オーダースーツ 銀座英國屋コラムワイシャツの襟の種類は?それぞれの特徴と着用シーンを徹底解説
ワイシャツの襟の種類は?それぞれの特徴と着用シーンを徹底解説
ワイシャツは、フォーマルからカジュアルまで、あらゆる場面で用いられるアイテムとなります。その中でも、襟の形はシャツの印象を大きく左右する重要な要素です。シーンによって適切なデザインが異なることもあり、TPOに応じて選ぶ必要があります。
このコラムでは、それぞれの襟のタイプと特徴を写真付きで詳しく解説いたします。ご自身にあった選び方のポイントについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
本記事がこれからワイシャツを購入する皆様の一助となりましたら幸いです。
ワイシャツの襟の構成要素
ワイシャツの襟を構成するパーツは大きく分けて「台襟」と「襟羽」に分かれます。
台襟は、土台となる帯状のパーツです。表からはほとんど見えませんが、襟を美しく立たせるために重要な役割を担います。
襟羽は、シャツを着たときに表から見える部分です。先端の部分を「剣先」と言います。
ワイシャツの襟は、襟羽の長さと形、そして開き具合によって分類されます。
ワイシャツの襟の種類と特徴
ワイシャツの襟には多くの種類があり、それぞれ特徴と向いている着用シーンが異なります。ここでは銀座英國屋で取り扱う15種類を解説するので、シャツ選びの参考にしてみてください。
関連ページ:銀座英國屋のオーダーシャツ
レギュラーカラー
レギュラーカラーは最も基本的なデザインで、その他の型の基準となります。
開きは70〜90°です。現代のスーツに対してはやや開き具合が小さめで、近年はあまり用いられない傾向にあります。
ビジネス・フォーマルなどシーンを問わず着用できます。クラシカルな印象を与えるため、特にフォーマルシーンにオススメです。
ワイドカラー
ワイドカラーは、レギュラーカラーに比べて開きが大きいのが特徴です。
首元にすっきりした印象を与え、現代のスーツにもよく合います。横に広がったデザインのため、ネクタイとのバランスをとりやすく、肩幅が広い方にもオススメです。
レギュラーカラー同様、シーンを問わず着用できます。
セミワイドカラー
セミワイドカラーは、レギュラーカラーとワイドカラーの中間のデザインとなります。
合わせるスーツを選ばず、汎用性が高いのが魅力です。ビジネス・フォーマルを問わず着用することができます。
迷った場合はセミワイドカラーを選べば失敗することはほぼありません。
ボタンダウン
ボタンダウンは、身頃についたボタンで剣先を固定できる仕様です。
「ブルックス・ブラザーズ」の創始者であるジョン・ブルックスが、ポロ競技に用いられる衣服をヒントに考案しました。
ボタンダウンシャツはカジュアルウェアに分類されており、ビジネス・フォーマルシーンには不向きです。ジャケット&スラックスの「ジャケパンスタイル」か、ノーネクタイで着用し、カジュアル寄りにまとめるのがよいでしょう。
関連ページ:ジャケパンスタイルとは?スーツとの違いからオススメのコーディネートまで徹底解説!
フライダウン
フライダウンは、別名「フライボタンダウン」とも呼ばれ、ボタンが表から見えないボタンダウンです。
レギュラーカラーの見た目はそのままに、ボタンで固定することで、剣先とネクタイを安定させることができます。
ビジネス・フォーマル、シーンを問わず着用できる汎用性の高いデザインの一つです。
スナップダウン
スナップダウンは、ボタンの代わりにスナップボタンで剣先を身頃に固定するデザインです。
ボタン自体は表に見えず、ビジネス・フォーマルなどのシーンを問わず使用できます。
なおスナップボタンとは、ボタンホールがなく、パチンと指で押しつけて留めるタイプのボタンのことです。通常のボタンに比べて固定、取り外しがしやすいというメリットがあります。
タブカラー
タブカラーとは、襟羽にタブと呼ばれる紐が付いており、左右を固定できる仕様を指します。
タブがネクタイの結び目を持ち上げる格好となり、首元に立体感が出るのが特徴です。ネクタイを締めることが前提となるスタイルのため、ノーネクタイでの着用は控えましょう。
オシャレ着として用いられることが多いデザインで、ビジネスや式典などには不向きとなります。
ピンホール
ピンホールは、襟羽に穴がありピンを左右に通して固定するデザインです。
タブカラー同様、ネクタイを持ち上げ立体感を演出します。購入時にピンが付属していることがほとんどですが、好みのピンに取り替えることで気分転換も可能です。
華やかな雰囲気となりますので、結婚式の2次会のようなパーティにオススメです。
ホリゾンタル
ホリゾンタルはワイドカラーよりもさらに角度が広く、ほぼ水平に開いたデザインです。
ネクタイの有無を問わず着用できます。締める場合は大きめの結び目を作ることでバランスを取りましょう。
ややカジュアルな印象を与えるため、フォーマル以外での着用がオススメです。
カッタウェイ
カッタウェイは、開きが水平より大きく少し後ろにカットされたデザインです。
1番上のボタンを開けても首元が乱れにくく、ノーネクタイでの着こなしによく合います。襟先がカットされていることで軽やかな印象となり、カジュアルシャツにも多く採用されています。
ラウンドカラー
ラウンドカラーは、丸くカットされた剣先が特徴です。
柔らかい雰囲気を持ち、ノージャケット・ノーネクタイでも洗練された印象を与えることができます。夏場のクールビズやビジネスカジュアルに最適です。
引き締まったムードが求められるフォーマルシーンには不向きですので、使用を控えましょう。
ドゥエボットーニ
ドゥエボットーニはイタリア語で「2つのボタン」という意味です。その名前の通り、台襟にボタンが2つ付いた仕様を指します。
通常の襟に比べて高さがありシルエットを美しく保てることから、ノーネクタイでの着用もオススメです。ファッション性が高く、カジュアル寄りの仕様となります。
スタンドカラー
スタンドカラーは、首に沿って立てた折り返しのない仕様のことです。
台襟だけで構成されるデザインは首周りをスッキリ見せる効果があります。
ネクタイを締められないため、必然的にカジュアル用のシャツとなります。デニムやチノパンを合わせるのも良いでしょう。
ウィングカラー
ウィングカラーは、スタンドカラーの前側に鳥の羽のような折り返しが付いたデザインを指します。
一般的な結び目のネクタイではなく、蝶ネクタイを合わせるのが基本です。主に、タキシードや燕尾服に合わせるフォーマルシャツに採用されます。
クレリックシャツ
クレリックシャツは、色柄もののシャツに白無地の襟を取り付けたシャツのことを指します。
襟の形やデザインは問いません。シャツをクレリック仕様にする場合は、カフス(袖口)も白無地で作るのが一般的です。
清潔感があり、本体の色柄が華美でなければビジネスシーンでも着用できます。
ワイシャツの襟を選ぶポイント
ワイシャツの襟を選ぶ際、気をつけたいポイントがいくつかあります。以下を押さえることでより洗練された着こなしに繋がりますので、ぜひ参考にしてみてください。
着用シーンをイメージする
最も重要なのは、シャツの着用シーンをイメージすることです。ビジネスかフォーマルか、あるいはプライベートで着るのかなどによって、選ぶべき形は変わってきます。
ビジネスであれば、どのタイミングでそのシャツを着るかを考えましょう。誠実な印象を与えたいときには、レギュラーかワイド系を選びます。日常の勤務ではクレリックシャツも良いでしょう。ノーネクタイのビジネスカジュアルスタイルでは、比較的自由に襟の形を選ぶことができます。
フォーマルシーンの場合、出席する会の格式が大きく関わります。かしこまった席の場合はレギュラーやワイド系を選べば安心です。カジュアルなお祝いの場であればタブカラーやピンホールも選択肢に入ります。
プライベートであれば細かいマナーを気にする必要はありません。見た目の雰囲気の好みをもとに自由に選びましょう。
関連ページ:結論!オーダーシャツ店の選び方|カギは着る目的の明確化&無料相談
ビジネス向けならセミワイドカラーがおすすめ
ビジネス向けのオーダーシャツを注文する際、襟の形はセミワイドカラーがおすすめです。
ひと昔前ならば、レギュラーカラーが標準とされていましたが、ワイシャツの襟先が上着のラペルに乗ってしまっている光景を、ときおり目にされた方もいらっしゃるでしょう。
いわゆるレギュラーカラーは7cm程度の襟の長さをしており、上着のラペル下にきっちりと収まらず、飛び出してしまうことがあるのです。そのため、ワイシャツの襟先が上着のラペル下に収まるセミワイドカラーをおすすめする理由です。
オーダーシャツ店が用意しているシャツは基本的にビジネス用であり、セミワイドカラーもその基準に則っているはずです。ビジネスシャツとして必要な要素が過不足なく盛り込まれています。カスタマイズできる要素も数多くありますが、ほとんどが装飾的なものです。
ビジネスでは、装飾性よりも実用性が重要となります。数多く用意されたサンプルを眺めて目移りしてしまうかもしれませんが、セミワイドカラーを第一候補とすることをおすすめします。
関連ページ:初めてのオーダーシャツ|注文前に知っておきたい7つのポイント
襟元の過度な装飾は避ける
襟元の過度な装飾は避けるのが無難です。
店によっては台襟の裏側に色柄ものの生地をつけたり、ボタンホールを色糸で刺繍したりするオプションが用意されています。しかし華美な首元は、洗練された印象や清潔感を与える妨げとなり、ビジネスやフォーマルでは厳禁です。
プライベートで着る場合も、装飾は最低限に抑えたほうが着こなしやすくなります。
まとめ
本記事ではワイシャツの襟の形と特徴、選び方のポイントについて解説しました。
今回ご紹介したデザインは、全て銀座英國屋でオーダー可能です。気になるものがございましたらお気軽に足をお運びください。
適切に襟の形を選ぶことは、シーンに応じた最適な着こなしに繋がります。この記事が、皆様の装いのサポートとなりましたら幸いです。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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