オーダースーツ 銀座英國屋コラムゼニアのエレクタとは?~オーダースーツ人気ブランド生地の解説!
ゼニアのエレクタとは?~オーダースーツ人気ブランド生地の解説!
エルメネジルド・ゼニアでオーダースーツを仕立てる方が、一度は検討される「エレクタ」。シワになりにくく、優れた耐久性を備えた定番オーダー生地です。
今回は、このゼニアのエレクタについて紹介いたします。
※ゼニアのブランド紹介は、エルメネジルド・ゼニアとは?|オーダースーツ生地ブランドの解説をご参照ください。
「秀逸」と名付けられた世紀のロングセラー
人気生地ブランドのエルメネジルド・ゼニアの代表的なスーツ生地銘柄のひとつエレクタ(ELECTA)シリーズは、ラテン語で「秀逸」という意味があります。
その名の通り秋冬シーズンの定番として、数えきれないほど多くのゼニアファンを魅了してきた世紀のロングセラーです。
1929年の誕生以来、世の人の審美眼を魅了し続ける銘柄
1929年に発表された長い歴史を持つエレクタは、完成度が非常に高く、誰もが認める高級感が漂う生地です。90年以上にわたって、世の中の人々を魅了し続けてきたといえるでしょう。
原料となるオーストラリアの上質なメリノウールへのこだわりや、紡績プロセス、染色プロセス、織布プロセス、整理プロセスほか、すべての製造工程にこだわりを持ち続けるからこそ、ブレない安定した品質が維持されています。
イタリア生地と英国生地の優れた面を織り込んだ生地
エレクタはイタリア生地が持つ美しい光沢や滑らかさだけでなく、英国生地が持っている質実剛健の丈夫さを兼ね備えています。
一般的には美しい生地というものは繊細で、ビジネスでハードに着る用途には向いていません。いわゆる「よそ行き」の服となります。しかしエレクタはそうではありません。
エレクタに使用される糸はスーパー110’sクラス(18ミクロン級)なので、一般的には極細繊維の部類に入ります。しかしながら、スーパー130’s相当やスーパー150’s相当も珍しくないゼニアにおいては、むしろ繊維が太い部類に入るといってよいでしょう。
そもそも極細繊維の素材に耐久性を持たせて織ることにかけて、超一流の技術を持っているゼニアなのです。そのため、スーパー110’sクラスのエレクタの耐久性は相当なものになります。
シワにも強く、あまりシワが残りません。もちろん、長時間にわたって座っているとシワは多少残ります。それでも回復力が強いのでスチームを当てるか、霧吹きをしてひと晩吊っておけば綺麗に復元するのです。
エレクタの特徴と魅力
1世紀近くにわたって多くのビジネスパーソンの身を包み、鼓舞してきたエレクタの特徴と魅力について触れておきましょう。
仕立て映えを裏付けるスペックとは
エレクタはゼニアの銘柄の中でも、とりわけ仕立て映えが良いと評判が高い生地です。エグゼクティブに相応しいグレード感が漂います。
クリアカットをされた、毛羽立ちがない平らな生地の表面は、高級感のある艶を生みますが、決して光り過ぎずに品格を保つところがポイントです。
仕立て映えを裏付けるスペックとして、まず生地の目付(生地1メートルあたりのグラム数)がほかのゼニアの銘柄よりもしっかりしています。現在のものは軽量化されてきて300〜310g程度ですが、ほかの銘柄が240〜260gであるなかで重い方です。
もちろん、誕生した頃は現在の生地の価値観とまったく違うので、数値はわかりませんが今のものより相当重かったのは間違いないでしょう。近年でも2017年頃までは340gの時代が長く続いていたくらいです。
衣服全般の軽量化のトレンドを反映して、現在の目付にシフトしてきました。
そうであっても、最高水準の紡績・加工技術ならびに良質な素材が本来持ち併せているクリンプ性(繊維の持つ微細な縮れ)などにより、耐久性や復元力に優れていることは変わりません。
トレンドが変われど微動だにしない普遍の風格
スーツファッションは時とともに変化し、その折々のトレンドがあります。それによって、オーダー生地の銘柄も浮き沈みがあるものです。
エレクタはその長い歴史の中で、継続してオーダー生地の一級品としての地位が揺らぐことはありませんでした。
「ファッションは流行りではなく流儀」を体現
そもそも「ファッション」という言葉は、本来は「流行り」という意味ではありません。Fashionは「流儀」という意味です。
現代ファッションの大元となっているものは、英国を中心とする貴族の服飾文化といえます。貴族には、立ち振る舞いや装いに強いこだわりと哲学・美学があることは周知の通りです。
貴族に憧れた本来中産階級の大地主たちは、貴族以上に貴族らしい気高い生き方を貫くことにより「ジェントリー」と呼ばれて上流階級に迎えられました。そして彼らは貴族よりもストイックに、自分達の流儀で振る舞いと装いの哲学を貫きます。
そんな彼らを庶民たちは尊敬を込めて「ジェントルマン」と呼び、いでたちや身のこなし、ひいては生き方を「ダンディ」と表現しました。それが「ダンディズム」の語源となったと言われています。
そんなダンディな流儀(fashion)がジェントルマンに憧れる民衆の間に広がり、流行っていく様子を表現する言葉がfashionとなったという説が、一定の説得力があるでしょう。
エレクタには、その話に通じるものがあります。流行りに乗った生地ではないけれど、こだわりに貫かれた生地の本質的な価値によって多くの人に広まっていく・・・。まさにfashionを地で行くような生地といえます。
エレクタでスーツを仕立て、威風堂々と着ることで、fashion本来の意味を体現できるかもしれません。
エレクタはこんな人におすすめ
エレクタをおすすめしたい人は、生地の特性から考えればアグレッシブに仕事に取り組んでいるビジネスパーソンです。
日頃ハードに活動したり出張によく出掛けたりする人でも、常に優雅に見合える生地の品格と併せて、耐久性とシワが気にならない点でもおすすめです。
耐久性とシワへの強さだけでいえば「トラベラー」シリーズもよいでしょう。しかし、オーダースーツらしい艶やかさやなめらかさ、漂うエレガンス、そしてしっかりとした重厚感を求める方には、エレクタがおすすめです。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
銀座英國屋では、銀座一丁目店にて、ゼニアの人気オーダー生地である「エレクタ」「トロフェオ」の現物を数多く展示しており、生地サンプル帳では分かりにくい質感や、色柄をお確かめいただけます。
※ゼニアのトロフェオの紹介は、ゼニアのトロフェオとは?|オーダースーツ人気ブランド生地の解説!をご参照ください。
また、メンズ無料オーダー体験(メンズのオーダースーツの無料相談+フィッティング体験)といったサービスメニューもご用意しています。
「まだ仕立てるか決めてはいないけど、ゼニアのエレクタを見てみたい!」
という方も、お気軽にお越しください。
ゼニア「エレクタ」 シングルスーツお仕立て税込価格363,000 円
ゼニア「トラベラー」 シングルスーツお仕立て税込価格363,000円
ゼニア「トロフェオ」 シングルスーツお仕立て税込価格440,000円
ゼニア「ミルミル(milmil)シリーズ」15milmil15 /14milmil14 シングルスーツお仕立て税込価格550,000円
(銀座英國屋では、ほとんどオプション料金は掛かりませんが、「念のために、自分が選んだ生地・デザインでの仕立て価格を確認したい」というご要望も承っております。)
ぜひご利用くださいませ。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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