オーダースーツ 銀座英國屋コラムオーダースーツのボタンの選び方と人気トップ5

オーダースーツのボタンの選び方と人気トップ5

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オーダースーツでは、ボタンや裏地など、様々なオプションを選択することができます。生地だけでなく、細部にまでこだわることで、高級感やオリジナリティを演出することができるのは、オーダースーツならではです。

今回はそんなオーダースーツのディテールの中でも、ボタンについて解説したいと思います。銀座英國屋でご注文の多い「ボタンの人気ランキング」もご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

ボタンの種類

初めてオーダースーツのお仕立てをする場合、「ボタンを自由に選べる」と言われてもピンとこないかもしれません。まずは、基本的な情報としてボタンの種類を確認しておきましょう。

※必ずしも銀座英國屋で取り扱っているものではありません。ここでは一般的なボタンの知識から解説していきます。

水牛

水牛ボタンは、オーダースーツの基本です。高級なボタンと言うと「ナットボタン」を思い浮かべる方もいると思いますが、水牛のボタンはナットよりも高級で、最高級のボタンです。ちなみに「水牛ボタン」と「本水牛ボタン」の2つの呼称がありますが、これらは同じものです。

原産地

水牛の生息する地域になりますので、原産地はインド、アフリカ、南米、東南アジアなどです。日本には、インドや東南アジア産のものが多く輸入されています。

タツ・イタ

水牛ボタンの原材料には、角のパーツによって2つの種類があります。それが「タツ」と「イタ」です。

・タツ

タツとは、水牛の角の先端の方の、中身まで詰まっている部分を、輪切りにしたものです。縦方向に切るから、または切断(断つ)するから、「タツ」という呼び名になったようです。トラ柄のような筋柄が特徴です。

・イタ(板もの)

角の空洞部分を開き、板状にしてからくり抜いたものをイタと呼びます。ワシントン条約がありますので、水牛の角はそのままの形状では輸入できません。そのためタツではタブレット上(輪切り)、イタでは板状に伸ばされた状態で輸入しています。タツに対して、イタは刷毛目のような筋柄が特徴です。

形状

一口に水牛ボタンと言っても、実は色々な形状があります。銀座英國屋で取り扱っている本水牛リアルシリーズでは、以下のような形状になっております。

・二重タライ

・細輪

・ボウズ

二重タライは、ボタン中央部の凹みが二段階になっているボタン。細輪は、縁の部分が細い円になっているボタン。ボウズは、糸を通す穴以外が平らな形状のボタンです。

あまり細かいことは気にされず、服地やスーツの着用用途に合ったボタンをスタイリストにお聞きください。最適なものをチョイスしてご提示いたします。

天然の素材ですので、2つとして同じものはありませんが、大きく分けて黒、焦げ茶、ベージュ(薄い茶)の3色になります。

ツヤ

ボタンにはツヤ(艶)があるものと艶なし(艶消し)のものがあります。同じ素材で同じ形のボタンでも、ツヤのある無しで印象は随分と違います。ツヤを出すには、機械に磨き材と一緒に入れて回します。この時に「ガシャガシャ」と音がするので、ツヤ出しの機械を「ガシャ」とも呼びます。

強いツヤを出すには、竹チップを磨き材にします。逆にツヤ無しに仕上げるには、綿を磨き材にします。そのため「綿ガシャ」とも呼びます。もっとツヤを出さないようにするには、磨き材は水にします。この場合は「水ガシャ」と呼ばれます。

魅力

この水牛ボタンの何が魅力なのかと言えば、やはりその高級感でしょう。古代から希少価値の高い宝飾品としても用いられてきた水牛の素材は、天然の素材ならではの模様の揺らぎや、どんな服地にも合う力強い風合いを持ち、気品が漂います。

どんなボタンを選べばいいか決められない場合は、迷わず水牛ボタンを選択していただければ間違いないと思います。オーダースーツに最適な、高級素材です。また耐久性も高く、長い時間使用しても変色などはありません。使い込むほどに深い味わいが出るのも、水牛ボタンならではの魅力です。

プラスチック製との違い、見分け方

近年では技術の高まりから、プラスチック製でも水牛ボタンのように見せることができるようになりました。しかし、見る人が見れば違いは一目瞭然です。まず本物の水牛ボタンは天然素材なので、全く同じ色や柄はありえません。しかしプラスチック製は、まったく同じ柄になります。

水牛ボタンは、高級な質感や凛とした風合いを保ち、素朴さの中にも品があります。そして年月を経るごとに味わい深い見た目になります。

水牛ボタンの注意点

水牛ボタンは、主に職人の手作業で作るため、プラスチックなどの素材に比べて大量生産ができません。また、自然素材のためどうしても個体差があり、色や柄などに僅かな差異が残ります。もちろんそこが魅力でもあるのですが、スーツの仕上がりを見る際には、ボタンもしっかり確認されることをおすすめします。

また、水牛ボタンはその性質上、熱や水に弱い素材です。そのため、アイロンがけや水洗いの際には十分注意が必要です。クリーニングに出す際には、(理想としてはボタンを取り外すのが良いですが)事前にクリーニング屋さんに問い合わせるようにしてください。

「水牛ボタンは有料ボタンなのでは?」というご質問を頂戴することもありますが、銀座英國屋では、無料で44種類もの水牛ボタンをご用意しております。(2021/03/01時点)

ナット

水牛ボタンには及びませんが、高級なボタンと言えばナットボタンもあります。原材料は、その名の通りナット(椰子の実)です。

水牛ボタンとの違いは、染色ができるということ。水牛ボタンは、基本的に染色はできません。そのかわり、個体の持つオリジナリティが魅力でした。一方ナットなら木目を残したまま染色ができるので、様々な用途に用いることが可能になります。また水牛ボタンがキリッとしたスマートな印象を与えるのに対して、ナットボタンは柔らかく、温かい印象があります。

シェル

天然素材のボタンとして、忘れてならないのがシェル(貝)です。様々な種類の貝がありますが、ボタンの原材料としては「高瀬貝」が多く使われています。またシェルボタンは、色の鮮やかさや独特の質感から、夏用のコットン素材などのスーツで多く使用されています。見た目は美しいのですが、割れやすいことが難点です。

牛や馬、山羊などの革を利用して作られるボタンもあります。ナットのように、ある程度は染色が可能です。また革独特の質感や風合いは、他の素材では表現できません。シェルボタンの逆で、革ボタンは秋冬モノのジャケットやコートで利用されることが多いです。厚手の生地と相性の良いのも革ボタンの魅力になります。

天然素材なので水洗いなどには注意が必要ですが、時間の経過とともに味わいが増す本革は、根強い人気があります。

ポリエステル

石油原料の樹脂で作られた、ポリエステルのボタンも高い人気があります。ポリエステルはプラスチックの一種ですが、「安っぽい」イメージを持たれている方が多いかも知れません。しかし技術の進歩により、今やポリエステルは自然素材に勝るとも劣らないほどの、質感や見た目、品質を持つようになりました。

しかも加工がしやすく、色も自由につけることができるため、水牛やナットなどの自然素材に替わるボタンとして高い評価を得ています。銀座英國屋でも、「ベガ」や「ステルス」シリーズをはじめ、多くのポリエステルボタンを取り揃えております。見た目だけでなく、耐久性や機能面でも優秀なボタンです。

その他

ここで取り上げた素材の他、金属製やナイロン製、木製など多くの素材がありますが、ここでは全てを紹介することはできませんので、機会があればまた解説したいと思います。

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ボタンの選び方

このように数多の種類があるボタンですが、知れば知るほど迷ってしまいます。では一体、どのように選べばよいのでしょうか?

目的

まず、オーダースーツを仕立てる目的をはっきりさせることが何より重要です。目的によって、最適な生地の素材や色、スーツスタイルは変わります。同じように、ボタンも着用シーンに応じて最適なものを選ぶようにします。

銀座英國屋にご来店されるお客様に限定しますと、多くがビジネスシーンでの着用を想定されています。そのため、ビジネスパートナーや顧客、上司などから信頼を勝ち得ることがスーツを仕立てる目的となります。

ビジネスシーンの場合、「信頼の獲得」が目的だとすれば、素材は高級感のある水牛が最適となります。もちろん、加工の仕方によってはポリエステルなどの素材も考えられますが、水牛ボタンが一番おすすめです。

一般的に、ビジネススーツには皿型の本水牛(タツ)が多く使用されます。銀座英國屋でも、水牛ボタンが多く選ばれています。中でも重厚感のある二重タライのボタンが人気です。二重タライの形状は見た目もおしゃれなのですが、ボタンのつけ外しがしやすいのも特徴です。一つひとつ職人の手作業で作られており、風合いもシックでおすすめです。

スーツとの組み合わせ

次にスーツとの組み合わせの問題も重要です。ジャケットに合っていないボタンをつけてしまうと、ちぐはぐな印象を与えてしまいます。もしボタン選びに迷ったら、お気軽に店内におりますスタイリストにご相談ください。お客様の目的に沿った最適なボタン選びをお手伝いさせていただきます。

色数を抑える

ビジネスシーンで着るスーツで、色を増やしすぎるのは推奨できません。色の数が増えるほどカジュアルな印象になり、ビジネス上の装いとしては適さなくなるのです。そのため、まずは以下のような基本を覚えておきましょう。

・スーツの色は紺orグレー

・小物の革の色は黒or茶で統一

・小物の金属の色は銀or金で統一

この基本の配色を覚えておけば、大きく外してしまうことは防げます。

そしてボタンも、あまり色をつけずに、基本は小物の革の色に合わせることがおすすめです。すると自ずと、こげ茶・黒が選択肢となります。(黒といっても、自然素材であれば漆黒ではありません)

小物の革の色以外で合わせるなら、スーツの色に合わせるのもおすすめの方法です。具体的には以下のようになります。

・紺のスーツには、ブルーのボタン

・グレーのスーツには、シルバーのボタン

ぜひ参考にしてみてください。

人気ランキング

基本的に、フルオーダースーツでどのボタンを選ぶかはお客様の自由です。しかし、多くの種類の中からいきなり選ぶのは難しいかもしれません。(銀座英國屋には、無料ボタン445種類・有料ボタン29種類を全て合わせると、合計474種類ものボタンがあります(2021/03/01時点)。)そこで、お客様のボタン選びの一助にすべく、今年度のボタンのランキングをご紹介したいと思います。

3位:ステルス

銀座英國屋で3番目に選ばれているボタンが、「ステルス」シリーズです。
「ステルス」は、高級イタリア直輸入ボタン、素材はポリエステルです。シンプルな形状と色合いは、どんなスーツにもマッチする優れもの。色は紺やシルバー系で、グレースーツに合わせるシルバーボタンが人気です。

2位:ベガ

第二位は「ベガ」です。色は同じく紺やシルバー系ですが、ステルスとは色合いや模様が異なります。筋模様が強く浮き出た風合いは、高級感と力強さを漂わせます。紺スーツに合わせて紺色ボタンが人気です。

1位:本水牛リアル

銀座英國屋のボタンで、トップの人気を誇るのは、「本水牛リアル」シリーズです。形は立体的でボタンのつけ外しがし易いボタンで、ツヤは有りと無しの両方があります。色は黒とこげ茶があり、どちらも人気です。
のシリーズは、全て手作業で成形していくため、熟練職人が1つずつ製作しております。成形する際に、バイト(刃)を取り付けた機械で削っていくのですが、その削り具合(押し込み具合)は、職人の手の感覚が頼りです。

どうしても職人によって微細な差が生じるため、手作業で削るボタンの場合には、できるだけ同じ職人が担当するようにしております。オーダースーツを購入されるお客様の内、3割〜4割の方がこの「本水牛リアル」をお選びいただいております。

まとめ

いかがでしたでしょうか?オーダースーツの顔とも言えるボタンですが、このように改めて見てみると、色々とご存知ではない情報も多かったのではないでしょうか。

この記事の最後で、売れ筋のボタンのランキングをご紹介しましたが、銀座英國屋ではこれら以外にも多数のボタンが用意されています。オプションを選ぶのもオーダースーツづくりの楽しみの一つです。もしご興味があれば、店頭で実物をぜひ御覧ください。

無料オーダー体験のご案内

銀座英國屋では、無料オーダー体験を実施しています。

ご注文を前提とせずに、カウンセリング・生地選び・細かなディテール決め・サンプル仮縫い品によるフィッティング体験を、ご体験いただけます。

また、店内には仕上がった製品見本もご用意しています。是非、ご予約フォームより「無料オーダー体験」をご予約下さいませ。

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監修者

オーダースーツ銀座英國屋 代表取締役社長 小林英毅

小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)

1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。

ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。

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