オーダースーツ 銀座英國屋コラム高いワイシャツ生地と安いワイシャツ生地の違いとは?賢い選び方の基準を紹介
高いワイシャツ生地と安いワイシャツ生地の違いとは?賢い選び方の基準を紹介
オーダースーツに合わせるワイシャツは、そのスーツとのバランスを考え、やはり、身体にフィットするように仕立て上げるオーダーシャツを選ぶことがオススメです。しかしオーダーシャツ向けの生地にも、価格は高いものと安いものがあり、迷うところ。ではその違いは、シャツにどのように影響するのでしょうか。
今回の記事では、ワイシャツ用オーダー生地の「高いものと安いもの」の違いと、なにを基準に判断すればよいかを、分かりやすく解説します。上質なワイシャツをオーダーしようと検討しているみなさんは、ぜひご参考にしてください。
ワイシャツ生地の「高い」「安い」を決める要素
ワイシャツ生地価格の「高い」「安い」を決める要素は、根本的には原料の価格になります。とはいえ、なぜその原料が高い(安い)という価値がつくかが問題です。
注意したいのは、「希少だから高くなる」とは一概に言えないということです。いくら希少でも、その原料の需要がなければ価値はありません。つまり、「需要があって希少なもの」が高くなるのです。
その構図を端的に表現できる要素は「番手」、つまり生地を構成する原糸の細さの度合いです。原料や紡績技術などのさまざまな要素が、番手に集約されるといっても過言ではないでしょう。
ワイシャツ生地の最重要な価値基準「番手」
この番手はワイシャツ生地と、仕立てられるオーダーシャツにとって大きな意味を持ちます。生地の持っている価値を示す基準となる数字だからです。
コットンは、細番手であればあるほど上質とされます。
それは歴史的背景が少し関係しています。コットンが爆発的に普及したのは19世紀の産業革命の賜物ですが、あくまでもコットンはシルクの下位に位置づけされていました。
そして、コットンは「繊細なものほどシルクに近い」という価値基準が生まれ、上質とされます。そのため、量産できるようになった綿産業の次の目標は、コットンで出来るだけ細い糸を作り、きめ細やかで肌触りの良い繊細な生地を作ることでした。
その結果、細番手の綿糸を紡ぎ、より薄手の上質な生地が作られるようになったのです。その細い繊維で糸を作るためには、良い原料が必要となります。細くても切れにくく、繊維の長い超長綿でなければ、細番手の綿糸はできません。
つまり細番手のコットン生地は原料価格が高くなり、繊細な原料で糸を紡ぐことができる高級紡績機や、細い糸に対応する高級織機が必要となり、またそれは製造コストが上がって生地単価は高くなっていきます。
番手の違いで生地はどうかわるのか?
では番手が細いか太いかで、生地はどのように変わってくるのでしょうか。
番手が太い原糸で生地を織れば、太さに従って生地が分厚くなり、番手が細い原糸を使えば逆に薄くなります。太い原糸の生地は粗くてカジュアルな印象に、細い糸も生地がドレッシーな印象になります。
番手は数字が上がるほど細くなります。一般的に多く流通するワイシャツ生地に使われる糸の番手は、40番単糸から100番双糸です。双糸とは2本の原糸を撚り合わせて1本にした糸で、細番手ならではの糸の作り方を指します。
たとえば80番は40番の半分の細さですが、双糸にすることで倍の太さになり、単純に40番
糸と同じ太さになります。
しかしもとの原糸そのものが細いので、シャツのグレード感の違いは歴然です。ワイシャツ生地の「高い」「安い」を決める番手の違いは、出来上がるオーダーシャツに大きな影響を与えることになります。
ワイシャツ生地の「高い」「安い」が、オーダーシャツに与える影響
ワイシャツ生地の価格の「高い」「安い」、すなわち番手の違いは、仕立て上がるオーダーシャツのクオリティの良し悪しに直結します。
具体的には以下の点で影響を及ぼします。
・着心地
・質感
それぞれを見ていきましょう。
着心地への影響
着心地は糸が繊細なほどきめ細かいなめらかな質感になり、しなやかさも加わります。肌に近いシャツはスーツよりも着心地を実感しやすいので、細番手の繊細な生地のシャツの着心地は非常に良好です。
質感
細番手の生地はそれだけ表面の凹凸が少なくなり、しっとりとした質感を見せてくれます。また凹凸が少ないほど光を反射しやすく、光沢が際立つでしょう。
ワイシャツ生地の「高い」「安い」を決める番手と用途の関係
ワイシャツ生地の番手は200番を超えるものまであり、それぞれの番手によって適切な用途が想定できます。番手別に見ていきましょう。
<50番単糸>
ブランド品でも使用される、最も一般的なワイシャツ生地の番手です。
<60番単糸>
光沢があるコットンサテンなどでよく使われる、上質感があって肌触りが良い番手です。
<80番双糸>
撚り上げた太さは40番単糸と同じですが、構成する原糸は半分の細さとなり、着心地が良く高級感も出てくる番手です。
<100番双糸>
よく「100双」と呼ばれて高級ワイシャツ生地の代名詞になっている番手。エレガントなドレスシャツの入り口で、織組織のバリエーションも柄も最も多数作られる番手です。耐久性もあってシワにも強く、バランスの良い生地となります。
<120番双糸>
プレミアム感が漂う、付加価値の高いワイシャツ生地となります。100番双糸に比べて耐久性は少し落ちますが、なめらかさで光沢を放ち、見栄えは一段と良くなります。
<140番双糸>
プレミアムなシャツの印象になります。付加価値は大変高く、それだけに普段着には耐久性の面であまり向いていません。
<160番双糸>
購入できる範囲の最上級のワイシャツ生地になります。セレモニー用にドレスシャツとして使用されるクオリティです。
<上記より上の番手>
300番まで存在はしますが、繊細すぎて実用向けとしては難しい面があります。
一般的にオーダーでワイシャツを仕立てる場合には、アグレッシブに着るビジネスユースなら80〜100番双糸、大切な場面で着る用途のものには、120〜160番双糸の範囲で選ぶのがオススメです。
さいごに
ワイシャツ生地の「高い」「安い」を決める最も大切なポイントは、原糸の細さである「番手」に集約されます。番手が細くなるほど見栄えや肌触り、着心地がよくなりますが、耐久性は必ずしも比例しません。
そのため、オーダーシャツ向けに生地を選ぶ際には、用途に合ったチョイスをしましょう。私たち銀座英國屋は、メインのオーダースーツに合わせるシャツのオーダーも取り扱い、ワイシャツ生地も豊富に揃えております。ぜひお気軽にご覧ください。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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