オーダースーツ 銀座英國屋コラムオーダースーツ店のフィッターとは?スーツのフィット感・シルエットを左右する役割
オーダースーツ店のフィッターとは?スーツのフィット感・シルエットを左右する役割
オーダースーツ店には、スタイリスト・フィッター・カッターなど、様々なスタッフが関わっています。
同じ役割であっても、呼び名が異なることもあり、分かり難いのではないでしょうか。
今回は、様々なスタッフをご紹介しながらも、スーツのフィット感・シルエットを左右する「フィッター」について詳しくご紹介します。
目次
オーダースーツ店に関わる様々なスタッフ
オーダースーツ店には、様々なスタッフが関わっています。
同じ役割であったとしても、お店によって呼び名が異なることもあり、分かりにくいのが現状です。
(たとえば…テーラー・店舗スタッフ・接客担当・販売スタッフ・スタイリスト・カッター・フィッター・工場スタッフ・裁断士・縫製士・縫製技術者など。)
様々な呼び方がありますが、基本的には、接客・採寸&フィッティング・生地裁断・縫製の4つの役割に分類されます。
パターンオーダー・イージーオーダーは、兼任が多い
パターンオーダー・イージーオーダーでは、多くの場合、接客・フィッティングが兼任されています。
それは「縫製で対応できる範囲」が限られており、緻密なフィッティングが不要なためです。
最近のパターンオーダー・イージーオーダーは、怒り肩・なで肩といった「体型補正」まで、対応できる縫製体制に磨かれてきました。
しかし、数字だけでは表現できない内容、例えば、より細かい肩の形状にまでは、縫製対応が難しくなります。
(肩幅が同じ48cmだとしても、筋肉の付き方・骨の付き方・首が付く角度など、人によって、肩の形状は全く異なります。
こうした細かい点は、フルオーダースーツに対応できる縫製体制で反映ができるものです。)
また、数字だけでは表せない細かな内容は、「仮縫い付きイージーオーダースーツ」であっても、対応が難しくなります。
「フィッティングの方法」である「仮縫い」は加わりますが、縫製体制は、「イージーオーダースーツ対応のまま」だからです。
こうした「縫製の対応範囲」に応じて、パターンオーダー・イージーオーダーでは、「フィッティングの範囲」が自ずと限定されてしまいます。
昔のテーラーは、全てを一人でこなしていた。
昔のテーラーは、接客・採寸&フィッティング・生地裁断・縫製の、全てを一人で担当していました。
全てを一人で担当するメリットとしては、お客様の「スーツへの期待」といった背景も踏まえて、スーツを作ることが出来る点です。
しかし、今はこういった「全てをこなすテーラー」は、少なくなっています。
銀座英國屋では、全てを専門職として独立させている。
銀座英國屋では、接客・採寸&フィッティング・生地裁断・縫製の4つの役割を、全て専門職として独立させています。
接客 :スタイリスト
採寸&フィッティング:フィッター
生地裁断 :裁断士
縫製 :縫製技術者
専門職として独立させているのは、専門技術を集中的に磨ける環境を作るためです。
例えば、後述する銀座英國屋独自の「袖まで外すフィッティング」は、採寸&フィッティングの専門職としてフィッターを独立させたことで、開発・導入できました。
また、高齢化が深刻化するオーダースーツ縫製業界の中で、銀座英國屋の自社工房では「社員の半分以上が40歳代以下」を実現しているのは、縫製技術者を独立させた一つの結果です。
このように、銀座英國屋では、接客・採寸&フィッティング・生地裁断・縫製の全てを専門職として独立させることで、より良いスーツをご提供し続ける体制を整えています。
銀座英國屋のフィッターは、採寸&フィッティングの専門技術者
上述の通り、銀座英國屋のフィッターは、採寸&フィッティングの専門技術者として独立しています。日々、より良い「信頼を得られる装い」をご提供するため、人間の身体・生地の特性・ファッショントレンド・縫製などを学び続け、その専門性を高めています。
銀座英國屋は「袖まで外すフィッティング」を開発・導入
銀座英國屋のフィッターの専門性を表す技術として、銀座英國屋独自の「袖まで外すフィッティング」が挙げられます。
「スーツは肩で着る」と言われるように、「肩回りにスーツが合っているか?」は、とても重要な要素となります。
例えば、ワキが圧迫されてしまったり、肩がスーツに合わなかったりすると、肩こりが発生する原因となります。また、シワも寄りやすくなるため、見た目にも良くありません。
このようなことから、銀座英國屋では「肩回りを楽にすること」を目的に「袖まで外すフィッティング」を開発・導入いたしました。
自動採寸は、研究の結果、「フルオーダースーツには、時期尚早」と判断
近年AI技術の進展もあり、パターンオーダースーツや簡易なイージーオーダースーツにも、3D自動採寸を導入するケースが出てきています。
銀座英國屋でも、東証一部上場企業・大学研究室・ベンチャー企業と、数年かけて共同研究いたしましたが、残念ながら「緻密な採寸が必要とされる、フルオーダースーツへの導入は、時期尚早」との結論に至りました。
理由 採寸のポイントが決められない。
「肩幅48cm」といった数値を測るには、「どのポイント~どのポイント」と採寸ポイントの指定が必要です。
人間であれば、ある程度、採寸ポイントを感覚値で決められますが、3D自動採寸では「どこを肩先の採寸ポイントとするか」の指定が必要となりますが、
現時点での計測技術ではなかなか難しい状況です。
銀座英國屋のフィッターは、縫製経験者
銀座英國屋のフィッターは、基本的に縫製経験者です。
「どのような指示をすれば、縫製できるか?」の縫製方法が分かっていてこそ、より良いスーツを仕立てることができるからです。
銀座英國屋は、埼玉県北本市に「オーダースーツ縫製工房」という専門工房を設けています。若手育成の流れとして、まずはオーダースーツ縫製工房で縫製経験を積み、その上でフィッターの育成過程に入るようにしています。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
銀座英國屋は「信頼を得られる装い」をご提供するにあたり、「フィッター」をとても重要視しています。
なお、フィッターのインタビュー記事もございます。
もし、ご興味がございましたら、フルオーダースーツのフィッターに聞いた!仕事の内容とやりがいとは?もご覧くださいませ。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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