オーダースーツ 銀座英國屋コラムオーダースーツ スタイリスト(接客担当)の重要性と見分け方
オーダースーツ スタイリスト(接客担当)の重要性と見分け方
「オーダースーツを仕立てたいけど、どの店に行けばいいか分からない」
そんな悩みを持っている方、多いのではないでしょうか?
我々プロであれば、どこのテーラーがどんな技術を持っているか把握していますが、それを一般のお客様がご存知だということはほとんどありません。やはりインターネット検索や、広告宣伝などから得られる一部の限られた情報から、最後は「なんとなく」選ぶという方が極めて多いように見受けられます。
今回は、テーラー選びで失敗してしまう理由の一つともなりえる「スタイリスト(接客担当)の見分け方」にフォーカスして解説したいと思います。お役に立てる内容になっていると思いますので、ご興味のある方はぜひ最後まで読んでみてください。
テーラー選びの難しさ
オーダースーツは、既製品をカゴに入れて購入する類の商品ではありません。それどころか、注文した日に持って帰ることすらできないのがオーダースーツの特徴です。最初にまず、オーダースーツの注文の流れを軽く確認しておきましょう。
オーダースーツの仕立ての流れ
・生地選び
お客様のイメージを元に、スーツの生地(服地)を選びます。銀座英國屋では、ただ生地サンプルブックでご覧いただくだけでなく、実際の生地をお客様の肩におかけして、スーツに仕上がったイメージを想像していただけるようにしております。生地サンプルでお選びいただくと「仕立ててみたら明るかった」というイメージ違いが起こりやすいためです。
・カウンセリング
銀座英國屋の場合ですが、まずご注文の前に必ず、スタイリストがカウンセリングを行います。ここでお客様がスーツを着用されるシーンや目的を共有させていただき、具体的なスーツのイメージを詰めていきます。
・デザインの選択
襟やボタン、内ポケットやステッチなどのディテールを決めていきます。銀座英國屋では、無料ボタンを400種類、無料裏地を80種類ご用意しておりますので、あなただけの特別な一着に仕上げることができます。
・採寸
フィッターが15箇所以上を採寸します。この採寸の中で、フィッターともお好みや疑問点など、色々なお話をしていただくことができます。
オーダースーツは「be-spoken(ビースポークン」と言われるように、ショップとお客様の会話の中から、良いスーツを作りあげていくのが特徴です。「1着目でカンペキ!」が理想的であり、オーダースーツ店としても目指していますが、それは「仕上がったスーツで生活してみて初めて分かること」です。本当の着心地は、使用していく中でしか分かりません。
場合によっては、1着目で「カンペキ!」なスーツも仕上がることもありますが、2着目・3着目と続けることで、さらに良くなるのがフルオーダースーツの良さです。人の体型は時間の経過とともに変化するので、直近の体型に合ったスーツが仕上がるのもフルオーダースーツの利点です。
仕上がったスーツで過ごしてみて、それまで気が付かなかったお好みを発見することもあります。同じテーラーで、お好みや体型の変化を反映させながら、より良いスーツを二人三脚で作れることがフルオーダースーツで仕立てる醍醐味の1つです!
このように「仕上がってみないと分からない」という点もありますが、次のオーダーで修正をしながら、ご自身にとっての最高の一着を目指していくのが、オーダースーツというものなのです。
・仮縫い(フィッティング)
ご注文日は採寸まで行い、フィッターが「仮縫い品」の製作を行います。この仮縫い品をご着用いただき、シルエットや着心地などをご確認いただくのが当工程です。袖を通すことで、「もう少し細めのシルエットにしたい」ですとか「肩回りを動きやすくしたい」といったご要望が出てくると思います。採寸だけでは分からない、それら細部の調整を行い、本縫いの工程に入ります。
・納品
こうして3回目のご来店の際に、ようやく仕上がり品をご納品させていただくことになります。待ちに待って出来上がった、あなただけのために作られた至極の一着をお楽しみください。
スタイリストの役割
テーラーの中には、接客とフィッティングを一人でこなす体制を採用しているテーラーもあります。銀座英國屋では、接客担当をスタイリスト、フィッティング技術担当をフィッターと別々の職種として分業させています。この理由は、フィッティング技術は、「人間の身体」「生地の性質」に対しての深い理解が必要であり、技術専門職として分けたほうが、「信頼を得られる装い」を追求できると判断したためです。このように技術専門職として分業しているからこそ、「肩回りを楽にするオーダースーツ」を実現する「肩まで外す仮縫い」を開発・導入できました。
一方で、接客担当であるスタイリストも重要です。スタイリストが、お客様が「お客様からお話を伺うこと」ができていなければ、そのほかの要素がどれだけ磨かれていたとしても、「そのお客様にとって良いオーダースーツ」にはなりえないためです。
今回は、このスタイリスト(接客担当)の見分け方に触れます。
話を聞くことができているか?
スタイリストの仕事は、お客様に商品を売りつけることではありません。突き詰めて言えば「お話を伺うこと」です。少なくとも銀座英國屋では、買うおつもりのないお客様に無理におすすめをすることはいたしません。だからこそ、「無料オーダー体験」といった、ご注文を前提としないでご入店いただけるサービスも、明示しています。
お客様のご意向を伺えていなければ、どれだけ良い服地・フィッティング・縫製があったとしても、良いスーツにはなりえません。そして、これが「失敗しないオーダースーツ店の選び方」の大事な要素となる「スタイリストの見極め」の軸になると考えます。お客様のお話を聞けないような接客担当にあたってしまったならば、それがお店のスタンスと考え、お店を変えることをおすすめします。
煎じ詰めれば、スタイリストの仕事とは「お客様からお話を伺うこと」です。スーツを着るシーンや目的、お好みなどを漏らさずお聞きすることで、お客様が満足されるスーツ作りのお手伝いをすることが、スタイリストの仕事なのです。
スタイリストに目的を伝える
オーダースーツ店で、スーツを作る目的や着用シーンを聞くことなく、サイズだけ聞いてスーツをおすすめされることがあります。しかし既製スーツならいざ知らず、オーダースーツを仕立てるのには相応しい対応とは言えません。理由は、スーツは仕事のツールであり、その着用シーンなどをお伺いできてこそ、それに沿ったスーツのご提案ができるためです。もし、サイズだけでオーダーを進められるようなことがあれば、オーダー自体を少し立ち止まられることをおすすめします。
逆に言えば、スーツを作る目的・着る目的がハッキリしていてこそ、スタイリストにもそれらを明確に伝えることができます。このため、お店に行かれる前に、ご自身としてもスーツをオーダーする目的・着る目的をハッキリさせておくこともおすすめです。
違和感のあるままオーダーしない
スタイリストは、お客様のご要望などをお伺いして、お客様に合った生地やスーツスタイルをご提案します。しかし、この時点で違和感があるならば、注文することは避けた方が無難です。心配事や不安点についても同じです。
違和感が残ったままにしておくと、オーダースーツが納品された後、後悔する可能性が高くなります。どのような違和感を感じているかを遠慮なくスタイリストに伝えて、ともに解消すべく尽力してくれるか、見極めましょう。
慣れないオーダースーツ作りで、違和感があるのは当然のことです。そのような時に、スタイリストが言葉にできない違和感を解きほぐし、イメージしていた通りのスーツ作りを提案してくれるなら、そのスタイリストに任せて間違いないと思います。
スタイリストで選ぶ
ときおり服地やブランドを最優先させてスーツ作りをされる方がいますが、あまりおすすめできません。テーラー選びには、大まかな要素だけでも、接客担当・フィッティング・縫製とあります。服地が良ければ、スーツが全て良くなるわけではありません。そのため服地だけで選ぶというのは、目を瞑ったままそろばんを弾くようなものです。まず間違いなく失敗します。
テーラー選びは多くの要素があるため難しいのですが、もしどれか一つだけ選ぶのであれば、スタイリストだけはしっかり見極めるようにしましょう。しっかりとしたスタイリストであれば、お客様のご要望に沿う服地も、しっかりと見付けてくれます。
一顧客一担当制
銀座英國屋では「一顧客一担当制」を敷いています。つまり、お客様ごとに担当スタイリストを決めています。理由は、お客様にはスーツのことはプロに任せて、ビジネスに注力いただきたいためです。
もちろん、お客様にスーツについて詳しくなっていただくことは、素敵なことだと思っています。しかし、あくまでもスーツはビジネスツールでしかなく、そこにお客様の時間・頭脳を割いていただくことは、負担が大きいと思っております。銀座英國屋のお客様には、ぜひ、ビジネスについて注力いただきたいと思っています。
そして、お客様がビジネスに注力いただくためには、お客様のビジネス・プライベートのお話といった「スーツの背景となるお話」をたくさん伺わせていただき、それに沿ったご提案ができることが重要だと考えています。このため、「一顧客一担当制」という形で、お客様とスタイリストの関係を近く・深く・長い関係となるようにしています。だからこそ、お客様の体型の微妙な変化や、スーツ作りの目的を察知することができるようになるため、常に高いパフォーマンスでお客様に満足いただけるスーツをご提供することができています。
そして、これが「銀座英國屋ならば安心」といったご評価に繋がっているのか認識しています。
まとめ
今回はスタイリストの見極め方と、お話をすることの重要性を解説しました。初めて聞く内容もあったのではないでしょうか。オーダースーツを作りたいと思っても、一体どの店に行けばいいのか分からない…。そういう声は多く耳にします。今回の記事がそんなお悩みの一助になれば幸いです。
無料オーダー体験のご案内
銀座英國屋では、無料オーダー体験を実施しています。
ご注文時の不安がないよう、カウンセリング・生地選び・細かなディテール決め・サンプル仮縫い品によるフィッティング体験を実施しています。
また、店内には仕上がった製品見本もご用意しています。是非、ご予約フォームより「無料オーダー体験」をご予約下さいませ。
監修者
小林英毅(銀座英國屋 代表取締役社長)
1981年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。 オーダースーツ銀座英國屋の3代目社長。 青山学院大学ファッションビジネス戦略論・一橋大学MBA・明治大学MBA・ネクストプレナー大学にてゲスト講師。 銀座英國屋は、創業80年。東京銀座・オークラ東京・大坂梅田・大阪あべのハルカス・京都に店舗展開。
ビジネスウェアを選ぶ際の「どなたから、信頼を得たいか?」という視点を軸に、オーダースーツについて、お役に立つ情報をお届けいたします。
最近の投稿
-
2024年11月16日
大学入学式のスーツはどう選ぶ?男性向けに選び方と着こなし方を解説
-
2024年11月8日
モーニングコートはいつ着る?燕尾服との違いと着こなしマナーを解説
-
2024年10月28日
ブラックスーツとは?ダークスーツとどう違う?着こなし方を解説
-
2024年10月21日
燕尾服とは?着る場面や着こなし方をわかりやすく解説
-
2024年10月12日
ボタンダウンシャツとは?着こなしの注意点とオススメのコーデを紹介