オーダースーツ 銀座英國屋コラムフォックスブラザーズはフランネルを生み、ダンディズムを広めたオーダースーツ生地
フォックスブラザーズはフランネルを生み、ダンディズムを広めたオーダースーツ生地
オーダースーツを初めて仕立ててから、その着心地の良さと服飾文化の奥深さに触れる経験をし、それまでの既製品では味わえないファッションの王道を歩みたくなった人もいることでしょう。
そんな人にとって、階段を少し昇っていくためのオーダースーツ生地としておすすめしたいのが、狐がトレードマークの生地ブランド「フォックスブラザーズ(FOX BROTHERS)」です。
「フォックス」の愛称で親しまれてきたフォックスブラザーズは、通常のウーステッド生地も素晴らしいですが、とりわけフランネルに関しては世界的に高い評価を得ています。
今回の記事では、そんなフォックスブラザーズの概要と特徴を紹介します。ステップアップするためのオーダー生地を探しているみなさんは参考にしてください。
古き良きダンディズムを味わえるフォックスブラザーズ
古き良き時代の「ダンディズム」を現代に体現する、男の流儀を感じさせるオーダー生地を提供しているのがフォックスブラザーズ(FOX BROTHERS)です。フォックスブラザーズは2022年に、創業からちょうど250年を迎えました。
2世紀半の長きにわたり、最高級の品質を備えたオーダースーツ生地を世に送り出し続け、多くの著名人やファッションリーダーがフォックスブラザーズの生地でオーダースーツを仕立ててきました。
ウィンストン・チャーチル首相、ウィンザー公、往年のハリウッドを代表する名優ケリー・グラントやショーン・コリーなどがブランド「フォックスブラザーズ」を愛した人たちです。
フォックスブラザーズの特徴
フランネルの代名詞といわれるフォックスブラザーズは1772年にイングランドの南西部サマセット州ウェリントンにて、クエーカー教徒のトーマス・フォックスにより創業されました。
若きトーマス・フォックスは、ウェリントンのサウスストリートにあるトレードコートにある妻の祖父トーマス・ウェアのサージ織物製造会社のパートナーになり、語学とウールの貿易を学ぶために海外に行きました。
帰国後フォックスブラザーズは小さな家内工業の業者から、7世代にわたってフォックスファミリーが経営し、家族経営として最も成功した会社の1つになる未来に向けて駆け出したのです。
当初は家族で営む、マニュファクチュア(家内制手工業)として始まり、紡毛および梳毛生地の生産を手がけます。織り上げられる生地の高いクオリティーが、業者間で評判になりました。
1796年、トーマス・フォックスは、揺るぎないビジョンと適切な判断力をもって、トーン川からの重要な水源に近い、トーンデールのかつて製粉所であったより大きな敷地に工場を移転します。
その後、フォックスブラザーズは羊毛原料から糸を紡績し、布に織り込上げる一貫生産の毛織物製造会社の道を進みました。もともと工場の動力は供給されていましたが、電気やガスが導入される前に、蒸気機関で動力を確保するようになります。
量産体制が整ってくると、丈夫で重厚であることによって人気を呼んでいた織物「サージ」を、王立陸軍(ロイヤルアーミー)の軍服用として大量に納めるほどの業者に成長します。
とりわけフランネル(フラノ)は、フォックスブラザーズの中でも最も高い評価を得た生地です。サヴィルロウのテーラーたちはもちろんとして、世界中の名門テーラーがこぞって取り扱いました。
オーセンティックな英国クラシックのこだわりを貫く
フランネル以外にも、王道の英国クラシックの紳士服地を作り続けてきたフォックスブラザーズ。近年において積極的にアートデザインのテクノロジーと結びつけて、最高品質の羊毛生地を世界に向けて発信しています。
現在のフォックスブラザーズのオーナー、ダグラス・コルドー氏は以前からファッション業界に深く関わってきた有能な経営者です。
コルドー氏はジェレミー・ハケット氏(ハケット・ロンドンの創始者)とのランチの際に、ハケット氏から伝統と革新の間で低迷しているフォックスブラザーズのテコ入れを託されました。
コルドー氏は快諾し、品質管理と製造方法にこだわることを全社的に徹底させることにより、経営状態を見事に改善して現在に至ります。
華やかな名声の影に地道なこだわり
フォックスブラザーズが原料として選定した良質なオーストラリア産の良質なメリノウールは、繊維が極端に細いので高速で織ると糸に負担がかかります。そのため生地が不安定になり、ダメージも受けて生地のクオリティを損ねてしまいます。
そこでフォックスブラザーズのスタッフは、前もって手作業で細かい準備を丹念に施した上で、超低速で糸に負担をかけずに織ることにより、織り上がりの圧倒的なクオリティの高さを実現しています。
近年見直される硬派の英国生地
長い期間にわたって軽くて薄い生地の流行が長く続いた反動もあり、近年ではフォックスブラザーズのようなどちらかといえば硬派の、重厚な英国服地が見直されています。
またフランネルを軸に、世界中のエグゼクティブがフォックスブラザーズの素晴らしさを再評価して、自身のスタイルに取り込んでいます。
控えめな色柄にも関わらず、リッチな雰囲気を醸し出す仕立て映えは、まさに英国クラシックの王道を味わえるオーセンティックなオーダースーツ生地といえるでしょう。
フォックスブラザーズがおすすめな人
ファッションとは一般的に「流行」と解釈されていますが、本来の意味は「流儀」なのです。また他にも「影響を与える」「感化する」という他動詞の意味もあります。
つまり、ある人の流儀が格好良いので、周囲が感化されてそのやり方が広まり「流行」となるのです。だからファッションの楽しみ方には2種類あります。結果としての「流行」を享受するのもファッション、自分の「流儀」を確立するのもファッションです。
そして、特に後者のように自分の流儀を確立してそれにこだわることこそ「ダンディズム」の本来の意味です。
フォックスブラザーズは英国クラシックの王道を味わえるオーセンティックなオーダースーツ生地であり、そろそろ自分のスタイルを確立し、大人のファッションとしてステップアップしようと考える人におすすめです。
仕事の上で揺るぎないステータスを築き上げつつある方こそ、男の装いという面でも揺るぎないスタイルをぜひフォックスブラザーズのオーダースーツ生地にて打ち立ててください。
さいごに
250年間、英国の服飾文化を底から支え、多くのファッションリーダーのダンディズムを形にしてきたのがフォックスブラザーズのオーダースーツ生地です。表面的な流行よりも本質的な格好良さを身につけるために、ふさわしいブランドといえるでしょう。
オーダースーツを仕立てるにあたって、これまでの自分のスタイルを振り返り、より確固たる流儀を確立したいと考えるみなさんは、ぜひフォックスブラザーズを検討してみてください。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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