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スーツに合うマフラーはどう選ぶ?上品な印象を与える巻き方を紹介
スーツに合うマフラーはどう選ぶ?上品な印象を与える巻き方を紹介
寒い季節に欠かせない防寒アイテムのひとつがマフラーです。防寒性はもちろん、スーツスタイルに取り入れることで首元に奥行きが生まれ、全体の印象に上品な華やかさを添える効果もあります。
一方で、素材やデザイン、巻き方などにはさまざまな種類があるため、選び方を誤るとスーツスタイルから浮いてしまう恐れがあります。ビジネスシーンに相応しい一枚を選ぶには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。
この記事では、スーツに合うマフラーの選び方や巻き方のバリエーションを、スタイル別に分かりやすくご紹介します。冬の装いにさりげなく品格を加えるヒントとして、お役立ていただければ幸いです。
スーツにマフラーを合わせる際の基礎知識

スーツに合わせるマフラーは、ビジネスの場に相応しい上質な素材と落ち着いたデザインを備えたアイテムのことを指します。
フォーマル寄りのものからカジュアルなものまで幅広い種類がありますが、スーツに合わせる際は、派手過ぎず、色柄も控えめなフォーマル寄りのタイプを選ぶのが基本です。ボリュームが出すぎるものやポップなデザインは、ビジネスシーンでは好まれません。TPOを意識し、全体のバランスを損なわないシンプルで洗練された一本を選びましょう。
マフラーとストールの違いは?

首元を温めるアイテムとして、マフラーとストールは似た印象を持たれがちですが、用途や形状には明確な違いがあります。
最も大きな違いはサイズ感です。マフラーは首に巻くことを前提に作られており、幅30〜50cm、長さ120〜180cmほどが一般的。コンパクトで防寒性を重視したアイテムです。
一方、ストールは肩に羽織ることを想定されています。幅60〜80cm以上、長さも180cmを超えるものが多く、より大判なのが特徴です。
また、用途や素材にも違いがあります。マフラーは防寒が主な目的であり、ウールやカシミヤなど保温性の高い素材が中心です。対してストールは、防寒に加えファッション性も重視され、リネン・シルク・コットンなど季節に応じたさまざまな素材が用いられます。
スーツに合わせるマフラーの選び方
ビジネスシーンにふさわしいマフラーを選ぶには、見た目の印象だけでなく、素材や色柄、ボリューム感など複数の要素に注目することが大切です。ここでは、スーツスタイルを引き立てつつ、信頼感のある装いに仕上げるための選び方のポイントを解説します。
マフラーの素材

ビジネスシーンでスーツを着た時に使うことを想定するのであれば、素材にこだわりましょう。
定番として挙げられるのは、ウール素材です。保温性が高く、通気性にも優れており、冬場でも蒸れにくく快適に着用できます。比較的手ごろな価格帯で種類も豊富なため、ビジネスシーンに取り入れやすい素材です。
ただし、ウールは摩擦によって毛玉ができやすいという特性があります。首元に巻くマフラーは特に擦れやすく、定期的なブラッシングや毛玉ケアが必要です。
また、素材としてもう一つおすすめなのがカシミヤです。カシミヤ山羊のうぶ毛から取れるこの繊維は、非常に細く柔らかく、首まわりに巻いてもチクチクしにくく、肌あたりがやさしいのが魅力です。
軽量でありながら高い保温性を備え、美しい光沢感があり、スーツスタイルにエレガントさを添えてくれます。価格はウールよりも高めですが、上質さと快適さを求める方には特におすすめです。
一方、ナイロンやポリエステル素材のものも市場には多く出回っています。これらは価格が抑えられており扱いやすい反面、光沢や風合いが人工的で、スーツスタイルにはややカジュアルすぎる印象を与えることがあります。ビジネス向けとしては、できるだけ天然素材を選ぶほうが安心です。
マフラーの色や柄

スーツに合わせるマフラーは、色や柄にも気を遣うようにしましょう。売り場ではカラフルで目を引くアイテムが多く並んでいますが、ビビッドな色合いのものはスーツスタイルの中で浮いてしまい、ビジネスシーンには不向きです。
はじめの1本としておすすめなのは、黒・グレー・ネイビーといったシックな定番カラーです。スーツと同系色を選ぶと自然になじみ、全体の印象に統一感が生まれます。
2本目以降に選ぶなら、ボルドーのような深みのある色も好印象です。とくにネイビーのスーツと合わせれば、控えめな華やかさと成熟した雰囲気が漂います。
そのほか、キャメルやベージュなどの柔らかい色味も一案です。明るさはありながらも主張が強すぎず、スーツスタイルとも合わせやすいのが魅力です。
明るいトーンは顔まわりをやさしく照らす効果もあり、印象を明るく見せたい方にも適しています。ベーシックなカラーをすでにお持ちの方には、こうした色のバリエーションもおすすめです。
柄については無地が最も汎用性が高く、スーツにチェックやストライプが入っていても干渉することがないので重宝します。一方、柄入りのマフラーを取り入れる場合は、ストライプや千鳥格子、グレンチェックなど落ち着いたクラシック柄を選ぶとスーツスタイルともバランスがとれます。
ただし、スーツに柄が入っている場合は、マフラーは無地にするのが基本です。柄と柄の組み合わせは顔周りの主張が強くなり、ビジネスの場では落ち着きを欠いた印象を与える可能性があります。
マフラーの大きさや形

スーツスタイルに合うマフラーを選ぶうえで、長さや幅といったサイズ感も重要なポイントです。適切な大きさであれば、見た目のバランスが整い、巻いたときの印象もスマートになります。
長さの目安は、ご自身の身長±10cmが基本です。たとえば、身長が170cmであれば160~180cm前後の長さが程よくフィットします。このくらいの長さであれば、プレーンノットやワンループ巻きなど基本的な巻き方に対応しやすく、首まわりに自然なボリュームが生まれます。
幅は、30cm前後のものがスーツに合わせやすいでしょう。幅が広すぎると首元がもたつき、全体に重たい印象を与えてしまうため注意が必要です。すっきりとしたラインを保つには、適度な幅のマフラーを選ぶことが求められます。
また、ビジネスシーンでは形もシンプルなものが望ましく、フリンジ(房)が控えめなデザインや、装飾の少ない仕立てのものを選ぶと上品な印象に仕上がるでしょう。
サイズ感の合うマフラーは、見た目だけでなく着用時の快適さにもつながります。スーツスタイルの一部として調和がとれるようになじむよう、長さ・幅・形に気を配りながら選ぶと良いです。
マフラーの作り
マフラーは大きく分けて、「織り」と「編み」の2種類の製法があります。それぞれ見た目や質感に違いがあり、ビジネスシーンでの適性も異なります。
織りのマフラーは縦糸と横糸を並べて織っており、生地はフラットで凹凸が少なく、比較的薄手に仕上がるのが特徴です。スーツの上から巻いてもかさばりにくく、首元をすっきりと見せられるので、ビジネススタイルとの相性は非常に良好です。上質なウールやカシミヤ素材で織られたものは、見た目にも上品で、フォーマルな場にも適しています。
対して、編みのマフラーは、ざっくりとしたセーターのように毛をループ状に編んで作られています。厚みと立体感があり、首元にボリュームが出やすい傾向にあります。
保温性には優れていますが、見た目にカジュアルさが強く出るため、スーツスタイルにはやや不向きです。とくにビジネスシーンでは、全体のバランスを崩してしまう可能性があります。

売り場で実物を手に取ると、織りと編みの違いは一目瞭然です。スーツに合わせるなら、薄手でフラットな織りのマフラーを選ぶようにしましょう。無駄なボリュームを抑えつつ、首元に洗練された印象を添えることができます。
スーツに合うマフラーの巻き方
実際にスーツにマフラーを巻くとき、巻き方にもこだわると一歩先の上級な着こなしをすることができます。ここでは、スーツスタイルに映える巻き方を4つご紹介します。
どれも一度覚えると簡単に実践できるものばかりですので、ぜひ日々のコーディネートに取り入れてみてください。
ネクタイ巻き

ネクタイ巻きは、その名の通りネクタイのプレーンノットと同じ要領で巻く方法です。結び目がコンパクトでスマートに見えるので、スーツスタイルとの相性がよく、きちんとした印象を与えたい場面に適しています。
巻き方は以下の通りです。
まず、マフラーを首にかけて片方を長めに取ります。長い方を上、短い方を下にして交差させたら、長い方を短い方に一周巻き、首元の輪の下から上へ通しましょう。そのまま結び目のコブ部分に長い方の先端を上から通し入れると、綺麗なノットができます。
幅が広くてごわつく場合は、縦半分に折ってから巻くと見た目がすっきりし、結び目も整いやすくなります。ほどよくフォーマル感がありながら、おしゃれさも漂う巻き方として、いろいろなシーンで重宝するスタイルです。
ワンループ巻き

ワンループ巻きは、マフラーを首元に一周させるだけのシンプルな巻き方です。着脱しやすく、見た目もすっきりしており、スーツスタイルにもよくなじみます。気温の変化が激しい季節や、通勤時に特に重宝するスタイルです。
巻き方は簡単です。まずは、マフラーを折らずに首にかけ、片方を長めに取ります。長い方を首にグルッと一周巻きつけて、両端を前に垂らすだけで完成です。
巻いた後に両端の長さを揃えると、より整った印象に仕上がります。一方をやや長めにしてアシンメトリー(左右非対称)なシルエットにすると、ほどよくこなれた雰囲気になりますが、その際は長さの差をつけすぎないのがポイントです。バランスを保つことで、品のある印象をキープできます。
シンプルながら汎用性が高く、スーツスタイルにはじめて取り入れる方にも適した巻き方です。
ピッティ巻き(ミラノ巻き)

ピッティ巻きは、マフラーを段違いに交差させて巻くスタイルです。見た目に程よいボリュームと華やかさが出る巻き方であり、スーツスタイルにもさりげなく個性を添えられます。
名称の由来は、イタリアで年2回開催されるメンズファッションの展示会「ピッティ・ウォモ」が元になっています。この展示会で、バイヤーや現地のファッショニスタたちがこぞってこの巻き方をしていたことで広まりました。ピッティ巻きはミラノ巻きと呼ばれることもあります。
巻き方は、まず、マフラーを首にかけ、両端が同じ長さになるように一周させます。この工程はワンループ巻きと同じです。
次に、どちらか一方の端を首元のループの内側から引き上げて輪を作り、もう一方の端をその輪に上から通して下に引き出します。最後に全体の形を整えれば完成です。
マフラーが交差して重なり合うため、表裏で色が異なるバイカラーやグラデーションのアイテムを使うと、色の変化が表情豊かに映えます。上品さに加えて、視覚的なアクセントを演出したいときにおすすめの巻き方です。
アスコット巻き

アスコット巻きは、ネクタイの一種である「アスコットタイ」を締めているように見える巻き方です。フォーマルな雰囲気が漂い、スーツスタイルに品のある華やかさを添えることができます。
本来のアスコットタイの結び方はやや複雑ですが、ここでは簡単に再現できるアレンジをご紹介します。
まず、マフラーを首にかけ、両端が同じ長さになるようにします。次に、両端を交差させて一重結び(シングルノット)にします。その後、上にくる方の端を軽く広げて、結び目のコブを覆い隠すように整えます。コブがうまく隠れない場合は、下にきている方を軽く引いて結び目をずらすと形が整いやすくなります。
仕上げに、両端をジャケットの内側に入れ込むと、まるで本物のアスコットタイを巻いているような印象を演出することが可能です。首元に柔らかなふくらみが生まれてエレガントな印象を与えます。
寒さ対策をしながら、格式のある雰囲気を出したいときにおすすめの巻き方です。格式張りすぎず自然に決まるため、ビジネスカジュアルや来客対応の場にも適しています。
垂らし巻き

垂らし巻きは、その名の通りマフラーを首にかけて垂らすだけの最もシンプルな巻き方です。実際には「巻かない」スタイルですが、スーツのVゾーンに沿ってきれいに布が落ちることで、着物の半衿を思わせるような端正でエレガントな印象を与えます。
防寒性は他の巻き方に比べて劣りますが、スタイリッシュに見せたい場面や屋内での装いに適しているスタイルです。
着こなしの安定感を高めたい場合は、両端をジャケットの内側に入れるとよいでしょう。手順としては、ジャケットのボタンを開けた状態でマフラーを首に垂らし、その後にボタンを留めるだけです。これだけで、簡単に上品な雰囲気に仕上がります。
このとき、マフラーが長すぎると裾からはみ出してしまい不恰好になることがあり、やや短めのものを使用するとバランスが整いやすくなりおすすめです。
コートスタイルであれば、マフラーの両端が外に出ることなく自然に収まり、より洗練された見た目になります。控えめながら存在感のある装いを求める方にぴったりの巻き方です。
まとめ

この記事では、スーツに合うマフラーの選び方や巻き方についてご紹介しました。マフラーにはカジュアルなものからフォーマル寄りのものまで多彩な種類がありますが、ビジネスシーンでは品のある素材と落ち着いたデザインを選ぶことが大切です。
また、巻き方によって印象を変えることができるのが魅力です。いくつかの巻き方を身に着けておくことで、場面に応じた装いを楽しむことができるでしょう。
銀座英國屋では、スーツにふさわしい上質なマフラーや、洗練された冬のビジネススタイルをご提案しています。選び方にお悩みの際は、お気軽に店舗スタッフまでご相談ください。長年の経験を持つスタイリストが、スーツに合う素材・色・巻き方まで丁寧にアドバイスいたします。
この記事が、冬の装いを格上げする1本を見つけるためのご参考となれば幸いです。
監修者

小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
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