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ネクタイのお手入れ方法は?基本をわかりやすく解説
ネクタイのお手入れ方法は?基本をわかりやすく解説

ネクタイはスーツを着るビジネスシーンをはじめ、冠婚葬祭などあらゆる場面で登場します。着用頻度が多いアイテムだからこそ、ネクタイには汚れやシミがつきやすくなります。
しかし、シャツのように日常的に洗濯をするものではないことで、適切なお手入れの方法が分からず、どのようにメンテナンスをすれば良いか悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、ネクタイのお手入れ基本をわかりやすく解説します。正しいお手入れを続けることで、お気に入りのネクタイを長く愛用できますのでぜひご覧ください。
ネクタイのお手入れが必要な理由
そもそも、ネクタイのお手入れはなぜ必要なのでしょうか。ここではネクタイのお手入れが必要な理由について解説します。
身だしなみの基本であるため
ネクタイのお手入れはビジネスマンにとって身だしなみの基本であり、信頼感を得るために非常に重要です。

初対面でお相手を見るとき、まず目に入ってくるのは顔周り。スーツを着用している場合であれば、顔の次にネクタイ、シャツ、そしてジャケットへと視線が流れます。
特にネクタイは装飾的な役割があり、お相手がどのようなネクタイを締めているかは無意識のうちに目がいくものです。
きちんと整えられたネクタイは、細部まで気を配る姿勢や、自己管理ができている人物像を自然に印象づけます。
反対に、シワや汚れの目立つネクタイは、悪目立ちし、全体の印象を損なう恐れがあります。特に汚れを放置していると、「仕事に対する姿勢もいい加減なのではないか?」と相手から不信感を抱かれる要因にもなりかねません。
ネクタイは装い全体に占める面積こそ小さいものの、コーディネート全体の印象を左右する存在であるため、日頃の丁寧なお手入れが大切です。
また、ネクタイの選び方を押さえておくとより良い印象を与えることができます。以下の記事では、色や柄、結び方などを詳しく解説していますので、ご参照ください。
関連ページ:ネクタイの選び方。色・柄の種類から結び方、スーツとのコーディネートまで徹底解説!
汚れが蓄積しやすいため

ネクタイは、ワイシャツやスーツとは違って色や柄があり、比較的汚れが目立ちづらいですが、実はさまざまな汚れが付着しています。ネクタイは胸の中央に位置しているため、視線が集まりやすく、無意識のうちに何度も手で直すクセがついている人も少なくなく、気づかないうちに手汗や皮脂が移ってしまいます。また、食べこぼしや飲みこぼしも付着しやすいアイテムです。
さらに、夏場などたくさんの汗をかく時期には、シャツに付いた汗の湿気がネクタイまで響きます。こうした湿気はすぐには影響がなくても時間が経つとシミやニオイの原因になります。
たとえ汚れが見えにくくても、ネクタイには日々のメンテナンスが欠かせません。清潔感を保つためにも、定期的な手入れを心がけましょう。
長持ちさせるため

ネクタイは繊細なつくりをしており、長く美しい状態で使い続けるには、日頃の丁寧なメンテナンスが欠かせません。
多くはシルク素材で作られ、なめらかな手触りと上品な光沢が特長です。ビジネスからフォーマルまで幅広いシーンで活躍しますが、その反面、湿気や雨に弱く、型崩れや汚れが残りやすいというデリケートな一面も持っています。
特に、汚れを放置すると、繊維の奥に汚れが深くに入り込んでしまい、自力で落とすのが難しくなります。型崩れについても、時間が経つほど修復が難しくなるため注意が必要です。日常的にお手入れをすることで、ネクタイの美しさと形を保ちながら長く愛用することができますので、使用後のお手入れを習慣化するとよいでしょう。
ネクタイのお手入れ方法
一見、取り扱いが難しそうなネクタイでも、メンテナンス方法を身につければ難しくありません。ここでは、ネクタイのお手入れ方法について解説します。
適度に休ませる
ネクタイを長く美しく使い続けるためには、毎日連続で使わず、しっかりと休ませることが大切です。どんなに仕立ての良いものでも、使用を重ねることで結び目のシワが戻りにくくなり、徐々に劣化が進んでしまいます。
ネクタイは、連日使うと型崩れやダメージが蓄積しやすくなります。理想的なのは、5〜6本でローテーションを組み、1度使用したら2〜3日ほど休ませること。これにより、シワや湿気が自然に取れ、状態を保ちやすくなります。
ブラッシングする

ブラッシングをすると目に見えないホコリやチリを取ることができます。ブラシは洋服用の馬毛など天然素材のものがおすすめです。
スーツ用のブラシをお持ちであれば、ネクタイにもそのまま使えます。やり方はとてもシンプルです。ハンガーにネクタイをかけた状態で、上から下に向かって優しくブラッシングします。繊細な素材を傷めないよう、回数は2~3回程度にとどめましょう。
ハンガーに干す

ネクタイは一日使うと、結び目にシワが入ります。また、特に汚れが付いていなくても湿気を帯びているものです。まずは湿気を飛ばし、シワを伸ばすことが必要です。
風通しの良い室内でハンガーなどにかけておくと、シワが伸びて湿気も飛びます。湿気を取ろうとして天日干しをすると、色褪せにつながるので避けましょう。ニットタイのような網目が大きく伸びやすい素材のネクタイは、ハンガーに干すと伸びてしまうので、平置きにします。
ハンガーは木製のものがおすすめです。ワイヤーハンガーに比べて厚みがあり、ネクタイを広い面で支えらることで、型崩れや跡がつきにくいのが特長。ただし、濡れた状態で掛けると、ハンガーを傷める可能性があり、ネクタイが完全に乾いてから掛けるようにしましょう。
スチームを当てる

ネクタイをハンガーにかけておけば、ある程度のシワは元に戻ります。もし、それでも取れない場合、アイロンのスチーム(水蒸気)を使いましょう。ただし、アイロンを直に当てるとネクタイがテカる原因になります。必ずあて布をしてその上から、スチームのみを当てるようにしましょう。
出張先などアイロンがない場合はバスルームに少量のお湯を張り、室内のハンガーなどに掛けてておくのも有効です。室内の高い湿度でスチームを当てるのと同じような効果が得られます。このとき、ネクタイが湯船に落ちないようにハンガーの置き場所には注意しましょう。
毛羽立ちはハサミで対応

ネクタイは長期間使っているうちに大剣が毛羽立ってくることがあります。毛羽立ちが多くなると柄が白っぽくぼやけてしまい、清潔感が出づらくなります。その場合は、生地を傷めないように注意しながら、ハサミで短くカットしましょう。
中にはライターなどの火で毛羽立ちを炙って消す方法もあります。この方法はライターをネクタイに近づける距離や炙る時間などにコツが必要なので、そうした方法に慣れている方だけ行うのが良いでしょう。

なお、ネクタイは通常、正面側に来る大剣の裏に細くループ状になった糸が付いています。これは「たるみ糸」といって、ネクタイを結んだり緩めたりする際に縫製された糸が切れないように調整する機能があります。誤ってハサミで切ってしまわないように注意が必要です。
シミや汚れが付いたときの対処法
日常的な汗、シワとは異なり、食事中についたソースや食べ物の油、ボールペンのインク、さらにはワインをこぼしたときなど突発的な汚れは早急に対処する必要があります。ここでは、汚れが付いた時の対処法を解説します。
自宅で洗濯する
ネクタイは非常にデリケートなため、洗濯機ではなく丁寧な手洗いが基本です。
まずは、洗濯前に必ず洗濯表示を確認しましょう。「水洗い不可」と記載されている場合は、自宅での洗濯は避けて専門のクリーニング店に任せるのが安心です。とくにシルク素材や刺しゅう入り、柄物のネクタイは、家庭で洗うと縮み・毛羽立ち・色にじみなどが起こる可能性があるため、注意しましょう。
手洗い可能と表示されているネクタイは以下の手順で洗濯します。

まず、約40℃のぬるま湯に中性洗剤(おしゃれ着用・ドライマーク対応)を溶かします。ネクタイを軽く折りたたみ、全体が均一に浸かるようにして洗剤液に5分ほど浸けましょう。ピンポイントで濡らすと水染みができやすいため、まんべんなく濡らすのがポイントです。
洗う際はこすらず、やさしく押し洗いします。汚れが気になる部分には、綿布に洗剤を含ませて軽く叩くように落とすとよいでしょう。
すすぎはきれいなぬるま湯に入れ替えて2〜3回行い、洗剤をしっかり落とします。その後、乾いたタオルでネクタイを挟み、軽く押して水分を吸収させましょう。ねじったり絞ったりするのは厳禁です。
干すときは形を整えてハンガーにかけて、風通しのよい日陰で陰干しします。ネクタイは、軽い汚れであれば自宅でも対応できます。洗う前には必ず素材や表示を確認し、判断に迷ったらクリーニングを検討しましょう。
クリーニングに出す
食べ物油やインク汚れはなかなか落ちません。下手に自分で洗うと、かえって汚れを広げてしまう恐れもあります。
こうした場合は、プロの技術を持つクリーニング店に依頼するのが最も確実です。染み抜きを専門に行う店舗もあり、汚れの種類や原因を伝えることで、より的確な対応が期待できます。また、「セッテピエゲ」といって、大きなシルク生地を複雑に畳むことでネクタイの形状にしているものもあります。このようなネクタイは、自宅でのケアでは形を整えるのが難しいため、構造や素材を理解している専門店に任せるのが安心です。
なお、クリーニング後のネクタイははビニール袋から出して保管しましょう。これはドライクリーニング後にネクタイに残った薬剤が気化して生地が傷むのを防ぐためです。
クリーニングに出す頻度や注意点

ネクタイの清潔感を保つには、日常のケアと、クリーニングの併用が欠かせません。特に、自宅では落としきれない汚れやシミには、プロの手によるクリーニングが有効です。ただし、利用にはいくつか注意点があります。
クリーニングのメリットは、自宅では対処できない汚れをしっかり落とせることや、そして自分で洗うよりも失敗のリスクが少ないことが挙げられます。丁寧な処理によって、生地本来の風合いや形状が美しく保たれる点は大きな魅力です。
しかし、ネクタイの多くはシルクなどの繊細な素材で作られているため、何度もクリーニングに出すと生地が劣化してしまうおそれがあります。たとえ専門の技術をもってしても、繰り返すことで負担が蓄積していくため、利用は必要最低限にとどめましょう。
目安としては、3〜4か月に1回程度。季節の変わり目などに出すのがおすすめです。このタイミングでクリーニングを利用すれば、自分では気づきにくい汗や皮脂汚れもきれいに除去でき、清潔な状態を保ちやすくなります。ただし、ネクタイの使用頻度や汚れの程度に合わせて、柔軟に判断する必要があります。
また、油やインクなどの頑固な汚れがついた場合は、時間を置かず早めにクリーニングに出しましょう。時間が経つと繊維の奥にまで染み込み、落ちにくくなるためです。その際には、汚れの種類やついた状況を業者に伝えると、より的確な処置が期待できます。
ネクタイの保管方法
クリーニングや日々のお手入れと同じくらい大切なのが、保管方法です。せっかく丁寧にケアをしても、収納の仕方が不適切だとシワや型崩れの原因となり、見た目の印象が損なわれてしまいます。ネクタイを長く美しく保つためには、素材や用途に応じた保管方法を選ぶことがポイントです。ここでは、ネクタイの保管方法について解説します。
丸めて保管する

ネクタイをクルクルと巻いて保管する方法です。ネクタイの小剣側を内側(中心側)にして、ロール状に巻きます。このとき、ピッタリと詰めて巻くのではなく、少し緩く巻くのがコツです。場所を取らずに保管できます。
吊るして保管する

ネクタイを、専用のハンガーなどに吊るして保管する方法です。効率的に保管できるうえに、場所を取りません。ただし、ニットタイなど種類によっては伸びてしまうこともあるので注意しましょう。
平置きで保管する



ネクタイを二つ折りまたは三つ折りにして、平らな状態で収納する方法です。販売店のネクタイ売り場でも採用されている保管スタイルで、シワがつきにくいという特徴があります。
どの方法も大切なのは、「シワをつけない」「型崩れを防ぐ」という視点です。素材の特徴や収納スペースに合わせて、自分に合った方法で丁寧に保管しましょう。
まとめ
ネクタイは、スーツスタイルにおいて決して見過ごせない存在です。清潔で整ったネクタイは、相手に好印象を与え、信頼感を高めてくれます。だからこそ、その美しさを保つためには、クリーニングだけでなく、日々の丁寧なお手入れが欠かせません。
食べこぼしやインクのような汚れが付いた際は、無理に自分で処理せず、早めにプロに頼ることが大切です。汚れは時間とともに落ちにくくなり、ネクタイの寿命を縮める原因になります。しかし、クリーニングの頻度が多すぎると生地を傷める恐れもあるため、日常的なブラッシングや陰干しなどの基本暦なケアも併せて行いましょう。お気に入りの一本を長く楽しむためにも、丁寧なケアを取り入れてみてはいかがでしょうか。
監修者

小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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