オーダースーツ 銀座英國屋コラム
スーツは後ろ姿までカッコよく!気を付ける箇所を分かりやすく解説
スーツは後ろ姿までカッコよく!気を付ける箇所を分かりやすく解説

スーツを颯爽と着こなしている男性は格好いいものです。また、そうした男性は正面だけではなく、後ろ姿まで凛としています。
後ろ姿がかっこいい男性はそれだけで魅力的に映ります。
このコラムでは、スーツの後ろ姿を美しく見せるためのポイントを分かりやすく解説します。
コラムをご覧いたくことで、スーツの後ろ姿についての理解を深めていただければ幸いです。
スーツは後ろ姿も重要

ビジネススーツはきちんと装うことでお相手への敬意を表し、結果を出すために着用します。そのため、ネクタイの結び方、ズボンの折り目などの着こなし方に気を配ることで清潔感のある見た目になります。
それに加えて後ろ姿まで美しいと、スーツスタイルがさらに映えて、見る人の好印象に残ります。反対に、正面から見た姿は綺麗でも背中にシワが入っていたりするとそこばかりが目立ってしまう恐れもあります。
このようにスーツを着用する場面で、後ろ姿は見た目の印象を左右する重要な要素と言えるでしょう。
スーツの後ろ姿を左右するポイント
スーツの後ろ姿を格好良く見せる上で、重要な要素がいくつかあります。ここでは後ろ姿の必要な要素について、項目別に解説します。
ジャケットにシワが寄っていないか

スーツの後ろ姿で、まず気になるのがシワの有無です。ジャケットにシワが入っておらず、背中に綺麗なカーブを描いている後ろ姿はそれだけでカッコ良く、逞しく見えるものです。
背中にシワが入ってしまう一番の原因は、着る人の体型とスーツが合っていないことです。猫背や怒り肩、反身といって胸を反らせるように張った姿勢などの場合、ツキジワという、背中の肩甲骨あたりに横一文字のシワが刻まれます。
また、サイズが適正でない場合にもシワが入ります。スーツが体型に対して小さすぎる場合は脇下から腰にかけて横に引っ張られるようなシワが入ります。
反対に、スーツが大きすぎる場合は背中全体に縦方向の緩いシワができるのが特徴です。どちらにしてもスーツが体型にピッタリと合っていないことで生まれるシワです。
これらはサイズがきちんと合ったスーツを着ることで解消されます。
ジャケットの着丈

スーツ姿を後ろから見たとき、一番大きな面積を締めるのはジャケットです。そのジャケットの着丈が長すぎるとパンツ(ズボン)の見える割合が相対的に減ってしまい、足が短く見えてしまいます。
反対に着丈が短すぎるとパンツが見える割合は増えますが、ヒップが見えてしまうことはビジネス上でマナー違反となってしまいます。
適正なサイズ感はジャケットの裾先でヒップの一番下のラインがちょうど隠れるくらいです。また、ジャケットの着丈とパンツが見える長さの比率が1:1になるのがもっとも良いバランスとされています。
ジャケット背面の切れ込み(ベント)
ジャケット後ろ側の裾先には「ベント」と呼ばれる切れ込みが入っています。ベントはもともと乗馬をする際にジャケットの裾が左右に分かれていた方が動きやすいということから生まれたディテールです。
このベントは切れ目の入り方によって以下の3種類に分かれます。
センターベント

ジャケット背中の中心部分に1本だけ切れ目が入っている形状です。すっきりとした見た目が特徴で、次項に登場するサイドベンツと並んでポピュラーな形状です。中央に1本切れ目があるだけなので、体格が大きい方が着るとベントが左右に広がってしまう恐れがあります。ベントは広がらず、ストンと綺麗に落ちているのが理想です。
センターベントのジャケットを着たとき、ベントが広がっていないかはサイズが合っているかの目安の一つになります。
サイドベンツ

ジャケット背中の左右に2本、切れ目が入っている形状です。両サイドに切れ目があることからベントの複数形で「ベンツ」と表記されます。
サイドベンツもセンターベントと同じく、よく見かける形状のベントです。背中の両側に切れ目があるため、体格が大きい方や特にお尻が大きい方にも向いています。もっとも、サイドベンツであってもジャケットが小さすぎる場合はやはり2つのベントが左右に広がってしまいます。左右の広がりを確認することも、サイズ選びの目安になります。
ノーベント(ベントなし)

ジャケットにベント自体がないタイプです。ベントは乗馬するときの動きやすさを求めて生まれた実用性のあるディテールです。そのため、ベントの有無に関しては、ない方がフォーマルな装いになります。礼服のタキシードにベントがないのはそのためです。
ノーベントのジャケットは後ろ姿もフォーマルな見た目になります。その一方で座った際にシワが入りやすいという難点もあります。
ジャケットの袖丈

ジャケットの袖丈も美しい後ろ姿を作る点で重要な要素です。袖が長すぎると借り物を着ているような見た目になり、不恰好です。
ジャケットの袖口からシャツが覗くことで、スーツと色のコントラストが生まれ、メリハリのある見た目になります。後ろから見たときにも両手の袖口からシャツが見えることですっきりとした印象になり、清潔感を演出できます。
ジャケットの袖丈は親指の先端から11〜12cm程度の長さにあるのが理想です。この長さにすることでシャツはジャケットの袖口から1〜1.5cm程度見えます。見た目の清潔感はもちろん、シャツがジャケットの袖口から覗くことで、袖先が素肌に直接触れるのを防いでくれ、スーツの傷み防止にもなります。
シャツの襟が見えているか

スーツ姿を後ろから見たときに白シャツの襟がジャケットの襟の上に1cm程度見えることで、境い目がはっきりとして見えて清潔感のある見た目になります。ジャケットの袖口からシャツが覗いているのと同じ考え方です。
パンツのサイズ

パンツのサイズが合っていないと美しい後ろ姿は実現するのが困難になります。
よくあるのが太すぎるパンツです。ひと昔前のスーツはパンツの幅が太く、ダボダボとしていて、スッキリとしたシルエットになりにくくなります。
反対に一時期流行した細身のスーツだと、パンツの幅が全体的に細く、脚の形があらわになっているケースをときおりお見かけします。そのように足の形を拾うようなパンツも、やはりきれいなシルエットとは言えません。
理想は太ももから裾先までがストンと綺麗に落ちている状態です。適度な余裕を持たせつつ、脚の形を拾わない程度の幅のパンツを穿くと美しいシルエットが得られます。
パンツの裾丈

パンツの丈もカッコいい後ろ姿に影響します。裾先が長すぎると足元にシワが溜まり、バランスが悪くなってしまいます。理想はハーフクッションと呼ばれる長さで、裾先が靴の甲部分に軽く触れる程度です。
スキのない後ろ姿を作るには
これまではスーツの後ろ姿を左右する要素について解説しました。さらに一歩進んで、スキのない後ろ姿を作るためにできることはどのようなものでしょうか。
ここでは、スキのない後ろ姿を作るために必要な事柄について具体的に解説します。
サイズが合ったスーツを着る
先に挙げたとおり、サイズが体に合っていないとシワの原因となります。既製スーツでも多くのサイズが展開されていますが、人によって体型が異なるので完璧にフィットさせることはかなり困難であると言えます。
その点、オーダースーツであれば理想の形に仕上げることができます。せっかく作るのであればご自身の体型はもちろん、姿勢や体のクセ、特徴まで押さえた上で仕立ててもらうのが理想です。
参考:スーツはサイズ感が命!|正しいスーツ選びのチェックポイント|オーダースーツの基礎知識
パンツのクリース(折り目)を意識する

パンツの両脚の中央に入っている折り目のことを「クリース」といいます。
クリースがあることで良い緊張感が生まれ、着こなしにメリハリを出すことができます。正面側は意識していても後ろ側までは確認できていないことも多々あります。このクリースがパンツの後ろ側まで綺麗に入っていると後ろ姿のシルエットも一層スッキリして格好良く見えるものです。
クリースはアイロンなどでも容易に再生できるので、雨の日や、汗をかいたときなど、消えてしまわないように気をつけましょう。
姿勢を良くする
どんなにぴったりのスーツを着ていても猫背だと背中が曲がって見えてしまいます。これだと自信がなさそうに見えて、覇気のない後ろ姿になります。姿勢を良くするだけでも後ろ姿はかなり変わるので、普段から猫背の方は意識するようにしましょう。
座り方に気を付ける
スーツ姿で椅子に座る際、座面に深く座って背もたれに背中をつけて座ると、そこがシワになる恐れがあります。なるべく背もたれにもたれかからずに座ると不要なシワをふせぐことができます。
靴のメンテナンスをする

スーツ姿で靴が見える面積の割合はわずかです。しかし、その靴に傷みや汚れがあると、そこばかりが目立ってしまいます。後ろ姿では踵の減り具合も関係します。踵が減っている靴もやはりそこばかりが気になってしまいます。定期的にメンテナンスをして綺麗な状態を保つようにしましょう。
衛生面を意識する
最後に、背中にフケや髪の毛などが付いていると清潔感が損なわれて後ろ姿の印象が悪くなります。これは普段から意識してチェックするだけで改善されます。気になる方はエチケットブラシなどをバッグに入れて携行しておくのもオススメです。
まとめ

このコラムではスーツの後ろ姿について詳しく解説しました。スーツの後ろ姿を左右する要素は背中のシワやジャケットやパンツのサイズ感、ジャケットの袖口や襟から中のシャツが覗いているかなど多岐にわたります。
スーツのサイズ感に関してはオーダースーツが良いでしょう。その際も単にサイズを合わせるというだけではなく、着る人の体型はもちろん、姿勢のクセまでも考慮した上でスーツを作ることができれば理想です。
また、スーツのサイズ以外の要素では姿勢や衛生面も関係します。これらは意識次第で解消されるので、気になる方は実践してみるのもオススメです。
このコラムをご覧いただくことで、スーツの後ろ姿についての理解を深めていただけたら幸いです。
監修者

小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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