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スーツの臭いを消すには?自分でできる予防とケア方法を解説
スーツの臭いを消すには?自分でできる予防とケア方法を解説

気付かないうちに付いてしまう、スーツの臭い。特に、汗や食べ物、タバコなどの臭いなどは一度付着するとなかなか取れないため、気になる方も多いのではないでしょうか。
こうした悩みに対しては、普段の着用時からのちょっとした工夫や、適切な対処がポイントです。臭いがつかないようにする予防策を知っておくことで、スーツを長く快適に着用できます。
この記事では、スーツに臭いがつく原因や代表的な種類を整理しながら、日常で実践しやすい消臭方法と予防策をご紹介します。
スーツに臭いがつく理由

スーツに臭いがつく原因は、外側からの付着と内側から発生の2つがあります。
外側からの原因としては、タバコの煙や汗などが代表的です。これらはスーツの表面に一時的に付着していることが多いため、早めのお手入れで深く染みつくのを防ぐことができます。
一方、内側から発生する臭いにはより注意が必要です。着用中にかいた汗や皮脂が生地に残ると、それを栄養にカビや細菌が繁殖し、時間の経過とともに臭いが強くなってしまう恐れがあります。
スーツに多く使用されるウール素材は吸湿性に優れる反面、臭いを吸着しやすい性質も持ち合わせているため注意しましょう。着用後に通気や陰干しを怠ると、臭いが残りやすくなる傾向があります。
このように、臭いの種類や原因によって対処法も異なるため、状態に応じた正しいケアを早めに行うことが大切です。
スーツにつく臭いの種類
スーツにつく臭いは外側からと内側からとに分けられますが、その種類はさまざまです。しっかりと対処するためには、それぞれの特徴に応じたケアが欠かせません。
ここでは、代表的な種類とその特徴について解説します。
汗や体臭

もっとも多いのが、スーツに付着した汗によるものです。特に脇下や背中周りなどは、スーツとインナーのシャツの密着度も高く、汗が移ってしまいやすい部分とされています。
なお、汗自体にはそれほど強い臭いはありません。問題となるのは、汗が繊維の奥に入り込んだまま放置されることで、細菌が繁殖し、独特な臭いを発生させてしまう点です。
また、ジャケットだけではなくスラックスにも汗はついており、上下両方から臭いが出るため、気付かないうちに全体に広がっていることもあります。
一度、生地の繊維内で細菌が繁殖すると、乾いたように見えても時間が経ってから匂いがぶり返すことがあります。こうした汗や体臭が原因の臭いは、繊維に沁みつく前にしっかりとケアしておくことが大切です。
タバコや煙

タバコも、臭いの原因の一つです。特に喫煙室などは外部から密閉されているため、そこで喫煙すると燻されたように強い臭いがスーツに付きます。ご自身が喫煙しない場合でも、隣にタバコを吸っている人がいるだけで、煙がスーツに付着してしまうこともあるので、注意が必要です。
また、タバコ臭は汗や湿気などと混ざると、さらに強くなることがあります。汗をかいていたり雨で湿っていたりすると、繊維に入り込んだ汗とタバコ臭が付着することで、取り除くのが困難になる恐れもあります。
タバコ以外では、焼肉店や居酒屋など煙が多く発生する場所でも、臭いが移りやすくなります。そのまま放置しておくと繊維の奥に入り込んでしまい、早めの対応が求められます。
雨や湿気

水分が多い環境は、雑菌が繁殖するのに適しています。そのため、スーツを濡れたまま放置すると、雑菌が活発に増殖し、生乾きの臭いやカビ臭などの原因となります。
また、雨の日は湿度が高く、湿気が地面から上がってきます。直接雨には濡れなくても、スーツが湿気にふれることで臭いにつながるケースもあり、早めのケアが必要です。
食べ物や飲み物

食べ物や飲み物などをスーツにこぼしたまま放置しておくと、臭いの原因になります。また、特に揚げ物など油の多い料理は、油の成分が繊維に入り込み、時間が経つと酸化して強い臭いになることも。
たとえスーツにこぼさなくても、食べ物の臭いがスーツに染みつくケースもあります。また、目に見える汚れがなくても、外食後はブラッシングや風通しのよい場所での陰干しを習慣化することが大切です。
犬や猫などのペット
犬や猫などを自宅で飼っていると、動物臭が付着することがあります。ペットが直接スーツに触れなくても、ソファやカーペットなどに染みついた臭いが、スーツに吸着してしまうことがあるからです。
ペットを飼っている人にとっては、普段からそうした臭いに慣れていますが、自分では臭い移りに気が付かないケースも。ですが、ペットを飼っていない人や動物が苦手な人にとっては、不快感を覚えることがあります。
なかでも、動物特有の体臭やトイレなどの臭いは、消臭スプレーではカバーしきれないこともあり、スーツを保管する場所と、ペットがいる場所は完全に分けるなど、普段から臭い移りを防ぐことが大切です。
生乾きの臭い

スーツについた汚れをそのままにしたり、濡れたまま放置していたりすると、独特の臭いが発生することがあります。
これは、繊維の中で雑菌が繁殖してしまうことが原因です。汗と同じく、一度生乾きの臭いがついてしまうと、乾いたと思っても再び臭いが復活することもあります。
また、一日着たスーツは、想像しているより湿気を帯びているものです。そのままクローゼットに入れてしまうと、空気の流れが遮られてしまい、臭いの原因が生地の中に閉じ込められてしまいます。
トラブルを防ぐには、着用後にすぐに、クローゼットにしまわず、スーツを休ませる習慣を作るのがポイントで、脱いだジャケットやスラックスは厚みのあるハンガーにかけて風通しの良い場所に置くなど、水気をしっかりと飛ばすとよいでしょう。
スーツの臭いを自分で取る方法
スーツの臭いは繊維の奥まで入り込んでしまうと、なかなか取り去ることが出来ず、染みついてしまう前に取り除くのが重要です。ここでは、お手入れの方法について詳しく解説します。
スチームアイロンをかける

スーツにスチームアイロンを当てると、生地に染み込んだ水分を飛ばすことができます。高温の蒸気を当てることで、臭いの元になる細菌を死滅させる効果も。アイロンを同じ場所に当て続けていると、生地を傷めてしまうので、常に動かし続けるのがポイントです。
なお、直接アイロンを当てると、高温の熱で生地にテカリが出てしまったり、変色したりする原因となります。必ず当て布をして行いましょう。
冷風を当てる

ドライヤーや扇風機などで風を当てると、生地の表面についた軽微な臭いを飛ばすことができます。この際、熱風を当てると生地を傷める恐れがあり、冷風を当てるのがポイントです。
出張先や外泊中などで根本的な処置ができない際に、とても有効な方法です。ハンガーにスーツをかけて、内側までしっかりと風を通してあげましょう。
消臭スプレー

除菌や抗菌効果のある消臭スプレーを使うと、手軽にケアができます。雑菌の繁殖を抑えられるので、臭いのぶり返しの予防にも効果的です。
ただし、消臭スプレーには香料やアルコールが入っているものがあり、かけるとかえって臭いが強くなり、生地を傷めてしまったり、色が抜けてしまう原因になる場合もあります。使用する前に成分を確かめることが大切です。
また、これらの成分が含まれていなくても、スプレーをかけ過ぎるとシミになってしまうことも。不安のある場合は自分で対処しようとせず、プロの手に任せる選択肢も視野に入れると安心できるでしょう。
クリーニングに出す

どうしても消臭しきれない場合や、生地を傷めることが心配なときは、専門のクリーニング店に依頼すると安心です。
クリーニングに出す際は、臭いの種類や付着してからの期間、これまでに自分が行った対処法などをお店に伝えておくと、状況に合った適切な処理をしてもらいやすくなります。
なお、クリーニング後のスーツには、溶剤がわずかに残っている場合があります。返却時のビニール袋に入れたまま保管してしまうと、溶剤特有の臭いが生地に移ってしまうこともあるため、受け取ったらすぐに袋から取り出し、風通しのよい場所で保管しましょう。
関連記事:【保存版】オーダースーツの生地を長持ちさせるお手入れ方法とクリーニングの注意点
スーツの臭いを予防する方法

スーツに臭いが付いた後のメンテナンスも大切ですが、より望ましいのは、そもそも臭いがつかないように日頃から予防することです。
次の章では、スーツに臭いがつきにくくなるような予防の工夫についてご紹介します。
汗をつけないようにする
汗は、スーツに臭いの主な原因の一つです。汗がなるべく沁み込まないように対策すれば、臭いを効果的に抑えられます。
たとえば、汗をかいたらこまめにハンカチやタオルで身体を拭き取ると、スーツに移りづらくなります。汗をしっかり吸収してくれるインナーを着用することも有効です。最近では、吸湿速乾の製品も多く出回っているので、外出の機会が多い方などは活用するのも良いでしょう。

また、暑い時期では、涼しいからと半袖シャツを選びがちです。しかし、半袖シャツの上からジャケットを着ると、肘から下の皮膚がジャケットの袖裏に直接触れてしまい、汗や皮脂で生地を傷めてしまう恐れも。長袖のシャツを着用することで、スーツへのダメージと臭いの付着を抑える効果が期待できます。
同じスーツを毎日着ない

スーツを一日着用していると、汗などの湿気が内部に溜まります。連続して着ていると、その湿気が十分に抜けないうちに次の汗が付着するため、臭いが蓄積されやすくなってしまいます。
そのため、着用したスーツは2~3日休ませることが大切です。直射日光の当たらない通気性の良い場所で保管しましょう。クローゼットに保管する場合は、乾燥材や除湿剤を入れたり、こまめに換気をしたりして、湿気を飛ばすのが大切です。
このケアを行うことで、カビの繁殖を最小限に抑え、スーツが臭いにくくなります。

臭いの原因はなるべく避ける
臭いの原因となるものを、なるべく近づけないことも有効です。たとえば、喫煙所や煙が出ている場所には近づかないように心がけましょう。
すべて避けることは困難かもしれませんが、日ごろから心がけておくだけでも、臭いがつくリスクを減らすことが出来ます。
帰宅後はスーツをブラッシングする

帰宅後は、スーツをブラッシングしましょう。ブラッシングによって、生地についた臭いをある程度、取り除くことができます。
着用後のブラッシングを習慣づけ、ホコリや汚れなどを取り除いておくと、結果的に臭いがつきにくくなります。なおブラッシングを行うときは、洋服専用のものを使いましょう。
関連記事:イシカワブラシとは?時代と服の変化に見合うブラシを追求した一徹な職人の苦闘の軌跡
まとめ

このコラムでは、スーツの臭いの種類や対処方法について解説しました。
臭いの主な原因は、外部から付着する汗やタバコの煙、内部で繁殖する雑菌などがあります。汗が原因であれば、着用後の拭き取りや陰干しなどで対応できます。それでも気になる場合は、無理せずクリーニングに出すのが安心です。
また、連続着用を避ける、ブラッシングを習慣にするなど、日常的なメンテナンスを心がけることで予防にもつながります。
スーツの臭いは、日々の工夫とケア次第でコントロールできます。適切な対策で、清潔感のある着こなしを心がけましょう。
監修者

小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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