オーダースーツ 銀座英國屋コラム
スーツの柄は何を選ぶ?おしゃれに着こなすコツと種類別の特徴を紹介
スーツの柄は何を選ぶ?おしゃれに着こなすコツと種類別の特徴を紹介

スーツの柄には、ストライプや、千鳥格子など様々なデザインがあります。種類によって見た目の印象も大きく変わるため、着用シーンにあわせて選ぶことが大切です。
そこでこの記事では、柄物スーツをおしゃれに着こなしたい方のために、それぞれの柄の特徴を種類別に紹介したうえで、選び方やコーディネートのコツを解説します。
ストライプ柄

ストライプは、柄が入ったスーツの中でもっともポピュラーなもののひとつです。線の色や太さ、また縞同士の間隔などによって見え方に大きな違いがあります。ここでは、代表的な柄を挙げて解説します。
ピンストライプ
ピンストライプとは、文字通り、針(ピン)先で突いたような小さな点が幾つも連なって線状に見えるストライプ柄です。
線自体が細くて主張が強すぎないため、さまざまなビジネスシーンでも使いやすいのではないでしょうか。「これから柄物のスーツに挑戦してみたい」という方にもおすすめとなります。

写真のピンストライプは、グレー生地に紫色のピンストライプが入っている生地です。スーツのグレーにパープル系のストライプがほのかに入るため、エレガントで柔らかい印象を与えます。
ペンシルストライプ
ペンシルストライプは、鉛筆で線を引いたような細い線が、一定の間隔で並ぶストライプ柄です。線はピンストライプよりわずかに太めで、輪郭がはっきりしているため、色の組み合わせによっては主張が強くなることも。
ビジネス向けの着こなしでは、目立ちすぎないものを選ぶと合わせやすくなります。紺やグレーに色味の近い線が入った定番デザインなら、おしゃれで知的な印象を演出しやすいのではないでしょうか。
チョークストライプ

チョークストライプは、ややかすれた特徴的な線が、チョーク(白墨)で書いたように見えると名づけられました。かつて銀行家(banker)や金融業者が好んで着るデザインだったことから「バンカースーツ」とも呼ばれます。
ペンシルストライプよりも線そのもの幅が太く、縞同士の幅も1cm以上あります。そのため、スーツとして着用すると縞が目立ちやすくなっているほか、エネルギッシュな印象を与えます。
縞模様の印象が強いぶん、職種や役職によっては不向きな場合も。着用にあたっては職場の環境を考慮したほうが無難でしょう。
オルタネイトストライプ
オルタネイトストライプは、2種類の異なる色やパターンのストライプ柄が交互に配されている縞模様のこと。オルタネイト(alternate)は「交互の」「ちぐはぐな」という意味をもっており、日本語では「交互縞」と呼ばれることもあります。
こちらは異なる種類のストライプが配されており、おしゃれな印象を与える生地となります。
使われる色のバリエーションも豊富です。例えば、一方が白でもう一方が色味のあるものや、両方とも異なる色の線で構成されているものなど様々あります。
チェック柄
チェック柄はストライプと比較すると、柔らかい印象を与えるデザインが主流となります。柄によっては見た目の主張が強くなるのも特徴です。ここでは代表的なものを挙げて解説します。
ウィンドウペーン

生地全体に格子状の線が配された柄のウィンドウペーン(window pane)は、もともと「窓の枠」という意味の言葉となります。模様がガラス窓の枠のような形をしていることからこの名前がつきました。
ウィンドウペーン柄には、おしゃれで若々しい印象を与えるものが多くあります。しかし無地のスーツが基本の職場では、華美に映ってしまうこともあるでしょう。実際の着用にあたって職場の雰囲気などを見た上で決めることをおすすめします。
写真のウィンドウペーン は、ネイビー生地に白地の柄が入っているもので、ピンストライプが交差するように配されています。線が細いため派手すぎず、モダンな印象を与えます。初めてチェック柄のスーツを着る方にもおすすめです。
関連ページ:カノニコ | 生地
千鳥格子

千鳥格子は柄のパターンが「鳥が飛び立つときの姿」に似ていることから、この名前が付けられています。
後述のグレンチェック同様、こちらもクラシックな印象になります。柄の目が小さいものは遠目で無地に見えるため比較的取り入れやすいのも特徴です。
海外ではこの模様が猟犬(=ハウンド)の牙(=トゥース)に似ていることから、「ハウンドトゥース」と呼ばれています。
グレンチェック
グレンチェックは、千鳥格子柄が幾つも重なって、大きな格子を作っている柄となります。立体感や重厚感をもつ模様のため、平面的にならず、着こなしにアクセントをつけやすくなります。
スコットランド北部が発祥とされている伝統的な柄で、グレーやネイビーを基調としたものなど、さまざまな色のバリエーションがあります。
格子柄のサイズは、生地によって異なります。スーツとして着用すれば、小さめの柄ならクラシックで落ち着いた雰囲気を、大きめの柄ならモダンな雰囲気を演出しやすいでしょう。
織り柄
スーツには、織りのパターンで柄が表現されているものがあります。
見る角度や光の当たり加減によっては無地にも見えるなど、シンプルで着回しやすいデザインが多いのではないでしょうか。柄物のスーツは着たいが派手な印象を与えたくない方、控えめな主張に留めたい方にもおすすめとなっています。
ここでは代表的な織り柄をいくつか紹介しましょう。
シャドーストライプ

シャドーストライプは、生地の織りパターンでストライプ柄が表現されているのが特徴です。
縞模様がスーツ生地と同色なので遠目で見ると無地に見えます。光の当たり加減でストライプがほのかに見えるため、上品な印象を与えます。主張が強いストライプは控えたい方でも取り入れやすいでしょう。
写真はネイビー生地に織りで表現されたシャドーストライプとなります。柄がほのかに入っているため上品で取り入れやすく、世代を問わずお使いいただけるのではないでしょうか。
関連ページ:スキャバル イマージュ | 生地
ヘリンボーン
ヘリンボーンは、斜線で構成された織りがアルファベットのVの字のように向かい合って連なった柄となります。見た目が魚のニシンの骨(Herring bone)のようであることからこの名前がつきました。
織り柄の中では柄のパターンがハッキリ見えることで、オシャレな印象を与えます。生地の色が明るくなるほどヘリンボーンの織り柄が目立つ傾向にあります。
バーズアイ
バーズアイは、生地全体が小さな丸状の織り模様で作られている柄を指します。丸模様が鳥の目(birds eye)のようであることからこの名前がつきました。日本語では「丸目」とも呼ばれています。
スーツでは定番の織り柄で、他には単品ジャケットなどでも定番として知られています。織り柄のなかでは控えめな印象なので、初めて柄物のコーディネートに挑戦してみたい方でも着まわしやすいのではないでしょうか。
柄の選び方
ここでは実際に柄もののスーツを選ぶ際のポイントについて分かりやすく解説します。
色の明度差による違い

同じような柄であっても、色の組み合わせ方によって見え方が異なります。
ベースとなる生地と柄との色のコントラスト(明度差)が強いほど、模様のパターンがくっきりと見えるため、主張が強くなります。例えば、ダークネイビーの生地に真っ白のストライプ柄が入ると、細い線であっても柄が目立ちやすいでしょう。
反対に、生地色と同系色の柄であれば落ち着いた印象になります。例えば、ダークグレーの生地にライトグレーの細い格子などが入ったスーツは、柄が生地の色に馴染むので、主張は控えめになります。
スーツ生地の素材による違い

柄の見え方は、スーツ生地の素材によっても違います。
一般的な生地は梳毛(そもう)といって、羊毛の繊維をすいて長い繊維を残し、平行に並べて引き伸ばし、よりをかけた糸で作られています。梳毛は毛足がないため、柄がくっきりと見えやすい傾向にあります。
一方で紡毛(ぼうもう)と呼ばれる生地もあります。太く短い毛で作られていて毛足が長いのが特徴で、例えば主に秋冬ものに使われるフランネルという生地が知られています。紡毛は毛足が長いことから、模様があってもベース生地と柄の境目がぼやけた見た目になります。
また、同じような柄のスーツでも、梳毛に比べて紡毛の方が落ち着いていて柔らかい印象を与えるほか、カジュアルな見た目になる傾向があります。実際の着用にあたっては職場環境に配慮すると良いでしょう。
柄物スーツのコーディネート例
ここでは、具体的に柄ものスーツのコーディネート例を紹介します。
スーツでは、ジャケット、シャツ、ネクタイという3アイテムで構成される「Vゾーン」で考えるのが基本となります。一般的に柄の数が増えるほど、コーディネートは難しくなるもの。そのため柄物スーツを使う場合は、シャツ、ネクタイのどちらかは無地で臨むのが無難でしょう。
無地アイテムとのコーデ例

柄物スーツに無地シャツと無地のネクタイを合わせるのは、もっとも組みやすく、失敗しにくいコーディネートとなります。
例えば、ストライプのネイビースーツに、白無地のシャツ、ネイビー無地のネクタイの組み合わせ。他のアイテムをどちらも無地にすることで、スーツの柄が際立ちます。失敗が少なく、柄物が初めてな方でも試しやすいのではないでしょうか。
柄物1つと合わせるコーデ例

シャツとネクタイのどちらかを柄物に、もう一方を無地にして、柄物スーツと合わせるコーディネートとなります。
おすすめは、無地シャツと柄物ネクタイを組み合わせる方法です。ジャケットと隣り合うシャツを無地にすることで、すっきりとまとめることができます。
例えば、先と同じストライプ柄のネイビースーツに無地の白シャツ、ペイズリー柄のネクタイを合わせます。ジャケットとネクタイの間に白無地のシャツが入ることによって、小綺麗な雰囲気の着こなしになるでしょう。
柄物2つと合わせるコーデ例
柄物のスーツ、シャツ、ネクタイを組み合わせる場合、アイテムごとに柄の種類を変えるとコーディネートを組みやすくなります。

例えば、生地全体に格子状の線が入ったウィンドウペーンのスーツに、ストライプのシャツ、小紋柄のネクタイなどを合わせる着こなしです。
もっとも、このような着こなしはかなり難易度が高く、高度なファッションセンスが必要かもしれません。職種や着用シーンによっては派手になりすぎる場合があり、実施にあたっては注意が必要となります。
まとめ
生地の柄としては、ストライプやチェックなどが知られています。色糸で柄を作るもののほかに、シャドーストライプのように織りで表現しているものも多くあります。
自分に合う柄物のスーツを選ぶなら、目的にあわせて、色の明度差や生地の素材による違いを意識するのがポイント。初めてなら、まずは無地の白シャツと合わせるコーディネートを試してみるのがおすすめとなります。
監修者

小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
最近の投稿
-
2025年4月7日
スーツの柄は何を選ぶ?おしゃれに着こなすコツと種類別の特徴を紹介
-
2025年3月31日
新社会人のスーツはどう選ぶ?失敗しない色は?何着必要?基本を解説
-
2025年3月25日
ゴルフの服装マナーは?メンズコーデの基本を年代別・季節別に解説
-
2025年2月6日
スーツの寿命は何年か?買い替え時期の見極め方を分かりやすく解説
-
2025年2月1日
着丈とは?測り方とサイズ選びのポイント