トーマスメイソンは、英国のランカシャーで創業した多くの紳士が憧れる格式あるオーダーシャツ生地ブランドです。英国王室から、ロイヤルワラント（英国王室御用達の証）を授与されていることで知られています。

今回の記事では老舗かつ大御所であるにもかかわらず、常に大胆で斬新なファブリックを提供するトーマスメイソンの歴史を紐解きつつ、時代を超えたエレガンスを放つトーマスメイソンのオーダーシャツ生地の魅力をご紹介します。

クラシックで洗練されたオーダーシャツを求めている皆さんは、ぜひ生地ブランド選びの参考にしてください。

トーマス・メイソン（THOMAS MASON）とは？

トーマス・メイソン（THOMAS MASON）はシャツのスタイル革命の代名詞的存在ともいえる英国生まれのシャツ生地メーカーです。

王道のクラシック柄から大胆で斬新なスタイルまで、時代を超えたエレガンスを放つ、最高品質のシャツ生地を提供し続けています。

そんなトーマス・メイソンは伝統と革新の双方を兼ね備え、現代的かつユニークで洒落たテイストを生地に織り込んでいます。

その秘密は、貴重で上質な素材を使うだけでなく、英国文化の範疇にこだわらずイタリアでのテキスタイルに対する研究を反映させて、先端的な技術で製造していることです。

伝統製法と現代の職人が持つ技術の良い部分を組み合わせ、正統派でありながら革新的なオーダーシャツ生地を生み出すトーマス・メイソンは、「老舗」のひと言では片付けられない奥深い魅力があるブランドです。

トーマス・メイソンのオーダーシャツ生地の特徴

トーマス・メイソンは原材料にこだわって織り糸を紡ぎ出します。そして英国ファッションの王道クラシックの柄やロンドンっぽい特徴的な色、大胆なパターン、打ち込みの良さで超一流の生地として仕上げます。

ロイヤルワラントに値する品質の高さは、彼らが誇る最高の原材料と最先端の紡績技術、そして織布技術が招いた当然の結果といえるでしょう。

洗練されたクオリティを裏打ちする生産技術

いかにもロンドンっぽいユニークで垢抜けたテイストを誇るトーマス・メイソンは、常にスタイルの革命に挑戦し、時代を超越する普遍のエレガンスを追求しています。

ファッショントレンドの最先端に並走しながら、それを形に落とし込むだけではありません。生産技術の面からファブリックテクノロジーの探求と研究を通じて、品質の限界をも押し広げています。

トーマス・メイソン（THOMAS MASON）の歴史

産業革命の最盛期である1796年、創業者サー・トーマス・メイソンは英国のランカシャーにシャツ用のコットン生地を製造する最初の工場を建てます。

そこで作られるコットン生地は、主に貴族や上流階級のためにシャツを仕立てるロンドン、ウエストエンドで活躍するテーラーたちによって使用されていました。その後、評判が評判を呼び、英国全土からの引き合いに終わらず、他国にも輸出されるようになります。

英国紳士のエレガンスの基準となる

時を経てトーマス・メイソンのシャツブランドは、英国紳士のエレガンスのスタンダードとなります。そして1875年には、ロンドンのセントジェームス・ストリートに拠点を構えました。

それには理由がありました。セントジェームス・ストリートと交わるジャーミンストリートこそシャツオーダーの聖地と呼ばれ、シャツメーカーを始めとして靴、傘、ステッキなどの業者が集中していたからです。

世紀のファッションリーダーの身を飾る

1914年に第一次世界大戦が始まると、トーマスメイソンは国家の要請を受けて、パイロット用の防水性、耐火性を備えた新しい生地の製造実験に参加します。

第一次大戦が終わり、ロンドンは再び紳士のエレガンスの発信地となりました。ビスポークの聖地サヴィル・ロウや前述のジャーミンストリートは活気を帯びてきます。

1936年にはトーマス・メイソンは、ロイヤルファミリーのシャツ作りを担当していたターンブル＆アッサーの独占サプライヤーに任命されました。

同年、トーマス・メイソンのシャツに身を包み、世紀のファッションリーダーと謳われたウィンザー公がエドワード8世として即位し、世界の注目を集めます。

ちなみに王位継承から1年と経たないうちに、ウィンザー公は王位を捨ててアメリカ女性ウォリス・シンプソン夫人との結婚を選んだ「世紀の駆け落ち」を決行し、世間を驚かせています。

ポップカルチャー全盛時に存在感を際立たせる

1960年頃から英国発のビートルズ旋風が巻き起こり、世界を席巻します。音楽にとどまらずファッションやアート、生活様式に至るまで影響を与えたポップカルチャーの台頭はまさにビートルズ革命でした。

この時代にはそれまでベーシックで脇役のようであったシャツにも光が当たり、トーマス・メイソンのユニークで大胆なストライプやチェックも大いに注目を集めました。

イタリアのアルビニグループの主力ブランドに

1876年以来、アルビーノ（ベルガモ）に拠点を置くヨーロッパ最大のシャツ生地メーカー、アルビニグループを運営する起業家のアルビニファミリーはイタリアの織物製造の伝統に積極的に関わってきました。

彼らはトーマス・メイソンの持つ文化的価値を、誰よりも深く認識していました。そして熱望していたトーマス・メイソンのアルビニグループへの参加が、1992年に実現します。

現在、トーマス・メイソンはヨーロッパ最大のシャツ生地メーカーであるアルビニグループの主力ブランドのひとつであり、その生地は80ヵ国以上に輸出されています。

トーマス・メイソンが扱う素材の種類

トーマス・メイソン（THOMAS MASON）はいわゆる希少素材を含めて、さまざまな良質のシャツ生地を扱っています。代表的なものは以下のとおりです。

・ギザ45
・ギザ87
・スーピマ・コットン
・シーアイランド・コットン
・オーガニック・コットン
・ヨーロピアン・リネン
・麻
・ウール

トーマス・メイソンが扱う各素材の特徴を、ワンポイントで紹介します。

【ギザ45】

エジプト産の超長綿（繊維の長さが35mm以上のコットン）の中でも最高級で、繊細で丈夫な素材です。 ナイルデルタの東部の小さな地域で栽培されているこの綿花は、手作業で収穫され、年間平均生産量わずか90ベールの希少素材です。

【ギザ87】

世界で最上級のコットンのひとつであるギザ87は、エジプト産の超長綿の中でも、最も発色の良い素材です。時間の経過で劣化することがなく、鮮やかな明るいカラーリングの生地の生産に理想的な素材は、柔らかさと鮮やかさは洗濯を繰り返すほど向上します。

【スーピマ・コットン】

超長綿の中でもピュアな白さに優れているスーピマ・コットンは、主にカリフォルニアで栽培され、手作業で収穫されています。その特徴として機械を使った収穫による繊維汚染やダメージがなく、ピリングに対する強い耐性が生まれます。

【シーアイランド・コットン】

シーアイランド・コットンは世界で最も古く、最も希少なコットンのひとつで、シルクのようななめらかな素材感を持ち、 主にジャマイカとバルバドスで栽培されており、 驚くべき繊維の長さと強度、 優れた均一性、 繊維の明るさに特徴があります。

【オーガニック・コットン】

化学農薬や殺虫剤、肥料を使用せず、水とエネルギーの消費を最小限に抑える有機栽培によって生み出される超長綿です。低アレルギー性、通気性、 快適性を備え、環境に優しい生地です。

【ヨーロピアン・リネン】

北ヨーロッパの良好な気候条件、適切な土壌で栽培されたリネン（亜麻）は、栽培者の技術とノウハウのおかげで、世界で最も優れていると認められています。顕著な耐久性、高い吸湿能力、 断熱性、 温度調節性などの特性を備えた生地です。

【麻】

麻は温帯気候で育つ草本植物で、農薬の使用を必要とせず廃棄物も出ません。その結果、低アレルギー性、抗菌性、 体温調節性を備えた生地です。

【ウール】

トーマス・メイソンがシャツ用に使うウールは、オーストラリア産のプレミアムウールです。コットンの製法からインスピレーションを得た最先端の技術で紡がれ、比類ない極細糸となっています。手入れも楽で、通気性と温度調節機能を持つ快適なシャツ素材です。

トーマス・メイソンがおすすめな人

トーマス・メイソンのオーダーシャツ生地にはさまざまなバリエーションがあり、これぞ英国クラシックという王道のパターンからロンドンっぽい洒落た柄、斬新で大胆なトレンド柄まで、選ぶのが楽しいブランドです。

そのため、英国の正統ファッションを好きでなおかつ、今っぽいトレンドを自分のスタイルに取り入れることにも抵抗がない人にぜひおすすめです。

英国スタイルをベースとしつつ、いろいろなファッションの楽しみ方をしたい皆さんは、ぜひ選択肢のひとつにしてみてください。

さいごに

トーマス・メイソン（THOMAS MASON）は英国で誕生し、英国ファッションの中でのシャツの存在感を高めてきた立役者です。今日ではイタリアのアルビニグループのリソースを活用し、さらにパワーアップしたブランドとなっています。

私たち銀座英國屋においても、トーマス・メイソンのオーダーシャツ生地を取り扱っております。希少素材を使用した、デザインの洗練度が高い生地や王道クラシックの生地に、どうぞ触れてみて、その存在感をご自身で確かめてみてください。

監修者

小林英毅（銀座英國屋 代表取締役社長）

1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の３代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学ＭＢＡ・明治大学ＭＢＡ・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。

ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか？」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。

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