スーツに比べてジャケットは生地のバリエーションが多く、オーダーする際に迷ってしまった経験をお持ちの方もいらっしゃることと思います。そんな時ひとつの参考になるのが、「その店で人気のジャケット生地」です。

全ての生地の中から一着を見つけ出すよりも、人気ランキングなどを参考にしながら自分にあっているもの、好みに近いものを絞っていく方がよりスムーズに生地選びを進めることができます。

また、その店が得意としている生地の種類や価格帯も掴めることで、自分に合っているお店なのかどうかも判断しやすくなります。

今回の記事では、

銀座英國屋での人気生地ランキング（オーダージャケット・仮縫い付きお仕立て上がり40万円以上）をご紹介いたします。

あらかじめ内容をまとめますと以下のようになります。

・秋冬シーズンのジャケットの色は、紺系に加えてグレー、茶やベージュなども人気
・秋冬シーズンのジャケットの柄は素材感を生かしたものが人気
・秋冬シーズンの素材は、ウーステッドの他に起毛した素材やツイードが多く選ばれる
・人気ランキングトップ10 （オーダースーツお仕立て上がり40万円以上）

今回の記事が、みなさまの秋冬物のジャケット選びの一助となりましたら幸いです。

それでは早速みていきましょう。

銀座英國屋における、秋冬シーズンのジャケット生地の選ばれ方

ランキングをご紹介する前に、まず銀座英國屋のジャケット生地の選ばれ方についてご説明させていただきます。

銀座英國屋はこれまで、「信頼」を重要視される方々に「信頼を得られる装い」としてのオーダースーツ・ジャケットをお仕立ていただいてまいりました。

オーダースーツ専門店と聞くと、スーツに関する詳しい知識がないと入店できないのではないかと不安感を持たれる方がいらっしゃるかもしれませんが、心配はご無用です。銀座英國屋では、接客担当のスタイリストが、着用シーンやお好み、ご予算をお伺いした上で、最適と思われる生地をご提案させていただくという流れでご案内しています

このような流れでスーツやジャケットをオーダーされる際は以下の3つのポイントを接客担当にお伝えいただくのがオススメです。

・基本①【最重要】「どなたからの信頼を得たいのか？」
・基本②着用シーズン・場面
・基本③ご予算の目安

これらをお伝えいただくことにより、スタイリストがお客様にとってより適切な生地を絞り込みやすくなります。

このオーダースーツの生地選びにつきましては、下記記事をご参照ください。
参考：オーダースーツの生地選びで重要な３つのポイント｜オーダースーツ基礎知識

※補足：
ジャケットをプライベートな場でカジュアルスタイルとしてのみ着用する場合に限っては、基本①「どなたからの信頼を得たいのか」という項目の優先度は低くなります。お好みに合わせてご自由にジャケット選びをお楽しみください。

秋冬シーズンのジャケットの色は、紺系に加えてグレー、茶やベージュなども人気

秋冬シーズンのジャケットの色は、スーツでも人気のある「紺系」「グレー系」に加え、「茶」やベージュなども人気です。

主にビジネスやフォーマルで使われるスーツと異なり、ジャケットはカジュアルスタイルで着用することも考えられます。そのため、ビジネスで用いる場合はスーツに近い紺・グレー系を選び、カジュアルのみで着る場合はブラウンやベージュ系にする、といったように使い分けて選ばれることが多くなっています。

紺やグレーは誠実さや落ち着きを表現でき、ビジネスで必要不可欠な「信頼」に繋がります。またブラウン、ベージュ系は秋冬の季節によく馴染み、日常の外出が楽しくなる色合いです。

シーンに合わせてジャケットの色をチョイスすることで、それぞれの着こなしを充実したものにすることができます。

秋冬シーズンのジャケットの柄は素材感を生かしたものが人気

秋冬シーズンの柄は、素材を生かしたものが多く選ばれました。具体的にはチェック、ヘリンボーン、ウィンドウペーンといった柄です。気温の低い秋冬シーズンのジャケットは肉厚で起毛した紡毛素材が多くなりますが、上に挙げたような柄は紡毛生地と相性抜群です。

また、ツイードやフランネル、ホームスパン系の素材は、生地自体に風合いや立体感があるため、無地でも表情豊かな仕上がりとなります。素材自体が柄の一部と言っても良いでしょう。

このように秋冬ものは、素材と柄がお互いを引き立て合うようなジャケットが人気となっています。

秋冬シーズンの素材は、ウーステッドの他に起毛した素材やツイードが多く選ばれる

先ほども少し申し上げましたが、秋冬シーズンはウーステッド素材のほか、起毛素材、ツイード素材などの紡毛系のものがよく選ばれています。

ウーステッドは梳毛（そもう）とも呼ばれ、糸を作る段階で繊維をくしけずりながら整える工程を経るため、すっきりとした印象の生地に仕上がります。スーツやビジネススタイルのジャケットに多く使われます。

それに対してウーレンとも呼ばれる紡毛（ぼうもう）素材は、短い毛をひとまとめにしてから引き伸ばした糸を使用します。紡毛素材にはふんわりとした温かみがあり、リラックスした見た目と着心地は秋冬のカジュアルスタイルに最適です。

色柄の選び方と同じように、ジャケットの素材も目的に合わせて適切なものを選ぶことが大切です。

オーダージャケット人気ランキング（40万円以上）（オーダースーツ銀座英國屋）

人気ランキングは、こちらです。

順位	ブランド名	コレクション名	税込価格
1位	フィンテックス	–	550,000円
2位	ドミニクフランス	–	770,000円
3位	ドミニクフランス	–	770,000円
4位	ドミニクフランス	–	880,000円
5位	ドミニクフランス	–	605,000円

1位	ブランド名	フィンテックス
	コレクション名	–
	税込価格	550,000円
2位	ブランド名	ドミニクフランス
	コレクション名	–
	税込価格	770,000円
3位	ブランド名	ドミニクフランス
	コレクション名	–
	税込価格	770,000円
4位	ブランド名	ドミニクフランス
	コレクション名	–
	税込価格	880,000円
5位	ブランド名	ドミニクフランス
	コレクション名	–
	税込価格	605,000円

それでは、ここから１つずつ説明させていただきます。

人気ランキング第１位　フィンテックス　白黒ヘリンボーン

高級服地の代名詞「フィンテックス」が第1位にランクイン

人気ランキング第1位は、英国の老舗服地メーカー「フィンテックス」のヘリンボーンです。

スーツの人気ランキングで多数ランクインしたフィンテックスの生地がこちらでも一位に選ばれる結果となりました。

フィンテックスは1881年にジョージ・ペンドルによって設立され、
その名前は「fine texture」=素晴らしい織物 に由来します。
言わずと知れた紳士服地の名門で、英国風の重厚感と構築感、品格とエレガンスを兼ね備えた生地は、スーツ好きにとっての永遠の憧れです。

また、スーツ生地の「耳」とよばれる端の部分に自社のブランド名を織り込むことを考案したメーカーとしても知られています。

参考：フィンテックス・オブ・ロンドン｜織物一筋に百四十年、人生を鼓舞するスーツ服　

オーセンティックな雰囲気が魅力「ヘリンボーン」

「ヘリンボーン」とは直訳すると「ニシンの骨」という意味で、V字が並ぶ柄がまるで魚の骨のように見えることからその名がつけられました。

布地以外にもタイルや壁紙にも用いられることも多い普遍的な柄です。「杉綾」や「矢筈模様」といった別名で呼ばれることもあります。

シンプルながら洗練された雰囲気で、どこかクラシカルな印象を与えるヘリンボーンはジャケット素材としても人気の柄。

第１位に選ばれた黒と白のヘリンボーンは織り目正しさと正統さを表現できる、ビジネススタイルにもぴったりの一着です。

人気ランキング第２位　ドミニックフランス　紺チェック

ネクタイメーカー起源とするフランスのブランド「ドミニック・フランス」

第２位にはフランスの服地メーカー「ドミニック・フランス」の生地がランクインしました。

パリのネクタイメーカーとして事業をスタートしたドニミックフランスは、1939年の創業から45年後の1984年、紳士服の取り扱いをスタートさせます。
ネクタイの第一人者としてのノウハウと誇りを注ぎ込んだ生地は、紳士服地の業界で世界的な評価を受けることとなりました。

また、生地開発における発想も非常に自由であり、
2006年には生地に22カラットゴールドを織り込んだテュー・ド・ソワレ・オール・ドゥ・ヴァンドゥ・カラット（TENU DE SOIREE OR DE 22CARAT）を発表。

翌年にはスーパー150’s（繊維の直径が16.0ミクロン）のウールにプラチナPt950を織り込んだテュー・ド・ソワレ ・プラチナ Pt950（TENU DE SOIREE PT950 PLATINUM）を発表します。

これらの貴金属を織り込んだシリーズはドミニックフランスの代表的な銘柄となりました。

紳士服地を手がけはじめて40年近く経つ現在も、飽くなき探究心で最高品質かつ革新的な生地を生み出し続けています。

参考：ドミニック・フランスとは？～有名スーツ記事ブランド解説

独創的でコンテンポラリーな幾何学模様

第2位にランクインしたドミニックフランスの生地は、大きく分けるとチェック柄に分類される一着です。
ブルーと黒の組み合わせで穏やかな印象のジャケットですが、良くみてみると細かな幾何学模様を組み合わせてチェック柄を表現していることに気がつきます。

このような複雑な柄の生地は製造に手間やコストがかかりその分価格も上がってしまいますが、安価な品には決して真似できない色気や洗練された雰囲気を纏っています。

あまり在庫の多い商品ではありませんが、店頭にて見かけた際にはぜひお手にとってご覧ください。

人気ランキング第３位　ドミニックフランス　ピンク　無地

2位に続いてドミニックフランスがランクイン

第3位にもドミニックフランスの生地が選ばれました。

高級服地ブランドの代表格で、品質の良さと独創性が人気の理由と言えるでしょう。

独特の存在感を生み出す 「ピンク×黒」

「ピンク」といえば、紳士服には縁遠い色に思えます。

しかし、ドミニックフランスの手にかかれば一見使いにくそうなピンクも普段使いできるジャケットに仕上がります。

第3位にランクインした生地は、「ピンク×黒」の組み合わせ。

主張の強いピンクに黒を混ぜることによってバランスをとり、個性的ながらも品良くコーディネートできる一着となっています。

「普通」のジャケットとは一味違う存在感をお求めの方におすすめの逸品です。

人気ランキング第４位　ドミニックフランス　ブルーチェック

ブルー×チェックのカジュアルな一着

第4位にはドミニックフランス、ブルーのジャケットがランクインしました。

明るめのブルーとはっきりしたチェック柄の組み合わせでカジュアルな雰囲気を持つ色柄ですが、絶妙な色彩バランスで非常に上品な仕上がりとなっています。

また、その発色の良さから若々しさを感じられる一着です。

人気ランキング第５位　ドミニックフランス

ランキング2位から5位をドミニックフランスが占める

なんと第2位から第5位までが「ドミニック・フランス」という結果となりました。

40万円以上の高級ラインでは、対応するブランドの数がそれほど多くないという理由もありますが、見た目、着心地、独創性などあらゆる項目で高い水準を満たしているということが何よりの理由です。

紳士服として、伝統や格式、品位を示すという使命を全うしながらも遊び心やファッション性、クリエイティビティを表現できるのはドミニック・フランスならではのバランス感覚によるところが大きいでしょう。

使う素材も最高級であるため価格は相応ですが、他のメーカーにはなし得ない唯一無二の満足感を与えてくれるブランドです。

白と黒のピンチェックが柔らかな空気感を演出

第5位に選ばれたのは白と黒のピンチェック柄。

ピンチェックとは、ピンの先で書いたような細かなチェック柄、あるいは２色の糸を細かく格子状に織った生地のことを指します。

ランクインした生地は後者に相当し、秋冬ならではの起毛した素材感も相まってニット風の柔らかな雰囲気を纏っています。

また白と黒の無彩色でビジネスからカジュアルまでシーンを選ばずに着用できる一着です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回の記事では秋冬シーズンに人気のジャケット生地ランキングトップ10をご紹介いたしました。

あらためて内容をまとめますと以下のようになります。

・秋冬シーズンのジャケットの色は、紺系に加えてグレー、茶やベージュなども人気
・秋冬シーズンのジャケットの柄は素材感を生かしたものが人気
・秋冬シーズンジャケットの素材は、ウーステッドの他に起毛した素材やツイードが多く選ばれる
・40万円以上のジャケットではドミニック・フランスが人気

今回の生地が皆様の秋冬物のジャケット選びの参考となりましたら幸いです。

監修者

小林英毅（銀座英國屋 代表取締役社長）

1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の３代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学ＭＢＡ・明治大学ＭＢＡ・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。

ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか？」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。

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