オーダースーツ 銀座英國屋コラム【結婚式】男性の服装選び~お祝いの気持ちが一目で伝わる服とは?
【結婚式】男性の服装選び~お祝いの気持ちが一目で伝わる服とは?
結婚式の服装で迷われる方は、本当に多くいらっしゃいます。
理由は、結婚式の服装は、一見、ルール・マナーとして決まっているように思えますが、今の日本の実情では、結婚式の服装のルール・マナーが決まっていないためです。
例えば、礼服の区分(正礼装・準礼装・略礼装)ですらも、外務省の国際儀礼(プロトコール)と、一般的な説明では異なります。
このため、結婚式の服装で、多くの方が迷われます。
今回、信頼を大切にされる方々より、約80年間選ばれてきた老舗オーダースーツ専門店として、単に「マナーとして恥ずかしくない」というだけではなく、「一目でお祝いの気持ちが伝わる」という視点で、日本の実情に即した「結婚式における男性の服装の選び方」をご紹介します。
目次
「お祝いの気持ち」が伝わる服装は「最大限のドレスアップ」
「マナーとして恥ずかしくない」を超えて「お祝いの気持ち」を伝えようとするならば、「ルールの中で、どれだけドレスアップするか?(=フォーマルにするか?)」がオススメです。
理由は、「自分視点での服装」ではなく、「相手視点での服装」にするためです。
最近、「自分が楽に過ごしたい」という気持ちから、結婚式でも、服装のドレスダウン(=カジュアル化)が広がっています。
その中で、ドレスアップ(=フォーマル寄り)された服装の男性がいれば、一目で「この場に対する敬意」が伝わり、それと共に「お祝いの気持ち」も伝わります。
だからこそ、「お祝いの気持ち」を伝えようとするならば、最大限のドレスアップを、オススメします。
ちなみに、ビジネスシーンでのカジュアル化が進む中で、銀座英國屋のお客様が、敢えて銀座英國屋でオーダースーツをお仕立てになさるのも、「自分が楽に過ごしたい」という気持ちが出発点ではなく、「一目で敬意を伝え、信頼を得て、仕事を円滑にするため」です。
結婚式の服装についても、この「一目で敬意が伝わる服装」という考えがオススメです。
今回の記事では、「マナーとして恥ずかしくない服装」ではなく、「お祝いの気持ちが伝わる服装」という観点でご紹介いたします。
注意:日本の実情に即した内容です。
今回のご紹介する内容は、あくまでも「日本の実情」に即した内容です。
国際儀礼(プロトコール)とも異なります。
例えば、外務省が発表する国際儀礼(プロトコール)によれば、モーニングコートは昼の正礼装とされています。
しかし、今の日本では、準礼装と区分けされることが、むしろ多い状況です。
また、海外(特にヨーロッパ)では、また異なる実情があります。
こういったルール・マナーが曖昧な状況ですが、今回は「日本の実情」に即した内容に致しました。
結婚式での男性の服装のオススメ
結婚式における男性の服装の選び方には、ドレスコード・会場の格・立場・時間帯といった要素を考慮します。
個別要素も後述しますが、ここでは「お祝いの気持ち」が伝わるオススメの服装をご紹介しています。
また個々の内容についても、後述いたします。
新郎新婦の父親は、昼夜問わず、モーニングコートが多い
モーニングコートは昼の正礼装。
夜の正礼装は燕尾服とされています。
新郎が燕尾服を着用することはありますが、新郎新婦の父親が燕尾服を着用することは、あまりありません。
また、夜でも燕尾服ではなく、モーニングコートを着用することが、日本では一般的です。
もし、夜の式で新郎がタキシードをお召しならば、新郎新婦の父親も、タキシードにされることをおススメします。
主賓・スピーチをされる方は、新郎新婦の格を超えない。
招かれる主賓やスピーチをされる参列者は、新郎新婦の服装の格を超えてはいけません。
モーニングコートや燕尾服はもちろんのこと、新郎新婦よりも華美な服装はマナー違反です。
モーニングコートの略式にあたるディレクターズスーツや礼服のブラックスーツ、また夜の場合のタキシードはファンシーなものは避け、シンプルな黒タキシードに留めておくことが大切です。
他の立場の方は、昼夜問わず、以下のセット
礼服としてのブラックスーツ(大学生は、リクルートスーツでOK)
一言でブラックスーツと言っても、礼服用・ビジネススーツ用とでは異なります。
礼服用ブラックスーツには、次のような特徴があります。
光沢・ツヤが抑えられ、漆黒ともいえる深い黒の生地が使われます。
これは、「より深い黒が冠婚葬祭では相応しい」という考え方があるためです。
またジャケットの襟には、ステッチがありません。
ズボンの裾はシングルです。ダブル(折り返し付き)は、カジュアルとされる仕様です。
シルバーベスト
秋冬シーズン用であれば、礼服としてのブラックスーツを、スリーピーススーツ(黒ベスト付き)で仕立てておけば、黒ネクタイと合わせて、冬の葬儀の服装としても対応できるため、オススメです。
「黒ベストに白襟を取り外しできる」という仕様もあります。
これは結婚式などの慶事には白襟を付けることで華やかさを、また、弔事ではその白襟を外すことで華美にならない、という演出をするという、日本独自の利便性を追求した慣習です。
もし、ご利用であれば、不祝儀では白襟をかならず取り外すことを絶対に忘れてはいけません。
しかし、「お祝いの気持ち」を示すという視点から、「黒のベスト」とは別に「シルバーベスト」を用意することをおススメします。
白無地のワイシャツ。襟型はワイドカラー or セミワイドカラー。
ワイシャツの襟型をウィングカラーにし、黒蝶ネクタイをするという考え方もあります。
しかし、ウィングカラーシャツは、準礼装以上で使用するドレスシャツであり、略礼装であるブラックスーツに合わせるのは、オススメしません。
シルバー無地ネクタイ
白ポケットチーフ。形はスリ―ピークス
ポケットチーフを織って形作るのは難しいため、成形されたポケットチーフ(ex:フィックスポン)を使用するのがオススメです。
黒ロングホーズ(ヒザ下までの長さの靴下)
座った際に、スネが出てしまうのは、NGです。
取扱っているショップが、あまりありませんが、銀座英國屋では1650円(税込)で取り扱っております。
黒ストレートチップ・内羽根の革靴
外羽根は、カジュアルな革靴です。
高校生・中学生・小学生は、制服
高校生・中学生・小学生は、制服で大丈夫です。
礼服のブラックスーツは、比較されやすい。
結婚式(や葬儀)では、出席者の多くが「礼服としてのブラックスーツ」をお召しになります。
そして、「礼服としてのブラックスーツ」は、ビジネススーツとも異なり、基本的な形が決まっています。
このため、生地・フィッティング・縫製・着こなしの差が、普通のビジネススーツ以上に、比較されてしまいます。
礼服の着こなし方は「自分に合った良い礼服を、崩さずに着る」です。
礼服だけではなく、ビジネススーツも含め、「自分に合った良い洋服を、崩さずに着る」ができている方は、多くありません。
このため「自分に合った良い洋服を、崩さずに着る」ことができるだけで、相手への「敬意・お祝いの気持ち」が伝わり、かつ、それはカッコいい着こなしとなります。
そのためにも、まずは「自分に合った良い礼服」が重要です。
礼服の生地は、「可能な限り濃い黒」を選ぶ。
生地については、より「漆黒」と言える礼服地が礼服として相応しいといわれています。
ですが生地は「糸を黒く染める」ため、漆黒にするのは難しく、赤みがかった黒・青みがかった黒、と様々な黒になってしまいます。
それが、結婚式や葬儀のように多くのブラックスーツが並ぶ際には、黒の良し悪しとして比較されることになります。
このことから、銀座英國屋では、「漆黒」を実現した「銀座英國屋の黒礼服地」を開発しました。
フィッティング・縫製に注力しているスーツショップを選ぶ。
礼服はオーソドックスな形であるため、フィッティング・縫製の差が顕著に表れます。
このため、フィッティングや縫製に力を入れているオーダースーツ専門店でご用意することをオススメします。
フィッティング・縫製については、オーダーし完成したスーツを試着してみるまでは、なかなか判断が難しいと思いますが、一つの基準として「オーソドックスなスーツの提案をメインにし、かつ、歴史の長いオーダースーツ専門店」があります。
理由は、デザインで売るファッショナブルなスーツではなく、オーソドックスなオーダースーツをメインにした場合、フィッティング・縫製の技術が高くなければ、お客様からの支持を受け続けることが難しいためです。
結婚式の男性参列者の服装の決まり方(重要順)
招待状にあるドレスコード
会場のドレスコード
立場
時間帯(昼夜)
各項目について、次項より解説致します。
第1は、招待状にあるドレスコード
服装を選ぶ基準の最優先は「招待状にあるドレスコード」です。
新郎新婦が「このようにお祝いしていただきたい」という意思表明ですので、ぜひ、それに則った服装をお選びください。
第2は、会場のドレスコード
もし、招待状にドレスコードの記載が無ければ、会場のドレスコードを確認します。
ドレスコードの種類
ドレスコードの種類を、参考としてご紹介します。
これもルール・マナーとして確立していないため、あくまでも参考とご理解ください。
ホワイトタイ(燕尾服)
フォーマル(正礼装:モーニング)
セミフォーマル/ブラックタイ(準礼装/タキシード)
↓ここからが平服の範囲↓
インフォーマル(略礼装:ブラックスーツ、ダークスーツ)
スマートエレガンス(ダークスーツ、明るい色のスーツ)
ビジネスアタイア(ビジネススーツ)
スマートカジュアル(上品なジャケット&パンツのスタイル)
↑ここまでが平服の範囲↑
カジュアル(Tシャツ・Gパンなどのカジュアルウェア)
礼装の種類
冒頭にご説明した通り、礼装(正礼装・準礼装・略礼装)の区分けは、決まっていません。
外務省の国際儀礼(プロトコール)
正礼装 昼:モーニングコート、夜:燕尾服
準礼装 昼:記載なし、夜:タキシード
略礼装 昼夜:平服・ダークスーツ・ラウンジスーツ
ディレクターズスーツ、ブラックスーツの記載ナシ。
一般的な書籍での区分けパターン1
正礼装 燕尾服
準礼装 昼:モーニングコート、夜:タキシード
略礼装 昼夜:ブラックスーツ、ダークスーツ
ディレクターズスーツの記載無し
一般的な書籍での区分けパターン2
正礼装 昼:モーニングコート、夕方:タキシード、夜:燕尾服
準礼装 昼:ディレクターズスーツ、昼夜:ブラックスーツ
略礼装 昼夜:ダークスーツ
銀座英國屋として、日本の実情に合わせたご提案(この記事内容)
正礼装 昼:モーニングコート 夜:燕尾服
準礼装 昼:ディレクターズスーツ 夜:タキシード
略礼装 昼夜:ブラックスーツ
ブラックスーツは、日本独自の慣習。
外務省発表の資料によると、『日本では、男性はブラック・スーツと白いネクタイ、またはブラック・スーツと黒いネクタイ(いわゆる「ブラック・フォーマル」)を、それぞれ慶事と弔事に使い分けて着用していますが、「ブラック・フォーマル」を礼服とするのはおそらく日本独自の習慣です。』とのことです。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/local/database/pdfs/protocol35.pdf
しかし、日本においては、「略礼装としては、礼服のブラックスーツが相応しい」とされているため、その慣習に合わせるのがオススメです。
第3は、どの立場で出席するか?
様々な出席の立場がありますが、一般的に、以下の区分け・序列で服装を考えると良いでしょう。
新郎
>新郎新婦の父親
>主賓、スピーチをされる方(友人代表、上司など)
>新郎新婦の親族・取引先・上司・同僚・部下・友人
>大学生
>高校生・中学生・小学生
本来は、礼服の格が、上位よりも超えてはならない(ex:主賓の礼服の格を、友人代表が超えてはならない)といった考え方もあります。
しかし、当日の服装を、事前には確認できないため、実情としては、殆ど気になさる方はいません。
第4は、時間帯
礼装は時間帯(昼間・夜間)で変わります。
区切りはどこかといえば「15時頃から始まるか?」と捉えていただければ問題ありません。
つまり、夕方から夜にかかって着用するのであるならば、夜間の礼装で良いと考えられます。
しかし、そもそも礼装の区分け(正礼装・準礼装・略礼装)自体が、決まっていません。
また、昼間・夜間を跨ぐ場合には、それぞれの礼装を用意するのか?といった問題もあります。
こういったことから、実際には、あまり気にされてはいません。
マナー違反アイテム
「お祝いの気持ちが伝わる」どころではなく、そもそものマナー違反とされる服装を、一応、ご紹介します。
もちろん、ドレスコードとして指定されているようであれば、それに準じることがマナーです。
基本、主役はあくまで新郎新婦であり、参列者はその二人よりも華美でなく、また被らない服装であることが大事です。
スーツ
白スーツ・明るいグレースーツ
ビジネススーツ
派手な柄のスーツ
ブラックスーツ×黒ネクタイ
ワイシャツ
黒シャツを筆頭としたカラーシャツ
派手な柄シャツ
ボタンダウンシャツ
靴
スニーカー、サンダル、ブーツ
カジュアル寄りの革靴(メダリオン・外羽根)
ワニ革・ヘビ革・スエード皮革の革靴
靴下
ショートソックス(くるぶしが出ている)
白い靴下
ベルト
太すぎる・細すぎるベルト
バックルが主張するベルト
バッグ
結婚式には、基本的にバッグを持ち込まないのがマナーです。
会場のクロークに預けることをオススメします。
リュック・トートバッグ・メッセンジャーバッグ
遠方からの出席の場合
シワを避けるため、スーツ専用のガーメントケースに入れて運ばれることを、オススメします。
さいごに
さて、今回は、「結婚式における男性の服装の選び方|一目で「お祝いの気持ち」が伝わる服装とは?」ということで、ご紹介させていただきました。
基本的な考え方は、「お祝いの気持ち」を伝えるために、「ルールの中で、どれだけドレスアップするか?(=フォーマルにするか?)」がオススメです。
銀座英國屋では、個別のご相談も承っております。
ご興味のある方は、無料ご相談や無料オーダー体験をご予約下さいませ。
礼服・喪服・フォーマルウェアのご相談先(オーダースーツ銀座英國屋)
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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