オーダースーツ 銀座英國屋コラムフルオーダースーツと既製スーツのハイブリッド「セミオーダースーツ」とは?
フルオーダースーツと既製スーツのハイブリッド「セミオーダースーツ」とは?
みなさまは「セミオーダースーツ」についてどのようなイメージをお持ちでしょうか。
このところ、さまざまなタイプのオーダースーツ専門店が登場し、セミオーダースーツという言葉もすっかり認知されるようになりました。
一方、似た言葉に「パターンオーダー」や「イージーオーダー」といったものもあり、少し混乱されていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
今回の記事ではそんな「セミオーダースーツ」について、既製品やフルオーダースーツとの違いを交えながら詳しく解説していきます。
あらかじめ記事の流れをご説明しますと以下のようになります。
・セミオーダースーツの定義
・セミオーダースーツのメリット
・セミオーダースーツのデメリット
・セミオーダースーツはこんな人におすすめ
・セミオーダースーツの選び方
今回の記事が、セミオーダースーツについて興味をお持ちの方の参考になりましたら幸いです。
それでは早速見ていきましょう。
セミオーダースーツの定義
実は「セミオーダースーツ」という言葉には厳密な定義があるわけではありません。
テーラーや雑誌、ウェブサイト上ではセミオーダースーツという言葉が様々な意味合いで使われていますが、ここでは一般的に用いられている意味としてセミオーダースーツをご紹介いたします。
セミオーダーは既製品とフルオーダーの中間
一般的にセミオーダースーツは、既製品とフルオーダースーツの中間のようなスーツ全般を差します。
既製品は文字通り、あらかじめ出来上がったスーツの中から好みや体型に合ったスーツを選びます。自分に合わせた変化を加えることはできず、可能なのはジャケットの袖丈の出し詰めやスラックスの裾上げくらいと言ったところでしょう。
ですが、安価で購入したその日から着用できるのが魅力です。
それに対してフルオーダースーツでは、生地やデザインを自分で選ぶことができる自由度の高いスーツです。「型紙」と呼ばれるスーツの設計図をお客様ごとに設計し、体型の細かいクセや好みを反映することができます。
セミオーダースーツは、この2つの中間のスーツで、フルオーダーほどの自由度はないものの、比較的安価にフィット感の高いスーツを作ることが可能となります。
パターンオーダーとイージーオーダー
セミオーダーは大きく分けて、
「パターンオーダー」と「イージーオーダー」
の2つに大別されます。
パターンオーダーとはあらかじめ設計されたパターン(型紙)の中から自分に合うものを選び、サイズ調整を加えていくものです。
着丈や袖丈、ズボンのウエストや股下の長さなど基本的な部分は体に合わせて調整することができます。
イージーオーダーは、パターンオーダーの延長のようなスーツで、パターンオーダーで調整できる部分に加えて、撫で肩・怒り型、反身・屈身といった体型の癖を反映することができます。
価格も、パターンオーダーに比べてやや高めに設定してあることが多いようです。
パターンオーダー、イージーオーダーという言葉もセミオーダーと同じく厳密に定義されたものではないため、実際に利用するテーラーが、どのくらいの価格でどの部分を調整できるのか、あらかじめ確認しておくことが必要となります。
セミオーダースーツのメリット
ここまで、セミオーダースーツという言葉について解説してまいりました。
ここからは、セミオーダースーツを利用するメリットについて具体的にみていきましょう。
自分の好みの生地やデザイン選ぶことができる
セミオーダースーツでは、注文の際に自分の好きな生地やデザインを選んで仕立てることができます。
既製品では販売されていないような色柄もので仕立てることができ、
例えば同じ「紺色」であったとしても生地の質感や微妙な色合いの違いによって、より自分の好みにあった生地からスーツを注文できます。
また、ジャケットの襟やポケットの形、スラックスの裾の折り返しの有無といったさまざまな項目をいくつかの選択肢の中から選ぶことができるのも特徴です。
このように、自分の好みや必要に応じてカスタマイズしていけるのがセミオーダースーツの魅力の一つです
フルオーダーと比べてコストが安い
2つ目のメリットは「フルオーダーよりも安価に求めることができる」ということです。
一から型紙を作るフルオーダーでは、その自由度の高さからフィットしたスーツを作るために採寸の他、「仮縫い」という作業が必要になります。
仮縫いでは、スーツの形に仮留めした生地を着用しながら専門技術者が体に合わせていきます。場合によっては実際の生地を使った仮縫いの前に、代用の生地で仮縫いを行うこともあり、工数や熟練の技術が必要です。
また、フィッティングに関しても縫製への細かい指示が多くなるため、その指示を実現するために卓越した縫製技術も必要となります。
しかし人間の身体はシンメトリーのような左右対称の方はいません。前かがみな人や、反り気味な体型の人、また利き腕のほうが袖丈は長くなりますし、肩回りの筋肉の付き方なども、人それぞれに千差万別です。その特徴ある体型を補ってくれるのがフルオーダーの大きな魅力でもあります。
以上のような理由に加え、フルオーダーで扱われる生地は高級なものが多いということからも、フルオーダースーツの相場は20万円以上となります。
それと比較してセミオーダーでは、顧客ごとの調整箇所を必要最小限に抑え、機械縫製を導入することでコストを削減し、リーズナブルな価格を実現しています。
生地の価格やブランドにもよりますが、セミオーダースーツであれば、
20,000円程からオーダー可能です。
詳しくはこちらをご覧ください。
既製品よりもフィットする
続いてのメリットは、
「既製スーツに比べて身体にフィットする」
という点です。
スーツを着用する上でフィット感は非常に大切な要素の一つです。
既製品では、出来るだけ多くの人に合うような最大公約数としてサイズが決定されています。しかし自分にそのサイズが合う保証はどこにもありません。
「なんとなくサイズがあっていればいい」「なんとなく着られればいい」という考えもあるかもしれません。
ですが、身体に合ったスーツとそうでないスーツでは一日着た後の疲労感が大きく違ってきます。
また正しく調整されたスーツを着ることで、見る人に信頼感や安心感をあたえることができ、自分自身にも自信が湧いて来ます。
スーツではほんの数ミリの積み重ねが大きな違いを生むものです。
これまでスーツをオーダーされたことがないという方には、一度自分に合わせたスーツをお仕立てになってみて、その差を体感いただければと思います。
フルオーダーよりも、納期が短い
セミオーダースーツは、フルオーダーに比べて納期が短いということもメリットの一つです。
先ほどフルオーダースーツの仮縫いについてご説明いたしましたが、仮縫いは即日用意できるものではなく、注文から2週間前後かかるのが普通です。
仮縫い品が用意できてから再度来店して仮縫いを行うため、日数や来店の手間がかかりますし、スケジュールが合わないとずるずると後ろ倒しになってしまうケースもあります。
その点セミオーダースーツでは、注文時にあらかじめ用意されたゲージ服を用いてフィッティングを行うため、仮縫いのための工程や、再来店が必要ありません。
フルオーダースーツの納期が、およそ1ヶ月半〜2ヶ月かかるところ、
セミオーダースーツはおよそ3〜4週間で仕立てることができます。
セミオーダースーツのデメリット
メリットがあればデメリットもつきものです。
ここからは、より理解を深めるためにセミオーダースーツのデメリットについてもご紹介いたします。
完璧なフィット感を追求できない
まず一つ目は、完璧なフィット感を追求していくことが難しいという点です。
セミオーダースーツでは基本的に既存の型紙をもとに修正を加えていくため、どうしても自分の体型に合わない部分が出てきてしまうことがあります。
フルオーダーであれば調整できる部分であったとしても、セミオーダーでは調整できない可能性もあるということです。
また、セミオーダースーツの専門店の場合、フィッティング専門技術者は不在であり、接客担当がフィッティングを兼任しているケースも多くあります。
そのためどうしても専門技術者の在籍しているフルオーダー専門店に比べて、知識・技術・経験など差が出てきてしまいます。
こうしたことをあらかじめ理解しておくことで、セミオーダースーツを注文する際にも誤解やトラブルをさけることができますので、参考にしていただけましたら幸いです。
自分好みにカスタマイズできない部分がある
フィッティングと同じように、デザインにおいても全てを自分の思い通りにできるわけではありません。
コスト削減のために機械縫製を導入している部分も多く、イレギュラーな対応は難しいと考えられます。
ただし、多くのセミオーダースーツ店においては、ビジネスに必要なデザインはひととおり揃えてあることがほとんどですのでそこまで心配する必要はありません。
さまざまな部分に変化を加えたいという方は、どの部分をどのようなデザインから選べるのか、注文前に確認しておくのが良いでしょう。
好みのモデルが廃盤になってしまうことがある
セミオーダースーツが用意された型紙に基づいて作られることはこれまでお伝えしてきた通りですが、まれにその型紙が廃盤になってしまうことがあります。
好みだったモデルが廃盤になってしまった場合、それまで少しずつ加えてきた調整を一からやり直すことになりますし、新たなモデルが体型や好みに合わなかった場合、お店選びから見直さなければならない可能性もあります。
あまり多く遭遇することはないアクシデントかとは思いますが、可能性の一つとして頭に入れておくと良いでしょう。
セミオーダースーツはこんな人にオススメ
フルオーダースーツと既製スーツの中間のような存在のセミオーダースーツ。
そんなセミオーダースーツは以下のような方にオススメです。
既製スーツから一歩グレードアップさせたい方
「いままで既製品を着ていたけれど、もう少しグレードの高いスーツが欲しい」
そんな方にオススメなのがまさにセミオーダースーツです。
多くの場合、注文から採寸・フィッティングまで一回の来店で済ませることができますし、サンプルとなるゲージ服を着用しながらフィッティングをするため、仕上がりのイメージも沸きやすくなっています。
自由度がある程度制限されていることも、「迷わないで済む」というメリットにつながります。
また、価格の面や仮縫いがないこと、お店の雰囲気も含めてフルオーダーほどのハードルの高さはありません。
既製スーツからオーダースーツへの第一歩として、セミオーダーは非常におすすめできるスーツといえます。
なるべく予算をかけずにフィットしたスーツを求めたい方
セミオーダースーツはコストとクオリティのバランスが非常によく、フルオーダースーツほどの予算をかけずに既製服よりもフィットしたスーツを手に入れることができます。近年はセミオーダースーツ専門店が増えてきており、既製スーツとそれほど変わらない値段でオーダーできる店も出てきました。
「フルオーダースーツほどの予算はかけられないけれど、しっかりしたスーツが欲しい」
という方には、セミオーダースーツがオススメです。
また、営業などでスーツを着て動き回る方、汗をかくような状況下でもスーツを着なければならない方にとっては、スーツは「作業着」と言えるかもしれません。スーツは消耗品となり、通常よりも多くの着数が必要となります。
コストパフォーマンスに優れたセミオーダースーツはそういった方々にも非常にオススメできるスーツです。
セミオーダースーツの選び方
最後に、セミオーダースーツを購入する際のポイントについてご紹介いたします。
着る目的を明確化しておく
まず初めに大切になるのが、
「着る目的を明確化しておく」
ということです。
いつ・どこで・どなたと会う時に着るのかが明確になっていることで、生地選びやデザイン選びなどスムーズに行うことができますし、間違いを減らすことにもつながります。
また、この点を担当スタイリストに伝えておくことで、的確なアドバイスをうけやすくなります。
特にビジネスシーンで着用されるという方は、
「どなたからの信頼が必要か」
について考えてみるのもオススメです。
ビジネスにおいて、スーツはお洒落のためのアイテムではありません。
ビジネススーツは、相手との信頼を築き、様々な仕事を円滑に進めるためのサポートをしてくれるための道具です。
どなたからの信頼が必要かという視点があることで、自分にはどんなスーツが必要なのかより具体的に把握できるようになるのです。
予算を明確にしておく
続いてのポイントは
「予算を明確にしておく」
ということです。
セミオーダースーツの価格は非常に幅広く、店やブランドによって大きく異なります。
また、ボタンや裏地、標準以外の使用に対して「オプション料金」が追加でかかることもあり、表示価格と最終的な金額が大きく変わってきてしまうこともあります。
ひととおり注文が終わった段階でトラブルにならないようにするためにも、予算を明確にし、担当者にあらかじめ伝えておくようにするのがオススメです。
無料相談があるスーツ専門店がおすすめ
オーダースーツ専門店を選ぶ時は、無料相談がある店舗を選ぶのがオススメです。
注文に先立ってそのお店の雰囲気やスーツの特徴を知ることで、その店が自分にあっているかを判断できるため、安心して購入でき、逆に合わない場合はお店選びを見直すことができます。
また、オーダースーツ店では選ぶ生地によって価格が変わってくるため、ホームページ上などの価格表記が「〇〇円〜」となっていることがほとんどです。
そのため、実際にいくらかかるのかが明確にならず、不安になってしまうことがあるかもしれません。
無料相談を通じて、選んだ生地・デザインでの仕上がり価格を確認し、改めて検討してみるのもオススメです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回の記事では「セミオーダースーツ」について詳しく解説してまいりました。
あらためてセミオーダースーツの特徴をまとめますと以下のようになります。
・セミオーダーは、フルオーダーと既製品の中間のような存在
・大別してパターンオーダーとイージーオーダーがある
・フィットしたスーツをリーズナブルな価格で仕立てることができる
・比較的納期が短く3〜4週間ほど
また、セミオーダースーツ選びの際のポイントは以下の通りです。
・着る目的を明確化しておく
・予算を明確にしておく
・無料相談を積極的に利用する
今回の記事が、セミオーダースーツに興味をお持ちの方にとって参考となりましたら幸いです。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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