オーダースーツ 銀座英國屋コラム【イギリスのスーツ】ブリティッシュスタイルを極める。歴史、着こなし方まで徹底解説

【イギリスのスーツ】ブリティッシュスタイルを極める。歴史、着こなし方まで徹底解説

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ビジネスパーソンにとって、信頼を獲得するための大きな要素のひとつが「スーツの装い」です。スーツスタイルには、イタリアとイギリスの2つの大きなスタイルがあり、好印象を与えるものとして「ブリッティッシュスタイル」も多くの人気を集めています。

この記事では、イギリスのスーツスタイルである「ブリティッシュ・スタイル」の歴史や魅力をご紹介いたします。

ブリティッシュ・スタイルとは?

英国紳士が好んで着用するスーツスタイルを「ブリティッシュ・スタイル」と呼びます。イギリスは、なんと言ってもスーツ発祥の地です。スーツの起源には諸説ありますが、少なくとも1846年にヘンリー・プールがサヴィル・ロウに店を構えたときには始まっているので、歴史は170年以上にもなります。

ちなみに「サヴィル・ロウ」とは、ロンドン中心部にあるテーラーの集まるストリートのこと。古くはナポレオン三世やチャーチル首相などもこの地で服を仕立てていました。日本でスーツを意味する「背広」の語源が「サヴィル・ロウ」だという説もあるほどです。さきほど名前の出た「ヘンリー・プール」は、そんなサヴィル・ロウ最古のテーラーとして、世界中のテーラーから尊敬されています。

それでは、ブリティッシュスタイルの歴史について見ていきましょう。

スーツの源流は英国のフロックコート

スーツの源流を辿ると、英国の貴族文化に行き着きます。誇り高き貴族は常に身だしなみに隙がないよう、自らを律していました。また、乗馬や狩猟、そして戦場に赴く際にも、その掟は変わりませんでした。この当時の乗馬服や狩猟服、軍服のスタイルや、その中でさまざまな役目を持つディテールが、現代のスーツに残っています。

勇敢なる指導者階級を飾るフロックコート

16世紀の英国では、貴族の男性はフロックコートと呼ばれる長い上着を着用しており、将校以上の階級を持つ軍人が着ていたのもフロックコートでした。(そもそも当時の英国軍における指揮官は、基本的に貴族が担っていました。)

英国では「高貴なる者の果たすべき義務」を指す、ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)という概念があります。「高貴な生まれの者は、自らの命を懸けて民衆を守るミッションを持つ」という貴族の哲学です。

フロックコートは言い換えれば、進んで戦地に向かい、最前線で勇敢に指揮を執る高貴なる者の身を飾る服といえるでしょう。

ちなみにコート(coat)とは上着(ジャケット)を意味します。日本でいうコートは、正しくはオーバーコート(over coat=上着の上に着る上着)です。

その後18世紀に至るまでに、フロックコートをベースにして貴族のライフスタイルに合わせた服が続々と生まれます。

乗馬服のまま舞踏会に、それがテールコート

貴族の午前の日課は散歩です。その際に足を前に踏み出しやすくするために、フロックコートのフロントを大きくカットした改良版が生まれました。それがモーニングコート(朝用の上着)です。

また、貴族の午後の日課は乗馬です。馬に乗りやすくするために、前身頃の丈をベストのように極端に短くし、後身頃の長い丈は馬の背で左右に分かれるように深いスリットで二分しました。これがイブニングコート(午後の上着)です。

イブニングコートは後身頃の長い裾がツバメの尾のように見えるので、テールコートと呼ばれるようになりました。日本でイブニングコートが燕尾服(えんびふく)と呼ばれる語源となっています。

そして貴族男性は散歩および乗馬の後に、その着衣のまま宮廷に上がりました。そのため、昼食会や午後のお茶会にはモーニングコートが、そして晩餐会および舞踏会にはテールコートが、それぞれ正装となったのです。

欧米での式典における本来の最上級の正装「ホワイトタイ」とは、テールコートを指しています。テールコートでフォーマルな場に出る際には、白い蝶ネクタイを締めるところからそう呼ばれました。

現代スーツの原型。紳士のラウンジコート

とはいえ、モーニングコートもテールコートも正装ではあっても屋外着です。19世紀に入ると、貴族にとって散歩や乗馬が日課というほどではなくなってきました。

そこで晩餐会専用の室内着として、テールコートを室内向けにアレンジし、燕尾をカットしたものが生まれます。これが、タキシードの前身、ディナーコートです。ここまでくると、ほぼ現代スーツの上着に近いルックスになっています。

「ブラックタイ」の由来

このディナーコートがスタンダードになり、中でも黒のタキシードクロスを使ったものが略式の正装(略礼服・準礼装)として定着し、タキシードと呼ばれました。

タキシードでフォーマルな場に出る際には、黒の蝶ネクタイを締めます。そのため、タキシードは旧来の正装であるホワイトタイに対して「ブラックタイ」と呼ばれ、略礼服から実質的な正装の位置づけになります。

ちなみに現代において結婚式やフォーマルなパーティーに招待された際に、参加者の服装に「ブラックタイ」の指定があれば、タキシード着用が望まれているということです。

ラウンジコートの誕生

貴族の晩餐後の習慣として男性はラウンジルーム(スモーキングルーム)で煙草を楽しみ、女性はロウイングルームにてティータイムを満喫しました。それぞれ同性同士でくつろいで、談笑を楽しむ時間です。

19世紀後半、貴族男性達はラウンジルームでも正装のディナーコートを着るのは、心身ともに窮屈だと思い始めました。そこで、リラックスできるようにディナーコートをアレンジしたものを仕立て、晩餐後はそれに着替えるようになります。

適度なゆとりを持たせつつ、ウエストは絞って体型を良く見せる仕立て方です。用いる生地も繊細な正装用のものではありません。

もっと気軽に着られる丈夫なものを選んでオーダー(誂え)した服こそ、現代スーツに限りなく近いラウンジコートです。

紳士服の完成形ブリティッシュスタイル

1900年ごろのラウンジコートに至っては、現存する写真で見る限り現代スーツとほとんど同じといえるほどの、完成されたスタイルになっています。

貴族達は見栄えもスッキリして着心地も快適な、ラウンジコートが大変気に入りました。そしてラウンジルームの中だけでなく、外出するときにも着用する者が増えたのです。

スーツという概念の夜明け

やがて、本来は違う種類の生地で仕立てられていたコートとトラウザーズ(スラックス・ズボン)、ウエストコート(ベスト・チョッキ)の3つを、わざわざ生地を分けなくてもよいだろうという動きが出てきます。

やがて同じ生地で3つのパーツを仕立てる、三つ揃え(スリーピーススーツ)が主流になりました。スーツ(suit=揃い)という、同じ生地で服全体を仕立てるコンセプトの誕生です。

ちなみに、当時ウエストコートはマストアイテムでした。お腹を隠すことが礼儀なので、上着がダブル仕様(前身頃の打ち合わせが二重になるデザイン)でなければ、必ずウエストコートを着用します。

そのため、ツーピースのスーツが広まるのは20世紀になってからです。

このように、英国貴族のフロックコートがライフスタイルと価値観の変化に応じて形を変え、ブリティッシュスタイルのスーツとなりました。

肩パッドを入れた重厚な肩の作りや、胸元の張りとウエストのシェイプによる美しいシルエットが特徴的な、エレガントでかっちりしたスーツがブリティッシュスタイルです。

ファッションという言葉は本来、「流儀」を意味します。ブリティッシュスタイルのファッションは「英国貴族の流儀」というわけです。

スーツを広めた立役者は「ジェントリー」

上流階級とは、基本的に貴族を指しますが、実はもともと中産階級であるにも関わらず上流階級入りを認められた「ジェントリー」という人たちがいます。ジェントルマンの語源となっている人たちです。

彼らは地域の有力者である大地主の中の一部のグループでした。貴族の生き方に憧れ、貴族同様の生活を目指し、奉仕活動に励み積極的に戦場に赴いて活躍したのです。

その社会貢献から、彼らの一族は、爵位はなくとも上流階級への仲間入りを許されました。彼らの装いは英国貴族の流儀に法っていたので、普段からスーツを着用します。

そして、ジェントリーは貴族と違ってビジネスパーソンだったので、スーツを着てヨーロッパ中を颯爽と闊歩します。

精力的に活躍する魅力溢れるジェントリーの姿に共鳴した各地の人たちは、彼らをジェントルマンと呼びました。そして、各地でジェントリーの装いの流儀(fashion)が流行(fashion)します。

そうやってブリティッシュスタイルのスーツがヨーロッパ全土に広められ、やがてアメリカや日本にも到達するのです。

ブリティッシュスタイルの支流

ヨーロッパ各地やアメリカに広まったブリティッシュスタイルのスーツは、それぞれの土地の文化を織り込んで進化しました。ブリティッシュを源流とした支流がいくつも生まれたのです。

それらの中で世界的なスタンダードとなったのは、イタリアとアメリカのスーツでした。

英国への憧憬が生んだイタリアンサルト

現代イタリア人はさておいて、昔の多くのイタリア人は英国的なものを敬意と憧れを込めて「イングレーゼ」と呼びました。今でもそういう気質が、一部の人たちの心に残っているとも聞きます。

イタリア人は英国のテーラー(仕立て職人)によるビスポーク(オーダー・誂え)の文化を取り入れて、自国風にアレンジを加えながら進化させました。

それがイタリアの仕立て職人「サルトリア」による「イタリアンサルト」、つまりイタリア流オーダーの文化です。

アメリカ的合理主義を具現したサックスーツ

アメリカではブリテュッシュスタイルのスーツをお手本としつつも、テーラーが一着ずつ、ひと針ずつ、丁寧に手で仕立て上げることはしませんでした。

工場にミシンを並べて、分業体制で効率的に縫製する方法を開発したのが、アメリカの衣料品業者ブルックスブラザーズです。手間のかかるダーツ(前身頃の絞り)を取らずベンツ(スリット)も簡略化し、全体的に工程を効率的にアレンジしてスーツを量産しました。

それらのスーツは、袋(サック)のようにゆったりとしていたので、さまざまな体型の人に合います。製造効率に加えて販売効率も良いという、二重のメリットを持ち合わせていたのです。そのシルエットから「サックスーツ」と呼ばれ、価格も手頃でアメリカのビジネスパーソンの間で爆発的に人気が出ます。

このように、匠の技を大切にするルネサンスの国イタリアと、合理性を至上とする開拓者の国アメリカの国民性の違いが、スーツの広まり方に現れていて興味深いものです。

現代スーツの5つのスタイル

オーダースーツ・フルオーダースーツ・ブリティッシュスタイル

現代のメンズスーツファッションは大別して、以下の5つのスタイルに分かれます。

・ブリティッシュスタイル

・イタリアンスタイル

・アメリカンスタイル

・インターナショナルスタイル

・モードスタイル

個別に特徴を解説しましょう。

正統派のブリティッシュスタイル

フロックコートから幾多の変遷を経てラウンジスーツとなったブリティッシュスタイルのスーツ。それは現代流通しているテーラードタイプのスーツの原型であり、スーツの中で最も正統派といえるでしょう。

ファッションがいくら変化しても、ブリティッシュスタイルの基本的な部分は変わりません。一時の流行に左右されない、普遍的な完成度を持っているのがブリティッシュスタイルのスーツです。

もちろん、時代のトレンドを吸収して、細かいバランスを変化させる柔軟さは持っています。そんなブリティッシュスタイルも大別すると2種類。クラシックタイプとモダンタイプです。

ブリティッシュクラシック

その名の通りクラシックスタイルをできるだけ忠実に表現するのが、ブリティッシュクラシックです。クラシックという言葉は「古典」の意味を持ちますが、それだけではありません。本来「クラス」とは「最高級」や「最上級」の意味があります。

最高級の生地を用いた最上級の仕立ての服が、クラシックスーツの本来意味するところです。スーツブランドでそれを忠実に再現しているところは少ないですが、フルオーダーを扱うオーダーショップなら仕立てることができます。

モダンブリティッシュ

現在のブリティッシュスタイルのイメージは、このモダンブリテュッシュだと考えてよいでしょう。クラシックなテイストを残しながらも、服の全体的なバランスは現代的にアレンジされているスーツスタイルです。

「粋」が信条イタリアンスタイル

イタリア人は英国的なものにリスペクトしつつ、自分たちの「粋」を信条とする価値観を服に取り入れました。英国調のかっちりしたイメージとは対照的に、柔らかなイメージで着心地が軽い仕立てがイタリアンスタイルです。

外から見えない部分で使われる副資材である肩パッドや芯地などを、できるだけ減らして着心地を軽くしました。結果的に、ブリティッシュスタイルよりもボディラインを際立たせるようなスタイリングとなっています。

そんなイタリアンスタイルは、大きく分けて2種類。
クラシコイタリアとモダンイタリアンになります。

クラシコイタリア

19世紀の英国貴族はイタリアのナポリでバカンスを過ごすことが多く、そこにお抱えの仕立て職人を連れてきて服を作らせました。

そういう背景のもとでナポリのサルトリアは英国ビスポークの技術を学び、ナポリが独自に培ってきた仕立て方と融合させて技術を進化させたのです。手先が器用でハンドワークに優れ、「粋」な感覚を表現できるイタリアンサルトは、やがてヨーロッパ各地から注目されて注文が相次ぎました。

需要に供給が追いつかないために、アメリカのように工場でミシンを使って大量発注に応える流れも生まれます。

その動きの中で、大量生産の弊害で伝統的なサルトリアの技術が損なわれるのを危惧し、後世に守り残していこうと結成されたのがクラシコイタリア協会です。

クラシコイタリアとはその協会に加盟するサルトが作り出す、最高水準のスーツファッションを意味します。

クラシコイタリアのスーツは英国の流れを汲みながらも、かっちりしたブリティッシュスタイルとは異なるテイストです。イタリアらしい軽やかなエレガンスを表現しています。

1990年代にクラシコイタリアブームが起こり、それ以来クラシコイタリアのカテゴリーは高級紳士服のひとつのスタンダードとなりました。

モダンイタリアン

クラシコイタリア流のファッションに、時代のトレンドをほどよく取り入れて現代風にアレンジしたスタイルがモダンイタリアンです。

クラシコイタリアの特徴である軽やかな仕立てや、クラシカルなディテールを踏襲しつつ、現代のビジネスシーンに親和性があるスタイルとなっています。

自由の象徴アメリカンスタイル

工業的効率の良さからサックスーツを開発したブルックスブラザーズは、20世紀初頭にナンバーワンモデル(Ⅰ型)を発表して一斉を風靡しました。

日本においても1960年代に、当時の自由の象徴としてアメリカに憧れる若者達を中心にトラッド&アイビーブームが起こります。ナンバーワンモデルは「イチガタ」の名で、トラッド&アイビーファンに親しまれました。

トラッド&アイビー

ナンバーワンモデルは、後にアメリカのトラッド&アイビーのアイデンティティマスクと呼ばれるようになります。フロントデザインは第1釦と第2釦の間でラペルが裏返る「3ツ釦段返り」、英国調のようには肩を強調しない「ナチュラルショルダー」となっています。

また、ウエストをダーツで絞らない「ノーダーツ」、後ろ見頃の裾の鍵型のスリット「センターフックベント」。この4つのディテールがナンバーワンモデルの特徴です。

ブルックスブラザーズ以外の製造業者も、同様のスタイルをアメリカンスーツの標準として製造するようになりました。サックスーツをはじめ、英国のスーツファッションをアメリカ流にアレンジしたアメリカンスーツファッションは全米に浸透します。

イチガタ登場から約半世紀後に、そのスタイルはアメリカントラディショナル、トラッドなどと呼ばれるようになりました。クラシックと呼ばずにトラディショナルと呼ぶところが、アメリカらしいといえるでしょう。

また、アイビーとはアイビーリーグ(アメリカ東海岸にある名門私立8大学で構成するカレッジスポーツ連盟)の若者が好んで着用した、トラッドの若者流解釈です。アメリカのベビーブーマー世代、日本では団塊の世代を中心に広まりました。

ソフトトラッド

時代が進むと、アメリカントラッドもイメージを変化させて、さまざまな新しいファッション、特にイタリアンスタイルの軽やかなイメージも吸収して変化しました。

昔ながらのトラッドではなく、現代感覚をブレンドしたソフトトラッドとして現在に至っています。

国際基準のインターナショナルスタイル

インターナショナルスタイルとは、さまざまなスーツテイストの中央値のような、ニュートラルなイメージのスーツスタイルです。その名の通り国際スタンダードで、特に国籍を感じさせないスーツスタイルといえるでしょう。

やや保守的なのでコンサーバティブ、コンサバと呼ばれたり、現代的なのでコンテンポラリー、コンポラと呼ばれたりもします。ファッションにこだわりはないけれど、平均点以上は取りたい人に最適なテイストです。

トレンドを飲み込み常に変化、モードスタイル

モードテイストとは、パリコレクションやミラノコレクション、NYコレクションなどに出品する、トレンドセッターであるコレクションブランドの打ち出すスーツスタイルを指します。

別名コレクションラインとも呼ばれるこのカテゴリーには、当然ながら決まったスタイルは存在しません。トレンドとともに絶えず変化しゆくスーツファッションです。

ブリティッシュスタイルの特徴とは?

まずは見た目の印象がカチッとしていて重厚感を感じるのがブリティッシュ・スタイルの特徴です。軽くて柔らかい印象のイタリアン・スタイルとは真逆のイメージです。ではなぜ、イギリスでこのようなスーツスタイルが出来上がったのでしょうか。

実はイギリスとイタリアのスーツスタイルの差は、国の風土や国民性に起因するものだとも言われます。

イギリスは日本と同じ島国で、雨が多く、冬は寒い気候の国です。地中海沿岸にあり、ほぼ1年を通してカラッと晴れているイタリアの気候とは大きく異なります。このようなイギリス独特の気候に適しているのが、ブリティッシュ・スタイル特有の厚手でハリのある生地です。

またイギリス人は、同じ英語圏のアメリカ人と比べても、控えめで真面目なイメージがあります。日本と同じくロイヤルファミリーを戴くイギリスは、伝統と格式を重んじる歴史の長い国でもあります。何事にも楽観的で積極的なアメリカ人よりは、むしろ同じ島国の日本人に気質が似ているかも知れません。

そんなイギリスの風土に適し、イギリス人の性格に合うように発展してきたスーツが、ブリティッシュ・スタイルなのです。

ブリティッシュスタイルのスーツには、どのような特徴があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

シルエットの決め手はイングリッシュドレープ

まず、シルエット的には「イングリッシュドレープ」が特徴的です。胸元の張りと落差があるウエストのシェイプによる、砂時計のような美しい形状を指しています。

イングリッシュドレープを、ブリティッシュスタイルのアイデンティティと考えているテーラーも多く、英国調シルエットの決め手といえるでしょう。

肩パッド

ブリティッシュスタイルは、構築的でカチッとキマるのが特徴です。肩にもしっかりとしたパッドを入れるので、上部が立体的な構造になります。ブリティッシュ・スタイルは時に「重厚な鎧」に例えられますが、肩パッドはその形容に相応しい要素です。またしっかりとした肩パッドを入れることで、胸周りに軽く張りをもたせることができます。

本バス毛芯が活きる優雅な胸元

聞き慣れない方も多いかも知れませんが、毛芯とは襟や胸の前辺りの生地の中に形を保つために入れる素材のことです。量販店の既成スーツでは、毛芯を使わず接着芯と呼ばれる簡易なものを使用している場合もあります。毛芯にも様々な種類がありますが、本来のブリティッシュ・スタイルでは質の高い動物性の毛芯を用いることが多く、胸周りにより重厚感が増します。ちなみに馬の尻尾の毛を使った芯を「本バス芯」と呼び、最高品質の毛芯とされています。

張りのある胸元のシルエットが、ウエストのイングレッシュドレープを一層引き立て、エレガントな印象に貢献しています。

ロープドショルダーとコンケーブドショルダー

ブリティッシュスタイルのスーツの肩の作り方には、 ロープドショルダーとコンケーブドショルダーがあります。どちらも「ショルダー」ですが、実はこれらは別の部位を指すものです。

ロープドショルダーは、肩の袖山が縄(ロープ)を中に入れたように盛り上がっているデザインです。ビルトアップショルダーとも呼ばれ、英国調が強調される仕立て方です。

コンケーブドショルダーとは、襟元から肩先までのラインが凹状(コンケーブ)に湾曲している仕立て方です。襟元から肩先までの間に一旦下がってまた上がるラインとなります。

五重の塔の形状、屋根の反り返ったシルエットを思い浮かべて頂くとイメージしやすいでしょう。そして、コンケーブドショルダーは ロープドショルダーが必ずセットになっています。

コンケーブドショルダーは、ブリテュッシュ色が強くなりますが、実際のビジネスシーンで着用するには個性が強めです。 ロープドショルダーではあっても湾曲していない肩のラインのものが一般的となっています。

Vゾーン

ブリティッシュ・スタイルはVゾーンの角度が浅く、ネクタイやシャツをあまり見せないのが特徴です。これによってフォーマルな印象を与えます。イタリアン・スタイルが深いVゾーンで胸元を強調するのに対して、ブリティッシュ・スタイルは対照的です。

もともと英国紳士たちは、自分が特別な階級であることを認め合うためにスーツを着ていたとも言われています。つまり個性をアピールすることが目的ではなく、グループに属していることを知ってもらうことがスーツを着る目的でした。ある意味で脱個性の象徴と言えるのかも知れません。個人の価値観を最大限にアピールするイタリアン・スタイルとの違いは、このような歴史も関わっているのでしょう。

ウエスト

イタリアン・スタイルと比べて、ブリティッシュ・スタイルはウエストのシェイプが高めになっています。絞りを高くすることで体のラインを強調しすぎず、そして引き締まった男らしいシルエットに仕上げます。

ポケット

あまりスーツに詳しくない方が、パッと見てブリティッシュ・スタイルかイタリアン・スタイルかを判別できるポイントとして腰ポケットの角度があります。ブリティッシュ・スタイルのポケットは斜めに切れ込みが入っており、特別に「スラント・ポケット」または「ハッキング・ポケット」などと呼ばれます。

ポケットの切れ込みが斜めに入っている理由は、英国紳士が乗馬をしていた頃の名残で、元は乗馬中にポケットを使いやすいように設計したものだと言われています。今ではスーツを着て乗馬をすることは滅多にありませんが、それでも英国紳士のこだわりを継承したスラント・ポケットには、胸の厚さを強調したりスマートに見える視覚効果もあり、より男性的な印象を与えてくれます。

信頼を映し出す日本人向けのスタイル

概してブリティッシュスタイルのスーツは、信頼感や誠実感が漂う紳士的なイメージの服なので、多くの日本人のイメージに合いやすいスタイルです。

構築的で重厚な仕立てとエレガンスを兼ね備えているので、真摯な趣きと柔軟で温和な趣きが同居する、ビジネスシーンに相応しいスーツスタイルといえるでしょう。

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英国生地とイタリア生地

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スーツの服地となる毛織物は、日本も含めて世界中いたるところで生産されます。

それなのに、実際にオーダーで扱われる生地のメインは、英国生地とイタリア生地であることは紛れもない事実です。日本製や、ポルトガル製、スペイン製、中国製なども選べますが、メインではありません。

英国とイタリアは、どちらも服飾文化、とりわけ紳士服のオーダー技術については本場と呼ばれています。しかし、それに用いられる生地までも、英国製とイタリア製に集約されるのはなぜでしょうか。

その興味深い事実には理由があります。それを解明しつつ、両者の生地の違いを紐解いてみましょう。

生地の特徴

イタリアと比べ雨が多く湿度の高いイギリスでは、湿気に強くへたりにくい生地が好まれてきました。2本の糸を撚り合わせ、均一な糸にしたものを「双糸」と呼びますが、この双糸を使った生地が多いのもイギリス生地の特徴です。双糸を使うことで、より丈夫なへたりにくい生地になります。つい形にばかり目が囚われがちですが、イタリアン・スタイルとブリティッシュ・スタイルの違いは、生地の差も大きいのです。

「イギリス生地」「イタリア生地」という言葉があるように、生地でも両者は真逆の特質を備えています。

大まかにイギリス生地の特徴を説明すると

・織りがしっかりしていて分厚い

・ハリがある

・シワになりにくい

・耐久性が高い

・復元力が高い

このような点が挙げられます。

派手な色で光沢を帯び、ドレープ感の強めなイタリア生地に比して、イギリス生地は少し地味な印象があるかも知れません。確かに一見すると目立たないような色使いや柄が多いのですが、実は多くの種類があって奥が深いのもイギリス生地の特徴です。

以下では、イギリス生地に見られる代表的な柄について解説します。

バンカーズ・ストライプ

イギリス独自の柄の代表格に、ロンドンのバンカー達が愛用したと言われる「バンカーズ・ストライプ」があります。紺の明るい色にダブルストライプが入ったものがその典型です。クラシックなブリティッシュスタイルの中で少々目立つその柄は、デキるビジネスマンらしい信頼感を与えつつ、見る人に若々しさやアグレッシブな印象も与えます。

チェック

イギリスと聞けばチェック柄が思い浮かぶ人も多いほど、有名なイギリスを象徴する柄です。イギリス王家の儀式で、女王陛下を守る近衛兵がタータンチェックを着ているのを見たことはないでしょうか?彼らが身につける赤地に緑や黄色のラインが入ったロイヤルスチュワートは、威厳と華やかさを併せ持つイギリス王家御用達の柄です。

タータンチェックを着こなすのは少々難易度が高いかも知れませんが、格子の細かいグレンチェックなどは、服地の定番の一つで、一着は揃えておきたいスーツです。

なぜ英国とイタリアの生地が好まれる?

あまり一般的には知られていませんが、質の高い生地を生産するために、非常に大切な要素として「水の質」があります。

水の質が生地を左右するとは?

原料となる羊毛の質やそれを紡ぐ紡績機、生地に織り上げる織機も大切です。しかし、それらの生産要素を最大限に活かす役割を担うのが「水」なのです。

生地の生産過程の中で、原毛を洗浄したり・染色したり、織られた生地を仕上げたりする作業工程で水を大量に使います。この水は「軟水」が理想です。軟水とはミネラル成分であるカルシウムやマグネシウムなどが少ない水で、ミネラル成分が多いと「硬水」になります。

繊維の中の「色素」とミネラル成分は結合する性質があり、硬水を用いて生地を作ると、繊維への色素の定着が邪魔されてしまいます。軟水であれば邪魔とならず、繊維に色素がよく定着して、冴えた色目が出せるのです。

軟水が生地生産に与える恩恵の大きさ

また、硬水での洗浄作業は洗剤の泡立ちも悪く、洗浄効果が低くなります。その上カスが大量に沈殿し、河川の汚染につながってしまいます。軟水で洗浄すれば、泡立ちが良く洗浄効果が高くなり、カスも発生しにくいため河川の汚染にもなりません。

このように何から何まで、軟水は生地生産に都合が良いと言えますが、良質な軟水に恵まれた地域は世界でも限られています。

また、水以外の条件も大切です。自然環境や生産した生地を運搬するための交通インフラ、関連業者などの地域性、生地作りに携わる人びとの洋服やその伝統に対する思い入れも、上質な生地を生み出す要因となります。

それらを総合すると、英国はウェストヨークシャー州のハダーズフィールド、そしてイタリアはピエモンテ州のビエラの2箇所が、生地の生産に最も適した土地となります。このふたつが毛織物の聖地と謳われる背景には、そんな事実があるのです。

英国生地の特徴

ヨークシャーの恵みを享受するハダーズフィールドで作られた上質な英国生地は、堅牢さからくる抜群のハリとコシを備えています。

その特徴は経糸(たて糸)にも緯糸(よこ糸)にも双糸(複数糸をより合わせた糸)を用いることで最高潮に発揮されるのです。

経糸に双糸を使い、緯糸には単子を使うのが一般的な毛織物といえます。それらと比較すると堅牢度や弾力性に大きな差が生まれるのです。風合いの良さはもちろん、シワにも強いタフな生地となります。

また、バンカーズストライプやグレンチェックなどの歴史と伝統がある英国のクラシック柄の数々は、すでに普遍的なスタンダードになっています。英国生地は、信頼感がある優雅なスーツを望む人におすすめできる生地です。

イタリア生地の特徴

イタリア生地は光沢があって柔らかく、シルクのような美しい風合いの生地が多く見られます。タスマニアウールなどの繊維が極細の上質な原料を使って紡がれるのは細番手の糸。

それをもとに、綾織や繻子織といった光沢が冴える織組織で生地にします。それらはスーツとなった際に、着用する人の華やぎを際立たせる効果があるのです。

ドレープ性にも優れているのでボディラインが引き立てられ、光沢が生み出す煌めきは生地の角度が変わると光の粒子が流れるように見えます。イタリア生地は、おしゃれで華麗なスーツを望む人におすすめできる生地です。

代表的な生地メーカー

イギリスの代表的な生地メーカーをご紹介します。

スキャバル/SCABAL
1938年、オットー・ハーツによりブリュッセルで設立された服地メーカー。
アメリカの映画界と提携をし、「007 カジノ・ロワイヤル」ではダニエル・クレイグに、「タイタニック」などで、レオナルド・ディカプリオに服地を提供したことでも有名です。幅広い商品を扱う中でも、特に高級品に関しての素材・商品開発には目を見はるものがあります。ダイヤモンドやラピスラズリ等の鉱石類を生地に練りこむ発想は、我々の目を楽しませてきました。

フィンテックス オブ ロンドン / Fintex of London
1881年にジョージ・ペンドルが、ロンドンにて営業を開始した服地メーカー。服地のロールスロイスとも言える最高品質の生地を取り揃えています。FINTEXは、FINE(素晴らしい)TEXTURE(織物)を意味し、昔から王侯・貴族・政治家・名士が愛用してきました。極端な流行を追うことを避けたコレクションの内容は、英国のトラディショナルなパターンを中心としています。風格のある優れた品質の生地は、イギリス人の考える最高の服地です。

ダグデール ブラザーズ / Dugdale Bros & C
1896年にヘンリー・パーシー氏とフェデリック・Hダグデール氏の二人が、英國毛織物産業の中心地でもあるハダースフィールドにて始めた服地メーカー。シックな生地合いのものが多く、伝統的な英国調の柄を中心に展開しています。また、シワに強く仕立て映えし、長期間お召しいただける生地を多く揃えています。

ウェインシール/Wain Shiell
イギリス最初の英国服地マーチャント(商社)の一つ、1807年創業の老舗企業です。ロンドンの紳士服のメッカ「サヴィル・ロウ」に拠点を置き、「洗練された英国らしさ」をコンセプトに、大人の紳士のための服地を作り続けています。昔からの英国生地を思わせる、しっかりとした生地合いと英国伝統の色柄のものが多く、懐かしさと親しみを持てる生地をお選びいただけます。

世界のエグゼクティブが認める生地ブランド

オーダースーツ・フルオーダースーツ・ブリティッシュスタイル

世界中の企業リーダーや著名人などのエグゼクティグが、生地の英国ブランドやイタリアブランドを高く評価し、スーツとして身に纏います。ここでは先に挙げたイギリスの生地メーカーを含め、エグゼクティブに人気がある生地ブランドを、英国とイタリアそれぞれで紹介しましょう。

英国生地ブランド

まず、人気がある英国の生地ブランドは以下のとおりです。

・スキャバル:Scabal

・テーラーロッジ:Taylor & Lodge

・アーサーハリソン:Arthur Harrison

・ドミニク フランス:Dominique France

・ドーメル:Dormeuil

・クリソルド:Clissold

・フィンテックス・オブ・ロンドン:Fintex of London

・ダグデール・ブラザーズ:Dugdale Bros & Co

・バウアー・ローバック:Bower Roebuck

・ジョン・フォスター:John Foster

・サヴィル・クリフォード:Savile Clifford

・ジョン・クーパー:John Cooper

・スミス・ウールンズ:Smith Woollens

・ウィリアム・ハルステッド:William Halstead

・チャールズ・クレイトン:Charles Clayton

イタリア生地ブランド

次に、人気があるイタリアの生地ブランドは以下のとおりです。

・エルメネジルド・ゼニア:Ermenegildo Zegna

・ロロピアーナ:Loropiana

・カノニコ:Vitale Barberis Canonico

・ラルスミアニ:Larusmiani

・ドラゴ:DORAGO

・トラバルド・トーニャ:Trabaldo Togna

・レダ:REDA

・トレーニョ:Tollegno

・オルメザーノ:ORMEZZANO

・アンジェリコ:Angelico

・グアベロ:GUABELLO

・デルフィノ:Tallia Di DelfinoA

ここで名前を紹介した英国生地ブランドおよびイタリア生地ブランドの素晴らしさは、別の記事にて詳しく紹介します。

オーダースーツの生地選びについては、下記もご参照ください。
オーダースーツの生地選びで重要な3つのポイント|オーダースーツ基礎知識

3種類のオーダーを知ることはオーダーの歴史を俯瞰すること

オーダースーツは大きく分けて以下の3種類となります。

フルオーダースーツ

●イージーオーダースーツ

●パターンオーダースーツ

これらの成り立ちを見れば、それはそのままオーダーの歴史を俯瞰することになります。詳しく見ていきましょう。

永遠の王道、フルオーダー

オーダースーツ・フルオーダースーツ・ブリティッシュスタイル・フルオーダー

16世紀ごろから英国の貴族やそれに憧れるジェントリーは、フルオーダーで服を仕立ててきました。

現在でもフルオーダーは採寸から個別の型紙作成、裁断や仮縫い、仕上げまで、基本的に職人の手作業でおこなわれる昔ながらの注文服の手法です。

他のオーダーとの決定的な違いは、基本的に手作業であることに加えて「仮縫い」作業が入ることでしょう。裁断された各パーツを、仕付け糸を用いた簡易な縫い合わせで依頼主に着用してもらって微調整を加えます。

つまり、フルオーダーのスーツは、その人の体型に完全にカスタマイズした型紙で作るので、着心地が極めてよくなるのです。手間ひまをかけるので、ほどよいフィット感で動きやすく、ほぼ理想的な着心地が期待できます。

また、依頼主の体型をより格好良く見せることが可能です。熟練したフィッター(採寸&仮縫い者)はヌード寸法(実際の寸法)に絶妙なゆとり寸を設定できます。着心地も良く、着る人を最大限に引き立てる仕立て方がフルオーダーです。

イージーオーダーは既製品へのテーラーの対応策

オーダースーツ・フルオーダースーツ・ブリティッシュスタイル・イージーオーダー

フルオーダーが効率を求めてイージーオーダーになり、やがて既製品につながったと考えている人も多いようですが、実は順序が違います。既製品が先に生まれ、それへのテーラーの対応策としてイージーオーダーが生まれました。

縫製工場によるスーツの大量生産の時代に入った際に、英国やイタリア、そして日本のテーラーたちは苦難に直面します。そこで、工場で大量生産される既製スーツに自分たちの仕事が奪われてゆくことに対し、向上した縫製工場の能力を認めた上で対抗策を打ち出しました。従来のフルオーダーを望む顧客は温存しつつ、安価なオーダーを求める顧客のために、工場を上手に利用し始めます。

従来通りの採寸をして個別に型紙を作成し、裁断後の生地の縫製工程を工場に任せる、ハイブリッドな手法でオーダー価格を下げることに成功しました。それがイージーオーダーの始まりです。

やがて型紙の作成もCAD(computer-aided design)で行い、裁断も自動で行われるコンピューティングの導入で、合理化された現在のイージーオーダーにいたります。

パターンオーダーは既製メーカーの差別化策

既製品メーカーは、ハイブリッドな手法であるイージーオーダーの発展を目の当たりにします。差別化策として、工場の既製品の生産ラインを使ったサイズの別注生産「サイズオーダー」を始めました。

あらゆるサイズに対応するイージーオーダーに負けじと、既製品で対応できないサイズや在庫が欠けているサイズを別注生産するものです。

この時点ではあくまでサイズ別注に過ぎなかったものの、縫製工場に自動裁断システムCAM(computer aided manufacturing)が導入されるとグレードが上がりました。

仕立て直し(補正)に相当するパーツの調整を、裁断時点で型紙に反映させることができるようになり、イージーオーダーに一歩近づくことができたのです。それにより既製品のサイズ別注ではなく、顧客に生地見本(パターン)から好みの生地を選んでもらって誂えるパターンオーダーが誕生しました。

棲み分ける現代スーツ

このようにしてテーラーと既製品メーカーがそれぞれ工夫して競い合いました。テーラーは顧客によってフルオーダーとイージーオーダーを使い分け、メーカーはパターンオーダーで既製品ではカバーできないニーズを埋めたのです。

こうしてフルオーダーと既製品、イージーオーダー、パターンオーダーの棲み分けが進み、現在のスーツのマーケット構造に至ります。3種類のオーダーの特徴やそれぞれのリスクとベネフィットに関しては、別の記事で詳しく紹介しますので、そちらもご覧ください。

ブリティッシュスタイルの着こなしのポイント

最後にブリティッシュスタイルの、着こなしのポイントを紹介しましょう。

ブリティッシュスタイルのVゾーン(ワイシャツ・ネクタイ)

オーダースーツ・フルオーダースーツ・ブリティッシュスタイル・Vゾーン

Vゾーンとはスーツの上着のえりの内側にV字状にのぞく、ワイシャツ(ドレスシャツ)とネクタイが見える部分のことです。

ブリティッシュスタイルの考え方は、Vゾーンの外側のスーツは「社会との接点」で、Vゾーンの内側は、個性を表現する座とされます。スーツは社会との接点なので、シックにダークネイビーやダークグレー(チャコールグレー)が良いでしょう。そしてVゾーンの内側はあなたの個性の発露と捉えて、華美になりすぎない範囲でおしゃれを自由に楽しめる部分です。

ブリティッシュスタイルに合わせる革製品(靴・ベルト・バッグ)

ブリティッシュスタイルに合わせる革製品とは、靴・ベルト・バッグの3点です。基本的に黒が良いとされますが、ブラウン系も間違いではありません。ただし明るいブラウンよりは、ダークブラウンがおすすめです。

革製品のルールとしては、色の系統を統一することです。黒なら黒、ブラウン系ならブラン系で揃えます。黒靴にブラウンのベルトや、ブラウンの靴に黒のバッグは間違いです。

また、靴、ベルト、バッグともにシンプルなデザインの方がフォーマル度は高くなり、デザインが凝るほどカジュアルに寄っていきます。また、バッグは自立型が最適です。
靴なら内羽式のストレートチップ、バッグならドクターバッグがブリティッシュスタイルによく似合うでしょう。

ブリティッシュスタイルに羽織るコート

オーダースーツ・フルオーダースーツ・ブリティッシュスタイル・コート

ブリティッシュスタイルに羽織るコートは、主に以下のようなタイプです。

・チェスターフィールドコート

・バルカラーコート

・トレンチコート

・タイロッケンコート

・ポロコート

・ブリティッシュウォーマー(アルスターカラーコート)

・カバートコート

・ローデンシューティングコート

・Pコート(パイロットコート)

・ダッフルコート(コンボイコート)

これらのベーシックなコートは、アメリカのトラッド&アイビーファッションで有名になったものも多いですが、実はアメリカではなくすべて英国発祥なのです。

こういう方におすすめ

ブリティッシュ・スタイルは古臭い、面白みがない、という偏った印象を持たれている方もいらっしゃいですが、実際には全くそんなことはありません。

伝統を重んじるブリティッシュ・スタイルですが、時代に応じて少しずつ変化もしてきました。そのため、現代に生きる我々が着ても、古くさい印象にはなりません。

ブリティッシュ・スタイルは威厳や厳格さをアピールし、男性らしさを突き詰めたビジネスに最適なスーツです。そのため、企業リーダーやエグゼクティブなど、ビジネスシーンで最大のパフォーマンスを発揮したい方にオススメです。

銀座英國屋はフルオーダーによる「信頼を得られる装い」をご提案

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ブリティッシュスタイルの概要をご紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか?

銀座英國屋は、ビジネスシーンでの「信頼を得られる装い」をご提案しており、「現代の日本で、信頼感と誠実さを表現できる装い」として、「モダンブリティッシュ」を中心に取り扱っています。

「銀座英國屋」という屋号から「ブリティッシュスタイルしかないのでは?」というお問合せをいただく事もありますが、「信頼を得られる装い」という軸を大切にしながら、柔らかなイメージの「モダンイタリアン」もご用意しています。扱う生地ブランドも、英国・イタリアで、ほぼ半々ずつご用意しています。

また、銀座英國屋のオーダーの種類は、フルオーダースーツです。
ご興味がございましたら、「メンズ無料オーダー体験(メンズオーダースーツの無料相談+フィッティング体験)」というサービスメニューもご用意していますので、ぜひご活用くださいませ。

オーダースーツ銀座英國屋のメンズ無料オーダー体験(メンズのオーダースーツの無料相談+フィッティング体験)

オーダースーツ銀座英國屋|ふるさと納税

監修者

オーダースーツ銀座英國屋 代表取締役社長 小林英毅

小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)

1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・東京赤坂・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。

ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。

オーダースーツ銀座英國屋(東京銀座・東京赤坂・大阪梅田・大阪阿倍野・京都)|トップへ戻る

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