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サラリーマンのスーツは何着必要?失敗しない選び方と着こなしマナーを解説
スーツは、サラリーマンにとっての必需品です。きちんと正しく着こなせば、印象も良くなり、周囲からの信頼を得やすくなります。
最近ではオフィスカジュアルが浸透してきましたが、スーツが必要となる場面は少なくありません。あまり着ない方であっても、いざというときのために、着こなし方やマナーを押さえておきたいものです。
この記事では、サラリーマンが押さえておきたいスーツの選び方から、着こなし方やマナー、着用後のメンテナンスまで、わかりやすく基本を解説します。
サラリーマンにスーツが重要な理由
サラリーマンにとって、スーツが重要となる最大の理由は「仕事着だから」ということにあります。人によっては、単に会社の規定で着ているだけという方もいらっしゃるかもしれません。
そんなスーツに気を配り、しっかりと着こなすことは、仕事での成功にもつながります。詳しく見ていきましょう。
サラリーマンは会社の顔でもあるから
会社を代表するのは社長や役員などの重役であることが常です。
しかし、取引先との商談など対外的な場面では、実際に対面するサラリーマン自身が「会社の顔」となります。一人一人が所属する企業を代表する立場です。ここで良くない印象を与えるのは、商談にとってマイナスとなりかねません。
いわば会社の看板を背負っているからこそ、身だしなみも万全で臨む必要があります。お相手へ誠意をお届けして信頼を勝ち取るなら、スーツは最も適した服装なのです。
第一印象は変わりづらいから
ある研究では、一度決まった第一印象はその後長期にわたって変わりづらいというデータもあります。つまり、最初にきちんとした印象を与えるとその後もきちんとしているイメージが続きやすくなります。
人と人がコミュニケーションを取る際の第一印象について、有名な心理学の「メラビアンの法則」というものがあります。この法則によれば、コミュニケーションで相手に影響を与えるのは言語情報が7%、聴覚情報が38%であるのに対して、視覚情報が全体の55%を占めるという結果が明らかになっています。
もし初対面でルーズな印象を与えてしまうと、後に挽回するのは難しくなります。
サラリーマンが最初からきちんとした服装でお相手と対面すれば、商談や打ち合わせがスムーズに進みやすくなります。
スーツは何着必要か?
サラリーマンにとって、スーツは何着必要なのでしょうか。着用頻度によっても変わりますが、ここでは仕事着として週5日程度は着用する方を想定して解説します。
前提として、「春夏物」と「秋冬物」では生地が別物となるため、日常的に取引先などと対面する方なら、理想は各シーズンそれぞれ5着ずつ、計10着です。これなら週5日勤務の場合でも週1で異なるスーツを着ることができるので、服装に気を遣っていることも演出できます。
お仕事が対人メインではない方であれば、各シーズンそれぞれ3着ずつ、計6着は持っておきたいところです。スーツは1回着たあと中二日は休めて湿気を取るのが理想となります。仮にクリーニングに出している最中に、手持ちの1着が汚れてしまっても、あと1着は替えがある状態になり、余裕をもって着回せます。
スーツはいつ買い替える?
スーツを日常的に着るサラリーマンなら、一度にまとめて買い替えるよりも、タイミングを見て少しずつ入れ替えていくのが無難です。
そもそもスーツのデザインは、すでにある程度完成しています。そのため月日を経たものでも、一見すると同じに見えるかもしれません。
しかし実は、毎年少しずつトレンドが変化しています。ジャケットの場合、購入から5年が経ったものと、最新のものを比べると、襟の雰囲気やボタンの位置、全体のシルエットなどに違いがみられる傾向に気付くはずです。
すでに何着かスーツを持っているなら、一度に複数枚まとめて買い替えるのはおすすめできません。例えば春夏物が5着あるなら、「毎年1着は買い足して、6年前に買ったものを処分する」という方法をとると、古く見えにくいスーツを着続けることができます。
サラリーマンのスーツの選び方
サラリーマンが着るスーツを選ぶポイントは、着る目的やシーンをふまえ、自分にあったものを見つけることにあります。詳しく解説しましょう。
着る目的で考える
スーツ専門店や百貨店などに行くとたくさんのスーツが並んでいるので、どのようなスーツを選べば良いか悩むかもしれません。そんなときは着る目的から考えるのがオススメです。
サラリーマンがビジネススーツを着る目的は、お相手にきちんとしている印象を与えて信頼を得ることです。そのように考えるとおしゃれなものやトレンドを追ったものではなく、ご自身の誠意を伝えるということを基準にして選べば、目的に適ったものを見つけることができるでしょう。
まずは無地の濃色が基本
これからスーツを買うサラリーマンが、まず持っておきたいのは柄が無地で濃色のものです。
無地のスーツはシャツやネクタイに柄が入っていても柄と柄が重ならず、干渉しません。いろいろな場面でコーディネートが組みやすく、重宝するはずです。
色味としては、ダークトーン(濃い色)を持っておくと、落ち着きがあり、また汎用性も高くなります。例えば、ダークネイビーやダークグレーなどのスーツを着用して中に白シャツを合わせると、色の明度差がはっきりするので、メリハリのあるコーディネートを組むことができます。
色はネイビーまたはグレーが王道
ネイビーまたはグレーのビジネススーツは清潔感があり、サラリーマンにとって大切な「信頼」を得やすくなります。実際にこの2色は世界基準で見てもビジネススーツの色としてもっともベーシックなものとされています。
一般的なイメージとして、ネイビーは若々しさや清潔感のある色です。ご自身のイメージを若く精悍に見せたいときに選ぶと、効果的となります。同じネイビーでも色の明るさや柄で華やかさが変わるので、数着持っておくのも良いでしょう。
対してグレーは落ち着いた印象、知的さを感じさせる色となります。落ち着いた印象を出したいとき、選択肢に入れたいところです。
なお、黒のスーツは本来、パーティーやレセプションなど特別な式典で使用するものです。ビジネススーツとして日常的に着用するのは避けたほうが無難です。
ストライプは柄の強さに気を付ける
サラリーマンのスーツとして、無地以外の柄では、ストライプ柄もおすすめです。縞模様とスーツ生地の色との明度差で見え方が変わります。
例えば、ベージュの縞模様が入ったグレーのスーツなどはストライプ柄が強く出過ぎず、落ち着いた印象になります。他には縞幅が細く、縞同士の間隔がせまいものは遠目では無地のように見えます。このようなスーツも控えめで上品な雰囲気になるでしょう。「シャドーストライプ」と呼ばれる織りで目立たない柄が表現されているスーツも着やすいものです。
反対に、縞と生地色の明度差がくっきりしたスーツは主張が強くなる傾向にあります。例えば、ダークネイビーの生地に真っ白の縞模様が入ったような生地は、かなり縞模様が目立ちます。中でも縞自体の幅が太く、ストライプの線の幅が離れているものは怖い印象を与えることがあるので、避けたほうが無難です。
ボタンはシングル仕様で
サラリーマンが着用するスーツとして、ボタンはシングル仕様がおすすめです。
そもそもジャケットには、正面ボタンの仕様の違いでシングルとダブルがあります。
ボタンが1列となっているのがシングルスーツです。もっともポピュラーなデザインで広く着用されていることもあり、威圧感も少ないことからビジネススーツに適しています。
一方でボタンが2列のダブルスーツは、デザインとして重厚感や貫禄があります。「見た目に権威性を持たせたい」などの意図がない限り、通常は避けたほうが無難でしょう。
サイズのチェックポイント
スーツはどんなに上等なものを選んでも、サイズが合っていないときちんとして見えません。
ここではサラリーマン向けに、ジャケットとスラックスに分けてチェックポイントを解説します。お手持ちのスーツについてもサイズ感が適正かチェックしてみてください。
ジャケット
ジャケットのサイズについて、確認したい箇所をご紹介します。
「スーツは肩で着る」と言われるくらい、肩がきれいに合っていると見た目はもちろん、着心地にも影響します。肩幅の理想は肩の先端と袖の付け根の繋ぎ目が指で1cm程度つまめるくらいです。それ以上余っていると肩が落ちてしまい不恰好になります。反対に全く摘めない場合は窮屈な着心地になります。
スーツのジャケットには、ある程度の長さが必要です。着丈の理想はお尻の下側がきちんと隠れるくらいの長さです。これより短すぎると軽薄な印象を与えてしまいます。反対に長すぎると足が短く見えるので注意が必要です。
適正な袖丈は中に着ているシャツの袖口が1cm程度覗くくらいの長さです。これよりジャケットの袖丈が長いと借り物を着ているような見た目になります。
ジャケットのボタンを留めたとき、Vゾーンが左右に引っ張られるように開きすぎていないかもチェックしましょう。ここが開きすぎていると、胸囲に対して身幅が小さいため、窮屈な見た目になります。
スラックス
スラックスのサイズに関してもチェックポイントがいくつかあります。
太ももから裾先にかけての筒幅はある程度の太さが必要です。脚の筋肉や形を拾ってしまうようなピタピタのスーツはマナー違反となりますので注意が必要です。脚の形があらわにならない範囲でジャストサイズのものが理想です。
裾丈もこだわりたいところです。理想は裾先が革靴にわずかに乗っていてほんの少したわんでいる状態です。このたわみを「クッション」と呼びます。しっかりとたわみがあるものを「ワンクッション」、ほんの僅かにたわみがあるものは「ハーフクッション」と呼ばれ、上品な見た目になります。
関連ページ:スーツはサイズ感が命!|正しいスーツ選びのチェックポイント|オーダースーツの基礎知識
スーツの着こなしマナー
スーツには正しい着方のルールがあり、そのルールを外すと綺麗に見えなかったり、マナー違反になったりすることも。ここではサラリーマンが覚えておきたい着こなしマナーについて解説します。
ジャケットの一番下のボタンは留めない
スーツを着用しているとき、ジャケットの一番下のボタンは常に外しておくのが正しい着方です。これは「アンボタンマナー」と呼ばれ、スーツはもちろん、単品のジャケットでもこの着方をします。
ジャケットは裾先にかけてカーブがかかっており、外側に広がる作りをしています。そのため、下のボタンを留めると不要なシワが寄ってしまうのです。
これは2つボタン、3つボタンのスーツどちらも同じとなります。
ジャケットのボタンは座るときに外す
スーツを着ている際、座るときにはジャケットのボタンを外すのが正式な所作です。
スーツは立っている姿勢でもっとも美しく見えるように作られています。一般的に人間は座るときのほうが、立っているときよりもお腹周りが大きくなります。よって、着座のときはボタンを外しても問題ありません。
「ジャケットのボタンを外しておき、立つときにサッとボタンを留める」という所作は、最初のうちは大変かもしれませんが、慣れてしまえば簡単です。きちんとできればスマートに映るので、印象アップにもつながります。
ポケットに物を詰め込まない
スーツのポケットには物を入れません。
ときおり、ジャケットやスラックスのポケットに二つ折り財布などを入れているサラリーマンをお見かけします。ポケットに物を詰め込むと、そこだけ膨らむため美しく見えません。また、スーツ生地は薄いので型崩れの原因にもなります。
かさばる物を持つ際はバッグなどに仕舞っておきましょう。この点について、スマートフォンは薄くてかさばることはありません。しかし意外に重さがあるので、やはり型崩れの原因になります。バッグに仕舞って持ち運びたいところです。
唯一、ポケットに入れても良いものはポケットチーフです。胸ポケットにポケットチーフを挿すと、スーツの美しい見た目も保つことができます。
スーツのメンテナンス
スーツはきちんとメンテナンスすることで長く愛用することができます。ここではサラリーマンが行いたい日常のお手入れについて解説します。
スーツを着終わったらまずはブラッシング
一日着たスーツは目に見えなくてもチリや埃がついています。
スーツを脱いだら、ハンガーにかけてブラシがけを行います。ジャケット、スラックスともまずは、下から上方向に掻き出すように衣類用ブラシをかけるのがポイントです。
それが終わったら、今度は上から下方向にブラシをかけます。生地を寝かせるようなイメージです。これだけでもスーツの持ちが変わるでしょう。
着た後は日陰干しをして休ませる
夏場はもちろん、秋冬であってもスーツは一日着ると湿気を帯びているため、日陰干しをして休ませましょう。
スーツを脱いだあとはすぐにクローゼットに仕舞うのではなく、ハンガーにかけて風通しの良い場所で、日陰干しをしておきます。こうすることでカビや虫食いが起こりにくくなります。直射日光に当てると生地が傷むため、日陰に置いておくのがポイントです。
また、連日着るとその分傷むスピードも早くなります。一度着たら、間2日は使わずに休ませるのが理想です。
厚みのあるハンガーを使う
スーツのジャケットをかけるときは、肩部分に厚みがあるハンガーを使うようにしましょう。
ジャケットの肩部分は立体的に作られています。特に良い仕立てになるほど、肩の縫製は手作業で行われ、アイロンなどを駆使して丁寧に仕立てられています。クリーニング店などで返却される際に使われている細いワイヤーハンガーにジャケットをかけると、せっかくの肩の立体的な作りが損なわれてしまいます。
厚みがあるなら、スーツ購入時に使われているハンガーでかまいません。同じ色やデザインのハンガーで統一すると、クローゼットもスッキリするのでおすすめです。
クリーニングは出し過ぎに注意する
スーツをクリーニングに出すなら、出しすぎないように注意しましょう。
クリーニング店に出すと、ドライクリーニングを行なって返却されるのが一般的です。綺麗になって返ってくる反面、薬剤を使うためわずかながら生地が痩せてしまうことがあります。そのため、頻繁にクリーニングに出すと当初の風合いがなくなる恐れがあります。
特に皮脂や汗、汚れが気になる場合以外はシーズン終わりに一度出すくらいで良いでしょう。
なお、返却時に被っているビニール袋は被せたままにしておくとカビの原因になったりするため、外して保管します。
まとめ
今回は、サラリーマンが押さえておきたいスーツの基本を解説しました。
スーツは、選び方はもちろん、着こなし方も大事です。ジャケットの一番下ボタンは留めないというアンボタンマナー、着座の際はボタンを外しておく所作も覚えておきたい着こなしマナーです。
長くスーツを使うために欠かせないのがメンテナンスです。一日着たスーツはブラシがけを行い、厚みのあるハンガーにかけて湿気を飛ばします。連日、着ると傷みも早いのでできれば、間2日は休めるのが理想です。
このコラムをご覧いただくことでサラリーマンが着るスーツについて、理解を深めていただければ幸いです。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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