オーダースーツ 銀座英國屋コラムジョン・クーパーはドブクロス織機にて英国生地の醍醐味を味わえるオーダースーツ生地

ジョン・クーパーはドブクロス織機にて英国生地の醍醐味を味わえるオーダースーツ生地

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紳士服地を織る織機は現在、エアジェット式高速織機が主流です。そんな中、昔ながらの低速織機ドブクロスルーム(Dobcross Loom)を用いた打ち込みの良い生地「ドブクロス」を提供するオーダースーツ生地ブランドが、ジョン・クーパー(JHON COOPER)です。

現在進行形のヴィンテージクロスともいうべきジョン・クーパーの織り上げるドブクロスのオーダー生地は、本来の英国紳士服地が持っていた醍醐味を、現代で味わうことができる希少な生地といえるでしょう。

今回の記事ではそんな生地ブランド、ジョン・クーパーとドブクロスの魅力を紹介します。

「THE・英国生地」の表現がぴったりくるジョン・クーパーのドブクロス

オーダースーツ・フルオーダースーツ・ジョン・クーパー

ジョン・クーパー(JOHN COOPER)は現在ではホーランド&シェリー(HOLLAND & SHERRY)グループの一員として、色濃く英国文化を感じさせるドブクロスを供給しているオーダー生地ブランドです。

1800年代前半に創業者ジョン・クーパーが織物商を始めました。2代目の息子の名もジョン、3代目の息子の名もジョンです。

3世代のジョンは「ジョン・クーパー」というブランドを大きくし、ホーランド&シェリーグループに参加したことで世界的な地位を確立しました。

昔ながらの古き良き英国を体現する、打ち込みのしっかりした厳かで格調高い生地がジョン・クーパーの持ち味です。

近年では時代の流れでイタリア系オーダー生地にみられる軽く柔らかい生地が人気であり、英国生地もそういったトレンドを反映して、昔と比べればやや軽やかな風合いに変化してきました。

もちろん、英国テイストとイタリアンテイストの違いが無くなっているわけではありませんが、部分的には共通する世界観を備えているのは事実です。

それでも、昔ながらの英国生地を好む方々も決して少なくありません。そういった嗜好を十二分に満足させることができるレベルの生地こそが、ジョン・クーパーのドブクロスです。

ドブクロスとエアジェット型織機による生地との違い

オーダースーツ・フルオーダースーツ・ジョン・クーパー

ドブクロスルームは現在世界で14台しか現存しないと言われる、希少な織機です。ジョン・クーパーの生地銘柄、その名も「ドブクロス」はドブクロスルームで織り上げられて世に出ていきます。

ドブクロスルームはいわゆるシャトル織機で、木製のシャトル(杼=ひ)がじっくりと経糸(縦糸)の海を泳ぐように緯糸(横糸)を打ち込んでいきます。

エアジェット式織機の6分の1のスピードでゆっくりと織るため、1日でわずか40メートルしか織り上がらない非効率さと引き換えに、ウールの本来の風合いである柔らかさを損なわずに、生地の安定感と弾力性を実現します。

詳しく言えば、通常の6倍もの時間をかけた織布作業により、織られてゆく生地に不要なテンションがほとんど掛からず、良質糸の本来持つ風合いとポテンシャルが最大限に活かされた状態で織り上がってゆくのです。

その丹念な打ち込み方によって、極細繊維からなる細番手の糸で織る生地であっても織組織の密度が高く、しっかりしたウエイトを持つ生地として仕上がります。

丈夫で寒気を通さない、高密度で耐久性に優れた温かみがある生地になるのです。

ドブクロス村から世界の英国生地ファンへの贈り物

オーダースーツ・フルオーダースーツ・ジョン・クーパー

産業革命が進行する当時の英国織物産業の中心地、ハダーズフィールドのドブクロス村が織機の名前の由来であり、ジョン・クーパーブランドを特徴づける生地銘柄の名となっています。

ちなみに、ハダーズフィールドのヨークシャーの恵みに匹敵する、日本の木曽三川の豊かな水に恵まれた尾州の葛利毛織は、ドブクロスルームと並んで低速織機として有名な「ションヘル」を使用している織物業者です。

ションヘルにてエアジェット式の5倍の時間を掛けて織り上げる高級生地として、織物業界では知られています。

そしてジョン・クーパーはエアジェット式の6倍の時間を掛けて、英国生地本来の醍醐味を世界中の英国生地ファンに贈り届けているのです。

ファンの間では「ドブクロ」と呼ばれているドブクロスはハリとコシがあって、生地の中に空気を含んだような味わい深い風合いが特徴です。

イタリア生地のような強い自己主張はなく、むしろ奥ゆかしい厳かな感じにもジェントルマンの品格があふれています。

ドブクロスは古い機械のため、故障もするでしょう。しかし現在は生産されていない機械ゆえに部品もなく、故障の場合はあるものを工夫して、何とか修理しているようです。

この先10年後にこの生地が楽しめるかどうかはわからない、希少価値があるまさに現在進行形のヴィンテージクロスこそ、ジョン・クーパーのドブクロスといえるでしょう。

さいごに

英国文化が薫り立つドブクロスを提供してくれる生地ブランド、ジョン・クーパーは、英国生地に興味がある人にはそのルーツをそのまま、今身につけることを可能にする希少なブランドです。

グローバルに動く世界の中での英国ファッションももちろん素敵ですが、英国生地本来の醍醐味を一度は体感してみたいというみなさんは、私たち銀座英國屋も扱うジョン・クーパーを、ぜひ選択肢としてご検討ください。

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監修者

オーダースーツ銀座英國屋 代表取締役社長 小林英毅

小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)

1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。

ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。

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