オーダースーツ 銀座英國屋コラムカノニコのペレニアル・フランネルetcの紹介~人気ブランド生地解説
カノニコのペレニアル・フランネルetcの紹介~人気ブランド生地解説
ヴィターレ・バルベリス・カノニコ(VBC/Vitale Barberis Canonico)は、世界中にファンが存在するイタリア発信の生地ブランドです。創業から3世紀半という長い歴史を通じて、徹底された一貫生産を行ってきました。
世界中に愛用者を作ってきたそのこだわりは、現在も一切ブレていません。カノニコの生地の価格はゼニアやロロピアーナに比べると求めやすく、しかし包括的な価値は遜色ないのではないかと主張する人も少なくない人気ブランドです。
高い品質もさることながら、生地の色の冴えと深みで多くのビジネスパーソンを魅了してやみません。今回の記事ではカノニコの生地シリーズの中でも代表的な5つの銘柄の特徴と、世界中のカノニコファンを惹きつける魅力を紹介します。
オーダースーツを作る機会があれば、ぜひ生地選びの参考にしてください。
アルプスの恵みと創業者の意志で織り上げられる生地
ヴィターレ・バルベリス・カノニコ(通称カノニコ/ Canonico)は世界中の一流ファッションブランドやアパレルメーカー、有名テーラーが競って使用する生地ブランドです。また、世界最古とされているミル(織物業者=織元)でもあります。
アルプスのふもと、良質の軟水が得られるビエラ地方の恵まれた水脈と豊かな自然環境に囲まれた地で、織物業を起こしたのはバルベリス・カノニコです。
創業者の、最高の品質の生地を世界に広めたいという強い意志を織り込んで生み出されてきたのが、カノニコの生地といえるでしょう。
耐久性や回復力などの、服地としての基本的なスペックの高さは言うにおよびません。とりわけ、カノニコの色の深みと冴えは絶品です。
カノニコの歴史とものづくりのこだわりの素晴らしさは、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひ併せてお読み下さい。
カノニコとは?│有名スーツ生地ブランド解説│オーダースーツの基礎知識
カノニコの代表的な5つの生地銘柄
カノニコが発信する生地銘柄の代表的なシリーズは、以下のとおりです。
●ペレニアル/PERENNIAL(スーパー110’s)
●トロピカル/TROPICAL(スーパー120’s)
●フランネル/Flannel(スーパー100’s)
●サキソニー/ Saxony(スーパー120’s)
●リベンジ/ Revenge(スーパー150’s)
銘柄ごとにその特徴と魅力を、詳しく見ていきましょう。
ペレニアル/PERENNIAL(スーパー110’s)
毎年花を咲かせ、年数を経るごとに見栄えが良くなる「多年草」という名を冠されたシリーズがペレニアルです。カノニコ生地の中で、もっとも幅広い顧客層に愛されている銘柄のひとつでもあります。
着る人に、年ごとに一層の華やぎを与える、まさに多年草のような素敵な生地といえるでしょう。選りすぐられたスーパー110’s(繊維の直径が18.0ミクロン:1ミクロン=1/1,000ミリメートル)のウーステッド(梳毛)素材は、格段のしなやかさと回復力を持っています。
そして見た目の美しさからは想像しがたいほどの、丈夫さを備えた生地です。また高いドレープ性により、オーダーメイドスーツの立体的な仕立てのシルエット感が最大限に際立つ素材ともいえるでしょう。
「自分自身のアイデンティティを明確にしたい男性のための生地」というのが、カノニコが掲げるペレニアルのコンセプトです。それを実現すべく、織り上がりのなめらかさとスーパー110’sの繊細さを連動しながら、カノニコは何度も改良を重ねました。
その成果が、あらゆる動きに対応できる快適な着心地と見事なシルエットの表現力です。
耐久性があり、伸縮性と弾力性が生む回復力に優れています。ビジネスシーンでアグレッシブに活動するビジネスパーソンのワードローブには、ぜひヘヴィローテーションで取り入れたい銘柄といえるでしょう。
日本の気候なら、ほぼすべてのシーズンに対応できる生地なので、着たい時にいつでも着用できます。クリアカットで艶感となめらかさを加えられ、高貴な光沢を放つペレニアルは、あなたの品格をビジネスの場に漂わせてくれるでしょう。
オーダースーツ銀座英國屋 シングルスーツお仕立て価格 税込価格264,000円
トロピカル/TROPICAL(スーパー120’s)
カノニコの夏の定番である強撚糸の平織り素材トロピカルは、一般的なトロピカルウールと一線を画しています。17.5ミクロンという超極細繊維から生まれる良質ウールを使用して織り上げることによる、風合いと趣きの違いです。
表面感の美しさと軽やかな着心地、たおやかな肌触りは、通常のトロピカルウールのドライな表面感とはまったく異なります。もちろん清涼感は充分に確保され、高温多湿な日本の夏にも、優雅な佇まいを実現させてくれるシリーズです。
そんなカノニコのトロピカルの特徴は通気性が高く、吸湿性にも優れている点といえるでしょう。それらの要素によって、蒸し暑いシチュエーションでもさらりとしたタッチを失わず、心地よい着用ができます。
また、夏場は一般的に上着の着脱回数が多くなりますので、長時間脱いでいた上着を羽織る際にはシワが気になるものです。しかしカノニコのトロピカルで仕立てたスーツはシワになりにくく、回復力も高いのでいつでもスマートさを失いません。
スーパー120’sの強撚糸はハリとコシがあり、夏素材特有のシャリ感を備えつつもなめらかでしなやかです。あなたの夏のエネルギッシュなビジネスプロセスを、いつも涼風がそよぐように快適に彩ってくれるでしょう。
オーダースーツ銀座英國屋 シングルスーツお仕立て価格 税込価格264,000円
フランネル/Flannel(スーパー100’s)
最上級のウール原料を厳選して織り上げられたカノニコのフランネルは、英国製の少しゴワついた感じがするフランネルとはひと味違います。イタリアらしさがある、ふんわりと柔らかな風合いのウールン(紡毛)素材です。
また、一般的なウールフランネルの特徴として、表面が長い毛足で起毛しています。繊維の中に空気を含んで熱を逃がさないので、暖かいことで定評がある素材です。
昔から登山用の防寒着に肉厚のウールフランネルが使用されてきたのも、その保温性の高さゆえといえるでしょう。
原毛を櫛で梳くコーミング(主に機械による作業)を繰り返す中で、残る長繊維が梳毛糸の素となりツイルやベネシャン、トロピカルなどのウーステッド系の生地になります。
取り除かれた短繊維は紡毛糸の素です。そしてこのフランネルやサキソニー、ツイードなどのウーレン系の生地になります。
そのため、通常のフランネルは粗い感じの素材感になるものですが、カノニコのフランネルはそうではありません。原料の繊維の細さが大きく異なるからです。
繊細な毛並みが美しいカノニコのフランネルシリーズは、エレガンスとウォーム感をまとった素材といえます。
とはいえ、繊維は細くとも経糸、緯糸とも細番手ではありません。一般的なフランネルほどヒザが出る心配もなく、見た目の綺麗さと丈夫さを兼ね備えています。
柄行きに関しては、オーセンティックなものが中心です。ウィンドウペインやプリンスオブウェールズチェックなどの、気品が漂う英国クラシックテイストの柄が存分に楽しめるでしょう。
オーダースーツ銀座英國屋 シングルスーツお仕立て価格 税込価格308,000円
サキソニー/ Saxony(スーパー120’s)
カノニコのサキソニーはアルプスの上質な天然水を活用しながら、良質なメリノウール原料の良さが一貫生産によって最大限に引き出されたシリーズです。ソフトタッチの風合いと上品な光沢感、深い色の染まり具合に魅了されます。
フランネルと一見似ていますが、より薄手で柔らかく弾力性と軽さを備える素材です。このタイプの生地の発祥の地はドイツのサキソニー(ザクセン)地方なので、サキソニーと呼ばれるようになりました。
カノニコ製サキソニーはスーパー120’s(17.5ミクロン)という極細繊維の原料を使用する事で、一般的なサキソニーよりも圧倒的にしなやかな手触りに仕上っています。
またサキソニーは通常、フランネルと同様に秋冬向けの素材です。しかしながら、カノニコのサキソニーはその繊細さゆえに、スリーシーズンに近い範囲を広くカバーできます。
早春の時期に多い、冬物を着ると厚ぼったくなり春物では肌寒い、花冷えのする日に着るのにも最適の素材といえるでしょう。
オーダースーツ銀座英國屋 シングルスーツお仕立て価格 税込価格264,000円
リベンジ/Revenge(スーパー150’s)
リベンジはカノニコの銘柄の中でも、とりわけプレミアム感が強いシリーズです。オーストラリアのタスマニア島の純粋なメリノ種の羊から採れる、希少なタスマニアンウールを使用します。
それは実に16ミクロンという、カシミヤクラスの超極細繊維の原料です。最上級の、肌に吸いつくようななめらかさと、シルクと見違うような光沢が特徴となります。美しいドレープ性を生み出す綾織りによって保証されるのは、丈夫さです。
リベンジ用の糸としては、縦糸も横糸も、2本以上の糸を撚り合わせた双糸が使われます。そのため、組織の密度を測る目付(めつけ:生地1メートル当たりのグラム数)が高めのしっかりした生地といえるでしょう。
また、美しく主張し過ぎない色の展開は、クラシックな柄の中に現代性を感じさせます。極細繊維だけが持つ煌きと高級感により、エレガントなオーダーメイドスーツに仕上がるでしょう。
伸縮性と耐久性にも優れているので、ある程度体を動かすシチュエーションにおいても問題なく着用可能です。ペレニアル同様に、ほぼオールシーズン着用できる生地として重宝されています。
柄行きは落ち着いたクラシックなものから、華やかなものまでさまざまです。ビジネスユースだけでなく、セレモニーやパーティなどの晴れのシーンにも胸を張って着用できます。
オーダースーツ銀座英國屋 シングルスーツお仕立て価格 税込価格308,000円
さいごに
いかがでしたでしょうか?
もし、ご興味のある生地がございましたら、ぜひ、現物の生地を、触って、顔映りをお確かめいただければと思います。
なお、オーダースーツ銀座英國屋では、「無料オーダー体験」(オーダースーツの無料相談+フィッティング体験)をご用意しています。
これをご利用いただければ、ご自身で選ばれた生地・デザインでの価格を確認いただいた後に、改めてお仕立てを検討いただくことも可能です。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
最近の投稿
-
2024年11月16日
大学入学式のスーツはどう選ぶ?男性向けに選び方と着こなし方を解説
-
2024年11月8日
モーニングコートはいつ着る?燕尾服との違いと着こなしマナーを解説
-
2024年10月28日
ブラックスーツとは?ダークスーツとどう違う?着こなし方を解説
-
2024年10月21日
燕尾服とは?着る場面や着こなし方をわかりやすく解説
-
2024年10月12日
ボタンダウンシャツとは?着こなしの注意点とオススメのコーデを紹介