オーダースーツ 銀座英國屋コラムダブルスーツの着こなし方。正しい着方やマナー、コーディネートまで徹底解説。

ダブルスーツの着こなし方。正しい着方やマナー、コーディネートまで徹底解説。

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お仕事でスーツを着る方は多いですが、そのほとんどがシングルのスーツです。

またビジネスシーンでスーツを颯爽と着こなせる人はとても格好が良いもの。スーツを着ている人の大半はシングルスーツですが、最近ではダブルのスーツを着る方も少しずつ見かけるようになりました。

しかし、いざダブルのスーツを着たいと思っても、ダブルスーツは着ている人の割合も少く、どのようなものを選べば良いか分からない方も多いのではないでしょうか。実際に「ダブルスーツのコーディネートが分からない」というご質問も頂戴します。

ビジネスシーンに最適なのはシングルスーツですが、デザインの知識としてダブルスーツについても基本的な事柄をはじめ、コーディネート方法まで詳しく解説します。

なお、このコラムの流れを先に紹介すると以下の通りです。

・ダブルスーツはどんなスーツ?

・シングルスーツとの違いは起源?

・ダブルスーツは見え方に特徴あり

・現代のダブルスーツはジャストフィットが基本

・一番下のボタンは外しておく

・座るときもジャケットのボタンは留めたまま

・袖ボタンは全て留める

・シャツは第一ボタンまで留める

・ダブルスーツの色と柄は慎重に

・ダブルスーツのVゾーンで考える

・靴とベルトの色を合わせる

・靴下も気を抜かない

このコラム、ダブルスーツの着こなし方の参考となりましたら幸いです。

ダブルスーツはどんなスーツ?

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ダブルスーツは正式にはダブルブレストスーツと呼ばれます。
ここではダブルスーツの起源や特徴、シングルスーツとの違いなどに解説します。

起源について

ダブルスーツは軍士官の外套や乗馬時に着用する衣装が起源とされています。
19世紀半ばに登場したものですが、外で着ることが多く、防寒着としての役割を担っていました。

その後、男性用の上着として用いられるようになったのがダブルスーツの始まりだといわれています。20世紀の初頭には、私たちが知っている現代のダブルスーツとほぼ同じ形に進化しました。

シングルスーツとの違いは起源?

ダブルスーツの歴史は上で挙げたとおり外で着る防寒着が起源ですが、シングルスーツは同じく19世紀の英国貴族の室内で着る執務服や平服だと言われています。そのため、ダブルスーツとシングルスーツはその起源に違いがあります。

ダブルスーツはシングルスーツと比べると重厚感が漂うため、シングルスーツよりもフォーマル度合いが高いように思われますが、格式の点で違いはありません。

なお、シングルスーツの着こなし方については下記のコラムでも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

スーツのオシャレな着こなし方とは?|理想的な着方とコーディネート例を項目別に解説

ダブルスーツは見え方の特徴あり

ダブルスーツの特徴は何と言っても重厚感、威厳が感じられる見え方にあります。シングルスーツと比べて前身頃の生地が重なる部分が大きく、またラペル(下襟)も大きいため、見た目の迫力を演出することができます。ダブルスーツを着ている人についても経営者、重役、専門家など権威ある立場の人を想像させます。

ダブルスーツ自体はシングルスーツと同じ格式ではありますが、このように見た目の重厚感があるため、着るときには注意が必要です。

例えば、自分よりも目上の方がいる場でダブルスーツを着ていると、人によっては違和感を覚えることがあります。そのため、新入社員などはダブルスーツの着用は控えておいた方が良いかもしれません。

また、ダブルスーツはデザイン性の点からシングルスーツと比べると華美に映ることがあります。そのため、職場の雰囲気が堅い場合はシングルスーツを着る方が無難と言えます。

4つボタンと6つボタンがある

シングルスーツの場合、ボタンは2つまたは3つ付いています。これに対し、ダブルスーツはボタンが横2列に配されているスーツです。また、同じダブルスーツでもジャケットのボタンの付け方の違いで大きく2つに分かれます。

一つはボタンが横2列、縦2個のジャケットです。縦横どちらも2つずつボタンが付いていますので、ボタンの総数は2×2で4つです。

もう一つは横2列に対し、縦3個のジャケットです。ボタンの総数は2×3で6つです。この両者のダブルスーツはボタンの総数の違いから「4つボタン」「6つボタン」と呼ばれることがあります。

ダブルスーツはこの「6つボタン」仕様が一般的とされており、広く採用されています。

ピークドラペルが基本

ダブルスーツの特徴の一つに「ピークドラペル」があります。これはジャケットの下襟(ラペル)の先端が上方向に尖った形状をしているためにこう呼ばれます。

一方、シングルスーツの下襟を見てみると通常は先端が下がっています。これは「ノッチドラペル」と呼びます。ダブルスーツとシングルスーツのラペルを比較するとダブルスーツはラペルの幅が広く、また先端が尖っているため、見た目の主張が強くなります。このため、ダブルスーツの方が見た目の迫力が増して権威性が感じられます。

現代のダブルスーツはジャストフィットが基本

最近はダブルスーツを着こなす人も少しずつ増えてきましたが、全体として見るとまだまだダブルスーツは少数派です。シングルスーツは問題なく着ることができるが、ダブルスーツは着ることを躊躇してしまうという方が多いのも事実です。

ダブルスーツを躊躇する理由として、「古臭い印象がある」「野暮ったい」といった理由が挙げられます。これは1980年頃、日本のバブル時代にソフトスーツと呼ばれるゆったりとした大きいサイズのダブルスーツが流行したため、その当時の印象が残っているためだと思われます。

そのため、ダブルスーツを着たいと思って一昔前のダブルスーツを持ち出して着てみても、格好良く着こなすことは難しくなります

では、現代のダブルスーツは一昔前のダブルスーツとどのような点が異なるのでしょうか。

現代のダブルスーツのジャケット

バブル時代のダブルスーツのジャケットは身幅にゆとりがあり、また着丈が長いのが特徴です。そのため、着用すると体の実寸に対してかなり余りが生じます。

それに対し、現代のダブルスーツはジャストフィットが基本です。身幅もシングルスーツを着たときの余裕とさぼど変わりません。また、ダブルスーツは基本的にボタンを留めて着用しますが、仮にボタンを外してもジャケットが広がり過ぎることがありません。

シングルスーツと比べるとスーツの形状こそ違いますが、着用感に大きな差がないのが特徴です。

現代のダブルスーツのズボン

ダブルスーツのズボンに関してもバブル時代と現代とでは大きく異なります。昔のズボンは全体的に幅が太く、太ももから裾先までがゆったりとしたシルエットでした。当時はジャケットも大きめサイズだったため、ダブルスーツを着ていると体が大きく見えてしまいます。

それに対して現代のズボンはテーパードといって、太ももから裾先にかけて細くなるシルエットです。そのため、下半身をすっきりと見せることができます。

ダブルスーツの正しい着方

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スーツスタイルではサイズ感が大事です。これはシングルスーツでもダブルスーツでも変わりません。そして、それと同じくらい「正しく着る」ことも大切です。これはどんなに良いスーツを着ていても着方が間違っていると、本来の美しいシルエットを出すことができなかったり、またマナー違反になったりすることがあるためです。

ここではダブルスーツの正しい着方について解説します。

一番下のボタンは外しておく

ダブルスーツはボタンの付け方で「4つボタン」と「6つボタン」の2種類がありますが、どちらのスーツ2箇所のボタンホールが付いている仕様になっています。基本的にはどちらの仕様であっても一番下のボタンは外しておきます。

ちなみにシングルスーツでも同様の着方で、ジャケットの一番下のボタンは外して着用します。これはシングルスーツの場合、一番下のボタンは上のボタンよりも少しだけ左右に離れた位置に付けられており、一番下のボタンを留めるとジャケットに不要なシワが寄ってしまい、見た目の印象が悪くなってしまうためです。このルールは「アンボタンマナー」と呼ばれ、一番下のボタンは留めないものとして一般的に定着しています。

これに対し、ダブルスーツはジャケットがボックス型のシルエットで、シングルスーツのようなジャケット正面の裾部分のカーブもありません。

そのため、ダブルスーツの一番下のボタンを留めても、シングルスーツのように見栄えが悪くなることがないため、一番下のボタンまで留めている例もあります。

もっとも、シングルスーツではアンボタンマナーが一般的であるため、ダブルスーツでも同じルールで臨む方が目が慣れていて無難と言えます。

座るときもジャケットのボタンは留めたまま

ダブルスーツを着ているときは、座るときにもジャケットのボタンは留めたままで着席します。これは、ダブルスーツのジャケットは正面の生地の合わせ部分が広いため、ボタンを外すとだらりと垂れ下がってしまい見苦しくなるためです。

ちなみにシングルスーツの場合、起立しているときはボタンを留めて、座るときはボタンを外します。人は一般的に起立しているときより着座しているほうが腹囲が大きくなるため、座っている姿勢でボタンを留めるとボタン周りに左右に引っ張られるシワができてしまうためです。

袖ボタンは全て留める。

ダブルスーツ、シングルスーツともにジャケットの袖ボタンはすべて閉じて着用します。一部では袖ボタンが開く仕様(本切羽)のジャケットもありますが、スーツを着る目的はお相手から信頼を得て、ビジネスで成果を収めることにあります。その点からすれば、袖ボタンは外さない方が良く、敢えて「本切羽」にする必要もありません。

シャツは第一ボタンまで留める。

スーツの下に着るシャツはネクタイを締めると第一ボタンがネクタイで隠れてしまうため、第一ボタンは留めずにネクタイを締めている方もいらっしゃいます。しかし、第一ボタンを留めないとネクタイを締めたときにシャツに不要なシワが寄ってしまいます。第一ボタンを留めることでシャツの形状が安定し、ネクタイを締めてもシワが寄りにくくなるのです。そのため、シャツは第一ボタンまで留めるようにしましょう

ダブルスーツのコーディネートの基本

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ダブルスーツは着ている人もまだ少ないため、コーディネートも難しく思われがちです。ここではダブルスーツのコーディネートについて解説します。

ダブルスーツの色と柄は慎重に

ビジネススーツを着る目的は、きちんとした服装をすることでお相手に誠意をお届けし、信頼を勝ち取ってビジネスで成果を収めるためです。

そのように考えるとダブルスーツの色はビジネススーツとして一般的に認識されているネイビーまたはグレーがオススメです。これはシングルスーツであってもダブルスーツであっても同じです。

また、ダブルスーツはそのデザインから重厚感や権威性が感じられます。そのため、例えば線が太くてしっかりとしたストライプ柄などのスーツを着ると、必要以上に強面に見えて威圧感を与えてしまうことがあります。

そのため、柄が入ったダブルスーツを選ぶ場合は、ピンストライプなど線の幅が細く、目立たないものの方が無難でオススメです。線の色も白などハッキリとした色よりも水色やグレーなどを選ぶと落ち着いた印象を与えます。

もちろん、無地のダブルスーツもオススメです。

ダブルスーツのVゾーンで考える

人は対面でお相手を見るとき、最初に顔まわりを見ます。そのため、ダブルスーツのコーディネートはVゾーンで考えるのが有効です。Vゾーンとはスーツの上半身でジャケットとシャツの境目がアルファベットの「V」の字に似ていることから、そう呼ばれます。

Vゾーンはジャケット、シャツ、ネクタイの3アイテムで構成されます。この3つのアイテムについて、柄もののアイテムを1つに抑えるとコーディネートが組みやすくなります。

例えば、柄物のネクタイを締めた場合、スーツとシャツは無地にするといった具合です。

ちなみにダブルスーツは2つボタンのシングルスーツと比べるとVゾーンが浅く、クラシックな印象を与えます。

派手柄は避ける

ダブルスーツには権威性や貫禄ある雰囲気があります。そのため、色や柄が派手なネクタイを締めると、主張が出過ぎて強面な印象を与えてしまう恐れがあります。そのため、派手な柄のネクタイは避けた方が無難です。

オススメは無地か小紋柄のネクタイ

オススメのネクタイは小紋柄のネクタイです。小紋柄とは小さな模様がネクタイ全体にあしらわれた柄のことをいいます。小紋柄のネクタイは洒脱で上品な印象を与えます。ダブルスーツに小紋柄のネクタイを締めることで、ダブルスーツが持つクラシックな見た目に花を添えることができます。

また、無地のネクタイ(ソリッドタイ)は柄の数を気にせず使えるためコーディネートが組みやすくてオススメです。

シャツはワイドまたはセミワイド

シャツは襟の形状によって種類が分かれます。ビジネス用のシャツでフォーマルなのは左右の襟先の幅が狭くとられている形状のレギュラーカラーですが、ジャケットを着た際にシャツの襟先がジャケットの襟の内側に位置するため見た目のバランスがあまりよくありません。

オススメはワイドまたはセミワイドといって、襟先が左右に広がっているタイプのシャツです。このシャツを着るとシャツの襟先がジャケットに収まり、見た目のバランスがよくなります。

靴とベルトの色を合わせる

スーツスタイルで例えば靴が黒でベルトが茶色といった具体に色がバラバラだと、全体の印象がちぐはぐになってしまい統一感が取れません。そのため、靴とベルトの色は合わせて使います。

ちなみに靴は茶色より黒の方がフォーマル度合いが高く、また紐がないデザインよりも紐で締めるデザインの靴の方がフォーマルです。この点でローファーはカジュアルな革靴に位置付けされるためビジネスシーンには不向きです。

靴下も気を抜かない

靴下はスーツと同系色にすることでズボンから靴までが全体でつながって見えるため、スタイル良く見せることができます。

また、スーツスタイルでは足の脛を見せるのはマナー違反です。そのため、スニーカー用の短い靴下をビジネスシーンで履くのは望ましくありません。

そこでオススメはロングホーズといって膝下まで長さがある靴下です。ロングホーズを履くことで足を曲げたり組んだりしても脛が出るのを防いでくれます。

まとめ

このコラムではダブルスーツの基本やコーディネート方法について詳しく解説しました。

なお、このコラムの流れを改めて紹介すると以下の通りです。

・ダブルスーツはどんなスーツ?

・シングルスーツとの違いは起源?

・ダブルスーツは見え方に特徴あり

・現代のダブルスーツはジャストフィットが基本

・一番下のボタンは外しておく

・座るときもジャケットのボタンは留めたまま

・袖ボタンは全て留める。

・シャツは第一ボタンまで留める

・ダブルスーツのコーディネートの基本

・ダブルスーツの色と柄は慎重に

・ダブルスーツのVゾーンで考える

・靴とベルトの色を合わせる

・靴下も気を抜かない

このコラムが、ダブルスーツの着こなし方の参考となりましたら幸いです。

なお、スーツはサイズ感が合ったものを着ることでさらに格好良く見せることができます。下記コラムでは正しいスーツ選びのポイントを詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

スーツはサイズ感が命!|正しいスーツ選びのチェックポイント|オーダースーツの基礎知識


 

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監修者

オーダースーツ銀座英國屋 代表取締役社長 小林英毅

小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)

1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。

ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。

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