オーダースーツ 銀座英國屋コラム夏のスーツのオススメは?生地選びからコーディネートまで徹底解説!
夏のスーツのオススメは?生地選びからコーディネートまで徹底解説!
暑くなってくると、「ビジネスシーンでも、軽装で快適に過ごしたい」と思われる方も多いのではないでしょうか。しかし、お仕事柄、盛夏であってもきちんとしたスーツを着なければならない方もいらっしゃるかと思います。そこで今回は、夏場にスーツを着る場合の注意点や、コーディネートについて解説します。
なお、夏のスーツのポイントを先にご紹介すると以下の通りです。
・夏に着るのは、春夏用のスーツ
・春夏用のスーツは、3月~10月中旬頃に着る
・春夏用の生地には、サマーウール等の清涼感のある素材が使われている
・春夏用のスーツの色は、秋冬用のものに比べて明るいものが多い
・裏地は、汗などで表地が傷むことを防ぐため、夏場でも総裏仕様が増えている
・生地が薄すぎるスーツは、中のシャツが透けて見える恐れがある
・機能性素材のスーツは、生地の質感と通気性の面で、自然繊維の生地には劣る
・色が明る過ぎるスーツは、カジュアルな印象になる場合があるため、注意が必要
・スーツの色はネイビーかグレー
・肌着の色はベージュかライトグレーを選ぶ
・シャツは長袖を着る
・ジャケットの袖ボタンは開けない
・濃い色のネクタイを締めるのも一案
・その他の小物アイテムにも気を付ける。
・靴は手入れされたものを履く
・ベルトは靴の色と合わせる
・靴下の色と長さに気を付ける
このコラムが、夏のスーツ選びのご参考となりましたら幸いです。
夏のスーツとは
スーツには、予め着るべきシーズンが決まっています。ひと昔前は、日本の四季である春夏秋冬に合わせた春用、夏用、秋用、冬用とそれぞれの季節に沿ったスーツに区分けされていましたが、冷暖房が完備されている現代では、大きく分けると春夏用(盛夏用のスーツも含みます。以下同じ)、秋冬用、夏以外の3シーズン用となります。このコラムでは、夏に着る春夏用のスーツについて詳しく解説いたします。
春夏スーツはいつから着る?
では春夏用のスーツは、いつ頃から着るべきで、またいつ頃まで着られるのしょうか。明確な規定はありませんが、一般的に3月〜10月中旬頃までは春夏用スーツを着用することが多いようです。
スーパークールビズが提唱されている昨今では、10月末までは春夏用スーツを着用することもあります。
夏のスーツの特徴
夏に着るスーツには、他のシーズンに着るスーツとは異なる特徴があります。ここでは、夏のスーツの特徴について解説します。
生地の違い
秋冬用のスーツは、暖かさを確保するためにウールが使われますが、夏のスーツは同じウールでも「サマーウール」という通気性が良い素材が使われます。サマーウールは生地の目が大きく、サラリとした肌あたりが良い点が魅力です。
また、サマーウール以外ではアンゴラ山羊の毛から出来ている放湿性がある「モヘア」、そして清涼感のあるリネンなどが夏場のスーツ生地として知られています。
モヘアは通気性、放湿性に優れていますが、生地に硬さがあるため、通常はウール素材と混紡して使われます。
また、リネン生地は肌に当たるとヒンヤリとしていて、吸湿性があるため、とくに夏に好んで使われる生地ですが、シワが付きやすいという弱点があります。
カジュアルな洋服であれば、そうしたリネンのシワも自然な風合いとして魅力ともなりますが、ビジネススーツはやはりシワに気にしないで着たいものです。そのため、モヘアのようにリネンもウールとの混紡でスーツの生地として使われることが多いという特徴があります。
見た目は同じようなスーツであっても、生地の違いによって、春夏用スーツと秋冬用スーツはでは、着用したときの涼しさに大きな差が生じるのです。
色の違い
春夏のスーツは、秋冬用スーツと比べると、明るい色味のものが多い傾向にあります。これは色彩効果として「暗い色の方が重く感じ、反対に明るい色の方が軽快な印象がある」ためです。また、暗い色と比べると明るい色の方が太陽光を反射するので、熱がこもりにくい特徴があります。
背抜きと総裏
スーツは、大きく分けて表生地と裏生地(裏地)で構成されています。スーツを裏返したときに内側にある、光沢のあるツルツルとした生地が裏地です。裏地には、スーツを着用するときの滑りを良くする効果や、表地を守る役割があります。また、素材としてはキュプラなどが使われます。
この裏地が、スーツのジャケットの内側すべてに張られている仕様を「総裏(そううら)」と呼びます。これに対し、ジャケットの背中部分の裏地を大きく排したスーツもあります。この仕様は背中部分の裏地がないことから「背抜き(せぬき)」と呼ばれます。
夏のスーツは、涼しさを求めた「背抜き仕様」もありますが、表地が薄い夏生地の場合、背裏が表地に響いてしまうことがあります。また、汗などによって表地を傷めてしまう恐れも否めません。こうした理由から、夏場でも敢えて総裏仕様にする方が増えています。
夏のスーツの注意点
夏用のスーツは、吸湿性や通気性に優れているなどの機能面のメリットがありますが、選び方には注意が必要です。ここでは、夏用のスーツ選びで気をつけたいポイントを解説します。
生地が薄すぎるスーツ
夏場は暑くて蒸れやすいので、通気性のあるスーツは重宝します。しかし、ときおりお見かけするのが、生地が薄すぎるスーツです。スーツの生地が薄すぎると、中のシャツが透けて見えてしまうことがあります。
そもそもスーツを着る目的は、きちんとした服装をすることでお相手に誠意をお届けし、ビジネスで成果を得るためです。そのように考えると、通気性を優先させるあまり中に着ているシャツが透けて見えてしまうスーツというのは、ビジネスを成功させる点からも控えた方が良いでしょう。
機能性素材のスーツ
最近はスーツも多様化し、ウォッシャブル(洗濯できる)、ストレッチ性能、パッカブル(畳むことができる)などスーツに機能性を持たせたものも多く出回っています。
このような機能性素材のスーツは便利ですが、機能を付加するためにはスーツに耐久性が必要となります。その結果、ポリエステルなどの化学繊維を使うことで、そうした機能性を持たせているスーツが多い状況です。
機能性素材のスーツの中には、生地がギラギラとしていてどこか人工的な光沢が出ているものがあります。その光沢は、本来のウール素材のスーツが持つ細やかで上品な生地のツヤとは似て非なるものであり、高級感に欠けるところがあります。
また、化繊の機能性素材のスーツは天然素材のウール、モヘア、リネンのスーツと比べると通気性が悪いため熱がこもりやすく、夏場に着るには不向きな面もあります。
色が明る過ぎるスーツ
春夏用のスーツは、秋冬用のスーツに比べると明るい色味のものが多くなります。明るい色のスーツの方が、どこか涼しげで見た目にも清涼感を感じることができるでしょう。しかし、色が明る過ぎるスーツは、ビジネスシーンではカジュアルな印象を与えてしまうことがあります。
また、自分の周りに明るい色のスーツを着ている人がいない状況では、周囲から浮いてしまう恐れもあり、明るい色のスーツを選ぶ際は、お会いする方の職業や職場環境などにも配慮した上で選びたいところです。
夏のスーツのコーディネート
ここでは、夏のスーツのコーディネート、着こなし方について解説します。
スーツの色はネイビーかグレー
日本では黒のスーツを選ぶ方もいらっしゃいますが、黒は本来、レセプションなどフォーマルな儀式や式典で使う色。そのため、ビジネスシーンでは黒のスーツは着用せず、ネイビーかグレーのスーツを着るのが基本となります。これは、夏場であっても変わりません。
ちなみにネイビーのスーツを選ぶ際には、青みが強くなるほど派手な印象になるため、注意しましょう。標準的なネイビーから濃紺(ダークネイビー)がオススメです。
肌着の色はベージュかライトグレーを選ぶ
スーツを着用しているときは、基本的にジャケットは脱がないのがマナーです。しかし、例えばジャケットのボタンを外しているときなど、中の白シャツが見えることがあるかもしれません。その際、白シャツの下に着ている肌着が白だと、肌着の輪郭が白シャツから透けて見えてしまいます。肌着が透けて見えてしまうのは好印象ではないので、避けたいところです。
オススメはベージュまたはライトグレー
白シャツの下に着る肌着のオススメの色はベージュかライトグレーです。これは真っ白よりベージュやライトグレーの方が肌の色に近く、素肌と肌着の境目が目立ちにくくなるためです。
最近では襟ぐりや袖先のリブがないシームレスの肌着も販売されています。そのような肌着はリブの厚みがないため、肌着の上にシャツを着ても響きません。
シャツは長袖を着る
夏場は半袖シャツが多く出回っています。スーツを着ていても中に着るシャツは半袖という方も多いのではないでしょうか。しかし、半袖シャツだとジャケットの袖筒の中の裏地が肌にダイレクトに当たってしまうため、裏地を傷めかねません。特に夏場は汗をかくので、裏地はさらに傷みやすくなってしまいます。また、スーツの袖口にも手首に直接あたることになり、皮脂や汗が原因となり、袖口の汚れや劣化に繋がります。
また、汗ばんだ腕が袖の裏地にペタペタとくっつき、着心地もよくありません。そのため、夏場は暑いですがシャツは長袖を着るようにしましょう。
ジャケットの袖ボタンは開けない
袖ボタンが開く仕様(本切羽)のジャケットもありますが、ジャケットの袖ボタンは、すべて閉じておきます。
スーツを着る目的はお相手から信頼を得て、ビジネスで成果を収めることにあります。その点からすれば、袖ボタンは開けない方がよく、敢えて「本切羽」にする必要もありません。
濃い色のネクタイを締めるのも一案
明るい色味のスーツに白シャツを合わせている場合、ネクタイまで淡い色だと全体がぼやけて見える場合があります。その際は、ダークネイビーやボルドーなど濃い色味のものを合わせると、Vゾーンが引き締まってメリハリあるコーディネートにすることができます。
その他の小物アイテムにも気を付ける。
スーツスタイルでは、スーツ以外の小物も意外に見られているもの。そうした小物アイテムにも気を抜かないことで、スキのない完成された装いにすることができます。ここでは、項目別に解説いたします。
靴は手入れされたものを履く
「美は先端に宿る」という言葉があるように、体の先端は見られているものです。靴も、そのひとつです。つま先が傷んでいたり汚れていたりすると、そこばかり目立ってしまうので、スーツを着る時にはきちんと手入れされた革靴を履くようにしましょう。
なお、ビジネスシーンで履く革靴では、「黒の内羽根式・ストレートチップ」というデザインが最もスタンダードですので、一足持っておくと重宝します。
ベルトは靴の色と合わせる
スーツの着こなしのルールとして、革ベルトの色は靴の色に合わせます。例えば靴が黒ならベルトも黒といった具合です。これは靴とベルトの色が異なると、色見が増えることで統一感が薄れ、美しいバランスを欠いてしまいます。
靴下は色と長さに気を付ける
コーディネートは、靴下まで気を抜かないようにしましょう。ときおり、スーツ姿でスニーカー用の短い靴下や白のリブソックスを履いている方をお見かけしますが、短い靴下は足を曲げた際に脛が見えてしまうので、マナー上NGです。
また、白のリブソックスなどを履くと、スーツのスラックスと靴下が異なる色で分断され、足が短く見えてしまうというデメリットもあります。
そこでオススメなのが、「靴下の色をスーツの色に合わせる方法」です。例えばスーツがネイビーであれば、靴下もネイビーを選びましょう。
特に「ロングホーズ」と呼ばれる長さが膝下まである靴下が最適です。膝下までソックスがあることで、座る際に足を曲げても脛が見えてしまうことがありません。また、スラックスの内側が直接肌に当たらず、夏場でもスラックスの生地への負荷を減らすことができます。
スーツの着こなし方については下記のページでも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。スーツのオシャレな着こなし方とは?|理想的な着方とコーディネート例を項目別に解説
まとめ
このコラムでは夏のスーツの選び方やコーディネート方法について詳しく解説しました。
なお、夏のスーツのポイントを改めて紹介すると以下の通りです。
・夏に着るのは、春夏用のスーツ
・春夏用のスーツは、3月~10月中旬頃に着る
・春夏用の生地には、サマーウール等の清涼感のある素材が使われている
・春夏用のスーツの色は、秋冬用のものに比べて明るいものが多い
・裏地は、汗などで表地が傷むことを防ぐため、夏場でも総裏仕様が増えている
・生地が薄すぎるスーツは、中のシャツが透けて見える恐れがある
・機能性素材のスーツは、生地の質感と通気性の面で、自然繊維の生地には劣る
・色が明る過ぎるスーツは、カジュアルな印象になる場合があるため、注意が必要
・スーツの色はネイビーかグレー
・肌着の色はベージュかライトグレーを選ぶ
・シャツは長袖を着る
・ジャケットの袖ボタンは開けない
・濃い色のネクタイを締めるのも一案
・その他の小物アイテムにも気を付ける。
・靴は手入れされたものを履く
・ベルトは靴の色と合わせる
・靴下の色と長さに気を付ける
このコラムが、夏のスーツ選びのご参考となりましたら幸いです。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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