オーダースーツ 銀座英國屋コラムモエスマーのオーダー生地は羊飼いの防寒着からトップメゾンの服地まで広く活躍
モエスマーのオーダー生地は羊飼いの防寒着からトップメゾンの服地まで広く活躍
モエスマー(MOESSMER)は、ハプスブルクの皇族やファーストレディ、ミシェル・オバマのために特別な生地を作り、プラダやアルマーニ、ルイヴィトン、ドルチェ&ガッバーナなど現代ブランドのリクエストに応えてきた、イタリアの生地ブランドです。
多くのテーラーで、オーダーコート用として取り扱われています。
今回の記事ではそんな知る人ぞ知る、モエスマーの生地の魅力をご紹介します。トレンドやセレブリティの装いに興味があるみなさんはぜひ参考にご覧ください。
モエスマー(MOESSMER)とは?
モエスマー(MOESSMER)は、南チロル地方に伝わる伝統生地ローデンクロスの現代版の展開やカシミヤで名が知られる、イタリアのテキスタイルブランドです。
古くはドイツ・アルザス系貴族のハプスブルク家から、近年ではアメリカ大統領を世に出したオバマ家、そしてファッショントレンドを創造する世界のトップデザイナーにいたるまでの幅広い層の顧客名簿を、モエスマーは持っています。
トップモードと古き伝統の融合に成功したモエスマー
ハイエンドなファッション性と伝統的なデザインの融合でファッション界に確固たる地位を築いたモエスマー(MOESSMER)。ウールからカシミヤのような高級獣毛まで、あらゆる繊維を網羅して生産している数少ないテキスタイルブランドのひとつです。
モエスマーの生地は、高品質と洗練されたスタイルの代名詞ともいわれて高く評価されています。実用的なローデンクロス(アルプスの極寒に耐えるための紡毛生地)のアウター素材から流行に敏感なウールまで、時代とともにモエスマーの打ち出す製品は変化しました。
ローデンクロスは本来、ローデングリーンと呼ばれる迷彩色的なグリーンが中心で色の選択肢はネイビーやグレーくらいでしたが、モエスマーは現代的でポップなカラーバリエーションも展開して注目を集めています。
また、コレクションで提案されるすべての生地がプレミアム感のある卓越した品質であることも、モエスマー(MOESSMER)のこだわる一貫した鉄則です。
モエスマー(MOESSMER)の発展の経緯
北イタリアの南チロルのブルコニで1894年に創業されたモエスマー(MOESSMER)は、今日でこそオートクチュールやトップトレンドとのつながりが強い、セレブリティやスーパーエグゼクティブのためのブランドとしての評価を得ています。
しかしそのルーツは、厳しい環境で生きるための生地から始まりました。
アルプスの極寒に耐えるローデンクロスは歴史的ロングセラー
しかしながら、モエスマー(MOESSMER)を最初に世間に知らしめたのは、南チロル地方に伝承される防寒生地ローデンクロスでした。用途はアルプスの極寒と風雪の環境下で活動する羊飼いや、狩猟に勤しむオーストリアの貴族の防寒着です。
防寒性と撥水性があり、ヘヴィウエイトながらも収縮性に富んだローデンクロスは、南チロルでの暮らしや活動に欠かせない生地となりました。
オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世への献上で大流行
モエスマー(MOESSMER)がオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世に、ローデンクロスを使った狩猟用のコート「オーストリアンローデンシューティングコート」を献上したことで、この伝統的な防寒着が20世紀初頭にヨーロッパで爆発的に流行しました。
このタイプのオーバーコートは、現在でも英国を中心にヨーロッパでは紳士のビジネススーツのアウターとして普及しています。
原毛が生地製品になるまで一貫して生産
モエスマー(MOESSMER)は原毛の絨毛や紡績、染色、織布、仕上げ、整理工程に至るまで一貫して自社で完結できる、ヨーロッパでも数少ないテキスタイルブランドとして名を馳せました。
そして王侯貴族や指導者階級、毎シーズンのモードを作り出すパリやミラノのトップデザイナーなどの顧客を増やしていきました。プラダやジョルジオ・アルマーニ、ルイ・ヴィトン、ドルチェ&ガッバーナなどの錚々たる顔ぶれです。
120年以上前に創業されたモエスマーの生み出す生地は、今もなおヨーロッパのビッグメゾンのコレクションで愛用されています。
モエスマー(MOESSMER)がおすすめな人
モエスマーがおすすめな人は、トレンドにも興味はあるけれど、伝統的なモノづくりにも惹かれるような方です。それは本来のクラシックに通ずる考え方です。時代ごとに多くの人が認める良いものが定番となり、スタンダードとなり、やがてクラシックとなります。
モエスマー(MOESSMER)が展開するコレクションはそういう要素を持った、10年後20年後にも着用できる確かな品質で、しかも古臭くない生地です。洗練されつつも息の長い生地といえるでしょう。
そういう歴史や伝統とトレンドが同居・融合する生地に興味があるみなさんには、モエスマーをおすすめできます。
さいごに
北イタリアの南チロル地方に伝わる防寒素材に始まり、今や世界のトップファッションにも影響するモエスマー(MOESSMER)はその長い歴史に負けないくらい、幅広い影響力を持つブランドといえるでしょう。
そんなユニークで存在感があるスーパーエグゼクティブ向けのモエスマーの生地でジャケットやコートを仕立てることを、エグゼクティブの階段を昇りゆくためのモチベーションとするビジネスパーソンが世界中にいるようです。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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