オーダースーツ 銀座英國屋コラムスーツの持ち運び方とたたみ方は?シワを防ぐポイントを解説
スーツの持ち運び方とたたみ方は?シワを防ぐポイントを解説
出張や冠婚葬祭など、外出先にスーツを持っていく機会はさまざまあります。
特に出張が多いビジネスパーソンにとって、ジャケットやスラックスの持ち運びは、もはや仕事の一部です。相手の信頼を獲得するためにも、きれいな状態で清潔感のある着こなしを心がけたいもの。ですが持ち運び方によっては、スーツにシワができてしまうことがあります。
今回の記事では、シワを防ぎつつスーツを持ち運ぶポイントを解説します。スーツケースに入れるなら覚えておきたいたたみ方、シワができた時の解消方法、持ち運びに適したスーツの選び方もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
スーツの持ち運び方
スーツの持ち運びには、おもに以下の3つのアイテムを用いる方法があります。
スーツカバー
スーツカバーは、スーツを購入した際にショップ側がつけてくれる簡易的なケースです。ハンガーに掛けたまま収納し、二つ折りにした状態で持ち運びます。
ちょっとした外出や日帰りの出張などであれば、ホコリや汚れの付着から十分守ってくれます。軽量で扱いやすいことも魅力のひとつです。
一方、スーツカバーは不織布などでできていることが多いため、耐水性はそれほど強くありません。荒天の中で用いる際は、雨や雪に晒されないよう注意しましょう。
ガーメントケース
ガーメントケースは、スーツを持ち運ぶために設計された専用のケースです。大抵の場合、撥水性やクッション性のある素材を用いて作られています。持ちやすいハンドルや肩掛け用のストラップがついていることもあり、快適に持ち運びできます。
ネクタイホルダーや小物用のポケットがついている商品も多く、収納力が高いこともガーメントケースの特徴です。
頻繁にスーツを持ち運ぶ方におすすめのアイテムです。
スーツケース
スーツケースを用いて持ち運ぶことももちろん可能です。他の持ち物と一緒に収納し、手荷物の数を減らすことができます。何かと物が多くなりがちな、長期間の出張や旅行にオススメです。
ただし、しまい方によっては、荷物の重さなどでシワがつきやすくなったり、生地を傷めてしまったりする可能性もあります。これからご紹介するたたみ方や、持ち運びのポイントを押さえればリスクを軽減しやすくなるはずです。
スーツケースに収納する際の
スーツのたたみ方
スーツケースに収納する際、スーツをどのようにたためば良いのか、迷われる方も多いようです。ここでは、スーツのたたみ方について具体的にご紹介いたします。シャツ、ネクタイのたたみ方も併せて解説します。
ジャケットのたたみ方
①フラップ(フタ)をポケットの中にしまう
フラップが外に出ていると、折れてしまうことがあり、シワの原因となります。
②肩部分に内側から手を入れ、背中側に軽く折る
このとき襟を立てておくことで、シワを軽減できます。
③どちらか片側の肩を裏返し、反対側の肩に上から被せる
肩パッドを潰さないよう注意します。
④襟と裾を揃える
余計なたるみがないよう整えます。
⑤ジャケットを半分に折りたたむ
折り目となる部分にタオルなどのクッションを入れると、シワを軽減できます。たたんだスラックスを間に挟むのもオススメです。
スラックスのたたみ方
①クリースライン(折り目)に沿って整える
ずれが生じていると、余計な折り目がつくリスクが高まります。丁寧に整えましょう。
②スラックスの中央を目安に2回折りたたむ
折り目となる部分にタオルなどのクッションを入れると、シワを軽減できます。
シャツのたたみ方
①フロントボタンを留め、背中側を上にして置く
ボタンは全て留めるか、1個おきに留めます。
②片側を、首から肩先の1/2の位置で折る
折り目は背中心と平行になるようにします。
③袖を折り返す
こちらも折り目は背中心と平行になるようにします。
④反対側も②・③と同じように折りたたむ
⑤身頃を三つ折りにする
裾を袖の折り返し部分に差し込むと、より安定します。
ネクタイのたたみ方
①折り目がつかないよう軽く2つ折りにする
タイループがあれば通しておきます。
②軽く3つ折りにします
スーツを持ち運ぶポイント
スーツを持ち運ぶ際のポイントをご紹介いたします。以下を押さえることで、出先でもより綺麗な状態のまま着ることができます。
運ぶ時間は最低限に
持ち運ぶ時間は、最低限に留めることが大切です。折りたたまれている時間が長くなるとシワや型崩れの原因になります。
可能な限り移動する直前にパッキングし、到着後は速やかにハンガーにかけます。荷物を開けられるタイミングがあれば、ときどき中を確認し、畳んだ状態から乱れていないか確認しましょう。
もし乱れていた場合は、たたみ直すのがベストです。とはいえ、外出先でジャケットやスラックスを広げるスペースを確保するのは簡単ではありません。ずれた折り目を軽く整えるだけでもシワを防ぎやすくなりますので、ぜひ実践してみてください。
スーツケース収納時は一番上に
スーツケースへの収納では、X型のベルトが付いている場合は、上記の畳み方で収納すれば、左右上下に動くこともないですが、X型のベルトが付いていないスーツケースの場合は、キャスターを下にして、スーツケースを立てた場合、一番上に置くのが鉄則です。他の荷物の下に収納すると、重みによってシワや型崩れが起きやすくなります。荷物をパンパンに詰めてしまうのもNGです。圧力が加わることにより、同様のリスクが懸念されます。
また最後に収納すれば、目的地で最初に出すことになるため、折りたたまれた時間自体を短くできます。ケースから取り出しやすいというのもメリットです。すぐにハンガーにかけ、必要に応じて迅速にシワへの対処が必要かどうかの判断もできます。
ニオイや湿気に気をつける
ニオイの強いものや湿気のあるものは、スーツとは別に収納することをオススメします。
スーツについたニオイは、案外自分では気がつきにくいものです。外出先ではクリーニングに出すことが難しく、一度ニオイがついてしまうと取りにくいという事情もあります。
湿気のある状態ではシワのリスクが高まります。また、長時間濡れた状態で放置することは、生地の傷みに繋がります。
ニオイの強い食品類や、湿気につながるペットボトル・化粧品などは、分けて持ち運ぶようにしましょう。
スーツのシワを取る方法
どれだけ気をつけて収納をしてもシワがついてしまうことはあります。ここでは、シワを取る方法についてご紹介いたします。
霧吹きで水をかける
まず初めにご紹介するのが、霧吹きで水をかける方法です。
霧吹きに水か、ぬるま湯を入れ、シワになっている部分に軽く吹きかけます。その後ハンガーに吊るして自然乾燥させれば、繊維の回復力でシワが解消します。
100円ショップなどでも、小型で軽量の香水用アトマイザーを販売しています。スーツを持ち運ぶ際に携行すれば、宿泊先で水を補充し霧吹きがわりに使えます。
市販のシワ取りスプレーを使用しても同様の効果を得られます。除菌や消臭などの効果を兼ね備えたものであれば、同時にメンテナンスを済ますことができます。ただし、生地の素材によっては使用できないものもあるため、使用の際は必ず確認しましょう。
ベルトをした状態でハンガーにかける
スラックスにシワが入った場合、ベルトをした状態で裾を上にして、ハンガーにかけることでシワをとることができます。この方法では、クリップ式のスラックスハンガーか、スラックス留めのついたスーツハンガーを用います。
スラックスハンガーを使用する場合は、ベルトをした状態でスラックスの裾をクリップに固定し吊るします。スーツハンガーでは、同じくベルトをつけたまま、裾に近い部分をスラックス留めで固定する形です。あまりに裾に近すぎると重みでスラックスが滑り落ちてしまう可能性があるため注意が必要しましょう。
この状態でしばらく置いておくと、ベルトとスラックス自身の重みによって生地が伸ばされ、シワが回復していきます。スラックスを掛けたあと、シワの部分に霧吹きで軽く水を吹きかけておくとより効果的です。
外出先のシワ取りとしてはもちろん、1日着用した後のメンテナンスとしても有効です。
アイロンを使用する
深いシワがついた場合は、アイロンを使用します。多くのホテルでは貸し出しサービスを実施しています。
スチームアイロンの場合は、軽く蒸気を出しながらシワのある部分に軽くアイロンを当て、優しく伸ばしていきます。このとき、生地を軽く引っ張りながら行うと効果的です。アイロンを強く当てすぎないよう注意しましょう。
スチーム機能がないアイロンでは、シワの部分を水で軽く湿らせてから行います。アイロンの熱で水が蒸発し、スチームアイロンと同様の効果を得ることができます。
なお、アイロンをかける際は、必ず当て布(ハンカチ等)をしましょう。当て布なしで熱を加えると、生地を傷めやすくなります。なお、当て布としてタオルを使うと、タオル表面の細かな繊維がスラックスに付いてしまうため、やめましょう。
また、外出先で借りるアイロンは、普段使っているものと設定温度が違う可能性があります。温度が高すぎるとテカリや傷みの原因となり、逆に低すぎると綺麗に仕上がりません。スーツの洗濯表示と、アイロンの設定をよく確認してからシワ取りをするようにしてください。
シワになりにくいスーツの選び方
シワになりにくいスーツを選ぶ際、重要となるのは素材です。
基本素材であるウールは、シワを防ぐという観点から見ても優秀な素材です。高い弾力性と反発性を持ち、安定した構造をしています。シワができても、湿気を含ませることで元に戻るという特徴もあります。
紡織技術の発達した現代では、糸の撚り方や生地の織り方によってシワ防止加工を施したものも多く出回っています。出張前提の1着なら、ウールの中でも防シワ加工付きの生地を選ぶのがオススメです。
カシミヤやシルクを使用したスーツは生地が繊細なため、折りたたんで持ち運ぶには不向きです。頻繁に持ち運ぶ必要のある方は、ナイロンやポリエステルといった化学繊維を使用したものを選ぶのも良いでしょう。高い耐久性を持ち、価格もリーズナブルであるため、比較的気を遣わずに持ち運ぶことができます。
まとめ
このコラムでは、シワになりにくいスーツの持ち運び方についてご紹介いたしました。たたみ方や、持ち運びのポイント、シワの取り方を押さえることで、外出先でも綺麗な状態で着ることができます。
本記事が、少しでも皆様の参考になりましたら幸いです。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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