも好相性です。
柄物シャツを使う際の注意点
このように、シャツは白か淡い水色の無地がオススメですが、柄物を選ぶ場合には、ストライプ柄が取り入れやすいでしょう。
ただし、ストライプ柄のシャツを着る場合、線が太いものを選ぶとVゾーンの印象が強くなりすぎる恐れがあります。また、シャツで柄物を使っているので、スーツやネクタイの選択肢が限定されてきます。ストライプ柄のシャツを選ぶ際は、線が細く、遠目で見て目立たないものがオススメです。
また、柄物ではありませんが、シャツには「クレリックシャツ」という種類があります。これは襟とカフ(袖口のパーツ)のみが白く、身頃などその他の生地が異なる色・柄で作られたシャツのことです。
クレリックシャツは、シャツの中に複数の色や柄があり、明るく華やかな印象を与えます。春のスーツコーディネートに向いているとも言えますが、シーンによっては派手に見えてしまうので注意をして選びましょう。
春のスーツにオススメのネクタイ
スーツとシャツがベーシックなものである場合、Vゾーンを春らしく彩ることができるのがネクタイです。ここでは、オススメのネクタイについて解説します。
明るめのネクタイがオススメ
春には、軽やかな印象となる「明るい色味のネクタイ」がオススメです。一例として、明るいブルーのネクタイなどは取り入れやすくオススメです。ボルドーや焦茶などの暗いトーンの色味のネクタイは、秋冬シーズンを連想させるため、なるべく避けるようにしましょう。
ネクタイの素材はシルク一択
次は、ネクタイの素材についてです。ネクタイで使われている素材には、光沢のあるシルクのネクタイ、ウールのネクタイ、ざっくりとした織りが特徴のニットタイなどがあります。
ビジネスシーンで使う場合、春のコーディネートで選ぶべきネクタイは、シルク素材のみ。ウールタイは秋冬のイメージを与え、ニットタイはカジュアルな印象を与えるため、春のビジネスシーンには適していません。
ネクタイの柄
今度はネクタイの柄について見ていきましょう。
オススメは無地かピンドット
ネクタイの柄については、無地かピンドット(針で刺したような小さな点状の柄)がオススメです。無地のネクタイ(ソリッドタイ)は、精悍な印象を与えてくれ、ピンドットのネクタイは控えめで上品な印象を届けることができます。
柄物のネクタイを使うときの注意点
柄の入ったネクタイを使う際、主張が強い柄や、アニメのキャラクター柄といった趣味性が強いものは、ビジネスシーンには不向きなので避けましょう。
春のスーツのコーディネート
これまで解説したことを踏まえて、ここでは「春のスーツのコーディネート」についてお伝えいたします。
コーディネートは柄の数を意識する。
スーツのコーディネートをする上で、大切なのは色と柄です。これは色と柄が多くなるほど、コーディネートが難しくなるためです。スーツスタイルで登場する主なアイテムは、スーツ・シャツ・ネクタイ・靴。この中で上半身の顔まわりは、特に人の目線が集まるためコーディネートを左右する要となります。
スーツのジャケットを着用したときに、衿開き部分から見えるシャツとネクタイの位置がアルファベットの「V」の字に見えることから、この部位を「Vゾーン」と呼びます。
コーディネートは、このVゾーンの色と柄で考えることがポイントです。
基本の柄数は「1」
Vゾーンにはジャケット、シャツ、ネクタイの3つのアイテムが登場します。このVゾーンの各アイテムの柄数でコーディネートを考えると、失敗を避けることができるでしょう。
そして、オススメの柄数は1です。例えばネクタイに柄が入っていれば、ジャケットとシャツは無地を選ぶという具合です。こうすることで、見た目の印象がくどくならず、すっきりとした装いになります。
スーツショップや百貨店などで、柄の数が2または3のコーディネートを見かけることがあります。一見オシャレではありますが、アパレル業界など一部を除いては派手に見えてしまうことが多く、またコーディネートの難易度も上がってしまいます。スーツのコーディネートでの基本の柄数は、1にしておいた方が無難と言えるでしょう。
なお、スーツの生地に織り柄でストライプが入っているもの(シャドーストライプ)は、遠目では無地にも見えるため、柄の数に入れなくても問題ありません。
色も意識する。
柄数だけでなく、色選びも大切です。色の持つ印象によって、Vゾーンがメリハリのあるものになったり、逆に弱い印象を与えたりするからです。
たとえばネイビースーツに白無地のシャツを合わせた場合、ネクタイは赤系統と青系統のどちらもメリハリのある精悍な印象になります。
しかし、水色のシャツを着た時にも同じような色味のネクタイを選んでしまうと、ネクタイの色味が浮き立たず、どこか平坦な印象になってしまいます。
このように色の数が増えるほど、考慮するべき点も増えてコーディネートの難易度が上がるため、まずは白いシャツを選び、ネクタイの色・柄で変化をつけると良いでしょう。
ポケットチーフを挿してみる。
これまでは基本的なコーディネートについてお伝えしましたが、応用としてポケットチーフを挿す方法もあります。ここでは、ポケットチーフの使い方について解説します。
オススメは白のリネン(麻)素材のポケットチーフ
ポケットチーフはそれ自体、華やかな印象を与えるアイテムなので、春のコーディネートに向いていると言えるでしょう。オススメは、白無地でリネン素材のポケットチーフ。胸ポケットからチラリと覗くことで、華やかかつ清潔感のある印象を演出できます。
華やかさを演出したいときはシルク素材のポケットチーフも有効
さらに華やかで春らしい演出をしたい時には、シルク素材のポケットチーフも良いでしょう。シルク素材のポケットチーフには美しい光沢があり、胸元にあることでスーツスタイルが華やぎます。
色は、シルバーやゴールドなどのポケットチーフを選ぶと、結婚式などセレモニーの印象となり、ビジネスシーンからは少し離れたイメージとなるので注意が必要です。
シルバーやゴールド以外の色で派手なものは避け、無地またはほのかに柄が入っているものが良いでしょう。
ポケットチーフの挿し方
続いて、ポケットチーフの挿し方をご紹介します。
リネン素材のポケットチーフは、「TVフォールド」という四角く折ったポケットチーフを胸から1~1.5㎝ほど出す挿し方がオススメです。
また、シルク素材のポケットチーフは「パフドスタイル」という胸ポケットからふんわりとポケットチーフが覗いている状態が適しています。
ただし、ポケットチーフは元々オシャレの要素が強く、装飾性のあるアイテムです。実際に挿すかどうかは職場の雰囲気、お仕事内容なども加味して判断すると良いでしょう。
その他の小物アイテム
春のスーツコーディネートとして、最後に靴、ベルト、靴下、コートなどについて解説します。
オススメの靴は?
春シーズン用の特別な靴は必要ありません。通年を通して使うことができる、ベーシックなもので良いでしょう。
もっともフォーマルな靴は黒のストレートチップ
オススメは、黒のストレートチップと呼ばれるデザインの革靴です。ストレートチップは、靴のつま先側に横一文字の線が入った革靴で、もっともフォーマルな装いで使われます。ビジネスシーンで一足は持っておきたい革靴です。
茶色の革靴もオススメ
黒以外の革靴としては、茶色もオススメです。
靴の色は、最もフォーマルな色が黒で、茶色が明るくなるほどカジュアルな印象になります。そのため、明るすぎる茶の革靴はビジネスシーンにはあまり適していません。
また、ダークネイビーやミディアムグレーのスーツを着たときに、足元だけが明るい茶色だと、靴だけが浮いて見えてしまいます。茶色の靴を選ぶ際には、ダークブランから通常の茶色あたりを選ぶことをオススメします。
靴は手入れをしっかりしておく。
革靴は、履いているうちに擦り傷や汚れなどがつくので、しっかりとメンテナンスをしましょう。手入れをしないまま放っておくと、他のコーディネートが美しくても靴の傷みにばかり目が向いてしまうため注意が必要です。
ベルトについて
ベルトは本革のものを選び、色は靴の色と合わせましょう。
ベルトのデザインは、横幅が太くなるほどカジュアルな印象になるため、標準的な幅のもの(3〜3.5cm程度)が適しています。
また、ベルトの金具部分のデザインを大別すると、無段階で調整できるものと尾錠式(ベルト穴に金具を通すタイプのもの)の2種類があります。ビジネスシーンでのオススメは、尾錠式です。
尾錠式のベルトの革部分には、穴が5つ開いているものが多く、締める際は中央3つ目の穴に金具を通すようにしましょう。これは両端のベルト穴を使うことで長さが足らないベルトを無理に使っているように見えたり、逆に大きすぎるものを使っているように見えることを防ぐためです。
靴下について
靴下はスーツの色に合わせてダークネイビーやミディアムグレーを選ぶと、ズボンと繋がっているように見えるため、足を長く見せる効果が期待できます。
また、座る際にズボンと靴の間からスネが見えてしまうのはマナー違反。そこでオススメなのは、「ロングホーズ」と呼ばれる膝下までしっかり長さがある靴下です。ロングホーズの靴下を履くことでスネを隠すことができ、安心して過ごすことができます。
春に着るコート(スプリングコート)について
春とは言っても、まだ朝晩は寒い日もあるでしょう。
そんなときに役に立つのがコート。中でもスプリングコートは、この時期ならではのアイテムなので、季節感を演出する上でも最適です。
スプリングコートには春のイメージがありますが、寒さが厳しくなる前の秋口にも使えるため、一着持っておくと重宝します。
ビジネスシーンで使うコートは、スーツの上に着用する使い方がメインになるため、試着をする際も実際にスーツを着た状態で行うとサイズ選びで失敗がありません。
まとめ
このコラムでは、春にオススメのスーツコーディネートについて解説しました。
今回紹介したポイントは以下の通りです。
・春のスーツでオススメのものとは
・スーツの色、柄
・春のスーツに向いている素材
・見栄え良く見えるためにはサイズ感が重要
・オススメのシャツ
・基本は白無地
・華やかな印象を演出したいとき
・柄物シャツを使う際の注意点
・春のスーツにオススメのネクタイ
・パステルカラーのネクタイがオススメ
・ネクタイの素材はシルク一択
・ネクタイの柄
・春のスーツのコーディネート
・コーディネートは柄の数を意識する。
・ポケットチーフを挿してみる。
・その他の小物アイテム
・オススメの靴は?
・ベルトについて
・靴下について
このコラムが、春のスーツのコーディネートについてご参考となりましたら幸いです。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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